素顔のときめき (NHK総合金曜21:15~21:58)

制作・著作/NHK
共同制作/NHKエンタープライズ21
制作統括/三井智一ほか
作/松原敏春
演出/笠浦友愛ほか
出演/大原麗子、杉浦直樹、西田尚美、清水まなぶ、香川照之、りりィ、真屋順子、杉山とく子ほか

第1回
☆☆☆
 さすがにさすがのキャスティング、なかなか笑えました。コメディの舞台劇のように、台詞の粒立ちがよかった。大原麗子も杉浦直樹も当たり役でしょう。香川照之もよかった。大原麗子のしわは、かなり伸びてましたね。

第2回
☆☆★
 おバカパワー炸裂だった第一回目と比べると、こじんまりとまとまり始めた印象。モデルクラブ内での闘いを描いたほうが面白かったと思うのですが、作品に幅をもたせようとしてか、やっぱり買収なんて方向に行っちゃうんですよね。無下に扱われる西田尚美がいいアクセントになっている。主題歌まで歌っているあの男優は誰?

第3回
☆☆
 ドラマがますますまじめに(NHKに)なっていく。点数が★ずつ落ちていく。西田尚美はVX1000を使ってました。安定感抜群なのは香川照之。

第4回
☆☆
 これって、「死ぬまで愛して、長ーく愛して」の完結編?それはないでしょう、という連打にしばし苦しめられる。あのプロモーション・ビデオが、一番よく出来てたりして。印象的なのは、毎度おなじみ香川照之の悪ぶり。手拍子のリズムが、りりィだけ、シンコペーションになっていたぞ。次のこの枠は?どちらにしろ、ここは恐怖枠になっていきそうです。

桜桃の実る谷 (NHK総合)

土曜ドラマ:日中共同制作
制作・著作/NHK
国際共同制作/NHK、中国四川電視臺
制作統括/張玉偉、二瓶亙
作/下川博
演出/馬功偉、佐藤峰世
音楽/小六禮次郎
出演/仲村トオル、游琳妹、張春祥、金久美子、田山涼成、原田芳雄ほか

第1回(8/19放送)
☆☆☆
 見るほうも、満を持しての下川博作。『カンパニー』が少しだぶる企業物に、中国を舞台にする価値のあるシンプルかつピュアなストーリーが絡んでいて、なかなか巧みな戦略を感じました。ことごとく下手になっていく中年俳優たちの中にあって(?!)、逆に上手くなっている原田良雄の存在感も効いていたと思います。次回の予告編にも期待感がありましたし、これはやってくれそうな予感がします。

第2回(8/26放送)
☆☆☆
 濃密なドラマというわけじゃない。ただ、作品としての隙間を埋めて余りある中国という舞台が、作品に別の力を与えていたと思う。緩くて温いだけのラブストーリーの部分でも、何となく許させしまうのは、やはり舞台のせいでしょう。ピアノを売りに行くエピソードなんか、日本でやってもリアリティが出ないだろうし。
 サブストーリーとして、原田芳雄の病気の話と観光誘致の話が絡んでくるのも、下川さんらしい、丁寧さを感じました。いつまでも会社休んだりして、主人公も中国的になってしまうあたりも面白かった。

一絃の琴 (NHK総合月曜21:15~21:58)

時代劇ロマン
制作・著作/NHK 共同制作/NHKエンタープライズ21
制作協力/NHKテクニカルサービス、NHKアート
制作統括/菅康弘、小松隆一、高橋幸作
原作/宮尾登美子
脚本/田中晶子
演出/大森青児、越智篤志、西谷真一、磯智明
音楽/渡辺俊幸
出演/田中美里、竹下景子、篠田三郎、香川京子、山本陽子、三田村邦彦、伊原剛志、榎木孝明、平田満、土田早苗、有森也実、生瀬勝久、岡本綾、大和田伸也、川上麻衣子、吉幾三、車だん吉、西尾まり、井上チャル、吹石一恵、真柄佳奈子、田中邦衛ほか

※レビューは本放送時のものです。

総合評価:☆☆☆★

第一部「大友流月」篇(第1~5回):☆☆★
第二部「望月家」篇(第6~8回):☆☆☆
第三部「市橋家」篇(第9~13回):☆☆☆☆
第四部「市橋塾」篇(第14~18回):☆☆☆★

第1~15回
 一つ驚いたのは、前半からキャスト総入れ替えで、話が大変動していくことです。簡単に分けると、第1話から第5話までの5話が、第一部大友流月篇。第6話から第8話までの3話が第二部で、望月家篇。第9話から第13話までの5話が第三部で、市橋家篇。第14話から最終回までが第四部で、市橋塾篇と、四部構成の巨編。
 ミソをつけたのは第一部で、この躓きがその後の視聴率にも影響しましたね。さて戦犯は誰でしょう(?!)。
 第二部は通俗小説的な面白さがあって、少しボルテージが上がってきたかな、という感じでした。お久しぶりの土田早苗は迫力満点、曲者風の有森也実もよかった。ただ、本格的な人生行路劇としての面白さが出てきたのは、第9話以降、つまり第三部からではないでしょうか。つまり、日テレでいけば、ワンクールの最終回から面白くなってきたということです。テレビドラマとしてはあまりに遅すぎましたが、その後の怒涛の展開には、すっかり引きつけられました。
  愛子(岡本綾)が死んでしまう第9話も感動的でしたが、袖(香川京子)がキーを握る静かなトーンの第11話などは傑作でしょう。弟の借金話が軸になる第12話はつけたし程度という気がしましたが。第12話以降、これまでこのドラマにはなかった幸福な空気感に、一瞬、『あぐり』を思い出しました。一転、第四部以降は、再び芸道の世界(また、女の子、いっぱい出てきたなぁ)。
  確かこのドラマ、18話まであるんですよね(随分、中途半端な時期に終わるもんだ)。NHKが効果的な番宣を打たなかった謎はありますが(打っても『葵』は惨敗だけど)、ドラマのクオリティの高さは、最近のNHKでは一番でしょう(他が酷すぎるだけ?!)。田中美里も、彼女の限界ラインでがんばっていると思いました。松たか子だったら、という思いはありますが。脇はおおむね好調。柄に合ったキャスティングがうまく決まっていて、『葵』と同じ局の制作とは思えません。逆に、次の『柳橋慕情』はキャスティングが『葵』化してて、ちょっと怖い。

第16回
☆☆☆★
 女の性が青白くぶつかりあう様にぞくぞくしました。ピリッと引き締まった空気の中心に田中美里の品格の高さがある。実年齢時は違和感があったのに、老けてようやく落ち着くとは、やはり田中美里はすでに大物ですね。

第17回
☆☆☆★
 NHKの宮尾登美子物の格調もここに極まったという感じ。座敷に一人たたずむ苗の寂寥感に震えました。四つ星でもいいんだけど、弟や愛人の話でちょっと話がもたついたのが残念。

第18回
☆☆☆
 愛子(岡本綾)が死んでしまう第9話や袖(香川京子)が静かに息を引き取る第11話あたりがピークで☆☆☆☆級だったと思いますが、あのあたりから最終回までは大変充実していたと思います。結局は、田中美里の代表作の一つになりましたね。視聴率がよければ、もっとよかったんだけど。吹石一恵をはじめとした弟子たちにもみどころがありました。