フレンズ (TBS系金曜22:00~22:54)

製作著作/TBS 制作/TBS ENTERTAINMENT
プロデューサー/清弘誠、壁谷悌之
脚本/関根俊夫
演出/清弘誠、片山修
タイトルスチール、フォトディレクター/田代眞人
パステル画/今井みろり
音楽/城之内ミサ
主題歌/『tears』Fayray
出演/幸田順平…濱田雅功、日浦梨沙…和久井映見、三浦修…山口達也、松野美雪…竹内結子、本城直哉…宮本浩次、咲坂文緒…鈴木砂羽、八雲隆一…村田雄浩、半海一晃、白川みなみ、吉岡茂…内藤剛志、小林省一…大杉漣ほか

第1回
☆☆☆
 とても面白かった。TBSのドラマらしい、無駄のない苦味の効いた群像劇を期待させました。フジがこれやると、うそに塗り固められたようなドラマになっちゃうんですけどね。『フレンズ』を見て正気を取り戻し、今更ながら『QUIZ』はつまらなかったと実感。和久井映見も柄にあっていたと思いますし、竹内結子もミステリアスで今後に期待できそう。ただなぜ濱田、という気はしましたけど。

第3回
☆☆☆
【実態】なるほど。みんなが“フレンズ”であるための糸が一本になってきました。
【本音】強引な糸の手繰り寄せは、ドラマ的な不自然さの許容範囲内。今のところ新ドラマでは、これが頭一つ抜けているという印象。

第4回
☆☆☆
 直哉(宮本浩次)の挿話が落ちきれなかった(飛び降りただけに、まさに!!)せいか、前3回よりは落ちる印象。でも、梨沙(和久井映見)が公園でアングルを追うあたりのシーンはなんとも瑞々しく、ちょっとエリック・ロメールの映画みたいでテレビを越えてましたね。エンディング・ロールでのキャストが極端に少ないことからもわかるように、話が絞れていて無駄な話が絡まないので、今後も愉しみです。

第5回
☆☆☆
 とっても淡い!! 今回の和久井映見は久々に彼女らしく、鈍く底光りしてますね(誉めてます)。FAYRAYが歌っている主題歌、『恋におちて』に雰囲気似てると思いませんか。『恋におちて』がどんな歌だったかは忘れましたが。

第6回
☆☆☆★
 これまでのなかでももっとも出来がよかったと思います。今回の秀逸は、隆一(村田雄浩)の誕生会。あれは、思いつかない。
 ドラマの構造自体は『恋のためらい』と似ている。アンティークショップとカメラ、若い子を援助するおやじ、仕事の紹介(どっちも写真関係)、腐れ縁、片思いキャラ(塚本晋也演ずる先生)などなど。

第7回
☆☆☆
 通常、なかなか展開しない連ドラには苛立ちを覚えますが、このドラマに関しては逆で、展開しないことを望んでしまう。今回は、少し展開しすぎだったでしょうか。それでも、壁画のシーンの叙情、梨沙(和久井映見)がカメラを握るシーンの微笑、なんともいえない幸福感が漂っています。なぜ、視聴率は下がり続けていくのでしょうか。いや、こんな調子だから、下がっていくのでしょう。

第8回
☆☆☆
 切ない(もはや、形容詞シリーズと化している)。でもその悲劇性が押し付けがましくならないのは、濱田、和久井の功績でしょう。軽みがあるとでもいうか。ただ、梨沙(和久井映見)が美雪(竹内結子)に病気のことを告げてしまい、美雪が順平(濱田雅功)の家に押しかける流れには、不自然さが残り、納得できない(こういう居心地の悪い引っかかりは、『君が人生の時』でも感じた)。美雪には更なる疎外感があったほうが、ドラマとしての起伏(対立関係の維持)が出たのでは。まぁ、“フレンズ”としては、美雪も含めた新しい形で、あそこで集まりたかったわけだけど。でも、彼女はあの輪に必要ないでしょ。30代の、煮えきれない、あの集まりが私は好きでした。次回は、修(山口達也)も輪に入るのか?!

第9回
☆☆☆
 あ~っ、リリック!! 順平(濱田雅功)、梨沙(和久井映見)が写真を取り合うシーンに、日本の裏路地の美が。これは、珍しいことです。近年の日本映画で、ここまでの美しい日本を見たことがない。実際の浅草は、あぁじゃないけど、あの虚の美しさに罪はない。
 直哉(宮本浩次)、文緒(鈴木砂羽)の話もいっそう切なくていい。隆一(村田雄浩)もガス抜きで○。気になるのがやはり、美雪(竹内結子)の存在。順平の家での人間の出し入れが、やはり不自然。美雪が料理作っている時を外して、みんな遊びに来るのって、変でしょ。いや、これこそ、ドラマ的に許される範囲の、不自然な偶然性ではないか。本当は☆☆☆★をつけてもいいぐらい、今クールのほかのドラマを引き離す出来ですが、それでもやはりそこが引っかかるので、最上の☆☆☆を。

第10回
☆☆☆☆
 悲しい、おかしい、辛い、素晴らしい!! これまでの10回の中でも、ベストの一本でしょう。順平(濱田雅功)、梨沙(和久井映見)がすーっと写真撮影に行ってしまうところなんか、ちょっと書けないなぁ。普通、何かしらのクッションを描いてしまうところなんだけど、それをしない清さが大胆。大杉漣も含めて、全キャストともに素晴らしく、いよいよアンサンブルも極まってきたという感じ。今回は美雪(竹内結子)も有効だった。

第11回
☆☆☆★
 同じ病気物でも、『Summer Snow』のような泣かせに走らない節度が何より好ましいし、とにかくキャラクターへの視線のやさしさが心地よかった。心に染みる結びにも満足。濱田雅功のあの演技はどうしちゃったのか、名演です。このクールの主演男優賞は、彼以外に思いつきません。それに和久井映見!!村田雄浩!!鈴木砂羽!!演技賞独占か。
 後日談、梨沙(和久井映見)は一人で写真撮ってるような人生を送るんでしょうか?他のフレンズとは対照的な孤独感。今流行りの女流写真家に転進して、日曜美術館の司会の席を狙う?

FLY 航空学園グラフィティ (NHK総合火曜23:00~23:44)

ドラマDモード
制作・著作/NHK
共同制作/AVEC、NHKエンタープライズ21
制作統括/三井智一、一井久司
プロデューサー/和田豊彦
作/尾西兼一
演出/赤羽博、中島悟
主題歌/『大きな翼』矢野真紀
出演/大友康平、片瀬那奈、鳥羽潤、石川伸一郎、清水千賀、鮫島巧、山口あゆみ、忍成修吾、城山未帆、高岡蒼佑、佐藤B作、飯島愛、いしのようこ、セイン・カミュ、西岡徳馬、西田健、榊原るみ、酒井和歌子ほか

総括
☆☆
 最終回、セスナが飛ぶシーンを見て、このドラマに「航空学園グラフティ」という副題がついていることを、久しぶりに思い出しました。そういえば、最初の数回は訓練のシーンも結構ありましたよね。ただ回を追うごとに単なる「学園グラフティ」になってしまって。『FLY』はなりを潜め、悪い油を使った『FRY』化してしまったとでも言いましょうか。
 取ってつけたようなエピソードをつぎはぎにグイグイと展開させ、ヘンテコなダイアローグで苦笑させる脚本は、ちょっと肯定できません。でも、こんな出来の悪いドラマを、何となくいとおしく思って見続けてしまいました。理由はなんでしょう?極端なことを言ってしまえば、そのダメさ加減が逆に何とも微笑ましく、ある意味、楽しかった。素人すれすれの出演陣の暴走ぶりもなかなか見られないような、珍妙なおかしさがあったし。もちろん、このドラマが日テレのShinD枠だったら、こんなに肯定していたかどうか。DはDでもDモードというNHK枠の場違いさもうれしくさせた原因かも。ただ、次もこれじゃ怒りますけど。

愛をください (フジテレビ系水曜21:00~21:54)

制作/共同テレビ、フジテレビ
プロデューサー/中山和記、梨本みゆき
協力プロデュース/河合徹
脚本/辻仁成
演出/藤田明二、松田秀知
主題歌/『ZOO』ECHOES
出演/菅野美穂、江口洋介、伊藤英明、原沙知絵、真矢みき、黒谷友香、深浦加奈子、石井苗子、銀粉蝶、筧利夫、仁科亜季子、杉本哲太、風吹ジュン、陣内孝則ほか

第1回
☆★
こんな暗くてしみったれた話、誰が見たいんでしょうか。不愉快になれること間違いなしのドラマ。江口、杉本、陣内揃って不調で拷問に近し。

第2回
☆☆
 また、見てしまいました。第3話まできて、何かどこかで味わったことのあるテイストだなぁ、と感じていたんですが。これは、野島伸司の世界に近似していますねぇ。孤児院とか復讐なんかが頻発する、勘違いヒューマニズムとでもいいますか。歯の浮くような台詞の連打も辛い。菅野美穂の歌はめったに聴けない珍品ですけど。裏焦点は、初めてちょっといやなやつを演じている原沙知絵。彼女は悪役の方が向いていると思う。

第4回
☆☆
 また付き合っちゃいました。登場人物、誰にも共感できないという泥沼化に歯止めはかからず。そりゃ、視聴率悪いわけだ。

第5回
☆☆
 初回から、ほとんど話が進んでいない。菅野美穂も歌っているエコーズの『愛をください』って、CCRの『雨を見たかい』に非常によく似てると思うんですが。

第6回
☆☆
 うんざりするような暗さの中にとうとう、ちょっといい話を目指す兆候が。マジギレする原沙知絵がよかった。

第7回
☆☆★
 これまででは一番よかったかな。やっと話が核心に触れ始めたというか。もちろん、普通の人は、ここまで来るまでに見なくなるんでしょうけど。★は原沙知絵、怒りの鉄拳制裁分。

第8回
☆☆
 物語の展開が、定石すぎる。陳腐と言ってもいい。あまりに陳腐なのでそこには、主人公のすさんだ状況はこれぐらい陳腐なもの、というような二重構造の意味がこめられているんじゃないか、と深読みしたくなるほど。粘演(?)する菅野美穂は、大竹しのぶみたいになるんでしょうか。

第10回
☆☆
 それなりにまとまってきたか。長くてつらい道のりだった。