非公式コラム

Vol.05:この夏一番熱い川越美和(2001.09.05)

 『世界で一番熱い夏』第4回の感想に、「ヤブさんの娘、みか役で登場したのは、お久しぶりの川越美和」などと書いてしまいましたが、とんでもなかったですねぇ。この夏一番熱い女優こそが、実は川越美和だったのです。
 8月13日にBSで放送された『凍える牙』(ハイビジョンでは6/23)では、覚醒剤中毒による精神障害者を熱演。出番は少なかったですけど、そのはかないくも悲しすぎる存在は強烈なインパクトを与えました。
 8月17日に放送された金曜エンターテイメント『おふくろシリーズ(17)おふくろのお節介』では、主演の浜木綿子扮する人形作家、樋口千紗子の住み込みの弟子、麻生乃里子を演じていました。これがまた、やさしさと心配りの塊のような素敵なキャラクターで、屋良朝幸演じる車椅子の青年、俊也の甘えを叱りつける場面は、このドラマの中でも非常に重要なシーンでした。あそこから俊也が変わるわけですから。
 もちろん、『世界で一番熱い夏』のヤブさんの娘、みか役は前述の二つに勝るとも劣らぬ素晴らしさ。医者である前に娘であるという苦渋。今、そういった苦渋を表現させたら、川越美和を上回る女優はいないのではないでしょうか。テレビを越えた、その苦々しい表情は、もはや専売特許ものでしょう。
 でもあの苦々しい表情も、一朝一夕に培われたものではないはず。伊達に芸名を、川越美和→初瀬かおる→川越美和と激しく変えてきたわけじゃないんでしょうねぇ。今後も苦悩する芸風に一層の磨きをかけて、そのお姿をガンガン見せていただきたいものです。
 今日は「涙くんさよなら’95」が聴きたい気分。(麻生結一)