非公式コラム

Vol.11:ファイト、風のハルカ、そして純情きらり〜その4(2006.04.01)

 この4月からはじまる新しい朝ドラ『純情きらり』の第1週「父の見合い」を見せていただく機会があったので、そのことについて書こうと思ったのだが、ここまで辿りつくのに随分と長い道のりになってしまった。『風のハルカ』が『ニコニコ日記』組の再結成ならば、『純情きらり』は秀作『ちょっと待って、神様』組の再結成による朝ドラである。そういってしまうと、前が前だけに逆に心配にもなるが(?)、第1週を見た限りでは、これは久々に朝ドラらしい朝ドラになりそうな、実に立派な出来ばえであった。
 ドラマは昭和2年から始まって、第1週中で10年後の昭和12年まで進む。ピアノを愛するピアノを持たないヒロイン・桜子の子供時代を演じる美山加恋も元気いっぱいでよかったが(いじめられっ子に辞書を引き引き果し状を書く様がかわいい)、桜子の16歳からを宮崎あおいが演じる第5話からは早々ドラマに安定感が加わり、どっぷりと物語の世界にひたれた。恒例のヒロインオーディションを中止してまでマンネリ打破を狙った効果が第2週以降にも引き継がれるかはわからないも、第2週の予告を見ながらは、一刻も早く先が見たくなった。
 脇を固める共演陣も達者な人たちがそろっているので分厚く楽しい。岡崎の名家八兆味噌の「山長」女将かね(戸田恵子)と桜子の叔母・磯(室井滋)との老けてる合戦も笑わせてくれたが、全体のトーンは凛とした印象。あまりにほめすぎるとダメだったときの責任をとれないのでそろそろやめておこうと思うが、今度は珍しくいい予感がする。(麻生結一)