きらきら研修医

第7回(2007年2月22日放送)


 少なくとも、これまでのうさこ(小西真奈美)は研修医然とはしていたのに、ついにピアノで「愛の挨拶」を伴奏しはじめてしまったか。こうなってくると、“きらきら看護師”でも“きらきら先生”でも何でもよくなってくるか。
 両親ともに著名な音楽家である高校生ヴァイオリニスト・カナ(桐谷美玲)が早々廃業寸前ゆえにとはいえ、暴力少女ぶりにもほどってものがあるでしょうに。ドラマらしい痕跡がだんだん探せなくなってきてる。(麻生結一)

第6回(2007年2月15日放送)


 第5回に引き続いて、研修医・うさこ(小西真奈美)の皮膚科の担当指導医・向井(パパイヤ鈴木)がいい人だったと強制的に念押しされた回。ガンの誤診なんて使い古された手を全編を通して引っ張られるや、このドラマが『愛するために愛されたい』の厚い壁に再び挑み始めたとしか思いようがない?そんな無謀とも思えるチャレンジ以上に恐ろしいのは、このドラマに負けず劣らぬ出来の悪いドラマが今クールには複数存在していることである。残念です。(麻生結一)

第5回(2007年2月8日放送)

☆★
 産婦人科から皮膚科に移動するや、研修医のうさこ(小西真奈美)はドジでのろまでまわりの人たちに迷惑ばかりかけているキャラクターから早々脱却。音羽総合病院のみのもんた、もしくはガチャピンな産婦人科の担当指導医・川合(生瀬勝久)に比して、ムック似との例えがちょっと苦しい何かとお騒がせな皮膚科の担当指導医・向井(パパイヤ鈴木)から逆に迷惑をかけられっぱなしに。実際には向井にも尊敬すべきところもあって、という展開は意外性ゼロだし、ギャグのクオリティがベタ以上にベタであるところももはや普遍だけれど、うさこが終始仕事をし続けているところにはちょっぴり好感が持てたりして。その好感の原動力は、このドラマよりも不出来なドラマが今クール存在するという恐るべき事実だったりもするのだが……。(麻生結一)

第4回(2007年2月1日放送)

☆☆
 研修医のうさこ(小西真奈美)が帝王切開の執刀医になっての大騒動を描いた第4回も、基本的にはこれまでとさほど変わらずゆるまった笑いが連なっていく展開も、患者への真摯なスタンスが終始失われなかった分、『愛するために愛されたい』から遙か遠ざかったしまったと言わざるを得ない(ほめてます)。
 他者を寄せ付けないオーラを放つほどの師弟愛を芽生えさせた指導医の川合(生瀬勝久)に対して、妊婦・美保子(馬渕英俚可)の執刀医になったことをしつこく聞き返すあたりのしつこさは相変わらず。こういうのは徹底してやったほうが面白いのでいいのでは。ここは面白くなかったけれど。それにしても、妊婦役の馬渕英俚可は、このドラマには余りあるほどにリアルだった。
 万が一の不祥事を想像するうさこ、川合がバイト先の当直を一人で任された時のエピソードはTBS名作ドラマのパロディ2本立て。アメリカ映画には定期的に大パロディ集のような箸にも棒にもからないような作品が登場するも、ノリはそれに等しい。「呆痴新聞」なんていう、やってる方の楽しさは伝わってくるのだが。
 初執刀までのカウントダウンにいまどき『ロッキー』ってのもね(さらに続編=パート6をやるしつこさはこのドラマにも通じるものが!)。もちろん、努力しないドラマ的医者が多い中で、それが一か八かの執刀だったとはいえ、患者たちをオーディエンスにナースセンターでまでカイザーのシュミレーションをやるほどにがんばったうさこだからこそ、それを無事終えた際の清々しさはそれなりの味わいになっていた。それにしても、レッツノートの赤天板はやっぱり目立つ。(麻生結一)

第3回(2007年1月25日放送)


 うさこ(小西真奈美)の産婦人科における担当指導医・川合(生瀬勝久)はうさこを嫌いだという一点において自分から遠ざけようとし、ジャンバルジャン製薬のMR・山崎(加藤雅也)を利用して、うさこを病院対抗ゴルフコンペに出場させる。驚くべきことに、ゴルフコンペに関する場面がこの第3回のほとんどを占めていた。これまでの2回と違っていたのは、それが研修の話とまるっきり関係なかったということ。うさこを優勝させようとするゴルフ場における仕掛けも、かつてどこかで見たことがあるようなものばかりで、軽く唖然としてしまう。くだらなさもここまでくれば、伝説の誕生を夢見ないではない。『愛するために愛されたい』の壁はあまりにも厚いと思われるも(?!)、

レビュー:愛するために愛されたい

精々がんばっていただきたい。(麻生結一)

第2回(2007年1月18日放送)

☆★
 産婦人科研修でいきなり川合(生瀬勝久)が執刀する手術に立ち会ううさこ(小西真奈美)が研修医だとは思われてなくて、というあまりにもおざなりなオープニングから早々ゲンナリしてしまうも、だからといっていいところがまったくなかったわけでもない。
 研修医としての初めての大イベント、前立ちデビューを目前に、

うさこ「ゆる過ぎず、きつ過ぎず」

と縫合を訓練する手の動きにあわせて呪文のようなリフレインをこれでもかと使い倒す方法は、「休めない」を連呼していた第1話とイコール。スーパードクターか、ドジでのろまな医者以外に日本のドラマにはいないというのがあまりにも嘆かわしいも、どうせやるんならこれぐらい極端を貫いた方がまだいい。
 ただ、ギャグのクオリティは依然として嘆かわしくなるようなものばかり。川合がガチャピン似というだけで、他局のキャラクターを借りてくる労力こそがこのドラマそのものだとすると、その後の物語自体にあまり期待を抱くことこそ野暮なのかもしれないが。小西真奈美が登場する途中のCMも、また似たような設定で紛らわしい。(麻生結一)

第1回(2007年1月11日放送)

☆★
 ブログのドラマ化と銘打った作品には痛い目にあわされているその経験値が、このドラマに対してのスタンスをより慎重にさせるが、第1回に関して言えば、すべてに確信犯のようにも思えるし、何も考えていない出来損ないのようにも見える。かなり不思議なドラマである。
 いまどきドジでのろまな研修医という設定は何ごとかという思いを確信にまで引き上げる、うさこ(小西真奈美)の初出勤日の朝という冒頭シーン。バスで遭遇した具合の悪い子供とその後に何の絡みもないあたりのバッサリぶりにまずはあきれる。さらには、その後の研修先である小児科でも結局ほとんど子供と絡まず。「ラブサバイバー」なる惚れ香水の検証はあったものの。
 うさこの担当医である倉橋役の寺島進は、『風林火山』『ヒミツの花園』に続いての登場。売れっ子です。そんな倉橋にちっちゃな顔、略してCKとあだなされるうさこは、研修医が初っ端から休めないからとカゼ薬を飲みまくったり、栄養が足りないからとまずいジュースをジューサーごと飲んだりと、ひたすらにしつこく極端に走るばかり。もはやドラマとは呼びがたい展開が連続するも、だからといってこれが面白くないとも思わない。やるならやるでトコトンやっていただけると、それはそれで味になるかもしれないので。
 WaTのご両人が医者役を網羅したかと思いきや、立岡(ウエンツ瑛士)は看護師の模様。うさこはドラマ中でもブログ書いてる設定だが、使用PCである赤天板のレッツノートは『吾輩は主婦である』の使い回しだろうか(こればっかりですみません)。
 結局うさこは倒れて1週間入院。いつの間にか1ヶ月が経ち、研修先は産婦人科に移行。ロールプレイングゲーム風ということなのだろうが、肝心の小児科の研修はちゃんと済んだのだろうか。(麻生結一)

きらきら研修医

TBS系木曜22:00〜22:54
製作:ドリマックス・テレビジョン、TBS
プロデューサー:川西琢、橘康仁
原作:織田うさこ『きらきら研修医』
脚本:荒井修子、徳永友一
演出:今井夏木、森永恭朗、高成麻畝子
音楽:ARTSTA
主題歌:『CHU-LIP』大塚愛
出演:織田うさこ…小西真奈美、立岡ケン…ウエンツ瑛士、倉橋啓太郎…寺島進、浅見みずほ…濱田マリ、 甲山留美子…ふせえり、御子柴ユミ…信川清順、西平麗香…木南晴夏、木下みかこ…りょう、川合真介…生瀬勝久、向井隆史…パパイヤ鈴木、越守美穂…井村空美、春山夏姫…松嶋初音、霧島里美…中山恵、売店のおばちゃん…研ナオコ、ガチャピン、山崎英彦…加藤雅也、壇ノ浦龍平…原田芳雄