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愛するために愛されたい (TBS系木曜21:00〜21:54)
製作/共同テレビ、TBS
プロデューサー/中山和記
脚本/梅田みか(1、2、4、6、8、10)、武井彩(3、5、7、9)
演出/小林義則(1、3、5、8、10)、松田秀知(2、4、7)、星田良子(6)、森永恭朗(9)
音楽/石田勝範
メインテーマ/『ムーン・オーヴァー・バーボン・ストリート(コーネリアスミックス)』スティング
挿入歌/『I will』池田綾子
出演/秋山元治…坂口憲二、山崎理沙…菊川怜、宮田哲史…柳葉敏郎、星野真二…武田修宏、樋口恭子…山田優、神崎裕未…曲山えり、遠藤直哉、斉木のか、伊原剛志、須永慶、平岳大、堀田眞三、藤田宗久、野中功、大林丈史、田窪一世、櫻庭博道、唐沢民賢、正名僕蔵、ジョージ松岡…西岡徳馬、蓮見孝一郎…草刈正雄、仁科玲子…黒木瞳
ほか

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第10回(9/4放送)

 カウントダウンを入れるんだったら、もっと前々からやればよかったのに、とか、足の怪我で理沙(菊川怜)がメンバーもれするんだったら、いっそ秋山(坂口憲二)もスキャンダルにまみれて飛べなくなり、星野(武田修宏)が一人で宇宙に行ったら面白いのに、なんて考えながら見ていたが(実際は秋山がいないとシャトル自体が飛ばなかった)、このドラマはそんな地球的な想像の範囲ではなかったか。すべての小細工は、あまりにもスケール盛大なラストシーンのためのカモフラージュだった?!
 玲子(黒木瞳)は宇宙でもタンゴを舞い、軽々とテレサ越え?! レッスンの特訓の成果がCMに、そしてこのドラマにとフル還元できてよかったですね。女性コーラスが『宇宙戦艦ヤマト』のテレサが宇宙に映る場面の音楽っぽくて、ずっと気になってたんだけど、やっぱり玲子=テレサというオチだったか。
 それにしてもこの宇宙計画、いくらの赤字を出したんでしょう。愛における到着地点のズレとタイムラグって、やっぱり宇宙のかなたまで飛んでいかなきゃ克服できないぐらいの果てなき銀河的スケールなのね?! 恐るべき愛、もしくは宇宙の法則よ。自由意志で殉じた秋山はいいけど(ちゃっかり輪廻してた?!)、むしろ、ちっちゃいポットで飛ばされた星野のほうが心配だ。こんな場面に音楽を使われちゃったスティングにも、何だか申し訳ない気分。ドラマを締めくくるジョージ松岡(西岡徳馬)のNR、その一言一句がおかしすぎるぞ。でも何で唐突に、このオヤジがNRなわけ?さらには、エピローグの玲子の若作りで、完全に駄目を押される。
 ここまでのカルト的な爆笑ドラマとなっては、もはや宇宙飛行士ものとも呼びたくない。いつになったら、まともな宇宙飛行士ものが見られるんだろう?(麻生結一)


第9回(8/28放送)
☆★
 1回分短くなったはずなのに、宇宙飛行士たちは訓練もせず遊んでばかり。

「こうして一緒にいられる時間は、すべて永遠の断片かもしれない」by秋山

見てるほうこそが、すべてが永遠に終わらないんじゃないかと恐々とさせられるよ。
 秋山(坂口憲二)が玲子(黒木瞳)にチェロを教える場面なんか、映画『ゴースト』のまんまパクリで結構笑えた。さらには、街中でまで一緒に踊ってしまう2人。このドラマ、いつから荒唐無稽型のミュージカルになったの?! 荒唐無稽だけは随分前から普遍か?!
 ツーショットを撮られてしまうエピソードは、ゴーストである玲子が写真に写ってなかったってオチのほうがもっと笑えたのに。えっ?このドラマは笑いを狙らってるわけじゃない?!

「なぜ再び彼女に生を与え… (中略) それを教えてほしい」by秋山

教えてほしいのはこっちだよ。やはりこのドラマ、人を笑わせようとしているとしか思えない。(麻生結一)


第8回(8/21放送)

 物語にも台詞にも役者にも旨みなしとくれば、1回の短縮もいたしかたなしか(『ひと夏のパパへ』同様、一回ですんでよかったというべき)と模様眺めしていたら、やっぱり出た!宮田(柳葉敏郎)のゴースト。冷静に考えれば、玲子(黒木瞳)に余命1ヵ月の宣告をするのが宮田である必要もないんだけど、幽霊ツーショットのおかしみ分で★ひとつプラス(ってことは、もともと★級?!)。
 それにしても、主要キャストであった宮田(柳葉敏郎)の死に対する悲しみが、ちっとも高まっていかないことには、ある意味驚かされる。白々しい台詞の洪水が、すべてを興ざめに押し流していくよ。(麻生結一)


第7回(8/14放送)

 こういう語呂合わせみたいな台詞って、書いてると結構のれちゃうんじゃないかなぁ。のれちゃうから、ますます書けちゃう。書けちゃうから、見てる方はエンドレスで苦しまされることになる。今週は難解度は低めだったが。なるほど!脚本家が違うのか。
 すべては偶然がなせる業って話をするために、太陽系を持ち出す人間って、そりゃすでに死んでるだろ。心臓止まっても生きてるわけだから、そりゃ玲子(黒木瞳)ご本人とて、思わず笑っちゃうよね。
 そして何の前触れもなく、宮田(柳葉敏郎)は火事の只中に飛び込んでいく。このありえない展開に、もしかしたら宮田もゴーストになるのでは、というほのかな期待を抱く。こうなったら、ダブルゴーストが見たい!(麻生結一)


第6回(8/7放送)

 恋愛についてのダイアローグはその一言一句が怖すぎて、ある種のスリル満点。秋山(坂口憲二)の空虚は埋められてよかったもしれないけど、視聴者の空虚はどうやって埋めてくれるわけ?視聴率4パーセント台で、このドラマはどこまで飛び続けられるんだろう、という新たな話題提供はあるんだけど。
 酔いどれ玲子(黒木瞳)、精密検査に行く。その結果でどうおとしてくれるのか、大いに楽しみなところだったが、結果は次回におあずけということで。そんな玲子をめぐって、秋山と宮田(柳葉敏郎)によって繰り広げる殴り合いは、あまりにも予想通りだったので、思わずクスっとなる。大体こんなの、今から宇宙飛行しようって人たちの行いじゃないでしょ。ケガしたらどうするの。そして玲子は、またしてもタンゴを踊る。

「消えるな!」by秋山

って、これがコメディだったら、なかなかのつっこみなのにね。もちろん、最高のコメディアンの座は、星野(武田修宏)のものだけど。(麻生結一)


第5回(7/31放送)
☆★
 宇宙からのオープニングメッセージが大復活!前回なかった中途半端は気になるが、自らの過ちを容易に認めようとしないそのいさぎ悪さは、ある意味好感度大?!
 今さらながら、秋山(坂口憲二)は玲子(黒木瞳)がソウルで窃盗犯に追い詰められ、ビルの屋上から飛び降りた事実を知る。仕掛けが本格的に機能しはじめて、改めて設定の効力の弱さを思い知らされる。捻りをいれずに普通にやってたら、結構面白いドラマになってたかもしれないのに。
 乗組員のサバイバル訓練にしても簡単すぎるでしょ。リアルにじっくりと取り組んではと、幽霊話とのバランスが取れなくなるとでも心配したか?! 実際にはそんな心配は無用なのに。すでにあらゆるバランスは崩壊してるので。
 『大江戸捜査網』か一昔前の戦隊ものか、はたまた『水戸黄門』のなりそこないみたいな音楽もどうしたものかね。すべてにおいて一事が万事なんだけど。なるほど!いつもよりもキャラクターを身近に感じると思ったら、脚本家が違うのか。(麻生結一)


第4回(7/24放送)
☆★
 あのオープニング・メッシージはどこに飛んでいっちゃったの?こういうのを途中でやめちゃうと、何だか敗北感がつきまとうよなぁ。ついでに消えかかってる玲子(黒木瞳)も、実は単に酔っ払ってるだけだったりして!

「男女の複雑な結びつきもやがて、宇宙へとつながって浄化されていく。その非科学的な観念こそが人を宇宙へと導く」by宮田(柳葉敏郎)

ってこのドラマ自体、我々をどこに導こうとしてる?
 チンピラに絡まれ、サンドバック状態で殴る蹴るの暴行を受ける星野(武田修宏)が一言。

「何が希望の光だよ!」

まったくだ。このドラマの希望の光も何処に?そしてTBSは視聴率5パーセント台のドラマを2本もかかえて何処へ行く?とりあえずは、水10か木10か、ドラマを1本やめるべきか。木9は『渡る世間』『金八』あるから、やめられないもんね。
 象徴的なのは、秋山(坂口憲二)のチェロの音が奏でる「鳥の歌」。『幸福の王子』の「愛の挨拶」といい、『貫太ですッ!』の無伴奏チェロといい、劇中で登場人物がチェロ弾いてるドラマにろくなのないね。(麻生結一)


第3回(7/17放送)
☆☆
 ドラマの迷走はいっそうに深まって……。万国語を駆使しながら、観念的な台詞をこれでもかというほどに並べて、これはこれで脚本書くの大変だと思うけど、誰もほめてくれなかったんじゃ、報われないなぁ。やってる方も見てる方もつらくなってくる悪循環。

「消えてしまうかと思った」by秋山(坂口憲二)

って、見てるほうが消えてしまいそうよ。
 ただ、もはや単なる酔いどれと化している玲子(黒木瞳)さえいなければ、案外普通のドラマだったりして。玲子がタンゴを踊りまくるシーンの間、見る側はどのように過ごすべきかをこのドラマは今後も問い続ける気か?!
 何はともあれ、死んでるキャラクターの生死を視聴者にまでぼかす意図は謎でしかない。スティングはこのドラマのために、『ムーン・オーバー・バーボン・ストリート』を再録したんでしょ。そっちの話もなかなかにつらいなぁ。(麻生結一)


第2回(7/10放送)
☆★
 宇宙飛行士の物語という日常的ではない話に、さらにゴーストの話をくっつけたこと自体に大いなる疑問を持つ。玲子(黒木瞳)の薄れゆく存在に気をとられて、大切なミッションの方を忘れてしまいそう。
 なぜ、宇宙飛行士モノって、普通にちゃんと作らんのかね。『ロケットボーイ』『まんてん』にこれと、どうして下手な小細工入れてくるんだろう。いつになったら、まともな宇宙飛行士モノが見られるんだろうか。
 Mr.パーフェクト、秋山(坂口憲二)をここまでニヒルに造形してしまう意図は?宇宙飛行士のキャストもどうにもピタッとこない。(麻生結一)


第1回(7/3放送)
☆★
 英語にハングルにフランス語、そして日本語のすべてを駆使して、玲子(黒木瞳)はみんなを笑わせようとしてる?

「それってちょっと、悲しくない?」by玲子

って、見てるほうが段々悲しくなったよ。

「オペラの真髄はソプラノよりも、ディティールに存在するものです」by秋山(坂口憲二)

って、ディティールって何だよ。そんな恥ずかしいことを初対面で言う男自体も嫌だけど。
 今のところ、いろんな仕掛けがことごとく空振りに終わっている印象。結局は、『ゴースト』と『まんてん』を足して2で割ったような話になるんですかね?!(麻生結一)




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