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中学生日記 (NHK総合日曜8:25〜8:52)
制作・著作/NHK名古屋
制作統括/中沢英夫、中曽根久男
ほか
脚本/下川博
ほか
演出/中沢淳人、佐々木正之、小滝一志
ほか
音楽/斎藤恒芳、菅谷昌弘、小川敬介
ほか
主題歌/『一瞬の青』NYCKS
出演/矢場先生…竹本孝之、伏見教頭…伊藤みづめ、荒畑先生…多田木亮祐、鶴舞先生…木村庄之助、池下先生…木村和子、若宮先生…佐藤満月
ほか

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■シリーズ:「幸福」

第4回「卒業〜先輩からのメッセージ〜」(3/31放送)
☆☆★
 その青春度の高さにはこそばゆくなるも、卒業式を先輩から後輩へのメッセージと複雑に絡めて、虚実綯い交ぜにする構成力はなかなかのもの。リアルタイムの青春にノスタルジーを感じつつ、しみじみとする。作:綾瀬麦彦


第3回「二人の幸福論」(3/24放送)
☆☆☆★
 思う存分に構図を巧む展開が実に楽しい。図式的な里美と佳代の逆転につぐ逆転がとにかく喜ばしいし、ディテールの見せ方にも随所に制作者サイドの微笑が見えてくる。そんなバカなの奇想天外に思わずニコニコ。
 誇張のおかしみが随所に効いてる。謎のピアノ女の登場により、ラジオ体操で円環するプロットがまた絶品です。ズレた台詞の応酬を見せる主演二人も好演。やっぱり『中学生日記』は自由でいいです。作:鈴木卓爾


第2回「祖母の幸せ」(3/17放送)
☆☆
 NOと言えない女の子の散文詩。旧式の写真機にビーチグラス、更には“緑の光線”(エリック・ロメール映画のまんまパクリ)とは、ちょっとナイーヴに過ぎるかな(ロメールの『緑の光線』はクールだからいいのよ)。
 砲丸が冷たい、という当たり前の感受度の示し方は秀逸。家を出る大好きな祖母と主人公のいたたまれない自問自答とが、もう少し重なってくればもっとよかったんだけど。主人公役を演じた薮内恵の好演が光る。作:萩生田宏治


第1回「復活」(3/10放送)
☆☆★
 幸せのかたちを探るシリーズで、ここまでままならない物語をぶつけてくるとは、何と意地悪な。それなりでしかない解決法も、いかにも『中学生日記』らしい独特の境地。ラストのジャズ・バンドの演奏に淡く幸せがにじむ。作:関功





■シリーズ:「LOVE」


第4回「その気持ち 伝えよう」(3/3放送)
 愛というよりも、感謝の手紙集。こういう手紙もらったら、お父さんは泣いちゃうでしょうね。爆笑問題への手紙という企画物も、その素直さがいい。
 ドラマではないので、通常と同じ基準での点数はなし。


第3回「これも愛」(2/24放送)
☆☆☆
 日曜の朝っぱらからタブートークの連発に、びっくりしつつ爆笑する。

「微妙なタブー破りをはずさないあたりは、さすが下川博先生の脚本」
(『エスパー魔美』第8回より)

なんてもんじゃないですよ、これは。テーマは「純愛」で、これ書いちゃうんだもん。
 まぁ、掟破りの『中学生日記』だけに、これまでにも性欲を取り扱った回はあったでしょうけど、ここまであっけらかんとオナニーの回数を競ったり、オナニー防止に操をささげようとしたり、おかず探し(放送コードとしてはギリギリか)に走ったりってことは、さすがになかったでしょうね。知的な『ポーキーズ』とで言いましょうか。興味のある方は、再放送でご確認ください。


第2回「恋愛のココロエ」(2/10放送)
☆☆★
 似たような話をちょっと前に見た記憶があるんだけど。数年前のこの枠だったかな。ただ、話としては非常に興味深いですねぇ。一日で別れるって、それは単なる失敗デートじゃないの?! 葉月里緒菜でさえ、1週間程度はかかってるのに(あのケースは“つきあう”を越えて、“結婚”にまでいっちゃうんだけど)。“名古屋市近郊の中学生100人に聞きました”のおまけも、勉強になりました。作:山本雄史


第1回「愛する私」(2002/2/3放送)
☆☆☆☆
 これってフィクション、ノンフィクション?そのせめぎ合いが抜群に面白い。何気ない生徒たちの愛する物の集積に、アクシデント的な驚きとともに、何ともいえない喜びが込み上げてくる。
 生徒自身が撮影したビデオ映像を紡ぐ脚本が、実に控えめで精妙。一年かかりましたが、ようやく職員室も落ち着いてきた模様。職員室トーク、秀逸です。竹本孝之は『中学生日記』的自然主義の伝統を受け継ぎつつあるか。横糸の帰結、先生同士のキャッチボールのシーンがとりわけ感動的。ぜひ、再放送をご覧ください。作:伊沢勉。





■12月:「シリーズ・食」


第3回「誰にも言えない・・・」(12/16放送)
☆☆★
 摂食障害を扱ったハードな内容。お母さんのキャラクターが型通りなのがつまらないけど、起承転の運びは納得いく流れを保つ。吐くシーンなど真に迫ったエピソードなどを織り込みながらも、清々しくまとまっています。 作:飯村弘一


第2回「ダイエット・ゲーム」(12/9放送)
☆☆
 “ケイン・コスギ”に“ピース”に“ジャンケンピョン”。中学生日記もタイムリーになったものです。スーパーダイエットから学ぶ孤独について。それが否定されなかったら、昔の『中学生日記』なんだけど、と思うオールド・ファン。締めのチャーハンが美味しそう。作:藤森いずみ





■11月: 「いまどきの勉強」


第3回「テスト前夜」(11/25放送)
☆☆★
 やや荒っぽい作りも、ここ最近では最もアヴァンギャルドなノリは楽しげに挑発的。強引な形容詞化、「ラヴい」は、用法的にきついと思うけど。


第2回「オレの疑問」(11/18放送)
☆☆★
 久々に味わうエンディングの尻切れトンボ!これぞ『中学生日記』の伝統的な美学型でしょう。“計画進学率”(高校の募集定員が進学希望者数より低く設定さえれていること)の話は、ためになりました。作:関功


第1回 「勉強なんて必要ない!?〜中学生達の本音・実態調査〜」(11/11放送)
 勉強しない中学生にスポットを当てるとは、この番組らしい意地悪さ。勉強時間0分を強調する若宮先生(佐藤満月)のナレーションがなかなかおかしい。
 ドラマではないので、通常と同じ基準での点数はなし。





■「中学生日記40年」


第4回「私たち卒業生です〜日記を支えた「影の主役たち」〜」(11/4放送)
 竹下景子、広田紗久良、coba、家田荘子、加藤晴彦、森本レオといった『中学生日記』40周年記念スペシャル大作(?)ドラマ前・後編に出演されなかった同窓生の方々、ドラマ班(?)の方々、さらにはそのどっちでもない方々の証言+“40年同窓会”で、ここ数週間の自画自賛を締めくくる。
 ここまで並ぶと、『中学生日記』に出演しそうな人の傾向も見えてくるのが面白いです。かつての出演シーンの当て方も上手い。そういえば、どうして風間先生(湯浅実)は、スペシャル・ドラマに出演されなかったのでしょう。過去の映像では登場したけど。
 ドラマではないので、通常と同じ基準での点数はなし。


第3回「私が生まれた理由(後)」(10/28放送)
☆☆★
 『中学生日記』40周年記念スペシャル大作(?)の後編。気恥ずかしさもにじむピュアー・ストーリーの中に、折鶴の話の反転(折鶴君ではなくて、折鶴君役だった!)を折りこむあたりの手際のよさは、さすが下川博先生の脚本です。思わず名古屋に移住したくなるぼどに、登場人物がみんな善良でやさしい。
 母親役の藤本喜久子やディレクター役の小西博之といった主要キャストから、追いかける人々、葉山レイ子(なぜテニスルック?昔の映像がとってもかわい)、ジャイアント茶所(星先生は帽子を斜めにかぶったタクシー運転手に転職)と捕まえる人、中野良子(エンド・ロールで唯一、過去の映像が動かず)といった生徒方、先生方の特別出演にいたるまで、前編に続いてのOB勢ぞろいには、無邪気に瞳が潤む。制作側の『中学生日記』自画自賛ぶりが、何とも心地よい。


第2回 「私が生まれた理由(前)」(10/21放送)
☆☆☆
 『中学生日記』40周年記念ドラマは、下川博脚本による前後編あるスペシャル大作(とはいっても内容は普段以上に慎ましく、小品的なのがうれしい!)。何の衒いもなく、『中学生日記』自体を扱ったドラマになっているあたりが、なかなかニクいところ。
 叙情的な本筋の流れに、うまい具合に歴代の先生たちや生徒たちの特別出演が挟んであって、まるで宝探しのような喜びと発見に満ちています。バーテンダーで岡本富士太さん(南先生)、更にはクラブのママがいとうまい子さん(仲川先生)とは、歴代先生の転職ぶり(?)はなかなかに刺激的。そんな中、守山先生役だった藤本喜久子さんが主要キャストとして登場とは、うれしい限りです。近藤芳正も生徒役で出てたのか。改めて、『中学生日記』の奥深さを知る。ここに、東野英心さんもいらっしゃればなぁ。合掌。





■9月:「夏の思い出」

第3回「クール・スイミング!」(9/30放送)
☆☆
 岐阜県高山市を舞台にした、アイディアが秀逸な一篇。そんなつもりじゃなかったけれど、煽られ結局がんばって、というスポ根な道筋が忠実に守られているのがちょっぴり気恥ずかしいけれど、その生乾きぶりがまた初々しくもある。レギュラーのスタジオ撮りよりも、地方色が魅力の番外篇の方が面白かったりして。


第2回:体験文「夢みたものは…」(9/23放送)
☆☆☆★
 瀬戸内の美しい島々、遠くから聞こえてくる阿波踊りのお囃子、行き交う遍路姿の人々。そんな地方色満載の、どことなく昭和の臭いのする、詩情豊かな美しい作品。
 説明的じゃないところがいい。周辺の無駄な描写は廃され、全編に初々しい詩情が溢れている。浜辺の花火のシーン、民家を覗き見するシーン、そして立原道造の詩(副題の詩がこの作品にピッタリ)。印象的なそれらのシーンに、切なさが込み上げてくる。
 脚本は同じ中学生日記の「ひとりぼっち」も素晴らしかった渡辺美穂子。再放送でのチェックをお薦めします。


第1回:心の旅「矢場先生、中国へ行く」(9/9放送)
 やらせノンフィクション・バラティの波が、『中学生日記』にまで及ぶ?!国のために勉強するなんて中学生のリアクションは、日本では考えられないところ。ドラマではないので、通常と同じ基準では点数をつけられませんが、正直言っていつもより面白かったかな。





■8月:再放送


シリーズ『出逢いの季節』「ひとりぼっち」(4/29放送分)
☆☆☆
 “新生”中学生日記の中では、今のところ唯一といっていいアヴァンギャルド精神に溢れた作品。バスで密室劇をやってしまおうという大胆な発想には、とにかく驚かされました。交通量の激しい橋の上での別れのシーンがまた、感傷的な流れをビシッとしめる。主演二人の、職業的じゃない抑制の利いた演技もいい。作・渡辺美穂子。


シリーズ『出会いの季節』「空回り」(4/15放送分)
☆☆☆
 アンコール放送。改めて見てみると、非常によく出来ていることに気がつきます。この一回で若宮先生のパーソナリティがはっきりと打ち出されてるし、甘ちゃんだと思ったラストも、旧来の突き放したような厳しさを追い求めてないということを踏まえて見ると、これはこれで清々しく感じられました。よって★一つ追加。単に、職員室の小劇場ノリに慣らされてしまっただけかもしれないけど。作:山口セツ。


シリーズ『父親』「お父さんの通信簿」(5/6放送分)
☆☆☆★
 8月26日(日)総合テレビ(午前8:25〜8:52)で再放送予定の『ひとりぼっち』(4月29日放送分)と並んで、リニューアルした『中学生日記』の中では最優秀篇。清々しさと懐の深さが同居してる、見事な作品です。もっと下川先生の作品が見たい。作:下川博。





■7月:シリーズ「怖い話」

第4回「”学校の怪談”の彼方に」(7/29放送)
 怖くも面白くも何ともない話で喜んでいる中学生たちの姿が面白い。ドラマの構成やテクニカルな部分にみどころあり。ドラマではないので、通常と同じ基準で点数をつけるのはやめておきます。


第3回「地雷」(7/22放送)
☆☆
 珍しく社会派なテーマを扱って手に余るかなと思いきや、最後にはパーソナルな問題に立ち戻るあたりは、やっぱり中学生のお話です。もちろん、そこに共感するんですよ。生徒の生な演技には、途中心配になったけど。
 地雷廃絶のための募金を募る若宮先生(佐藤満月)が、ちょっと恥ずかしそうで控えめなのが、妙に心に残ります。何となくわかるその心情。作:関功。
 昨日の『土曜スタジオパーク』は、竹本孝之、佐藤満月が出演しての『中学生日記』スペシャルだったんだけど、政見放送のために一部地域では途中からの放送に。その一部の地域だったために、全貌が掴めずちょっと消化不良でした。前半はどんな感じだったんでしょうかねぇ。


第2回「自転車こわい」(7/15放送)
☆☆☆
 コンプレックスと強迫観念の話に、自転車に乗れない、ってのはかわいい。いやいや、悩みにはいかなる差もないんです。なにしろ、“たのしいサイクリング”で勉強しちゃうぐらいに真剣なんですから。
 職員室のゴキブリ事件は相も変らぬ下北ノリながら、少しはこなれてきたかな。ここまで来るのに、3ヶ月以上かかりましたけど。両脇を雑草が生い茂る一本道(河原?)で自転車に乗る練習をしている主人公の傍らを、滑るように自転車ですり抜けていく少女ってのは最高におかしかった。よく見ると、その少女の顔は、かなりニタついていたぞ。
 NHKで“ドッキリ大成功”ってプラカードは今やありなんですね。CKでは昔から何でもありって気もするけど。ショパンのノクターンにのって、ふらふらながら自転車に乗れたラスト・シーンは、パステル画の童話を読んでるみたいな余韻で、懐かしい気持ちになりました。作:山本雄史。


第1回「なげく幽霊」(7/8放送)
☆☆★
 前向きな幽霊の話というのが、ちょっとした変化球か。結局は幽霊役の奥村公延の怪演につきるんだけど、肝だめしの場面のバカバカしさや、生徒の幽霊(中村早紀)の遊びなんかは、CKっぽくて好きだなぁ。「美術鑑賞掛図 絵画編」のルオーは今も昔も変わらないんですねぇ。作:綾瀬麦彦





■6月:シリーズ「決断」

第4回「就職進学の少年たち」(6/24放送)
 「就職進学の少年たち」と題したドキュメンタリー。ドラマではないので、通常と同じ基準では点数をつけられません。


第3回「普通はイヤ!」(6/17放送)
☆☆★
 セミドキュっぽいインタビュー入りのスケボー編も、やっぱり「決断」じゃなくて「異端」だろう。「好きなことやるのと、それで生きていくってのは別じゃない?! どこまで才能あるかわからないし」って、耳の痛い正論を吐くダンサー役の中込佐知子が見られて、ちょっと得した気分。
 あれれ?主人公、いつの間にかTシャツ買わされてんじゃん。郵便局の窓で様になってない自分を見つけるっていう自己発見は、トホホでいいねぇ。


第2回「私の中の異性」(6/10放送)
☆☆
 今月のテーマは「決断」というよりも、「異端」もしくは「孤高」なんじゃないの?! 性同一性障害をここまで肯定的に、かつ微笑ましく描いちゃうってのは、やっぱり時代を感じますねぇ。少し物分りよすぎなような気もしましたけど。先週のより断然いいけど、やっぱり何か引っかかる展開なんだよなぁ。
 嫌味な女は美人という定型は、新しいチャレンジの場でも何ら変わらずか。唐突なボーイソプラノには驚いた。個々の生徒の特技が生かされてるんですねぇ。作:伊佐治弥生。


第1回「クラブに恋して」(6/3放送)
☆☆
 思いついたことは全部やってしまえというわけか、そんなバカなが連発されるデタラメなドラマ。それはいいとして、今の中学生って、クラス同士でも公然と付き合っちゃうわけ?「やめてよ変態」はホントにセクハラスレスレでしょう。脚本の見識を疑うけど、男子トイレに殴りこむ彼女に「一生ウンコしてろ」って言わせちゃうぐらいだから、そういうのが好きなんでしょうね。便器に座る主人公には、「出るものも出なかった」と続けさせるし。
 はずれない剣道の面ってのは、また随分不条理な。東京に住む女優志望のお姉さんの電話は唯一の共感部分。若宮先生の人生行路が化粧品の駒で語られちゃうくだりは凝ってるというか、やりすぎというか。恋人に見立てた口紅が机から落ちちゃうというおまけつきだなんてビターすぎる。
 ジャングルジムに花火、そしてそれがお星様にって、こういうのが一番苦手だ。見た目にはイジメ風の、クラス全員参加の並んで面打ちってのは、それが熱い青春の儀式(?)だったとしても、いかにもなまとめっぷりは、やっぱり好きになれない。





■5月:シリーズ「父親」

第4回「たぬき親子」(5/27放送)
☆☆
 「親ってなんか恥ずかしい」っていう感情は、ドラマになりやすいテーマだと思ったので今回は特に期待したんですけど、完全に肩透かしを食わされた格好です。職員室の下北的な寒さを今更指摘するつもりはありませんが、今回は主役の親もちょっと寒すぎで、ここまでやられちゃうと演出に問題があるとしか思えなくなってきます。
 あまりにも屈託のない牧歌的なお話なので、あんまり悪い点数もつけづらいんだけど、脚本も大味な印象。ラスト、父親がいない子の扱いを放り出しちゃうあたりは、繊細さに欠けるとしか言いようがないし。それにしても、このシリーズの出来不出来の差は激しすぎます。こりゃ、今シーズンの野茂なみだなぁ。


第3回「親からのメッセージ (後)」(5/20放送)
☆☆
 『R−17』の男子中学生版がここにありました。違いは坂本龍一の音楽とクレーン撮影がないことぐらいかな。言葉だけで解決させちゃう結末は唐突で拍子抜けしたけど、その悪い予兆は随所にあったよね。


第2回「親からのメッセージ (前)」(5/13放送)
☆☆
 学校同士の抗争物。でもケンカのシーンは見せません。とりあえずは後編に期待かな。


第1回「お父さんの通信簿」(5/6放送)
☆☆☆★
 さすがは下川博先生作。実にキュートなお話に仕上がっています。彷徨える父親を田中要次が妙演。「あるよ」「ないよ」の“HERO”パロディまで付いたサービス満点ぶりもうれしい。「悲しい酒」のシャレなんかも出てくる美空ひばりの絡め方も気が利いててうまい。そこで話が見事に一つに束ねられていました。職員室だけは、なぜか下北風なんだけど。





■4月:シリーズ「出逢いの季節」

第4回「ひとりぼっち」(4/29放送)
☆☆☆
 CKならではのアヴァンギャルドな巧みかたが痛快な一編。こういう変則型の室内劇には、テレビではちょっとお目にかかれませんよ。揺れるバスが印象的。再放送、見るべし。リニューアルした『中学生日記』、今のところ偶数回がいいみたい。


第3回「メールください(^^>」(4/22放送)
☆☆
 確かに携帯・メル友っていう今どきネタは、取り上げなきゃいけないところでしょうね。何かラブストーリー風でこそばゆくなりましたけど、批判的にならないところは、また時代を反映しているとも言えるかも。廃線に寝転がるシーンはよかった。竹本孝之が特番で練習していたトーキングドラムの腕前を見せてくれました。


第2回「空回り」(4/15放送)
☆☆★
 第1話より圧倒的によく出来てる。若宮先生のキャラクター設定も上手い。すんなり分かり合えちゃうあたりは、中学生日記も随分甘ちゃんになったと言う気もするけど。職員室が下北の小劇場ノリみたいになってるのはいただけないなぁ。


第1回「オヤジ授業」(2001/4/8放送)
☆☆
 フランス自然主義とでも呼びたくなるような演出スタンスが最高にかっこよかった最初期の『中学生日記』(っていうか風間先生役の湯浅実が一人自然主義だったわけですが)から30年。リニューアルした新バージョン『中学生日記』は、日本の小劇団の演技みたいになっていました。内容も1話読みきりから、1ヶ月継続でワン・テーマに取り組むという形に変更とのこと。果して吉とでるか凶と出るか。まぁ、何といってもCK制作ですから(「非公式コラム」vol.2参照)、何かやってくれるそうな期待感はあります。
 竹本孝之の先生役は涙モノ。ヒゲのせいか、哲学的な雰囲気さえ醸し出しています。数年前、小劇場の舞台で見かけたときから、彼はきっと戻ってきてくれると信じていました。




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