花衣夢衣 第1回~第45回

第1話~第10話  ☆☆
第11話~第25話 ☆☆☆
第26話~第30話 ☆★
第31話~第40話 ☆☆
第41話~第45話 ☆☆★

 東海テレビ開局50周年の記念作品という触込みに値するか否かは置いておくとして、ヒロインたちの浮き沈み同様に、ドラマのできばえも実に浮き沈みが激しい。ヒロインである双子の姉妹・真帆と澪を演じる本当の双子の姉妹・尾崎亜衣と尾崎由衣はおおよそヒロインタイプではなく、さらにはいかにもこの枠的な激烈な展開に、その先を見進めることさえ不安になる最序盤。しかし、この双子ヒロインがコンスタントに火の玉のような熱演を見せ続けるにつけ、だんだん物語世界に引き込まれていくことになる。

 妹・澪と入れ替わってデートしたアメリカ兵に暴行され、子供ができない体になってしまった真帆が、加賀友禅の作家を目指すために金沢に旅立ってから以降の展開は、“東海クラシック”と呼びたくなるほどの格調を誇って、実に見ごたえがあった。真帆と澪が別々の道を歩むことを誓い合うシーンなどはとりわけ心に残る。金沢ロケも全編最高級だった。いつもながらにこの枠のロケシーンは美しい。

 この調子でドラマが続いてくれれば本当によかったのだが、物語が13年後に飛んで、ヒロインが前任者たちとは似ても似つかぬ吉田真希子と真由子の美形姉妹に交代すると、ドラマのテンションは激変する。まるで火の玉のようだった双子ヒロイン・真帆と澪はまるで別人のようにゆるまってしまって、ドラマのトーンもそれに引きづられてゆるゆるに。

 またしてもドラマを見続けることが困難になったかと不安になったも、たとえヒロインがこれまでとは別人に見えようとも物語の前進する力はそれを上回るものがあり、また吉田姉妹のゆるゆるした感じにも免疫がついてきたせいもあって(?)、双子ゆえの性が織りなすヒロインたちの浮き沈み人生に、改めてハマり直したここ2週であった。

 双子の姉妹が一人の男を共有するという歪んだ愛の姿は、物語的な面白さに富んでおり、和楽器を多用した音楽も絶妙にドラマを盛り上げてくれる。ただ、ここから見始めた方が二人のヒロインのゆるまったあり様に違和感を覚えないかどうかは、ちょっと保障ができない。

(麻生結一)

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