パパとムスメの7日間

第4回(2007年7月22日放送)

☆☆
 第2話でも書いたが、やはり恭一郎(外見は舘ひろし、中身は小梅につき声は新垣結衣)と小梅(外見は新垣結衣、中身は恭一郎につき声は舘ひろし)は至近距離にいた方が物語は盛り上がる。恭一郎(念のために、外見は舘ひろし、中身は小梅につき声は新垣結衣)は美生化粧品の社運をかけたフレグランス・レインボードリームに関する御前会議にかかりっきり、小梅(念のために、外見は新垣結衣、中身は恭一郎につき声は舘ひろし)は成績不振を人が変わったようだと担任・両角(田口浩正)から校内を追い掛け回され続けたこの第4話では実際のツーショットは少なく、それにともなってドラマの面白さも後退した。
 これが最重要であったことはわかるのだけれど、まったりとした御前会議がドラマの大半だったために、これまでにあった軽快なテンポ感も失われていた。このドラマが1話毎によかったり悪かったりするとすれば、第5話は面白くなる順番である?!(麻生結一)

第3回(2007年7月15日放送)

☆☆★
 もともとの懸念がことごとくいい方に作用している珍しい例。恭一郎(外見は舘ひろし、中身は小梅につき声は新垣結衣)と小梅(外見は新垣結衣、中身は恭一郎につき声は舘ひろし)の小芝居が揃って巧みなのは言わずもがな。物語のディテールも丁寧につめてあるので、とても好感の持てるかわいらしい仕上がりになっている。
 美生化粧品の社運をかけたフレグランスに対するティーンの本音が功を奏して、会社における恭一郎(念のために、外見は舘ひろし、中身は小梅につき声は新垣結衣)の存在は名実ともにリーダーのそれに。部下の中嶋(八嶋智人)を危篤の父親のところに送り出す演説は、恭一郎が父の死に目に会えなかった回想を挿入することで、そのときの恭一郎の心情を小梅が噛み締めた上での言葉になる。何の変哲もない平面的なエピソードが、ちょっとした味付けによって途端に奥行きを持った。侮れない西野(佐田真由美)の言動も、女同士ならではの眼力でまたお見通しか。
 対する小梅(念のために、外見は新垣結衣、中身は恭一郎につき声は舘ひろし)はテスト勉強をおろそかにしたばっかりに、初っ端の地理からちんぷんかんぷんで散々の出来ばえだった。そんな小梅のことを心配して、去年のテストを持ってきてくれた健太先輩(加藤成亮)との初めてのギュを外見は小梅の恭一郎に奪われた外見は恭一郎の小梅が、その最中に飛び込んでくるシーンなど、おかしいやらせつないやらのない交ぜ状態。恭一郎と小梅のテンションがことごとく反比例するギャップが、このドラマの頼もしいミソである。(麻生結一)

第2回(2007年7月8日放送)

☆☆
 人格が入れ替わった恭一郎(外見は舘ひろし、中身は小梅につき声は新垣結衣)と小梅(外見は新垣結衣、中身は恭一郎につき声は舘ひろし)のそれぞれがそれぞれのシチュエーションでうまくやる2部構成も、ドラマとしての出来ばえは明暗を分ける。小梅(念のために、外見は新垣結衣、中身は恭一郎につき声は舘ひろし)が憧れの健太先輩(加藤成亮)とデートするエピソードは、恭一郎(念のために、外見は舘ひろし、中身は小梅につき声は新垣結衣)の尾行つきでおかし味も二倍に。デートにセレクトされた映画が『ルートヴィヒ』だったのには、前回の桃を皮付きで食べていたシーンに負けじ劣らず驚く。
 一方、恭一郎の日曜出勤話は、首がかかった一大事が発生したわりには随分とゆるゆるだった。試験勉強中の小梅と離れ離れであった分、おかし味が半減したのも事実。携帯電話なる便利な小道具があるとしても、やっぱりツーショットが成立するシチュエーションでこそこのドラマのよさは発揮されるようだ。(麻生結一)

第1回(2007年7月1日放送)

☆☆★
 入れ替わりものの焼き直しである点他、諸々の事情を鑑みて、このドラマにはまったくといっていいほど期待していなかったが、実際はこれがそれほど悪くない。舘ひろしと新垣結衣のオヤジとギャルのなりきり演技ぶりはある程度予想通りだったが、ハートフルな家族についてのドラマとしての仕上がりにも期待したくなった第1回だった。
 パパ・恭一郎(舘ひろし)とムスメ・小梅(新垣結衣)の人格が入れ替わる非科学性はもはや定番につきスルーするとして、桃を皮つきで食べているのにちょっと驚いた(しかも通勤時間の電車の中で!)。それだけフレッシュだということか?! ネタもとの映画『転校生』を恭一郎の誘導で実践してみるあたりの潔さもなかなかかわいらしい。化粧品会社と高校にそれぞれが入れ替わって出勤、出席し、それぞれの目線ゆえに思わず出てしまった説教が功を奏する平行エピソードも、新鮮味はまったくないもののわかりやすくまとまってはいた。
 ただ、この初回でもっとも感心したのは、そんな二人を温かい視線でつなぐ恭一郎にとっての妻、小梅にとっての母である理恵子(麻生祐未)の存在である。人格が入れ替わっていることを知らない理恵子が父と娘、それぞれの思いを伝える場面には思わずしんみりとなる。この物語に恵理子は欠かせないキャラクターのようである。(麻生結一)

パパとムスメの7日間

TBS系日曜21:00〜21:54
日曜劇場
製作著作:TBS
制作:TBSテレビ
プロデューサー:那須田淳、津留正明
原作:五十嵐貴久『パパとムスメの7日間』
脚本:荒井修子、徳永友一、渡辺千穂
演出:高成麻畝子、吉田健
音楽:山下康介
主題歌:『星屑サンセット』YUKI
出演:川原恭一郎…舘ひろし、川原小梅…新垣結衣、大杉健太…加藤成亮、西野和香子…佐田真由美、前田幸一…金児憲史、三船渉…宮下裕治、椎名香奈子…今井りか、内崎久子…飯沼千恵子、高木美佳…高山侑子、小関智弘…大和田健介、柴本順平…平野良、中山律子…森田彩華、山脇優司…森廉、平田佐緒里…奈津子、桜木真一…高田延彦、植草喜一…伊藤正之、国枝敏子…香寿たつき、国枝ひそか…佐々木すみ江、渡辺武志…江守徹、伊藤卓夫…峰竜太、中嶋耕介…八嶋智人、川原理恵子…麻生祐未