女帝
第3回(2007年7月27日放送)
☆☆
エレガンスにおける売り上げで、首位に肉薄する彩香(加藤ローサ)の絶好調ぶりが面白くない麗子(小沢真珠)は矢継ぎ早に彩香抹殺計画を企てるが、ことごとく不発に終わる。ついには長い距離を走りこんでの硫酸かけ攻撃に出るが、直人(松田翔太)が助けに入ったために逆に顔に硫酸を浴びてしまってジ・エンド。だんだん麗子の方が哀れに思えてくるのは、『どんど晴れ』のヒロイン・夏美(比嘉愛未)に悪巧みを浴びせ続けた彩華(白石美帆)に等しいか。両ドラマに共通するのは、ヒロインに悲痛さが皆無なこと。彩香は啖呵までもだらだらとしているところがある意味すごい?! それが火の国なのかどうかははなはだ疑問だけれど。
麗子の悪事の片棒を担ぐ直人の兄貴分・香田(吹越満)の嫌がらせをすごんで追っ払う五条烏丸会の篠原(古谷一行)はあの年で若頭?舞台はミナミから銀座へ。かつての同級生にして永遠のライバル・梨奈(酒井彩名)の無茶な因縁のつけ方からも、このドラマの自由度の高さがわかる?!(麻生結一)
第2回(2007年7月20日放送)
☆★
“ミナミの妖怪”こと美濃村(泉谷しげる)からもらった3回のチャンスを活かしきった彩香(加藤ローサ)が無事に美濃村の女に納まって、ナンバーワンホステスの座へと駆け上がりはじめる展開は意外性皆無も、話の運びによどみがないので、退屈させられることはない。随所のB級のりで笑わせてくれるのも退屈とは無縁の要因だけれど、美濃村が意外にいい人だったりする折り目正しい部分も持ち合わせていたりする。
ベストセラー作家・大沢謙吾(豊原功補)の近作を酷評して、むしろ彩香が気に入られるエピソードは定番中の定番だが、このドラマにはそれこそが似つかわしいか。それにしても、自他共から「醜い」を連発される美濃村演じる泉谷しげるがそのたびに気の毒だった。(麻生結一)
第1回(2007年7月13日放送)
☆★
金と権力によって人生を狂わされた女子高生・立花彩香(加藤ローサ)が、復讐を誓って夜の世界における女帝にまで上り詰めていく話。舞台は最初熊本だったも、スナック・火の国を切り盛りする母・麻里子(かとうかずこ)が急死するや、即座に大阪に移る。熊本城と大阪城が映し出されて、両方加藤清正の築城だったなぁ、なんて思っていると、彩香は藤本美奈(中島知子)がママを務めるクラブ・エレガンスでヘルプの仕事を得ることに。そこでナンバーワン・ホステス・麗子(小沢真珠)に目をつけられたり、とっつきはやさしげも実は彩香を風俗に売り飛ばそうとしているヤクザ・伊達直人(松田翔太)が登場したりと、盛りだくさんの展開だったはずも、実にのんびりとしたドラマに見えてしまう不可思議。
あの予告編を見てしまったためか、これは大変なことになるのではと思ったほどにおざなりな作りではなかった。まぁ、あの予告編ですでに強力な免疫ができていただけかもしれないが。どちらにしても、A級テイストのドラマではなさそうなので、どうせならば違った道のりで見せきっていただきたい。(麻生結一)