大好き！五つ子Go³!!

第5週（2007年8月13～17日放送）

☆☆
　たとえ五つ子が大学受験を控えた夏休みであったとしても、恒例の鎌倉編はこのシリーズにおいて普遍なのはやはりうれしかった。長男・正広（熊谷知博）の中学受験をめぐって、夫・周平（見栄晴）と対立した妻・恵（長谷川真弓）が桜井家に駆け込み、さらに進路の相談を誰も聞いてくれないと家を飛び出した娘・亜理沙（吉田紗也加）も時間差で桜井家に到着と、鎌倉からのダブル家出が鎌倉編を誘導するあたりも実に手厚い。
　ただ、そのそれぞれが話として深まっていかないのは五つ子以外の話ゆえに致し方ないところだろう。亜理沙が牧場の獣医になりたい話は『牛に願いを Love&Farm』がチラついて、ちょっと苦々しい気持ちになる?! もちろん、それは亜理沙の責任ではなく、『牛に願いを Love&Farm』の責任なのだけれど……。
　第5週がのんびりだった分、第6週にはその反動がありそうだ。桃子（森尾由美）と良介（新井康弘）の夫婦の語らいにも、親子ともに今まさに人生の曲がり角に差し掛かっているニュアンスが含まれていた。最終盤にとことん深化するのがこのシリーズの特徴だけに、大いに期待してしまうところだ。（麻生結一）

第4週（2007年8月6～10日放送）

☆☆★
　これまでは英語を勉強するためにアメリカに行くことで終始一貫していたも、いったい何を勉強するためにアメリカの大学を目指すのかとお久しぶりのマイケル（パトリック・ハーラン）に問われて、目標を失う紀香（永岡真実）にしても、その先の目標がない大学受験にはやっぱり踏み切れず、小百合（若林志穂）の夫・西園寺一（飯田基祐）の父にして左官の親方である俊太郎（坂本長利）の元でバイトをはじめる剛（鈴木藤丸）にしても、それぞれが自らの目標を真剣に見つめようとする姿勢が何とも初々しく、毎度のごとく好印象である。良介（新井康弘）の弟・周平（見栄晴）の妻・恵（長谷川真弓）が家出して桜井家にやってきたのが、恒例の鎌倉編へのブリッジに。なるほど、その手があったか。（麻生結一）

第3週（2007年7月30～8月3日放送）

☆☆☆
　小刻みにエピソードをつないでいくのが通常パターンである今シリーズだけに、慎吾（山内秀一）が志望大学のスポーツ推薦のセレクションに失敗する話をメインに据えたこの第3週は特別に感じられた。小学校のころからサッカー一筋だった慎吾の姿を長きに渡って見続けてきているだけに、その不合格の知らせには桃子（森尾由美）や良介（新井康弘）ならずとも何ともせつない気持ちになる。まぁ、慎吾がサッカーをやっている姿は、高校生編以来ほとんど見られなくなってしまったのだけれど。
　勤めているガソリンスタンドがセルフサービスになると知って、やめさせられる前にアルバイトをやめてやると強がった剛（鈴木藤丸）が、慎吾の不合格に実はほっとしたと高橋愛美（井料彩美）にもらすシーンにはリアリティを感じた。五つ子の中でも、図抜けて人間臭いキャラクターが剛である。やりたいことが見つからないと繰り返すばかりの優柔不断ぶりに、何ともいえないいとおしさが漂って魅力的だ。
　ニューヨークから戻ってきた桃子の妹・小百合役は佐久間由枝から若林志穂に変更になっていたけれど、その夫・西園寺一役は飯田基祐のままであった。前シリーズで良介と不倫疑惑を起こした同僚の教師・紺野（八木小織）がいまだに良介と密なのには密かにビックリ。すでに2回にわたって良介を誘惑してからかうとは、これは今シリーズの定番になるのかな?!（麻生結一）

第2週（2007年7月23～27日放送）

☆☆
　第1週から引き続いて、拓也（柳澤貴彦）は壁の落書き問題に思い悩むも、桃子（森尾由美）も良介（新井康弘）もそのことで効果的なアドバイスが出来ない。それならば行動あるのみと早朝から落書きを消す五つ子たちの姿に改心してか、拓也とともに医学部受験を目指していた落書き犯のクラスメート・佐伯（はじめロベルト）の方からもう落書きはしないと拓也に声をかけてきて、すべては一件落着。問題提起は厚く、解決は清々しくがこのシリーズの身上ということで。
　続けざまに美穂（笹岡莉紗）のストーカー騒ぎ、良介が給料2倍で塾講師にヘッドハンティングされたりといったエピソードの山盛りぶりは、ファーストシーズンからここまでまったく衰えを知らず。剛（鈴木藤丸）とつきあいたい高橋愛美（井料彩美）が美穂に恋指南を求める一連もかわいい。
　そんな中でもっとも驚かされたのが、拓也が祖母・千絵子（茅島成美）の家で受験勉強に取り組み始めた途端、ニューヨークから桃子の妹・小百合（若林志穂）が娘・樹里（田中凛）と息子・大輝（林遼威）を連れ立って突然帰国したこと。ここでは小百合が突然帰国したことに驚いたのではなく、小百合役が佐久間由枝から若林志穂に変更になっていたことに驚いた。これで第８シリーズまで続いた『天までとどけ』と『大好き！五つ子』シリーズがついにつながった？（麻生結一）

第1週（2007年7月16～20日放送）

☆☆★
　驚異的なアヴェレージを誇る『大好き！五つ子』シリーズの第9弾。高校生キャストに変更になってからもすでに第3弾である。うまくいっているときにメンバーをいじらないのが常道なのはスポーツもドラマも同じだろうが、このシリーズのスゴいところはキャストを入れ替えた後もドラマのテイストにいっさい変化がないところだ。それだけ、五つ子のキャラクター設定が強固であったということなのだろう。
　五つ子たちも早、高校三年生か。拓也（柳澤貴彦）と剛（鈴木藤丸）により多くスポットがあたるのは、高校生編になってからの常なる傾向である。医学部現役合格という目標がはっきりとしている拓也と、大学受験をやるやらないでいまだに二転三転している剛の対比は確かに明快ではある。ただそこに、スプレーでの落書きに関する問題提起までもきちんと盛り込んでくるのだから、まったく真摯というか、さすがと言うしかない。（麻生結一）