ファースト・キス
第4回(2007年7月30日放送)
☆★
撮影エキストラのアルバイトが美緒(井上真央)にとっての初めての仕事。そしてこれが最後の仕事になるかもしれないと、兄・和樹(伊藤英明)にフランス料理をおごるに至る物語はそれなりに流れている。流れてはいるのだけれど、テンポ感は相変わらず芳しくない。美緒に関する共感ポイントが発見しづらいのは演出の、妹・美緒に対する和樹のがんばりにピントがあってこないのは脚本のはずしか。見通すのに苦労させられるドラマである。(麻生結一)
第3回(2007年7月23日放送)
☆★
美緒(井上真央)がますます単に感じの悪いキャラクターになってきている。肝心の初恋話も和樹(伊藤英明)の浅はかぶりがもはや定番につき、せつなさとピントがあってくるはずもなく。一流(劇団ひとり)と勝(阿部サダヲ)との絡みのシーンは演出がことごとく流れない。どうにも各所にはずしてしまっている印象を受ける。(麻生結一)
第2回(2007年7月16日放送)
☆★
「それほど美人じゃないけど、そこまでひどくない」から「顔が大したことない」へと兄・和樹(伊藤英明)の軽口的評価が下がってきている、だからというわけじゃないだろうけれど全編に不機嫌な美緒(井上真央)が見る側に伝播したとしても、見終わった後の後味の悪さに意味があるとすればまだ耐え忍ぶことも可能だ。この第2回が飛躍的ステップのための地道なホップであることを祈るのみ。それにしても、あのかくし芸大会的な合コンならば、美緒ならずともひいちゃうでしょ。(麻生結一)
第1回(2007年7月9日放送)
☆☆
いかにも普段と変わりのないラブ・コメな装いだけれど、随所にビターな味付けも垣間見せた今回の月9。成功率50パーセントの心臓手術を控えた美緒(井上真央)が、カメラマンの夢に頓挫しかけている兄・和樹(伊藤英明)と10年ぶりの再会を果たすべくロサンジェルスからの帰国を果たすまでに、美緒と和樹のキャラクターが隈なく判明するあたりはさすがに手際がいい。この小悪魔的ヒロインと妹のために懸命になるダメダメな兄との掛け合いは、奴隷的おんぶのシーンからすでにいい感じであった。
美緒のグラビア撮影の夢をかなえるべく、和樹の師匠である有名カメラマン・番場(竹中直人)のスタジオを無断使用した和樹が、その現場を押さえられて番場に怒鳴られる場面で、美緒が番場に逆ギレする一連は?だったけれど。大体、番場の和樹への説教は至極正論に思えた。ここで美緒がさらなる傍若無人であったならばそれはそれで納得がいったかもしれないが、確かにそれでは和樹が美緒のための恋のキューピット化宣言するラストにはつながらなかっただろう。このあたりの歪みを正す力技も脚本家の筆力なのかもしれない。
どちらにしても、「それほど美人じゃないけど、そこまでひどくない」(あくまで和樹弁)美緒を演じる井上真央の存在感がドラマの好感を左右するであろうことは間違いない。(麻生結一)