生徒諸君!

第10回(2007年6月22日放送)

☆★
 珠里亜(堀北真希)の伯母・信子(東ちづる)を殴って謹慎処分になったナッキーを復職させるべく、中間テストでがんばるは、嘆願書を提出するはで2年3組の生徒諸君はみんないい子に。ナッキーの行為は暴力ではなく体罰だと言い放つ岸本(小林稔侍)は別人のようにいい校長に。ナッキーの復職に尽力する日向(椎名桔平)はもはや最大の擁護者。信子だって珠里亜のために貯金してたわけだから、実は悪い人ではなく、結局悪い人を撲滅する形でナッキーは別の中学校に赴任することに。
 ドッジボールではじまって、ドッジボールで締める構成は教科書通りも、2年3組の全員にナッキーへのメッセージとしての台詞があったのは学園ものらしくてよかったのでは。(麻生結一)

第9回(2007年6月15日放送)

☆☆
 かつて似たような境遇にあったナッキー(内山理名)からの励ましを受け、精神を病む母・亜矢(長野里美)に会いに行く場面をはじめとして、見せ場の大半は珠里亜(堀北真希)のエピソードが占めた。ここでの堀北真希の持続される抑えた演技ぶりは、来年の大河ドラマの闇までも明るく照らしてくれる?!
 その一方、珠里亜を家から追い出した伯母・信子(東ちづる)の息子・泰人(松尾敏伸)が制作したであろう珠里亜を中傷するビラを2年3組の生徒たちで団結して回収するシークエンスでは、学園物としてのよさも垣間見せてくれた。そのビラを生徒たちで燃やす場面には見せ方の工夫もあり。
 ただ、どうにも信子の息子・泰人と『わたしたちの教科書』の雨木(風吹ジュン)の息子・音也(五十嵐隼人)がかぶって見えて、随所に混乱してしまった。出来ばえの中途半端さまでも類似しているので、どちらがどちらなのかだんだんわからなくなってくる。(麻生結一)

第8回(2007年6月8日放送)

☆★
 屋上からの自殺、残酷すぎる過去を引きずり、今もまたおぞましい現実と隣り合わせにある珠里亜を静かに熱演する堀北真希が唯一気を吐く。大いに心配な来年の大河ドラマに一筋の光を見た気がしているうちに、極端が横行するこのドラマは終了していた。(麻生結一)

第7回(2007年6月1日放送)

☆★
 それがいくら嘘にまみれた会見だったとしても、マスコミの前で岸本校長(小林稔侍)らを全否定するナッキー(内山理名)もまた極端。そんなナッキーはいったん懲戒免職を通告されるも、2年3組の生徒たちがそのことに抗議して教室に篭城。校内放送で解放を説得した成り行きで、ナッキーの懲戒免職は帳消しになる簡単さ。
 医者&記者の合コンにおける自らの軽口がすべての発端だった鳥居(上原美佐)が、その事態の深刻さに急変?!、いきなりに賢者な教師となる変わり身ぶりには苦笑させられる。日向(椎名桔平)の真意はもっと時間をかけて描くべきところだったのでは?(麻生結一)

第6回(2007年5月25日放送)

☆★
 実は修学旅行に行きたかった2年3組の面々の気持ちをおもんぱかって、旅行代理店の前に座り込むナッキー(内山理名)。それはちょっと違うのではと誰しもが思うだろうが、結局企て自体は実を結ばなかったとしても、その熱血ぶりによってナッキーが2年3組から信任を得たとするならば、めでたしめでたし、もしくはどんどはれである。(麻生結一)

第5回(2007年5月18日放送)

☆★
 球技大会を通して、3TDの一角である木下薫(岡田将生)をナッキー(内山理名)が懐柔させるお話。3回繰り返えされるであろうエピソードのうちの1つ目がこのひねりのなさでは、正直この先が心配だ。大体、球技大会が出てきて面白かったドラマというのも記憶にないのだが。
 3TDの首領である樹村珠里亜役の堀北真希は、少なくとも鉄板少女役よりもこちらの方がフィットして見える。(麻生結一)

第4回(2007年5月11日放送)

☆☆
 ナッキー(内山理名)の継続的ながんばりがついに報われて、直輝(若葉竜也)と茉莉(夏未エレナ)が2年3組に復帰。『わたしたちの教科書』にはないオーソドックスな展開と清々しい青春がこちらにはある分、随分と見やすい印象だが、前日に『わたしたちの教科書』を経験していなければ、そういった感慨もなく見流してしまうドラマかもしれない。(麻生結一)

第3回(2007年5月4日放送)

☆☆
 こちらも多分にサスペンス調なれど、生徒の顔が見える分、またはナッキー(内山理名)ががんばろうとしている分、『わたしたちの教科書』よりは若干救われている。ついに2年3組の生徒たちが教師を憎む理由が判明。生徒たちを山岳遭難に追いやった元担任教師・三井恭平(田中哲司)の行方をナッキーが捜すうちに、その父である文科省事務次官・三井省吾(中原丈雄)によって事件がもみ消されたことが判明して、と予想がつくような展開がいろいろと起こるわけだが、まったく先生は大変であるとは強く思った次第。(麻生結一)

第2回(2007年4月27日放送)

☆☆
 『わたしたちの教科書』と『嫌われ松子の一生』が微妙に入り混じって見えて、予想以上にどんよりとしたテイストになっている。依頼書をまわし読みする様を観察して、ナッキー(内山理名)は早々3TDが誰なのかを把握していた。そして生徒たちの教師トラウマが1年の時の担任(田中哲司)にあったことも判明。ハイキングで生徒たちを見捨てたこの教師の病み方は教育云々を超えているように思えるが、これぐらいにセンセーショナルに仕掛けないとドラマとしてはつまらないというスタンスは、やはり『わたしたちの教科書』と類似している。(麻生結一)

第1回(2007年4月20日放送)

☆☆
 あきらめない新人教師の北城尚子(内山理名)と、そんなナッキーを集団で無視にかかる2年3組の生徒たちとの温度差がこの物語の焦点。ナッキーの派手な登場シーンからすると、もうちょっとコメディ調になるのかと思ったが、かつては友達だったエリート校生たちからかつあげされていた渡辺(落合扶樹)のエピソードからドッジボール対決までの流れはむしろじっとりと暗く、前日の『私たちの教科書』に類似しているように思えた。やはり校舎からすでに誰かが飛び降りているようだし。今、教育をドラマで取り上げるには、明るいお話はありえないということだろうか。(麻生結一)

生徒諸君!

テレビ朝日系金曜21:00〜21:54
制作:ABC、tv asahi、ホリプロ
制作協力:アズバーズ
チーフプロデューサー:五十嵐文郎
プロデューサー:内山聖子、津川栄子、奥住尚弘、梶野祐司
原作:庄司陽子『生徒諸君!教師編』
脚本:渡邉睦月
演出:唐木希浩、田村直己
音楽プロデューサー:石井和之
音楽:水谷広実、柳田しゆ、コーニッシュ
主題歌:『My Generation』YUI
出演:北城尚子…内山理名、樹村珠里亜…堀北真希、青木公平…本郷奏多、木下薫…岡田将生、神崎あゆみ…南沢奈央、岡沢茉莉…夏未エレナ、白井直輝…若葉竜也、雨宮由希子…加地千尋、上田敏也…松川尚瑠輝、渡辺順…落合扶樹、田谷美登利…藤村聖子、吉沢由佳…星川玲奈、日下部和真…溝端淳平、折戸聡史…石井正則、鳥居玲奈…上原美佐、水原健…城田優、野村信二…正名僕蔵、米崎駒子…星野奈津子、亀田陽吉…志賀廣太郎、園井優子…黒木メイサ、宮沢義一…渡辺いっけい、岸本まじめ…小林稔侍、日向悠一郎…椎名桔平