冗談じゃない!

第10回(2007年6月17日放送)

☆★
 圭太(織田裕二)が理衣(大竹しのぶ)の元カレであったことを絵恋(上野樹里)に打ち明ける流れは、避けては通れない道ではあったとしても、随分と引っ張っていただいたなという印象はぬぐえない。詳細に明かされる圭太と理衣のかつての関係性が付き合っていたことになるのかも疑問だけれど(デートしてただけでは?)、その大前提がないとキーワード“元カレ”が使えなくなるだろうから、致し方なしか。
 理衣とその夫・広瀬(草刈正雄)がよりを戻して、いよいよクライマックスに圭太と絵恋の話が残った構成は一見ちゃんとしていそうだけれど、あまりにもお話が割れているので最終回への興味が今一歩かき立てられないのは困りものだ。
 繰り返しになるが、織田裕二と上野樹里のバランスはいいので、いっそうもったいない思いが強くなる。コメディエンヌぶりに期待した冴子役の飯島直子もすっかりとしんみりしてしまって物足りない。宝の持ち腐れだらけである。(麻生結一)

第9回(2007年6月10日放送)

☆★
 この最終盤に圭太(織田裕二)の母・静子(白川由美)が初登場してどうなることかと思ったけれど、年齢差二十の年下男(山本龍二)との再婚話が圭太と絵恋(上野樹里)の話に連なって、一応のまとまりはついていたか。
 結局は圭太と理衣(大竹しのぶ)の過去話を最後までひっぱった格好だが、そのあたりは序盤で早々片付けて、元気いっぱいな圭太と絵恋の丁々発止が見たかったというのが正直な感想である。(麻生結一)

第8回(2007年6月3日放送)

☆★
 圭太(織田裕二)の学生時代を知る山田(田口浩正)が圭太と理衣(大竹しのぶ)の過去を思い出して、一波乱あるのかと思いきや、山田は冴子(飯島直子)にウツツを抜かすばかりで何も起こらず。季節がらに父の日を絡めた遊園地イベントにて、山田の息子・朗(荒井健太郎)と未恋(森迫永依)が迷子になるエピソードも、ドラマの大勢には関わってこない。それでも、織田裕二と上野樹里のコンビぶりはそれなりに良好なので、見終わって嫌な気はしない。逆に、この二人じゃなかったら、ちょっと怖かった気がする。もう少しお話が面白ければ……。(麻生結一)

第7回(2007年5月27日放送)

☆☆
 圭太(織田裕二)が結婚指輪をなくした発端からして、今度こそドタバタ調かと思いきや、いったんは家出した絵恋(上野樹里)との愛を確かめ合うところにまで行き着かせた清清しさは、いかにもこの枠のテイストにふさわしかったか。どちらにしても、絵恋が主筋に絡んだ方がドラマは盛り上がる。
 イラストレーターの山田(田口浩正)は冴子 (飯島直子)に早々ゾッコンラブ(死語か?!)の模様。どうしても山田が『サラリーマンNEO』大河内透にかぶって見えるこの田口さん。このあたりの役柄は自家薬籠中ということだろう。(麻生結一)

第6回(2007年5月20日放送)

☆☆
 理衣(大竹しのぶ)と冴子(飯島直子)が大いに絡んで、ドタバタとベタベタにやってくれるのかとちょっと期待したが、接客業の心得からファミレスを擬似家族に見立てたちょっといい話へと推移。いたって日曜劇場的に丸くおさまる。ただ、すでにエピソードが尽きているようにも思える。この先どうするんだろう?(麻生結一)

第5回(2007年5月13日放送)

☆☆
 理衣(上野樹里)の妹である香恋(仲里依紗)、世恋(菅野莉央)、未恋(森迫永依)が来日して、圭太(織田裕二)の女難はさらに深まる?! 圭太こそが母・理衣(大竹しのぶ)の元カレかもと四姉妹総出で追跡調査に乗り出すくだりは相変わらずのざっくりとした捌き方。定番の展開だからこそ一工夫ほしいところなのに、一手間の痕跡はまったく見えない。まぁ、キャストが贅沢に配してあるので、このお話でも何とか見通せてしまうのだが。
 この第5回最大の収穫は、冴子(飯島直子)による「恋に落ちて」の熱唱が聞けたこと?! 冴子と理衣はいいコンビに見える。この二人が大いに絡めば圭太のみじめっぷり もパワーアップして、たとえ物語が今一歩でも楽しめる域にまで引き上げてくれるのではないだろうか。そんな期待感を抱かせて、次回はちょっと楽しみである。
 いまだに『のだめカンタービレ』の強烈なイメージが離れない上野樹里だけれど、いかにも帰国子女的な天真爛漫さを持つ絵恋役にもきちっとはまっている。(麻生結一)

第4回(2007年5月6日放送)

☆☆
 浮気中の父・壮平(草刈正雄)を連れてくるべく絵恋(上野樹里)がフランスに旅立ったために、理衣(大竹しのぶ)と圭太(織田裕二)が二人きりで家で過ごすことになるのが前半のお楽しみ。例え浮気していようとも、嘘を突き通すことこそが優しさと悪ぶれない壮平(草刈正雄)だったけれど、理衣に動かぬ証拠を突きつけられ、早速に前言撤回して日本式土下座で平謝り。終いにはその浮気相手とホテルで密会しているところを理衣に見つかって、理衣が壮平に顔面パンチしたかと思わせて、実は同行していた圭太(織田裕二)のパンチでしたというのがオチだった。
 ついに圭太と理衣が二人っきりで生活するシチュエーションになったわけだが、織田裕二と大竹しのぶの大物コンビの掛け合いは何となく重たいまま。この二人ありきの企画ならば、もっと違った関係性の方がよかった気がするし、仮にこのままの設定ならば、大竹さんの方が違うように思える。どうしても実年齢ほどの年の差にしか見えないのはある意味当然なのだけれど、ドラマ的にはそれでは具合が悪い。
 壮平の恋人であるソムリエーヌ・セブリーヌ役でリサ・スデックマイヤーが登場。このキャスティングにびっくりしたせいで、顔面パンチにはそれほど驚けなかった?!(麻生結一)

第3回(2007年4月29日放送)

☆☆
 理衣(大竹しのぶ)の口利きで、圭太(織田裕二)がSGフーズによって運営されているファミレスに勤めることになる展開はかなり強引だったが、これまでは一方的に圭太を追い回していた冴子(飯島直子)が本格的に物語に関わってくれるのは心強い。絵恋(上野樹里)の“エレン”を早速に“えこい”と読み間違えるあたりに、飯島直子のコメディエンヌぶりへの期待感が早々高まる。
 理衣とワインつながりである、SGフーズの専務・杉田を演じる高田純次は久々に渋い役柄の模様。一時期高田さんが暗い役ばかり演じていたことをふと思い出した。圭太が繰り返す冗談じゃない発言は、だんだん地味になってきているか。そんな圭太の真のパートナーになるべく、遊園地の戦隊ヒーローショーでドリームピンクを演じていた絵恋の本気キックは、見事に高く上がっていた。(麻生結一)

第2回(2007年4月22日放送)

☆☆
 いざ新婚生活をはじめようとした圭太(織田裕二)と絵恋(上野樹里)の新居に、圭太にとっては姑であり昔の恋人でもある理衣(大竹しのぶ)が転がり込んでくるてんやわんやと、会社に辞表を出して仕事探しをしていることを絵恋に見つからないように奔走する圭太の涙ぐましい努力を平行に描いていた第2週。基本的な印象は第1回とまったく同じで、物語の最後までが見通せる“どんど晴れ感”はすでに漂っているも(?!)、圭太に向けられる理衣の不条理な所業によってドラマは定期的に揺さぶられている格好ではある。ある程度予想はついていたが、それにしても大竹さんの暴走ぶりときたら……。(麻生結一)

第1回(2007年4月15日放送)

☆☆
 いっさいの期待は裏切っていない。圭太(織田裕二)と絵恋(上野樹里)がプレ新婚旅行的に訪れたニース・ロケはとてもきれいだし、そこでの二人の掛け合いも上々。絵恋の母にして圭太の元彼女・理衣(大竹しのぶ)の登場が唐突だったとしても、大竹しのぶの存在感はそんな不自然さをも乗り越えてしまうのだから大したものだ。絵恋の父・壮平(草刈正雄)だって、当然いかにもニース在住っぽいし、どこをとっても過不足のないキャスティングのドラマといえる。
 ここに意外性が加わってくるならばさらにうれしいのだけれど、第1回ではそれは望めなかった。ただ枠の特性から鑑みるに、それはないものねだりのようにも思える。どちらにしても、織田裕二、上野樹里、大竹しのぶのアンサンブルは最後まで楽しませてくれるのではないだろうか。(麻生結一)

冗談じゃない!

TBS系日曜21:00〜21:54
日曜劇場
製作著作:TBS
制作:TBSテレビ
プロデューサー:伊與田英徳
脚本:伴一彦
演出:土井裕泰(1、2、3、7、9、11)、石井康晴(4、5)、川嶋龍太郎(6、8、10)
音楽:佐藤直紀
主題歌:『Hug, Hug』織田裕二
出演:高村圭太…織田裕二、高村絵恋…上野樹里、友田聡…田中圭、広瀬香恋…仲里依紗、広瀬世恋…菅野莉央、広瀬未恋…森迫永依、岩崎舞…立川絵理、山田朗…荒井健太郎、大西さん…梅沢昌代、あけみ…高畠華澄、杉田修造…高田純次、山田元雄…田口浩正、石丸謙二郎、佐々木…小林すすむ、林家ペー、林家パー子、リサ・ステッグマイヤー、内海桂子、田中実、高村静子…白川由美、広瀬修三…草刈正雄、野々村冴子…飯島直子、広瀬理衣…大竹しのぶ