帰ってきた時効警察

第4回(2007年5月4日放送)

☆☆★
 小ネタ満載で展開した、ケラリーノ・サンドロヴィッチ監督の第4話。催眠術を手がかりに霧山修一朗(オダギリジョー)は推理していくが、あまりのネタの多さに事件の全貌自体が霞んでしまっていた。登場人物の会話や真加出(小出早織)のデート、三日月しずか(麻生久美子)が催眠術にかかるなどのエピソードは笑えるのだが、その分事件の展開が駆足になってしまい残念だった。もう少し、事件の当事者たちの心情に迫る描写が欲しかった。(花宮有栖)

第3回(2007年4月27日放送)

☆☆
 第1話・第2話の三木聡に代わり、園子温が監督を務めた第3話。「身も蓋もない」という言葉がキーワードとなり、全体を通して何でもありの展開になっていた。ドラマとしてはぞんざい過ぎる脚本だが、ある意味で新しい試みとも見て取れる。ただ、いつもの時効管理課でのやりとりの軽快さは減損していたように思う。前作でも園子温の回は好き嫌いが分かれていたため、今回も人により好評か悪評かの差はかなりあることだろう。また、「トップシークレット本部」などという謎の組織も登場したが、彼らは今回のみの出演なのだろうか。本当に最初から最後まで身も蓋もないとは……幾ら「時効警察」だからと言っても、やり過ぎだったのではないかな、と。(花宮有栖)

第2回(2007年4月20日放送)

☆☆★
 期待の第2話は裏社会の帝王、権現三郎(赤星昇一郎)を殺した犯人を捜すというものだった。真犯人は吉良綺羅(市川実和子)だった訳だが、過去に囚われた彼女の内面や記憶を表現したシーンがいくつかあったのが良かった。また、ストーリーの本筋とは関係ないトイレの痴漢事件などで笑いを誘うのはいかにも時効警察らしい。10円玉で酸性の汗をかいているかを調べるシーンなど、ちょっとした豆知識的な捜査方法にはつい乗せられてなるほど、と思ってしまう。都合の良い展開がいくつかあるが、それも気にならない程度だ。すっかり時効管理課にとけこんでいる真加出(小出早織)のキャラクターもだんだん分かってきて、不思議な言動には笑わずにいられない。今後、霧山修一朗(オダギリジョー)の趣味に関わってくるのだろうか。(花宮有栖)

第1回(2007年4月13日放送)

☆☆★
 遂に、時効になった事件の捜査を趣味に持つあの男が帰ってきた!金欠でしばらく趣味を諦めていた霧山修一朗(オダギリジョー)だが、競馬で一山当てたために再開することにしたのだった。新メンバーの真加出(小出早織)が加わった以外、ドラマの雰囲気も随所に散りばめられたネタもそのままに復活した時効警察。時効管理課でのやりとりも軽快さを失っていない。初回から、変わらぬ霧山や三日月しずか(麻生久美子)ら特有のユルさをしっかりと見せてくれた。第1話では麻木久仁子をゲストに迎え、霧山は時効になった国会議員殺人事件の独自捜査に乗り出す。10分遅れた時計などのアイデアは良かったが、又来(ふせえり)と昔冤罪を着せられた剣道清彦(温水洋一)が同級生だったというあたりの設定は少々乱暴だった。マニアックで細かいネタを織り込みつつ展開していくストーリーとセリフ、そして役者の表情にはついつい笑ってしまう。続編を待ちわびていたファンも多い時効警察。初回は期待に応えてくれたが、これから更に勢いに乗っていくであろう。金曜の夜に笑いで疲れを癒してくれ、“面白さ”は確実に保証されているこのドラマは見逃せない。(花宮有栖)

帰ってきた時効警察

テレビ朝日系金曜23:15〜24:10
制作:tv asahi、MMJ
チーフプロデューサー:黒田徹也
プロデューサー:横地郁英、遠田孝一
脚本・監督:三木聡、岩松了、園子温、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、麻生学
脚本:吉田玲子、山田あかね
監督:安見吾朗
音楽:坂口修
出演:霧山修一朗…オダギリジョー、三日月しずか…麻生久美子、十文字疾風…豊原功補、又来…ふせえり、蜂須賀…緋田康人、サネイエ…江口のりこ、小出早織、大友みなみ、星野奈津子、永田良輔、諸沢…光石研、熊本…岩松了、温水洋一、不破万作、蛭子能収、森下能幸、東ちづる、ナレーション…由紀さおり、麻木久仁子