花嫁とパパ

第5回(2007年5月8日放送)


 映画『プラダを着た悪魔』と『花嫁の父』(もしくは『花嫁のパパ』、同じか)を足して二で割った感は、愛子(石原さとみ)の先輩である初音(西原亜希)が自らのミスを愛子のせいにしようとするエピソードでいっそう色濃くなる。それでも初音をフォローする愛子も、それに対して感謝感激する初音も、さらには愛子の金星を予言していた鳴海駿一(小泉孝太郎)も予測以上のことは何もやってくれない。何せ初音が意地悪な先輩たちの一人という以外にはどういう人物なのか事前にまったくわからなかったので、せっかく彼女がピックアップされるも入り込める隙がなかった。毎度極端に走る愛子の父・賢太郎(時任三郎)が今話では完全沈黙したものも、これはこれで極端ではないか?!
 CXのドラマにおけるハリウッド映画の模倣ぶりはこれまでにもたくさん見てきたし、そうであったとしてもドラマが面白ければそれはそれでありとも思う。この火9枠で面白かったドラマを思い返すと、『1リットルの涙』までさかのぼらなければならないのだが。(麻生結一)

第4回(2007年5月1日放送)


 愛子(石原さとみ)と三浦(田口淳之介)の禁じられたフレンチキスその後。愛子と父・賢太郎(時任三郎)の喧騒ぶりも見慣れてくるとスルーできなくもないが、それこそがドラマの味わいとすると、やはりスルーするのはまずいか。鳴海駿一(小泉孝太郎)が愛子に重要な仕事をやらせる意図もなくはないのだろうが、現状は不機嫌な槙原環(白石美帆)しか確認できない。(麻生結一)

第3回(2007年4月24日放送)


 脱力しきった『鬼嫁日記 いい湯だな』と並べて見ると、いっそうこのドラマの騒々しさが際立つ格好。仮にテンションさえあげていくと面白くなるのであれば、コメディほど取り扱いのやさしいジャンルはなくなるだろうけれど。
 ドラマに落ち着きを与えてくれることを期待させる美奈子(和久井映見)は、愛子(石原さとみ)と三浦(田口淳之介)の結婚を前提をした付き合いをしぶしぶ認めた賢太郎(時任三郎)が書いた「交際五箇条」の伝令役に留まって残念。美奈子が気の利いたことを言わなければ、このドラマ中に気の利いたことを言いそうな人はいないでしょうね。(麻生結一)

第2回(2007年4月17日放送)

☆★
 父・賢太郎(時任三郎)が勝手に出した辞表は結局受理されずに、何とか首がつながった愛子(石原さとみ)は、今度は新歓コンパの幹事をやることに。新歓コンパなのに新人が幹事を務めてはすでに新歓コンパでも何でもなくなってしまうのだけれど、広報室では接待の練習を兼ねて新人が幹事をやることになっているとのこと。その設定自体はなるほどという感じだが、その後に続くなるほどがなかなか見つからず、早々見通すのに苦労した。
 このタイプのドラマは、途中どんなにドタバタ騒々しいのみでさっぱり笑えなくても、最後にほろっとさせてくれれば、それなりに満足できるもの。今回のそれ、ギフト券の話だけではちょっと弱い。せっかくいいポジションにいる美奈子(和久井映見)は第1回同様に単なる聞き役だった。
 新歓コンパの仕切り具合で新人のセンスを判断してしまう室長の鳴海(小泉孝太郎)にいっそう違和感を感じてしまうのは、前クールの佳品『ハケンの品格』で似つかわしく思えた役柄の真逆を見せられているからだろう。時間が解決してくれるかも、って以前にも似たようなことを書いたような?!(麻生結一)

第1回(2007年4月10日放送)

☆★
 常識を超えた愛情を娘に注ぐ子離れできない父親と、就職を機に父離れしようと奮闘する娘を描いたコメディ。これまでにも繰り返し描かれてきたパターンの物語だけに、その眼目は娘・愛子を演じる石原さとみと父・賢太郎役の時任三郎の取り合わせやいかにという点になってくるだろう。
 視覚的な凸凹ぶりだけで、すでにおかし味をかもし出すコンビだけに、その空騒ぎぶりとてこなれてくれば微笑ましく受け止められるようになるのかもしれない。ただこの第1回に関しては、締めくくりの高級子供服のレセプションのエピソードが中途半端で、その真価は次回以降に持ち越された感じだ。パターンのドラマに特別なことは求められないとしても、何かしらの感慨は込めてほしいもの。
 アパレル会社「OBECA」の新入社員である愛子こそが仕事に不慣れなはずなのに、その上司たちまでもが新人研修中に見えるのはどうしたことか。これはもう、賢太郎の友人役・美奈子(和久井映見)あたりにがんばっていただくしかなさそうだ。(麻生結一)

花嫁とパパ

フジテレビ系火曜21:00〜21:54
制作:フジテレビ、共同テレビ
企画:金井卓也
プロデューサー:稲田秀樹、三田真奈美
脚本:いずみ吉絋(1、2、3、5、7、9、11、12)、小川智子(2、4、6、8、10)
演出:佐藤祐市(1、2、4、6、7、10、12)、石川淳一(3、5、8、11)、村谷嘉則(9)
音楽:佐橋俊彦
イメージソング:『君の帰る場所』時任三郎
エンディングテーマ:『My Girl feat. COLOR』加藤ミリヤ
出演:宇崎愛子…石原さとみ、三浦誠二…田口淳之介、鳴海駿一…小泉孝太郎、槙原環…白石美帆、岡崎安奈…滝沢沙織、神田竜太…忍成修吾、金山初音…西原亜希、岡部真弓…佐津川愛美、都筑聡子…広岡由里子、石原奏乃…金田美香、岩倉舞…今井りか、藤崎桃…中園友乃、五味紀男…浅野和之、団時朗、山中聡、舟木幸、岡崎宏、筒井真理子、大和田伸也、田島令子、沖直未、小市慢太郎、並樹史朗、樋渡真司、唐沢民賢、杉本悦子、中村このみ、坂本和代、七生奈央、関根綾佳、すずきかすみ、若名、塗木晴子、彦坂美里、難波いっしん、田中修子、犬飼美奈子…和久井映見、宇崎賢太郎…時任三郎