特命係長・只野仁

第27話「怪奇!?地下資料室のOL」(2007年2月16日放送)

☆★
 見どころの多かった『新はんなり菊太郎』の第5回を後追いするかのように、こちらでも冬なのに幽霊話である。電王堂の地下資料室に出ると噂される幽霊の背景も、スポンサーにべったりのいかにもわるそうなやり手部長・梶原(名高達男)に非があることは一目瞭然にして、もはやオープニングとラストだけを見れば事足りるわかりやすさも、只野(高橋克典)が存命の妹・亜紀(佐藤寛子)はおろか、すでに死んでいる姉・有紀(廣瀬麻衣)とも戯れてしまうエロオチは、このシリーズの分をわきまえた振る舞いと感心するしかない。そして、このドラマよりも出来の悪いドラマが今クールに存在していることに恐れおののく。(麻生結一)

第26話「花嫁失踪」(2007年2月9日放送)

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 シルバー電機の御曹司・洋一(若林謙)と婚約者したことで玉の輿とあこがれの的となる・電王堂の社員・立花有香(川村ひかる)と禁断の逃避行を遂げて、社長の座から身を引こうとする島崎(綿引勝彦)の哀れな初老の男ぶりがあまりにも悲しい。ここだけを切り取るともっといい点をつけてもよかったも、只野(高橋克典)の『北斗の拳』もどきが毎度の如くアホらしかったりするのでそうもいかない。それこそが人気の源なのかもしれないが。(麻生結一)

第25話「仮面ストーカー」(2007年2月2日放送)

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 営業三課から異動してきた藤巻(金子貴俊)が只野(高橋克典)の相似形を演じたところが最大の見どころだったかな。同僚の贈賄を告発出来ぬままに、中途半端に仮面の男を演じていた藤巻の女にほだされての顛末はいかにもこのシリーズらしかった。(麻生結一)

第24話「二代目社長」(2007年1月26日放送)

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 社長に就任した途端に豹変、秘書にうつつを抜かしている二代目社長の城山健志(徳重聡)が、社内の不正をめぐって陥れられた先代の恨みを晴らすべく、実は遊び呆けているふりをしているだけだった、という展開は大河ドラマ『風林火山』第3回とあまりにも同じだが、内容の方はおバカとエロねたのオンパレードというこのシリーズならではの永遠普遍の法則で貫き通されている。
 感心するのは、只野仁(高橋克典)と幸一(永井大)がかつてはキャバクラで打ち合わせをしていたのが、今シリーズではメイドカフェに場所換えして、容易に時流に乗っているところ。アキバ系の文化とこのシリーズとのギャップがちょっとおかし味を誘ったりもして。(麻生結一)

第22話「貢がせる女」(2007年1月12日放送)

☆☆
 深い時間帯での放送の特性に徹したドラマ作りで第3弾まで到達したシリーズだが、途中にスペシャルも挟んでいるので、もっとやってる印象もある。パート1からの通し番号で、この第3シリーズの第1話も22と番号がふられているところも、最初から何も変わってないという制作サイドの主張だろうか。
 基本的にはレビューを受け付けない夜の『水戸黄門』なれど、入院している妹の治療費を稼ぐべく、男をだまして金を荒稼ぎしているさなえ(長澤つぐみ)に入れあげる矢崎(つぶやきシロー)の純情男の悲哀は泣かせるところも。確かにつぶやきシローの存在こそが物語を越えて涙を誘ったのかもしれないが、料理を作らない料理人のドラマや、部活の女の子が誰が誰だかわからないようなドラマよりは物語も真っ当である。
 何となく揃わなさそうだったレギュラー陣が今回も変わりなく出演。いやはや、何も変わらないドラマだ。(麻生結一)

特命係長・只野仁

テレビ朝日系金曜23:15〜24:10
制作:tv asahi、MMJ
企画:五十嵐文郎
プロデューサー:秋山圭一郎
チーフプロデューサー:黒田徹也、東城祐司、清水真由美
原作:柳沢きみお『新特命係長 只野仁』
脚本:尾崎将也
演出:塚本連平
音楽:仲西匡
主題歌:『シングルベッド』EU・PHORIA
挿入歌:『男の美学』高橋克典
出演:只野仁…高橋克典、坪内紀子…櫻井淳子、森脇幸一…永井大、山吹一恵…蛯原友里、佐川課長…田山涼成、野村営業課長…近江谷太朗、久保順平…斉藤優、椎名法子、つぶやきシロー、長澤つぐみ、四方堂亘、ナレーション…大森章督、新水真由子…三浦理恵子、黒川重蔵…梅宮辰夫