鉄板少女アカネ!!

第9回(2006年12月10日放送)


 アカネ(堀北真希)の父・鉄馬はすでにこの世になく、嵐山蒼龍(竜雷太)がアカネの祖父であることも判明した上で、最終ラウンドは黒金(陣内孝則)との豚玉一本勝負となるはずは、結局その場面は描かれなかった。仮に1回分短縮になっていたとしても、この不完全燃焼はひどすぎる。
 チープに作るならば作るで、それをテイストにしてほしかったも、そういう意図も垣間見られず残念。唯一の救いは、エレナ役の片瀬那奈が『小早川伸木の恋』とは真逆にはじけまくってくれたところか。『小早川伸木の恋』もかなり怖かったが、これもある意味怖かった?コメディエンヌとしての彼女が、ドラマを辛くもつないでくれていたという印象。(麻生結一)

第8回(2006年12月3日放送)


 ちょっと愛着が芽生えてきたと思っていたのだが、それはどうも錯覚だったようで。アカネ(堀北真希)も第1話ぶりに料理の段取りを踏んでくれたと思ったら、ハンバーグだったか……。先々の台詞までかなりの確立で読めてしまうような作りはやはり容認しがたいが、自暴自棄になってもコスプレ七変化をやってくれたりするところなど、堀北真希のPVとしてはオーケーなのかもしれない。
 一人アクセル全開の西豪寺エレナ(片瀬那奈)は敢闘賞もの。もはやドラマと関係なくなってるけど。(麻生結一)

第7回(2006年11月26日放送)

☆★
 伊勢海老料理対決は次回にお預けも、ボツになった試作品の方がちょっとおいしそうだったりしませんか。アカネ(堀北真希)が愛の告白をした翌日、孤軍奮闘中の西豪寺エレナ(片瀬那奈)陣営に心太(塚本高史)が唐突に寝返る。大変な急展開のはずも、何となくのんびりしてる感じが抜けなかったり、今後の展開にあまり興味を持たせないあたりは、いかにもこのドラマらしい?!(麻生結一)

第6回(2006年11月19日放送)

☆★
 同じパターンのリピートは、度を越すと親しみに転化されるという好例?!母親(浅香光代)を挟んで長男・秀喜(佐藤二朗)と次男・謙二(宮下直紀)が繰り広げるマツタケ対決も、通常よりも地味で盛り上がりに欠ける感じがまた親しみやすかったり。アカネ(堀北真希)の料理が回を追うごとにしょぼくれていくように見えるのは気のせいだろうか。色つき餃子のみで勝負するあたりこそ、料理の達人の域なのかもしれないけれど。当然、心太(塚本高史)も戻ってくる。(麻生結一)

第5回(2006年11月12日放送)


 ふぐの本場である下関の老舗料亭「ふくよし」の女将・福美を演じる遠山景織子の作務衣姿を見ていると、あまりにも濃厚だった『偽りの花園』を思い出して感慨深いも、まさかそれで点数をプラスするわけにもいかず。アカネ(堀北真希)、心太(塚本高史)、黒金(陣内孝則)のベタベタトリオに何となく親しみが沸いてきているのは事実だけれど。
 アカネの心太への思いがどれほど熟していたかには正直気がつかなかったけれど、かつての思いを再燃させて福美に恋焦がれる心太と料理の二者択一で、真っ当に料理を選択したアカネは、例によって西豪寺エレナ(片瀬那奈)が主催する料理対決のテレビ生放送にギリギリで間に合って、見事勝利をおさめる。それにしてもオコゲつけるだけって、また簡単な料理でしたね。料理のドラマにして、料理の過程をオミットしてくるあたりはどうにも信じ難い。(麻生結一)

第3回(2006年10月29日放送)


 幼稚園の学芸会を親心で微笑ましく眺めている気分になれば、出来ばえ云々言わずに、楽屋落ち的ネタが随所にふりかけられた演出の遊び心だって楽しめるのかもしれない。ただ、小学生以上にはもう少しレヴェルの高いドラマを見てほしい気もする。そういうドラマをあまりやってなかったりする選択肢のない現状の方が、このドラマの出来ばえ以上に由々しきことであるのだが。
 ジャガイモV.S.カニが成り立つかは置いておいて、アカネ(堀北真希)と心太(塚本高史)が料理対決のアイディアに苦心したり、黒金(陣内孝則)がその対決直前にアカネに不条理な試練を与えるべく、食材をダメにしちゃったりといった定型パターンや各種啖呵、決め台詞の類はそれなりに揃っているのだから、もうちょっぴりの物語的スパイスが加わるならば、心から微笑ましいと語れるドラマになるのかもしれない。
 鉄板でパンのダジャレに突っ込んだり、バカ笑い過ぎて咳き込んだりで大忙しの西豪寺エレナ(片瀬那奈)が孤軍奮闘中。アカネ以上にがんばってる臭が放たれ続けるにつけ、思わずこっちを応援しそうになっちゃったり?!
 いったんはカニの先物取引に手を出そうとするも、娘である文乃(水橋貴己)たちのジャガイモを思う気持ちと、アカネのジャガイモ料理を口にしたことでついに改心する父・文平。そんな北海道の男を演じる布施博が、ちょっと前に放送されていた朝ドラ再放送枠『君の名は』の第三部「旅立ち・北海道編」では、愛の逃避行中の妻・真知子(鈴木京香)を憎しみの塊になって北海道まで追いかけていく浜口勝則を演じる姿を見てしまっているせいか、この父親がジャガイモを裏切ろうとする姿に別の意味のでリアリティを感じてしまったりして。(麻生結一)

第2回(2006年10月22日放送)


 副題に「今が旬! 明石の鯛バトル!!」とついたドラマをまじめに論じる方が野暮にも思えるが、やはり大人の方には到底お薦めできない内容である。「日曜劇場」から「日曜子供劇場」に変名されるならば、その覚悟で見られるはずだが。
 この伝統枠が連ドラ仕様になってからはかつての栄光は遠退き、東芝の冠がはずれて以降はさらにひどくなってる印象だ。そろそろ単発枠に戻すといった抜本的な刷新がほしいところも、日テレのドラマコンプレックスも苦戦したところをみると、いっそバラエティ枠にする方が懸命なのかもしれない。悲しいことである。
 クッキングシーンのCGはもはや定番に、唐突な講談風もあったりと、ごった煮な見せ方で遊んでいるフシは、人畜無害なお話からの反動?! 啖呵をきるアカネ(堀北真希)はかつての『ケータイ刑事2』を彷彿とさせるので、ファンの方にはドラマのできばえも気にならないかもしれない。
 アカネの死んだ母・ちゆきにそっくりな鯛料理名人・豊子(宮崎ますみ)は病によって5連覇中の「鯛バトル」に出場できない設定だったが、宮崎ますみさんご自身の体調の方がむしろ心配になる。もうお加減はよろしいんでしょうか。ただ、豊子はどうみても鯛バトルに出場可能な程度の健康状態に見えた。何とも乱暴極まりない設定に苦笑いするしかない。(麻生結一)

第1回(2006年10月15日放送)


 失踪した日本一の鉄板料理人である父・鉄馬を探して、その娘・神楽アカネ(堀北真希)が日本全国を旅する話の模様も、視聴者としてアカネの旅を見守る旅こそがいっそう困難にも思えてくる。
 美食の重鎮・嵐山蒼龍(竜雷太)、西豪寺フーズの令嬢・エレナ(片瀬那奈)、そして鉄馬の豚玉のファンにしてアカネの幼馴染・心太(塚本高史)とベタキャラ勢ぞろいに困惑する間もなく、アカネの鉄板超絶技巧でCGが炸裂するあたりでとどめをさされた格好だ。アカネが熱唱する(?!)豚玉の歌は、何かの呪いの手毬歌のように聴こえて、ちょっと笑ってしまったけれど。看板は「日曜劇場」も、間違ってもそのオールドファンにはお薦めできない内容である。(麻生結一)

鉄板少女アカネ!!

TBS系日曜21:00〜21:54
日曜劇場
製作:ドリマックス・テレビジョン、TBS
プロデューサー:橋本孝、倉貫健二郎、齋藤頼照
原作:『鉄板少女アカネ!!』原作…青木健生/漫画…ありがひとし
脚本監修:秦建日子
脚本:小川みづき(1、4、6、8、9)、松田知子(1、4、5)、栗本志津香(2)、酒井雅秋(3、5、7、9)、白石まみ(3)
演出:倉貫健二郎(1、2、5、8、9)、竹村謙太郎(3、6)、森嶋正也(4、7)
音楽:山下康介
主題歌:『SAYONARA』ORANGE RANGE
出演:神楽アカネ…堀北真希、一条心太…塚本高史、西豪寺エレナ…片瀬那奈、北村修吾…デビット伊東、鳴海英子…大友みなみ、桂ゆず…奈津子、桂みかん…亜希子、友部(魚屋)…飯田基祐、木下(酒屋)…田村三郎、二宮(乾物屋)…諏訪太朗、郵便局員…猫ひろし、宮崎ますみ、ルー大柴、柳沢なな、濱田岳、中原裕也、布施博、水橋貴己、水谷妃里、大東俊介、長谷部瞳、坂口エリー、遠山景織子、一岡裕人、但川衛治、浅香光代、宮下直紀、佐藤二朗、とよた真帆、ナレーション…秀島史香、嵐山蒼龍…竜雷太、黒金銀造…陣内孝則