おみやさん

第5回(2006年11月23日放送)

☆☆
 第2回分で秋本奈緒美が史上初の2度目のおみや入りと申し上げたが、何と遠藤久美子は今回で通算3度目のおみや入りであった。そんなおみや入り最多記録の更新を祝うかのごとく(?)、この第5回はここまでの第5シリーズ中ではもっとも充実した出来ばえに仕上がっていた。
 元陸上界のスター・堂島(原田龍二)とそのマネージャーだった美緒(遠藤久美子)の関係性あたりはいかにもおみやさん調だったも、実際の殺人(犯人は美緒が勤めるバーのママ・奈々枝役の北原佐和子。この方もおみや入りするにふさわしい風格あり)ではなく、8年前の堂島のドーピング事件の真相の方により驚かさせた。出来心が人生をも変えてしまった、そんな苦々しい過去がしみじみと浮き彫りになってくるような展開にこそ、『おみやさん』の真骨頂があるのだと思う。
 ちなみに遠藤久美子は今回も共演していた原田龍二とともに、『相棒』3rd Seasonでも仲良くおみや入り。たった今、おみや入りした早々なんだが、第6シリーズでもぜひともおみや入り最多記録更新に挑んでいただきたい。(麻生結一)

第4回(2006年11月16日放送)

☆★
 第4シリーズですでにおみや入りしている梅沢富美男扮する姫野(梅沢富美男)が再登場。さらに、辻沢杏子、前田愛もおみや入りしてしまうという、ちょっとした物量作戦の第4話だったが、姫野のキャラクターに何とも愛嬌がある分で、今一歩釈然としない部分もその人情味でカバーしていた。
 それにしてもおみやさん(渡瀬恒彦)の記憶力は罪作りなほどである。姫野が殺した相手とされていた久保敬三(長谷川公彦)の出身地、パソコンインストラクターの前歴から、下田久美子、8年前は川崎久美子(辻沢杏子)に行き着くまではまだわかるとしても、その際の投書の筆跡「絶対」から姫野の屋台仲間(?)、原田加奈(前田愛)まで到達するあたりはもはや神業に近い。もちろんそれが売りのドラマだから、そうあるべきなのだろうけれど。どちらにしてもドラマが盛り上がることは確かなので、姫野は毎シリーズ登場させていただきたい。(麻生結一)

第3回(2006年11月9日放送)


 今回おみや入りするのは芳本美代子。一応ネタばれを注意していただきたい。15年前に祇園のクラブオーナーを殺してそのまま行方をくらましていたホステスの前畑みどり(松井涼子)は、実はオーナー殺しの現場を目撃してしまったゆえに同僚の浜中千賀子(園英子)、辻井典子(江口ナオ)、川上聡子(芳本美代子)に殺されていたも、そうとは知らずに聡子と結婚したかつてのみどりの恋人・川上(池田政典)は偶然にその事実を知って愕然。このあたりまではいたってノーマルな『おみやさん』なれど、川上がその一人一人を殺そうとするくだりはほとんどコメディであった。転落死したはずの浜中千賀子はフェンスジャンピングという新種の技を披露してる感じだったし、トラックにはねられる辻井典子にしても、なぜだか西部劇に出てくる開き扉のようなところから飛び出してくる。
 一面のコスモス畑に映画『ひまわり』のテーマってのもしっくりこない。極めつけは聡子の顔がコスモス畑にソストフォーカス気味で浮かび上がるいまどきないエフェクトで、しんみりとした話のはずが、軽い苦笑を誘ってしまうことに。大体、今どき黒ずくめで強盗には入らんでしょうに。
 洋子役の櫻井淳子は優秀作『美しい罠』では妖艶な魅力で主演を演じきって素晴らしかったが、今作はあくまでもおみやさん(渡瀬恒彦)とおみや入りする女優がメインなので(?)、見せ場が少なくて毎度残念である。(麻生結一)

第2回(2006年11月2日放送)

☆★
 すでに『富豪刑事』経験者である秋本奈緒美(デラックスの第4話)と雛形あきこ(デラックスの第1&2話)を姉妹役で一気におみや入りさせてしまう豪華版!老舗料亭「梅むら」の若女将・梶田真弓(秋本奈緒美)と妹・ゆかり(雛形あきこ)が財産をめぐっての骨肉の争いを繰り広げている風も、実はそこには姉が妹を思う深い愛情が隠されていて、という人情話の流れは『おみやさん』節炸裂といった感じで、何の新味もないと言えばないし、安心して見ていられるといえばそれもまた真なり。
 ちなみに、秋本奈緒美はパート2以来の2度目のおみや入りという史上初の快挙。こうなったら、殿堂入りこそを狙ってほしい(何度おみや入りすれば殿堂入り出来るのだろうか?!)。(麻生結一)

第1回(2006年10月19日放送)

☆☆
 薄幸の役柄に適正を見せる女優をこれでもかと「おみや入り」させていくことで有名な(?)シリーズの第5弾である。さすがに初回らしく、15年前に女子高生である娘・泉(小林英莉子)を殺された母・圭子を演じる酒井和歌子がおみや入りする豪華版なれど、語り口その他は毎度のごとくで何の新鮮味もなし。ただ、被害者遺族にとっての時効というテーマがあまりにもタイムリーだったので、★一つはプラスしなければと思った。このシリーズは不思議とそういう偶然を呼ぶことが多いような気がする。(麻生結一)

おみやさん

テレビ朝日系木曜20:00〜20:54
制作:tv asahi、東映
チーフプロデューサー:井土隆
プロデューサー:大川武宏、榎本美華
原作:石ノ森章太郎
脚本:石原武龍(1、6、8第二部)、塩田千種(2、4、8第一部)、深沢正樹(3、7)、岩下悠子(5)
監督:吉田啓一郎(1、2、5、6、8)、村川透(3、4)、長谷川康(7)
音楽:大島ミチル
主題歌:『まごころ』堀江里沙
出演:鳥居勘三郎…渡瀬恒彦、七尾洋子…櫻井淳子、堀真澄…友近、兵藤兵吾…不破万作、吉川新平…林泰文、小池仁美…相本久美子、茅野太一…小野寺丈、高岡俊介…一條俊、野口貴史、白井滋郎、浜田隆広、村井信治…片桐竜次、おたま…菅井きん、七尾清一郎…谷啓、【以下ゲスト:第1回】山下圭子…酒井和歌子、山下雄三…河原さぶ、【第2回】梶田真弓…秋本奈緒美、梶田ゆかり…雛形あきこ、【第3回】川上聡子…芳本美代子、川上満…池田政典、【第4回】姫野達夫…梅沢富美男、原田加奈…前田愛、下田久美子…辻沢杏子、【第5回】大河内美緒…遠藤久美子、堂島駿…原田龍二、及川奈々枝…北原佐和子、【第6回】武田琴江…大谷直子、武田修平…鳥羽潤、【第7回】岩本健太郎…勝村政信、漆原千恵…中原果南、【第8回】南条瑞江…高岡早紀、園田和彦…尾美としのり、鈴木たえ…角替和枝、田畑翔子…西尾まり、木本百合子…中田喜子