セーラー服と機関銃

第7回(2006年11月24日放送)

☆★
 目高組の組員たちが死んでいく様をまたもや繰り返すほぼダイジェストでひっぱってひっぱって、さらにひっぱって結局「カ・イ・カ・ン!」はなしか。期待していたのに残念(確かどこかのCMでは言ってくれていたような)。そして後はひたすらに後日談に。もともと話そのものにもしっくりいかないものがあるので、このあたりでまとまっていたのはむしろ悪くなかったと言うべきなのかもしれない。
 とりあえずは、主題歌が二回聴きたいというリクエストをかなえてくれただけでもよしとするか。かつて『欽ちゃんの仮装大賞』で「貝・缶」なるダジャレ仮装が「バカウケ」したことまでも懐かしく思い出したりして、ただひたすらにノスタルジックになる。(麻生結一)

第6回(2006年11月17日放送)

☆☆
 英樹(福井博章)、健次(中尾明慶)も殺されて、もはや皆殺し状態に。そのあまりの犬死ぶりは泣かせどころではあったけれど、もはや物語の展開はほとんどなく、何とか最終回前までたどり着いたという印象である。
 英樹、健次に泉(長澤まさみ)、佐久間(堤真一)を加えた告白大会はまた花火かという感じ。これだけ季節はずれでも、やはり花火がセレクトされてしまうあたりはあまりにおざなりだ(映画版がどうだったかは思い出せません)。
 最終回のタイトルバックの位置が気になる?! フルバージョンであればいいのだが……。(麻生結一)

第5回(2006年11月10日放送)

☆☆
 武(田口浩正)に引き続いて、金造(山本龍二)も逝く。ここまでもがんばって物語を引き伸ばしている感はあったが、実は浜口組と裏でつながっていたことが判明した黒木(小市慢太郎)が金造を蜂の巣にするあたりからの最後の10分間ほどは随分と時が経つのが遅く感じられた。いっそうに全7話が懸命であると思えてくる(もっと短くてもよかったか?!)。
 民和党の三大寺一(緒形拳)が“太っちょ”であること、真由美(小泉今日子)はその娘であることも畳み掛けて明かされて、「あと2話」のテロップのびりつきもそれらしくは映るけれど、せっかくならエンディングにも主題歌がもう一丁欲しくありませんか?(麻生結一)

第4回(2006年11月3日放送)

☆☆
 ヘロイン探しに躍起の浜口組に襲われたことをきっかけに、ヤクザへの適正がないことを痛感した武(田口浩正)は表の世界への転職を決意。指詰めならぬ指きりで泉(長澤まさみ)にも励まされ、表の世界への第一歩を踏み出そうとするも、結局は土壇場でヒロイックに散ってしまう。一瞬「Re:」での断髪式が頭をよぎったり。
 武が泉を助けに行こうと決意するタイミングが違うんじゃないかとも思うけれど(ありがちなタイミングだとも思うけれど)、相変わらず口当たりのいい人情話ぶりは持続されている。泉が拷問宙吊りになる場面なども、いかにもアイドル映画チックだ。聞くたびに名曲であると痛感させられっぱなしの主題歌が流れるタイトルバックも、『Gメン75』風(人数が少ないからむしろ『大江戸捜査網』?)が楽しい?!(麻生結一)

第3回(2006年10月27日放送)

☆☆
 大変申し訳ないことだけど、諸要素を事前分析するに大変な出来損ないドラマを予想していた今作も、ここまで見進めたところではそれほど悪くないという、まったくのうれしい誤算である。佐久間(堤真一)が10年前に結婚まで考えていた恋人・ナオコ(紺野まひる)の死を逆恨みに、浜口組から送り込まれて佐久間の命を狙うナオコの弟にしてヒットマンの勇次(田中幸太朗)の心情も随分とザックリだったし、全7回と通常ドラマよりも短いとはいえ(短さに関しては英断!)、ここで佐久間が死ぬとも考えづらいので、ドラマ的な面白みは弱いのだけれど(大体、銃で撃たれた佐久間の命拾いの理由も、まさかそれだけはないだろうと思っていた、こっぱずかしいばかりの定番中の定番!)、そうであっても出来損ないじゃないと擁護したくなるのは目高組の面々の雰囲気がいいからだろう。
 そして繰り返しになってしまうが、星泉名義の長澤まさみが歌う主題歌のノスタルジーよ!梅干だけでご飯一杯いける感覚で、この主題歌の余韻のみでドラマを見通せるのである(果たして、出来損ないの擁護は出来ていただろうか?)。(麻生結一)

第2回(2006年10月20日放送)

☆☆
 組長になったからにはと、ストリップで筋を通そうとする泉(長澤まさみ)の健気さが目高組組員たち、およびシマの住人である浅草の皆さんの心を動かすという、実にわかりやすい展開だった第2回。ヤクザ映画で啖呵を学ぶ姿がキュートな泉役の長澤まさみの魅力は、初回に続いて全面に押し出されていた。浜口組組長役の本田博太郎は、不気味な凄みが迫力があっていい。
 ドラマの出来ばえとは無関係に、タイトルバックの主題歌には目頭が熱くなる!(麻生結一)

第1回(2006年10月13日放送)

☆☆
 かつて大ヒットを飛ばした同名映画から25年も経過してしまっていたことに、ドラマの出来ばえとは無関係にまずは感慨も一入。その昔に見たときも、その後に相米慎二監督作品をまとめて見直したときも、本編にはまったく感心しなかったが、確かにCMスポットでの薬師丸ひろ子はあまりにも鮮烈だった。
 その薬師丸ひろ子以来かどうかはわからないが、長澤まさみが稀代の逸材であることを証明するドラマ化である。つまりはアイドルドラマゆえに、あまり難しいことを言っても詮無いかもしれないも、話のテンポなどは予想ほど悪くなかったという印象。
 父・貴志(橋爪淳)の死をきっかけにして、普通の女子高生だった星泉(長澤まさみ)が、弱小ヤクザ目高組の組長に指名されてしまうという破天荒な展開は、『マイ★ボス マイ★ヒーロー』の逆パターンのようなものだったか。好感が持てたのは、泉と目高組の若頭・佐久間(堤真一)との心の交流のパートで、ここが無理なく流れたのはこれからの成り行きにはプラスであった。長澤まさみと堤真一のツーショットが決まったいたのは頼もしい限り。
 元SEにして目高組ナンバー3の武(田口浩正)のスキンヘッドは、『サラリーマンNEO』の断髪式そのまま。「Re:」のキャラクターがこのドラマにスライドしてきたような錯覚に陥る?!(麻生結一)

セーラー服と機関銃

TBS系金曜22:00〜22:54
製作著作:TBS
制作:TBSテレビ
企画:伊與田英徳
プロデュース:石丸彰彦
原作:赤川次郎『セーラー服と機関銃』
脚本:いずみ吉紘
演出:平川雄一朗(1、2、3、6、7)、加藤新(4、5)
音楽:河野伸
音楽プロデュース:志田博英
主題歌:『セーラー服と機関銃』星泉
出演:星泉…長澤まさみ、真由美…小泉今日子、酒井健次…中尾明慶、西野武…田口浩正、酒井金造…山本龍二、剛田英樹…福井博章、稲葉通男…井澤健、森蘭丸…森廉、岩倉智男…おかやまはじめ、1階住人…杉浦双亮、森永健司、木幡竜、森田雄人、田中智広、金田麗華…森本ゆうこ、常盤和子…井端珠里、小林朱美…谷亜里咲、三大寺一…緒形拳、星貴志…橋爪淳、目高辰雄…桂小金治、美保純、温水洋一、大塚良重、紺野まひる、田中幸太朗、平田満、黒木幸平…小市慢太郎、柴田光明…中野英雄、浜口昇…本田博太郎、佐久間真…堤真一