芋たこなんきん

最終週「ほな、また!」(2007年3月26〜31日放送)

☆☆★
 第24週では脳出血で意識不明の重体に陥った健次郎(國村隼)が、今度は肺がんの宣告を受ける。2週という中途半端な間隔で、類似したエピソードをやってしまう構成はどうなんだろう。この朝ドラの前半の出来ばえは最高級だったと思うも、「町子女学生篇」だけが2週間独立した形になったりと、奇妙な構成には時折引っかかった。あの2週間も二層構造に分解できたならば、少なくともあと数週間は『芋たこなんきん』ならではの語り口を味わえたのにと今さらながらに悔やまれる。
 あれほどまでにうまくいっていた二層構造を放棄した理由は何だったのだろう。わかりづらいといった程度の理由だったならば、これほど残念な判断はなかったと思うが、実際はもっと現実的な理由があったのかもしれない。どちらにしても、本当の理由はわからない。
 ただ、第24週で単なる回想シーンが連打し尽くされていたおかげで、この最終週は再び町子(藤山直美)と健次郎のツーショットを存分に堪能できた。

健次郎「かわいそうに、僕はアンタの味方やで」

最後の最後まで健次郎は含蓄のある名言を吐き続けてくれた。健次郎を演じた國村隼は、予想を遥かに超えて強力だった。これだけ包容力のある魅力的な大人の男は、久方テレビではご無沙汰だった。
 そして藤山直美!ボルテージが下がる一方だった後半も、藤山直美の名演技を毎朝拝見できるのであれば、それはそれでいいのかもとさえ思えた。健次郎亡き後のしみじみとさせる町子のモノローグに、ドラマは最後の最後で緩むことはない。当然、彼女が受けにまわったここ数週が面白くなるはずもなかったのである。名人の至芸に酔いしれる朝ドラというのも、この先なかなかお目にかかれないかもしれない。(麻生結一)

第25週「お兄ちゃん」(2007年3月19〜24日放送)

☆☆
 ここまでくるとエピソードが後日談的になるのも致し方なし、とこの朝ドラの場合でさえも思わなければならなかったのがつらいなぁ。愛すべきキャラクター、健次郎(國村隼)の兄・昭一(火野正平)にスポットがあたったのはちょっとうれしかったけれど、平真佐美(なるみ)やその兄・広明(小西博之)との絡みにはかつての旨みは期待できない。ただ、昭一の年齢を推測するに、その元気いっぱいぶりは賞賛に値しますね。見た目は20年間普遍ですけれど。
 年齢といえば、北野吾郎(RIKIYA)から結婚報告を受けた矢木沢(いしだあゆみ)はいったい何歳なんだろう?20年の月日にリアリティがまるでない。その点、町子(藤山直美)だけはリアルに生きてます。さすが。(麻生結一)

第24週「出会い」(2007年3月12〜17日放送)

☆☆
 健次郎(國村隼)が脳出血で意識不明の重体に。町子(藤山直美)との名コンビがついに解消されてしまうのかという残念な気持ちと(どちらにしても、3月中に終わっちゃうんですけど)、いかにもこのドラマらしい含蓄のある展開を味わえるかもという期待感とで見続けていくも、待っていたのが回想シーンの連打だったとはあまりにも残念。
 よかったことといえば、徳永家の子供たちの回想で、それぞれの過去と現在がようやく繋がったことと(遅くてすみません)、そんな回想シーン群を久々に見るにつけ、ちょっと前までのこの朝ドラがいかに高レヴェルを持続していたかと確認できたことぐらいか。最後に書こうと我慢していたのだが、どうしてこのドラマは途中から現在、過去の二重構造を放棄してしまったのだろう。あんなにうまくいってたのに。
 ただ、健次郎が生還する流れはちょっと面白かった。健次郎の脳裏に蘇ってくるのが町子ではなく、どうして前妻の澄子(中井佳代)なのか最初よくわからなかったが、死について語るゆえに町子よりも澄子を思い出し、町子との回想で健次郎の生命力を呼び覚まされたのだとすれば、至極筋は通っていることになる。どちらにしても、これまでの(とりわけ12月までの)、ドラマのクオリティには大いに敬意を表したい。(麻生結一)

第23週「山があるから…」(2007年3月5〜10日放送)

☆☆
 第16週で1970年になって以降、時間が飛んだ記憶はないのだけれど、第23週で1991年ということは、何と21年の月日が流れたことになる(間違ってましたらすみません)。63歳になった町子(藤山直美)がまだまだ若々しいのはいいとしても、女子高生だった由利子(邑野みあ)は30代後半?正直言って、大人になってからの方が違和感ないけれど。
 もともとこのドラマは町子と健次郎(國村隼)の絡みこそが魅力のドラマだけに、サブキャラの存在はどうしてもおまけ的になる。健次郎の子供たちとなるとなおさらなので、それぞれが成長した姿もイマイチピンとこない。
 ただ、夫の清二(中村靖日)がドイツ留学を勝手に決めてきて、仕事を続けるべきか否かで悩む由利子に対して、

健次郎「ねばならぬはヤボやで」

と自分たちを夫婦の規範とする必要はないと説く健次郎の言葉にはやはり含蓄があった。町子と健次郎の弾みだしたらとまらなくなるしゃべりこそをもっと見たいと改めて思わせたが、どうやらそうもいかないようである。
 外科主任になったも、もはや何歳だかよくわからない晴子(田畑智子)にプロポーズする医師・東條役で登場した山口智充は、確かにいかにも海外青年協力隊でネパールに帰りという雰囲気だった。(麻生結一)

第22週「春のあらし」(2007年2月26〜3月3日放送)

☆☆★
 町子(藤山直美)の秘書就任以来、ほぼ無風状態だった矢木沢(いしだあゆみ)に深刻な問題が一気に降りかかってくる。郵便局に向かう途中に町子の原稿をひったくられるは(大阪がひったくり率全国1位であることは以前に何かで読んだ覚えが)、福岡から大阪に出てきた父・久米夫(米倉斉加年)が倒れるはの不幸続きだった矢木沢。さらには、かつてユニオン化粧品に勤めていた際に因縁のあった「週刊ウォッチャー」の記者・井村(川裕也)に、町子に関する嘘にまみれたゴシップ記事を書かれてしまったため、責任をとって秘書を辞めることを町子に告げる。
 感動的だったのは、八木沢を引き止める町子の言葉である。八木沢を引き止めるためには得意技の文章しかないと便箋を広げる町子だったも、何も書けない。ただただ、涙だけが出てくるだった。やはり、文章は冷静さなくして書けるものではない、と。これほどの引き止めの言葉はないだろう。以前八木沢がまとめた町子の経歴に、町子の字で八木沢との出会いが書き足されていた結末には思わず胸が熱くなる。もともと年号は昭和でまとめられていたところに、書き足しは西暦というのも芸が実に細かい。
 担当編集者の不在期間のみに町子の担当となった編集者の北野(RIKIYA)は八木沢と年の差カップル誕生を予感させたが、最後は去っていく結びもいかにもこのドラマらしくしっとりとさせてくれた。やっぱりこの朝ドラはこうでなくっちゃいけない。(麻生結一)

第21週「子離れ、親離れ」(2007年2月19〜24日放送)

☆☆
 それぞれの子離れ、親離れがテーマの第21週。確かに、ツチノコ研究家・田村駒蔵(石橋蓮司)とその息子で自分の会社を立て直すのに父親の退職金を当てにしてる息子・一郎(樋口浩二)の関係性と、町子(藤山直美)の弟・信夫(西興一朗)が神戸に引っ越すのをきっかけとして、母・和代(香川京子)が本格的に公団での一人暮らしを画策する話の二重の仕立てにはなっていたが、かつての少女時代との多重構造の見事さに酔いしれた身としては、どうしても物足りなく思ってしまう。あと1ヶ月を残して、このまま失速していかないことを祈るばかりだが、ツチノコに熱狂する町子を演じる藤山直美の達者ぶりには改めて感心させられる。(麻生結一)

第20週「ここに花咲く」(2007年2月12〜17日放送)

☆☆
 主要エピソードが二つだったのは同じも、含蓄の塊のようだった第19週に比べるならばリラックスして見られる第20週だった。ハリウッド映画の大スターの相手役をやるぐらいの格である若手スター・エディ・スペンサー(チャド・マレーン)が実はたこ芳の女将・りん(イーデス・ハンソン)の息子だったお話は、りんが過剰反応しない分、逆にしんみりとさせてくれて後味もいい。「ローマの休日」ならぬ、エディの「天満の休日」を彩る形で和子(瀬戸カトリーヌ)とタエ(桂あやめ)が久々にまとまった出番となるも、そちらで話を作ろうとはしないあたりはやはりこの朝ドラの方針なのだろう。
 町子(藤山直美)が池内(板尾創路)の例の生放送番組『ミッドナイトショー』のインタビュー企画で、着物デザイナーの吉永東子(高田聖子)と出会うエピソードは、大学受験を来年に控える由利子(邑野みあ)が将来の道を見つけるためのお話だったが、旬な文化人の対談という企画はリアルにいかにもという感じ。
 町子と東子の雑談風やぬか漬けv.s.ピクルスなどは楽しかったも、由利子のお話が型通り以上ではなかったのは、第16週の“由利子、フォークソングにハマる”篇と同じく、この朝ドラにしては含蓄不足の印象である。出来のいい朝ドラだけにこの点数にしたが、ドラマのテンションは緩やかに下降している程度で、最近の不出来な朝ドラとは比べものにならない。(麻生結一)

第19週「カーテンコール」(2007年2月5〜10日放送)

☆☆★
 町子(藤山直美)、健次郎(國村隼)にそれぞれの気がかりが。原稿料の滞納から町子が寄稿している「上方文化」の廃刊が近いとの噂を知り、それは大阪の文化の一大事と支援に乗り出そうとするも、昔馴染みの編集者でもある出版社の社長・畑山(平泉成)の毅然とした態度に町子はそのことを言い出せず、畑山も資金繰りに失敗して「上方文化」は廃刊になる。
 健次郎(國村隼)は古い知り合いで落語家の笑楽亭米三郎(曽我廼家玉太呂)の師匠・米春(小島秀哉)を診察し、胃がんを疑う。すぐさま設備の整った病院に入院することを勧めるが、目前に独演会を控える米春は承諾しない。健次郎は米春に病名を告知するべきか否か迷う。
 この関わりのないエピソードのそれぞれが実に含蓄があっていいのだ。二つは最後までリアルな現実であり続けるが、むしろ後味よくさえ感じさせてくれるあたりは、この朝ドラの懐の深いところである。医者の守秘義務といえばそれまでだけれども、いつもは何でも話す健次郎が、米春のことは町子に言わなかったのも節度があっていい。
 池内(板尾創路)が司会をはじめた夜の生放送番組『ミッドナイトショー』は『11PM』でしょうね。踊り子の肩の紐がはずれて、視聴者から抗議の電話って、いかにもありそうなお話。ということは、池内=藤本義一か。若者に大人気の土曜テレビ『ヤングショー』は『ヤングおー!おー!』かな。
 ボヤ騒ぎを起こした89歳の父を心配して九州に帰省したせいで、八木沢(いしだあゆみ)は完全休業の週に。ついにフィーチャーされるかと思わせた看護師・鯛子(小西美帆)のお見合い話は完全な刺身のつまだった。ここまできたら、どこまでも町子と健次郎の話で押していただきたいし、それこそが『芋たこなんきん』であろう。(麻生結一)

第18週「いつか光が…」(2007年1月29〜2月3日放送)

☆☆
 原稿に追われる日々の町子(藤山直美)は、ついに過労で倒れて入院してしまう。それでも隠れて原稿を書こうとする町子と看護師長・片桐(山田スミ子)との攻防もあったにはあったが、必然的に出番は少なめに。その代わりといってはなんだが、成り行きで偽町子になる売れない漫才師・南野福子(天童よしみ)が全編に登場する展開となる。
 偽者に成りきって飲み代を払ってもらったり、お金を借りたりといった悪行がエスカレートする様も何となくコクに欠けるように感じられるのは、本物にコクがありすぎるほどにあるがゆえにいっそう致し方なし?! 歌も玄人はだしという設定をくっつけるよりも、いっそ売れない歌手と言い切ってしまった方がすんなりきたとは思うが、それではまるっきり『演歌の女王』になっちゃってまずいか?!
 退院パーティで自らお好み焼きの焼き方講習会を催して腕を振るう町子の豪胆と繊細のブレンドぶりを味わうにつけ、やっぱり藤山直美が扮する町子は強力極まりないと改めて思った次第。福子が色紙に「文学一筋」と添えるのには笑いましたけど。(麻生結一)

第17週「しもたっ!」(2007年1月22〜27日放送)

☆☆☆
 一真(石田太郎)の香港土産である千手観音の折れた腕をめぐっての右往左往がトコトンべたべたで楽しかった第17週。真っ先に腕を折った町子(藤山直美)の言い訳がまずはケッサク。小説でお寺の場面を書いているので(京都のお寺のミステリー?)、その参考にさせてほしいって、とても人気作家の創作とは思えず。続いて健次郎(國村隼)が、さらには隆(中村孔哉)と晴子(田畑智子)が腕折りの犯人に?! それをひっつけようと健次郎と晴子がセメダイン、ボンド片手に鉢合わせする場面もそのお決まりのお笑いも愉快。隆の告白をきっかけに、町子が自首するも、結局は一真が最初から壊していたことが判明して一件落着。
 ここに実家が骨董屋で妻一人子一人の弟子入り志願、二ノ宮留夫(マギー)が加わってにぎやかしさも倍増となる。小説家に向いていないと町子から言い渡され、その妻・かなえ(衣通真由美)が徳永医院の前で倒れたことで、健次郎からもこっぴどく怒鳴られ、いったんは小説家の道をあきらめたかに思われるも、ついには池内(板尾創路)の小説教室に通うことに。まったく粘り強い男です。
 後半はお久しぶりの町子の母・和代(香川京子)が登場。すでに仕事をやめていたり、徳永家から薬局に赴いたりと様々疑惑が深まるも、すべてはハワイに行くための準備だった。再来月ならば一緒に行けると誘う町子だったが、来月でなければ意味がないと答える和代。その心は、亡くなった夫・徳一との43回目の結婚記念日を来月に控えて、一緒にハワイに行こうというかつての夫婦の約束を果たすためだった。ここでの和代の思い出語りにはしみじみとさせられる。それにしても、パスポートの犯人顔の証明写真は思いきったなぁ。和代の壮行会では健次郎がすき焼きの作り方を披露するおまけつき。(麻生結一)

第16週「禁じられても…」(2007年1月15〜20日放送)

☆☆★
 大阪で日本万国博覧会が開かれた昭和45年春、安保反対、ベトナム反戦の学生運動にフォークソングブームが巻き起こったその只中に、高校生になった長女・由利子(邑野みあ)の真っ直ぐゆえの迷走が描かれた第16週。途中、由利子が熱心に通うフォーク集会に、町子(藤山直美)と八木沢(いしだあゆみ)がヒッピーファッションに変装して(?)乗り込むベタなお笑いパートもあったにはあったが、主筋はあくまでも由利子の悩める17歳ぶり。
 町子の見聞きで綴られてきたこれまでと比べると、含蓄が不足気味になったのは致し方なかったとして、週刊誌の企画で町子が対談することになる、亡き父・徳一(城島茂)の写真教室にも通っていた幼馴染にして、今や報道写真家の寛司(平田満)が語って聞かせる取材したベトナムの現実と17歳の思いは呼応して、その真摯さはこれまでと何ら変わりない『芋たこなんきん』だった。
 先週亡くなった喜八郎(小島慶四郎)の後を追うかのように、奄美大島に帰ったイシ(岩本多代)もその翌年にこの世を去っていたことはナレーションでさらりと触れられる。町子の少女篇でウメ(淡島千景)が亡くなった際にも同じ捌きだった。数話は稼げそうなところもそれをやらないところがまたこの朝ドラらしいというか。イシと一緒に奄美大島に帰ったはずの昭一(火野正平)は再び放浪に出たのだろうか?(麻生結一)

第15週「奄美想いて」(2007年1月8〜13日放送)

☆☆☆
 すべてがつながっていることに感激できた第15週。町子(藤山直美)の新連載「かもかのおっちゃんかく語りき」の反響は少なからずや。徳永病院はかもかおっちゃん=健次郎(國村隼)に診察してもらいたいファンで集客増。健次郎は中年族のちょっとしたアイドルに?そしてかもかの妹・晴子(田畑智子)は病院で「かもいも」と呼ばれ始める!
 そんな中、金婚式を目前に控えた喜八郎(小島慶四郎)とイシ(岩本多代)が仲違いしてしまう。町子(藤山直美)と健次郎(國村隼)がともに外出していた夜、腕をケガしてしまった末娘の亜紀(畑未夢)を心配するがあまり、かつて生後三ヶ月で亡くしてしまった娘・正子のことを思い出してしまったイシは、その夜飲みに行って家を空けていた喜八郎に激怒。そのまま二人は口をきかなくなってしまう。
 登(神保守)が拾ってきたのら犬「角煮」は病院ゆえに飼えないと突っぱねる健次郎が、娘を亡くして悔しい思いをした喜八郎の気持ちを汲んで医者になったことが明るみに。そんなこんなが思い返されてか、喜八郎とイシはようやくに和解。みんなに改めて金婚式を祝ってもらうも、その数日後喜八郎は脳溢血で亡くなる。
 このドラマに特別なスパイスをふりかけ続けていた喜八郎の死はあまりにも悲しい。これまで小島慶四郎さんのことは存じ上げなかったが、その独特の存在感にすっかり魅了された。耕助(建蔵)をはじめとした喜八郎が面倒をみていたかつての浮浪者たちが焼香に現れる場面にはこみ上げてくるものが。昭一の音頭で葬式の夜に歌われる「十九の春」にあわせて、喜八郎の遺影に寄り添うイシの姿も心に残る。
 登たちにかくまわれていた「角煮」が町子によって発見されるシーンで、町子の書斎は過去最高人口密度に(9人プラス1匹)。そんな「角煮」を喜八郎は生前、住職・一真(石田太郎)に託していた。
 タイミングの悪いチャンピオン、昭一(火野正平)がお祝い用に雇った弦楽四重奏団があまりにもケッサク。ウィーン話に花が咲いて、たこ芳のりん(イーデス・ハンソン)がかつてウィーン・フィルのフルート奏者と付き合っていたことも判明する。改めての金婚式に、町子はこの弦楽四重奏団を再び雇うも、すっかり忘れてたこ芳にほったらかしに。弦楽四重奏団のメンバーは出番前に飲んだくれて、ってクリスマスの夜の昭一とまったく同じじゃないか!こんなベタねたまでも、今と昔のすべてがつながっているとは。
 喜八郎が町子に頼んだ仲間内の講演会で、酔っ払いにかもか批判をされて町子は激怒したのだが、そんな町子を徳次郎はたしなめる(その後感謝のフォローもしたが)。

徳次郎「読者に半分味方がおったらええほうや」

さすがに含蓄がありますね。(麻生結一)

第13週「年越し しんしんと…」(2006年12月25〜28日放送)
第14週「年明け ほんわかと…」(2007年1月4〜6日放送)

☆☆★
 年末年始をまたいで第13週が4回、第14週が3回の変則放送につき、回想シーンが中心の展開だったが、ありきたりな総集編のような作り方ではなっていないあたりはさすが。健次郎(國村隼)の噂話とともに裸で現れた兄・昭一(火野正平)は(スナックでの野球拳の末に)、サンタの存在を信じる登(神保守)に本物のサンタと会わせてあげる約束をする。しかし、本業は船乗りのアルバイト・サンタ(ニール・ブレッドバーグ)と一緒に酔いつぶれてしまった昭一はその約束を果たせずじまいになるが、クリスマスの願望プレゼントに「アイデアください」と書いた町子(藤山直美)は、昭一から新連載「かもかのおっちゃんかく語りき」のテーマをもらう。ここに町子と健次郎の周りに起こる抱腹絶倒のエピソード集がそのまま総集編の用途にスライドされるあたり、考えましたね。ほしいプレゼントにステレオと書いた登が、それはサンタさん一人では運べないという理由で健次郎から地味に叱られるエピソードにもクスッとなる。
 昭和43年の元旦が描かれる第14週は 大阪風と奄美風の両方のおせちが並ぶ食卓から実に壮観。昭和14年元旦のシーンで、町子(山崎奈々)の少女時代が復活したのもうれしかった。和代(鈴木杏樹)とイト(宮田圭子)の百人一首対決の読み手はいい声の茂(西川忠志)、文代(増田未亜)と昌江(尾野真千子)もいたが、常太郎(岸辺一徳)、徳一(城島茂)、ウメ(淡島千景)らの姿はなし。クリスマス大活躍だった昭一(火野正平)は元旦もテレビのニュースで登場。
 2日には、本当に怖いと文壇でも有名な大御所作家、加藤舞子(岡田茉莉子)が、編集者の神辺ソノ子(もたいまさこ)、松岡(寺杣昌紀)を伴って徳永家を訪れる。かわいげのある男、かわいげのある女論あたりから口火は切られて、ついには新春初っ端よりワイセツについての談義に花が咲くあたりがこの時代か。新婚旅行こそがワイセツ、新婚旅行客が多い宮崎の海岸はカップルでごった返して、海岸いっぱいのワイセツとなると説く神辺ソノ子が秀逸。大人の楽園は程なく終了するも、この存在感満点の女性お二人がこれが最後の登場となったのではあまりにももったいない。なおこの加藤舞子役は、作家の佐藤愛子がモデルらしい。
 正月早々徳永医院を訪れた患者の石川サキ(河東けい)が、入所している老人ホームとも家族とも連絡が取れない話も後味悪くならないところがいいし、病院の待合室での宴会も心に残る。家族同様の八木沢(いしだあゆみ)とは言え、ちょっと電話をお借りしますと断って、田舎に長距離をかけるくだりには引っかかったが、これも次週以降の伏線なのかもしれない。(麻生結一)

第12週「おかあちゃん」(2006年12月18〜23日放送)

☆☆☆
 町子(藤山直美)が書いた『楽天乙女』を読んで死におびえる清志(小椋悠聖)は、車にはねられないようにと余裕を持って早朝から学校に出かけるって、そりゃもうウディ・アレンの世界でしょ。本人には深刻でも、傍目にはそういうけったいは微笑ましくて笑っていられるうちはよかったけれど、健次郎(國村隼)の亡き前妻・澄子(中井佳代)の法事をめぐってのそれぞれの思いがクローズアップされるに、ドラマのテーマは本格的に死へとシフトしていく。
 周りが町子(藤山直美)に気を遣って、気持ちこそが大事なのだからと法事はやめてお墓参りで済ますことにいったんなるも、いまだ死の恐怖に怯える清志が、日記をつけていなかった澄子の走り書きがたくさん残っている家計簿を発見。それを読んだ町子は何としても法事をやらねばと健次郎に提案する。
 ここに紹介される澄子が残した生活の記録が読み進められるに、その生き生きとした日常の息遣いに魅了されるのは町子ばかりではあるまい。後妻が仕切って前妻の法事を営むのはおかしいと唱える晴子(田畑智子)にも一理あるとは思うが、その提案が単なるきれいごとに聞こえないあたりは、町子の裏表がない人となりゆえであろう。法事の席で澄子と町子が知り合っていれば、という過程の話に、自分が身を引く、って即答する健次郎のウィットがいいなぁ。
 子供たちが今は亡き母に話しかけるシーンはまさに名場面である。連なって、町子と健次郎の語らいに含蓄がにじむのは毎度のごとく。神様は気まぐれにつき、待てしばしがない。させば、神様が人生の貸し出しを忘れてしまうほどに精一杯楽しまなければいけない、とは健次郎の説。生きてるときに言葉を残してる人間は、死んでからもしゃべれる、とは町子の説。仮に神様に命を返還したとしても、利子はこの世に残せる、とは確かにうまいことを言う。
 後半にはイシ(岩本多代)の奄美の幼なじみ・ツネ(石井トミコ)が登場。八木沢(いしだあゆみ)を町子と思い、町子を丈夫そうなお手伝いさんに取り違えるシーンは何回見ても笑える。確かにパッと見はそんな感じだし。
 清志が死の恐怖を克服したと思ったら、今度は由利子(土岐明里)が母親の手料理を思い出してしまい、家計簿に書かれたそのきんぴらごぼうの再現を試みるも、危うく火事を出してしまいそうに。ここからは、町子がジェシカおばさん級の名探偵ぶりを発揮。家計簿に漬物の購入記録が一度も記載されていなかったのをヒントに、、おふくろの味の捜索に乗り出した町子は、去年の夏に糠床をダメにしてしまっていたイシ、りん(イーデス・ハンソン)を経て、ついにはいったん手にしたものは意地でも手放さないアムールのママ・秋恵(三島ゆり子)がりんから譲り受けた糠床に行き着く。強欲がこれほどまでに輝くことも珍しいのでは。
 ついにその大根のぬか漬けにありついて、家族全員で澄子のことを思い出す場面は、亡き母に話しかけるシーンの変奏になるも、だからといって興趣が落ちるわけではない。実はガンかもしれないと宣告されたツネが、結局何ともなかったという締めくくりもまたいかにもこのドラマらしい感じ。ツネもまた澄子の家計簿に救われた一人であったということで、すべての死についてのエピソードが見事にリンクする。
 鶏飯に引き続いてのお料理講座はホクホクのなんばさつま。女の好むものは『芋たこなんきん』とのタイトルコールで次週につづく。これが毎週の定番コーナーになるかも、次週以降の判断につづく。そういえば、唯一死について語っていなかったのが、工藤酒店の一人息子・守(田中祥平)が鯛子(小西美帆)に恋心を抱くエピソード。法事の席で再び絡めてはあったけれど、何だったんだろう?(麻生結一)

第11週「おとうちゃん」(2006年12月11〜16日放送)

☆☆☆
 2週間にわたった「町子女学生篇」は終わったはずだったも、戦中の体験をさらに書き続けている町子(藤山直美)を出入り口に、大阪への空襲を経て、軍国少女だった町子(尾高杏奈)に戦争の本当の正体が見えてくるまでをきちんと描いているあたり、やはりこの朝ドラのスタンスには信頼が置けると改めて思う。
 昭和20年3月の大阪大空襲では被害はなかったも、その後の6月1日の空襲で花岡写真館は焼失。ついに終戦をむかえるが、ひと月と経たないうちに大切な写真館を失ったショックからか、父・徳一(城島茂)は寝ついてしまい、その年の暮れに44歳の若さで亡る。
 ここで実際の臨終シーンはなく、平和な空が戻ってきたことにすべては象徴。これまでの女学生篇の振り返り映像があって、その目で見、その耳で聞き、その心で感じた戦中戦後の大阪の物語、『楽天乙女』が脱稿する形で再び時代は昭和40年に戻る。
 ここでも余韻を大切にした語り口は相変わらずうまいのだが、ドラマ中で2度亡くなった徳一は(第2週が1回目)、さすがにこれが見納めになるのかもしれない。出来ることならば、また登場してほしいと願うばかり。そう思わせるほどに、この父親は本当に魅力的だった。
 舞台が現代に戻っても、いらちな妹・孝子(メイサツキ)と8歳のめい・良美(山崎奈々)にスポットがあたって、戦中篇の流れが止まらないのが絶妙。良美がピアノのレッスンを無断で休んだその日、送られてきた『楽天乙女』に手付かずだった孝子は、それを徹夜で読破することで良美の子育て、そして家族で話すことの大切さをかみ締める。子供が親にその日一日のことを話すというごくごく自然な行為の尊さが、声高でなく実感としてしみてくるあたり、今の時代に無理なくリンクされていて見事だ。
 藤山直美扮する今の町子と山崎奈々扮する子供時代の町子の夢のツーショットがここに実現。二人が並ぶと怖いぐらい似ているなぁ。初恋の相手が大仏だった(?)住職・一真(石田太郎)は、相談役を務めた矢木沢(いしだあゆみ)との間にロマンスの噂も、その後に嘘から出た真というパターンもあったりして。
 『楽天乙女』の読者からのファンレターならぬラブレターで、すっかり舞い上がる町子だったも、かつて恋心をよせていた相手・大谷(岸田敏志)のお目当てが町子ではなく、いらちな妹・孝子だったというオチがさらにこの第11週全体に絡んでくるとは、その徹底ぶりには恐れ入るしかない。ラブレターを読んだ直後の町子が瞬間カメラ目線になるのは演出ではないでしょう。週の最後に奄美料理、鶏飯の作り方講座がくっついていたのは、そのリクエストが多かったのだろうか。かつて流行語だった「かっこいい」も、今では「○○かっこいい」に進化。言葉は移りゆくんですね。(麻生結一)

第10週「いのり」(2006年12月4〜9日放送)

☆☆☆
 いつもとは一味違った静かな語り口が、むしろ雄弁に戦時下の市井の人々の息遣いを伝えてくれた第10週。そんな中での、生粋の軍国少女・町子(尾高杏奈)の迷い、そして変化していく様が丁寧に描かれていて見事だった。
 前年に亡くなった常太郎(岸部一徳)の後を追うように、ばあばあばあちゃんことウメ(淡島千景)も亡くなってしまったらしいも、そのエピソード自体は割愛された格好。大学を休学して志願になった信次(宮崎将)はあまりにもあっけなく戦死し、小学校の奉安殿が焼けてしまったために、校長であった町子の友達・梅原(黒田純子)の父は責任を感じて自殺。梅原が長崎に去ったことをきっかけに、キク(小原早織)を含めた3人であれほど熱心に通っていた、寄席の下足番のおじさん風の竹山(金替康博)が牧師をつとめる神のこひつじ幼稚園にも行かなくなる。聖書を3人で読みあったいつもの川原で、賛美歌を歌う別れの場面が印象的だ。
 大事な人が一人一人いなくなっていき、そして昭和20年の夏、町子は勤労動員で働くことに。徳一(城島茂)がはじめた写真機の説明をおとなしく見ていたら、ホットケーキが食べられる写真教室(?)の朗らかさが微かな救いであった。文学のウンチク以上に写真への適正を見せたカンジ(森田直幸)の言葉がまた懐が深いのである。やまとなでしこを目指すべく、ただひたすら日本の必勝を祈願した町子のお百度が、落し物を探している子供にしか見えなかった一席も後々では軽く笑い飛ばせない、そんな1週間であった。(麻生結一)

第9週「最後の一人まで」(2006年11月27〜12月2日放送)

☆☆☆
 第9週と第10週が町子の青春時代を描く「町子女学生篇」になることは、第8週終わりの予告でアナウンスされていた通り。自らの家族の物語を書かねばならぬと机に向かった町子がブリッジになって、舞台は太平洋戦争がはじまって1年以上たったころの昭和18年春にさかのぼる。町子(尾高杏奈)15歳。ここからはナレーションが住田功一アナウンサーから藤山直美にチェンジされる。
 ヒロインが登場しない朝ドラもないだろうということだろうが、『君の名は』の第193回にいたっては、主役の鈴木京香も倉田てつをも二人ともが登場しない(一番手は勝則役の布施博)。そんな変り種をついこの間体験済みにつき免疫はあったのだけれど、藤山直美のナレーションには含蓄があって悪かろうはずがない。ちなみに『君の名は』も先週で「第四部 愛ふたたび 志摩編」が終了。2ヶ月区切りの一段階分が終了するテンポが朝ドラの普遍ということか。
 出征していく人たちやその家族が連日訪れての、花岡写真館の大繁盛は戦争特需ということか。それでもさらに無理して仕事を請け負おうとする常太郎(岸部一徳)は、関西少女歌劇団の女優・古城あやめ(愛華みれ)が写真館を訪れたことをきっかけに、公演の記録写真を撮る仕事をうけてきたものだから、時間も人手もかけてもっと丁寧な仕事がしたい徳一(城島茂)は面白くなく、そのたびに衝突するようになっていく。しかしそれも次男・茂(西川忠志)の独立までも考えての、そしてまた息子たちにお得意を増やしておきたいためだった。常太郎と徳一が一升瓶を飲み交わす場面にしみじみとする間もなく、常太郎が逝く。子供に先立たれたウメ(淡島千景)の嘆きにもほろっとさせられたが、改めて訪れた古城あやめが息子の方が自分よりも腕がいいと自慢していたことを徳一に語って聞かせる場面には思わず目頭が熱くなった。泣けるドラマがいいドラマだとは決して思わないけれど、ここでの涙は質が高い。
 愛国小説を執筆する町子がバリバリの軍国少女であったとしても、きれいなお人形や少女歌劇と聞けばときめかずにはいられないし、お腹がすいたらやっぱりアイスクリームも食べたい。そんな町子も大好きないとこ・信次(宮崎将)の志願を知って、初めて心にざわつきを感じる。
 親友・キク(小原早織)の家の工場に勤めるカンジ(森田直幸)は、ジードの『贋金作り』で純粋文学について語ってしまうほどに文学には明るいようで、当然町子と内心で意気投合。英語担当の黒沢(菊池麻衣子)は家政科で和裁を受け持つことになるも、結局は時期に学校を去る。ここに3人目の歴代朝ドラヒロインが登場。この第9週で戦争をもっとも骨っぽく語っていたのが黒沢であった。その半年前、つんつんこと叔母の文代(増田未亜)は結婚相手の赴任先・上海に渡っていったとはすでにその前の登場回が見納めだったか。技師の浦田(にわつとむ)もまた戦地へ。ドラマは戦争の影を色濃くしていきながらも、市井の人々の日常は生き生きと描写する。第10週も楽しみだ。(麻生結一)

第8週「おおきに」(2006年11月20〜25日放送)

☆☆★
 人気雑誌「アモアモ」の「わが町」のコーナーで、町子(藤山直美)がご近所のたこ芳、工藤酒店、みゆき館を紹介したおかげさまで、それぞれが大繁盛となったまではよかったけれど、たこ芳に一見さんやら若いお客やらが急に増えて店が荒らされてしまったことで、雑誌というか、自らの影響力の強さに町子は複雑な思いになる。ちなみにアモアモとは、関西で母親が子供にお菓子を渡すときの言葉らしい。
 隆(土井洋輝)が夢中になるウルトライダー(どう考えても、ウルトラマンと仮面ライダーの合成語でしょうね)のエピソードもアモアモ話の変奏である。ウルトライダーが掲載されている雑誌の懸賞プレゼントが、有名人の特権でということで(実際は単なる出版社との繋がりにすぎないのだが)、徳永家の子供たちの手にはあっさりと手に入ってしまうことでもまた、町子はすっきりとしない心持に。
 そんな懸賞プレゼントのためだけに購入され、本体の雑誌は読まずに捨てられてしまう由々しき風潮に激怒するばかりではなく、そこから思い立ったように家族の物語を書き始めるあたり、やはり町子は作家なのである(その詳細は第9週に描かれる模様)。
 第8週に表と裏があったとするならば、その裏パートを一手に担っていたのが、レジのお金を持ち出して、徳永医院の客引きと化していた健次郎の父・喜八郎(小島慶四郎)である。気がつけば、徳永医院は保険証もお金も持っていない浮浪者たちでごった返す。健次郎は望まずして浪速の赤ひげ状態に。そのうちの一人(建蔵)が改心して職に就き、アムールのママ・秋恵(三島ゆり子)が集客力アップにと画策したウルトライダーのサイン会にてウルトライダー役を演じて、隆に対してお父さん(=健次郎)と友達だと宣言。嘘つき呼ばわりされていた隆の男のメンツを守らせる結びはとても清々しかった。この男がどうやって隆の窮地を知ったかは判明しないが。
 そんなこんなも、何事にも表があれば裏もある。それで人生はトントン、明日もシーソー、明後日もシーソー、てな含蓄のある道理に行き着くあたりはいかにもこのドラマらしい。町子と健次郎(國村隼)によって酌み交わされるお酒は、含蓄の宝庫です。
 残念だったのは絶好に思われた昭和13年の回想チャンスがスルーされてしまったこと。ばあばあばあちゃんことウメ(淡島千景)が友達や親戚を家に泊める翌朝、知らないおばあちゃんが家の中をウロウロしている画は実際に見たかったなぁ。(麻生結一)

第7週「おくりもの!?」(2006年11月13〜18日放送)

☆☆☆
 いよいよ健次郎(國村隼)の兄にしてさすらいの男、昭一(火野正平)が本格的に登場。噂通りのC調ぶりがいかにもこのドラマのテンションに似つかわしく、毎週出てきてくれないのが残念に思えるほどに、愛すべきキャラクターであった。町子(藤山直美)との掛け合いも常時一流。逆上がりが出来ない清志(小椋悠聖)の話が、洗濯竿での逆上がりで町子が負傷する話にスライドしていく豪快さも愉快。ただ、出されたコーヒーの匂いで病院の経営状態まで言い当ててしまうのだから、やはり昭一がただものではないことだけは確か。
 徳永医院に乗り込んできた昭一の恋人を名乗る津軽の女・鈴子(鍵本景子)がプレゼントされたと持ってきた、看護婦・鯛子(小西美帆)にとっての漬物石が実はエメラルドの原石であると判明。あくまでも元考古学クラブの住職・一真(石田太郎)の見立てだけれども。それを昭一と反目していた健次郎が、温泉から帰ってきた母・イシ(岩本多代)に昭一からの誕生祝いとして手渡す週の結びも実に洒落ている。
 お題が事前に漏れているという由々しき事態のサニー電気主催の親子川柳大会の審査員を務めた町子(藤山直美)が正義を貫いたことに同調してか、その主催会社の担当だった矢木沢純子(いしだあゆみ)も同じく正義を貫いてクビに。それをキッカケにして回りまわって、矢木沢が町子の秘書になる週でもあったが、こちらはまだドラマのはんなりとした空気感にしっくりきてない気がした。
 それにしても、かの町子が締め切り目前に折鶴を折ってる!ここにある種の感動が!(麻生結一)

第6週「思いやる心」(2006年11月6〜11日放送)

☆☆☆★
 一層高いところでの人生訓や人情話を含ませて、そのしなやかな語り口には感心させられっぱなしである。週はじめの町子(藤山直美)による超高速調理&後片付けのサイレントムービー風も最近はちょっと見なくなったアナクロな手法だけれど、そこからおかし味プラスアルファ(=品格?)を感じされるのはやはり藤山直美の存在感ゆえだろうか。
 町子をアシストするはずで雇われたも、むしろ手を変え品を変えて邪魔しっぱなしの家政婦・近藤ヌイ(西岡慶子)と町子との攻防は笑えた。そんな中でも、本の帯をのりづけとは予想外だったなぁ。大事なものにはのりづけというヌイの教えを真に受けて(?)、次男・登(神保守)はのりづけに開眼没頭。せっかく町子が書き上げた原稿を新聞にのりづけしてしまったものだから、そうとは知らぬヌイはそこにまぎれた原稿をちり紙と交換してしまう。
 身を削って書いた原稿を危うくちり紙にされてしまうところだった町子と衝突して家政婦を辞めてしまうヌイのことを気にしつつも、ウソをつき続ける登の姿から思い出される少女時代の町子がついたウソ。試験答案を組全員の家を回覧させるシステムって、厳しいですね。死んだ方がマシな42点の答案が回ってくるまでの数日、まだ試験はもらっていないとウソをついて地獄の日々を過ごす町子だったが、母・和代(鈴木杏樹)からは点数が悪かったことよりも、回覧がいつあるかわからないとウソをついたことをとがめられる。

和代「ウソつきは泥棒のはじまりです」

久々に聞くフレーズがまた新鮮で身が引き締まる思い。怒られる町子をかばって、そう祖母のウメ(淡島千景)が一緒に頭をさげてくれる大家族の優しい構造が心の隅々にまで染み渡ってくる。
 ふたたび昭和40年に。やはりウソをつき続ける登を健次郎(國村隼)が殴りつけたことで、町子は健次郎に体当たり!

町子「ケガしたらどないするの」

健次郎「ケガしそうになったのは私や!」

町子、健次郎、登の三人でヌイに謝りにいく展開も誠実でよかったけれど、家政婦に復帰してもらえるように町子が再度頼みに行くくだりでは、女手ひとつで子供たちを育て上げた和代への感謝の辞にまでいたり、静かな感動があった。ここにしても、戦後すぐに徳一(城島茂)が亡くなっているエピソードがすでに済まされているので、説明的にならずにすむアドバンテージがある。
 エピソードの連続性はこれでもとどまらない。気に入らない筆入れを返すために高橋文具に行かせた妹・孝子(中山桃)が、お金は返せないと言われて自分が好きな千代紙に変えてきたものだから怒った町子を、あまりにも優しく叱る徳一の含蓄深さ。優しく叱られると、ヒートアップしている気持ちも吸い取られるようで、むしろ反省ちゃいます。子供時代のこずるさ、卑怯さは見るものの体験に懐かしくもほろ苦く重なってきて、いっそう感慨深い地点に連れていってくれる。この朝ドラはそんな隅々のニュアンスでも楽しませてくれる。
 シャンパンこと矢木沢純子(いしだあゆみ)が初登場。重要な役柄も、現状はまだドラマになじんでいない印象も、浮いた存在の健次郎の兄・昭一(火野正平)はむしろすでになじんでいたか。

「味噌汁の切れ目が縁の切れ目」

なんて名言も気が利いてます。(麻生結一)

第5週「すれちがい」(2006年10月30〜11月4日放送)

☆☆☆
 家族の看病の流れで、町子(藤山直美)はついに徳永家に引っ越すことに(この2、3日でちゃんと原稿もあげているあたり、まったく尊敬に値します!)。
そうと決まれば即行で引っ越しの準備に取り掛かった町子は、妹・孝子(メイサツキ)との語らいの中で、かつての町内大掃除のことを思い出す。第5週冒頭の昭和13年夏のこのエピソードは、あまりにも素晴らしかった第4週の余韻だ。それにしても、花岡家を大騒動に巻き込んだ青大将の抜け殻の行方のキーパーソンが、まさか町子の母・和代(香川京子)だったとは。どうりでその青大将に若かれし和代(鈴木杏樹)が全然絡んでこないはずだ。今週の白眉はこれだった。
 その後は徳永家での新生活の悲喜が交々に連打される。そのいずれもがベタねたなのに、随所に何となしの品さえも感じさせるのが不思議だ。とりわけ作り付けの本棚を作ってほしいと頼む町子とそれに反対する大工とのダイアローグがケッサク。何のために小説を書いてるのか、という大工の本質的質問に対して、売り言葉に買い言葉で、

町子「金儲け!!!」

と言い切る町子の威勢が気持ちいい。
 途中、新婚旅行中の老人(藤村俊二)とその若い新妻(今村恵子)の婚姻届をめぐるしたたかな思惑や、映画館の館主・俊平(櫻木健一)と妻の佐和子(瀬戸カトリーヌ)との夫婦喧嘩に巻き込まれて、町子と健次郎まで喧嘩になっちゃったり、なんて話などを挟みながら、神戸での初版本のサイン会のために、町子が子供たちの運動会に間に合うか間に合わないか、というエピソードで第5週は締めくくられる。ただこのタイムリミット型は、第4週の花岡写真館の危機にかぶってしまうか。2週続けて同質の話が配列されたことに(時代は違うが)、最初はあれ?とも思ったけれど、結局間に合わなかった町子に見せるため、やっとギブスがとれた晴子(田畑智子)も全快祝いとばかりに土台に絡んで、隆(土井洋輝)を中心に組み体操のピラミッドを徳永家総出で再現する後味はすこぶるよかったし、徳永家での新生活の結びとしてもふさわしかったように思える。
 あまりにもうれしはずかし懐かしいフォークダンスは、いっぺんに違う女の子と手を握る機会を得られる、小学生の特権だったのか。ロマンは男のものか、女のものかという論争もこの夫婦らしく白熱。町子のバトン渡しの実演にも笑ってしまった。健次郎(國村隼)の母・イシ(岩本多代)の飄々としたいなしっぷりも利いてる。(麻生結一)

第4週「しゃべる、しゃべる」(2006年10月23〜28日放送)

☆☆☆★
 弾みだしたらとまらなくなる町子(藤山直美)と健次郎(國村隼)がしゃべりにしゃべって、子供時代を語りつくすに丸ごと一週間。話はとことんノスタルジックに、構成は密かにアヴァンギャルドに、まったく大した朝ドラである。
 健次郎の問いかけに町子が渋々と語る初恋話がすべての発端であった。町子(山崎奈々)が恋心を寄せていた、勉強も運動も何でもできるマサル(北方将太)にズロースを見られてしまって悲鳴!、なんて悲喜劇を挟みつつ、話はズレにズレて、いつしかツンツンこと叔母・文代(増田未亜)と写真技師・亀田(山下徹大)のあいびき話に。常太郎(岸部一徳)が朝帰りの文代をしかりつけると、母親のしつけが足りないと妻・イト(宮田圭子)はそう祖母・ウメ(淡島千景)に小言を言われたものだから、逆にイトは常太郎にツンケン。父・徳一(城島茂)は散歩中にマサルの母・千代(出口結美子)とポパイとオリーブの話で盛り上がってしまって、その間に妹・孝子(中山桃)が行方不明に(ちんどん屋について行ってた!)。そのことを知った和代(鈴木杏樹)は徳一にいけずすると、花岡家総出でにぎやかしいやらめまぐるしいやら。
 とりわけ心に残ったのは、お隣のカフェ・ローズに勤める女給・鶴子(大路恵美)の娘で8歳にして鞠つきの名手である朝子(植野瑚子)とのビターメモリー。せっかく仲良くなったのに、大事にしてる人形相手にキスの仕方を教えた朝子に、町子は一方的に怒って仲たがい。その直後、町子は鬼ごっこ中に朝子を無視してしまう。子供とは時として残酷なものも、誰しもにこういう後悔はあるのではないだろうか。大人になってそのときを振り返り、大いに後悔する町子の心持はほろ苦く、胸を締め付けられる思いだった。だからこそ、徳一からそっと渡される町子と朝子の写真ににじむやさしさにはたまらなくなる。
 第4週をさらにピリッとさせたのは、お客さん一人一人の思い出を扱っているという責任を問われる、花岡写真館の危機についてのエピソード。徳島からきた仏像撮影の依頼に得意気に出かけていった茂(西川忠志)は電車の不通で帰ってこられず、報道写真家志望の写真技師・浦田(にわつとむ)は火事の現場に遭遇してフィルムを使い果たしてしまい、常太郎の危惧があたって、お得意である小学校の卒業式の仕事を落としそうになる。そんな大人たちの様をまじかに見て、花岡写真館がつぶれてしまうのではと肝を冷やす町子の真剣な思いは、何だか懐かしいような、微笑ましいような。それぞれがそれぞれに振り返って、子供時代をいとおしく思われたのではないだろうか。
 それにしても、花岡家は何てハイカラなんでしょう。ハッシュドビーフライスに、家に卓球台ですよ。昭和13年の思い出の影に隠れるも、健次郎の薩摩おごじょな音楽教師との初恋体験も小話風で面白かった。女はなぜ買い物が好きなのか?それは夫という大きな買い物に失敗、返品できないという憤りを解消するためにとはなるほど。結局、しゃべり続けた一夜の出来事だったという一週間だったが、こんな楽しい雑談ならば、もうあと半年だってしゃべっていてほしい気分になる。(麻生結一)

第3週「かぜひき」(2006年10月16〜21日放送)

☆☆☆
 通常、結婚は落ち着くための制度のはずも、町子(藤山直美)と健次郎(國村隼)の場合には落ち着かないと同居にまで行き着かないという、変則形式からまず面白い。その別居婚スタイルが面白いというよりも(当時はそれも面白かっただろうが)、飄々とした別居のスタンスが面白いのだ。
 結婚式がすんでもなかなか会えない二人の状態を、サルトルとボーボアールに例える町子はいかなるシチュエーションでも面白がれるタイプで、いかにも小説家的。しばらくの間音信不通だった健次郎もそれに同調しているのだと思っていたが、二人が住んでいる中間地点である中之島に休日一緒に過ごせる部屋を探していた。昭和40年代初頭ならば、システムキッチンも洋式便所もまだ珍しかったかな。
 このパートでは徳永家の子供たちにもスポットがあたる。悪いことをしたから町子の写真が載っているのだと思い込み、病院の雑誌を片っ端から破る三男・隆(土井洋輝)もかわいいし、町子が長女・由利子(土岐明里)に亡き母の小説を進めると、由利子は町子の小説も読んでいたというエピソードも心にしみる。
 池内(板尾創路)の新作出版記念パーティにて、並木賞作家・千葉龍太郎(筒井康隆)が勝手に町子の結婚を暴露。日本のサルトルとボーボアールと週刊誌にいっせいに書き立てられるまでもまたあっさりとしたものだったが、人の生活を面白がってるより、自分の生活を面白がるのが大人、との健次郎の言葉は至極名言だった。それにしても、町子が婚姻届出さないのが、区役所の場所を知らなかったからって……。
 第3週の後半では、副題の「かぜひき」も納得の、健次郎を筆頭に風邪ひきだらけに、温泉旅行で足にひびがはいった晴子(田畑智子)まで加えて、徳永家はちょっとした野戦病院状態に。期せずして、町子は家族の看病と家事を引き受けることになる。ちょっとのつもりがズルズルとそこでの日々は過ぎていき、さらにもう一日いてみようかと町子に思わせるその人情味は画面からも溢れていて素敵だ。
 ここまで見進めて何だか物足りないと思っていたら、町子の少女時代がなかったんだ。その代わりというわけか、徳次郎の少年時代である昭和9年の奄美大島が回想される。カモカの奄美大島版けんもんの話も悪くはなかったが、やっぱり町子の昔話がないのは寂しい。完全コメディリリーフの看護婦・鯛子(小西美帆)のはじけっぷりがちょっと楽しげになってきている。(麻生結一)

第2週「お祝い!?」(2006年10月9〜14日放送)

☆☆☆
 町子(藤山直美)の少女時代は週一ペースどころか、ちょくちょくと登場してくれて、それはそれでむしろ歓迎である。それはいいとして、あまりにも気がかりだったのは、第2週目の第8回にして、ついに小説家としての夢を掴んだ町子の思い出として蘇ってきた、町子のお話の最初のファンであった父・徳一(城島茂)が戦争後すぐ、死んでしまった事実が早々明かされたことである。第2週で父親が死んでしまう展開は、前の朝ドラとまったく同じ。こんなにもいいキャラクターをこんなにも早くドラマからアウトさせてしまうなんて、まるで桜子(宮崎あおい)の父・源一郎(三浦友和)の二の舞じゃないか。何という悪い前兆かと冷え冷えとした心持になるも、第11回で見事に徳一は甦る!
 気性の荒さで苦情続出だった捨て犬のポパイは泥棒を御用にしたお手柄によって、一躍記念写真の被写体として人気ものに。それまでもっともポパイと犬猿の仲だった祖父・常太郎(岸辺一徳)が先頭に立ってその商魂たくましさを発揮するも、やっぱりポパイの気性はまったく改善されず、致し方なく「かみます」の張り紙をする、なんて大阪的シンプルさが一番という楽しいエピソードのドサクサに紛れ込んで、徳一は何事もなかったかのように生きていた。なるほど、それはあくまでも少女時代の回想につき、人の生死の出入りだって変幻自在ってことか。まるでこのドラマそのもののような自由自在なスタンスが素敵だ。
 その少女時代にて、紙芝居から町子(山崎奈々)と孝子(中山桃)に刷り込まれる、ハンコの恐怖も笑えるし、一転、健次郎(國村隼)の毎日押しかけ往診攻撃なんかはちょっとロマンティックだったりする。物書きとしても主婦としても中途半端になると不安をもらす町子に、中途半端と中途半端が二つでトータルしたら人生満タンでもって、こんなところで手を打ちましょう、っていう大人のスタンスも、その後の別居婚もあまりに粋。町子と健次郎のお忍び結婚式の大騒動ぶりはおなじみのベタベタ調が程がよく、しみじみともしてくれて朝からいい気分になりっぱなしだった。
 よくよく目を凝らすと、徳永医院の看護婦・鯛子(小西美帆)と健次郎のおそらくは年の離れた妹・晴子(田畑智子)は旧朝ドラヒロインのツーショットではないか。町子に小説の心得を説く並木賞作家・千葉龍太郎役で筒井康隆登場。相変わらずお上手です。篤田川賞受賞から結婚式にいたるまで、まさに副題通りの「お祝い!?」な一週間も、やっぱり町子を演じる藤山直美のそこにいるだけでおかしいオーラは並じゃない。(麻生結一)

第1週「ふたり」(2006年10月2〜7日放送)

☆☆☆
 見た後にほんのりとジーンとなる大人の朝ドラの登場である。ドラマは37歳の花岡町子(藤山直美)が作家を夢みる昭和40年と、その町子の子供時代である昭和13年とが行き来する二層構造になっている。こういう語り口はこれまでの朝ドラで記憶にない。なるほど、この手が残っていたかと感心してしまったが、この二つの時代の出入りはさらに絶品であった。
 とりわけ心に残ったのが、第4話の回想としての戦前篇。10歳の町子(山崎奈々)が37歳の町子を彷彿とさせて微笑ましいし、本好きの町子が大人の世界への好奇心から、「あいびき(逢引 or 合挽き)」「悩殺」との言葉を連発するあたりも楽しかった。大判写真の焼付引き伸ばしの場面などにもノスタルジーが香る。もしかすると、町子の子供時代篇は週一ぐらいのペースになるのだろうか。
 ネイティブ関西人で固められたキャストはおかし味満載で、今後にも大いに期待したくなるも、ここ数回の朝ドラ的ほろ苦経験値から、あまりに期待しすぎてはいけないと点数も控えめにしてみた。ただ、本当はあと★追加してもいい気分。藤山直美は当然のごとく強力だったが、カモカのおっちゃん、健次郎役の國村隼の強面ぶりもピタッときてうれしかった。
 何はともあれ、朝ドラに笑顔が戻ってきたのは何よりである。FAYRAYの主題歌が洗練の極みなのも、本編とのギャップが何ともオツである。ちなみに、引き続いてのBS再放送枠『君の名は』の主人公も名前は真知子(鈴木京香)。申し合わせたわけではないだろうが、これでNHKの朝ドラはダブル・マチコ体制になった。(麻生結一)

芋たこなんきん

NHK総合月〜土曜08:15〜08:30
連続テレビ小説
制作・著作:NHK大阪
制作統括:一井久司
原案・題字:田辺聖子
脚本:長川千佳子
演出:野田雄介(1、2、4、11、13、14)、伊勢田雅也(3、8、19、22、23)、真鍋斎(5、9、17、21、25、26)、佐藤譲(6、7、10)、櫻井賢(12、16、20、24)、吉國勲(15)、菓子浩(18)
音楽:栗山和樹
主題歌:『ひとりよりふたり』FAYRAY
挿入歌:『心のままに』林明日香
語り:住田功一アナウンサー
出演:花岡町子…藤山直美、徳永健次郎…國村隼、徳永晴子…田畑智子、徳永イシ…岩本多代、片平鯛子…小西美帆、一真…石田太郎、小川秀雄…上杉祥三、大崎俊平…櫻木健一、大崎佐和子…瀬戸カトリーヌ、池内幸三…板尾創路、神田みすず…友近、りん…イーデス・ハンソン、渡辺加代子…徳田尚美、工藤貞男…荒谷清水、工藤タエ…桂あやめ、碇ツネ…石井トミ子、北村孝子…メイサツキ、石川サキ…河東けい、和田秋恵…三島ゆり子、二ノ宮留夫…マギー、北野吾郎…RIKIYA、広明…小西博之、平真佐美…なるみ、徳永由利子…邑野みあ、徳永清志…尾上寛之、エディー・スペンサー…チャド・マレーン、笑楽亭米三郎…曽我廼家玉太呂、中川利男…阿南健治、徳永登…杉浦太雄、徳永隆…平手嶺佑、加藤医師…串田和美、近所の婦人…安宅みどり、キミコ…秋葉真美子、看護師…八田麻住、徳永亜紀…寺田有希、徳永花子…安田ひとみ、徳永由香…村中香織、徳永亜佐美…羽島百々恵、達夫…西川浩介、鮫島…三浦誠己、松本編集者…久野麻子、藪下めぐみ…大石里紗、清二…中村靖日、轟若子…松寺千恵美、理学療法士…西谷昌也、郵便配達員…山中正樹、羽田婦長…湖条千秋、看護師…平尾友香、藤木澄子(写真)…中井佳代、川口編集者…押元奈緒子、たこ芳の板前…松岡龍平、東條の長女…小林美稀、東條の次女…本田りん、引越しの業者…浮世亭いちぢ、今村の息子…東村晃幸、タクシーの運転手…三矢家ゆうじ、井村秀樹…高川裕也、新庄尚之…山中達矢、医師…楠年明、中川伸江…林英世、大村…西野大作、田村一郎…樋口浩二、高橋修…森永悠希、向井…佐藤浩、片桐婦長…山田スミ子、小柳…鈴木ヤスシ、堀之内…ぼんちおさむ、マスター…入川保則、坂本…国木田かっぱ、南野きぬ子…鳴尾よね子、看護師…植栗留美、南野麗子…大西土筆子、編集者・松岡…寺杣昌紀、編集者・亀山…田中綾子、大浦医師…南条好輝、流しの男…北川肇、スナックの客…田中詢子、徳永清志…榎田貴斗、徳永登…長澤翼、徳永隆…中村孔哉、徳永亜紀…鍋本帆乃香、編集者・鈴木…稲森誠、丸谷…東康平、桑山九州男…大竹修造、二ノ宮かなえ…衣通真由美、蔵本千春…林明日香、菅原和人…大塚まさじ、内海ススム…達山智宏、蔵本安男…浪花勇二、警官…松のりひこ、鶴田編集者…黒神龍人、大谷三郎…岸田敏志、工藤守…田中祥平、北村良美…山崎奈々、晴美…美晴、花岡信夫…西興一朗、鈴子…鍵本景子、近藤ヌイ…西岡慶子、山内寅彦…芝本正、徳永由利子…土岐明里、徳永清志…小椋悠聖、徳永登…神保守、徳永隆…土井洋輝、徳永亜紀…畑未夢、主婦…小林桃子、楽団の男…伊藤えん魔、患者…杉山陽子、耕助…建蔵、河原崎…海部剛史、牛山…坂俊一、記者…丸子智子、取材に来た男…田中勲、鈴木…稲森誠、篠崎…鍋島浩、教師…原敏一、社員…田畑利治、母親…楠見薫、娘…奥野乃花、司会者…野田マニア・松本格子戸、取材記者…土方錦之助、カメラマン…上西雅彦、社員…工藤雅彦、寺田記者…大西結花、吉岡…マエダユミ、島野為夫…西川晃啓、平井太…松本康太、吉田寅男…はりた照久、沢村時蔵…亀井賢二、小田切キヨ…朝比奈潔子、早乙女雪子…山本麻生、戸田ワタル…永岡佑、勝本…永滝元太郎、大工・富田…泉ひろし、大工・宮田…安部潮、福柳…藤田功次郎、滑川…白惇、カメラマン…吉原伸一、健次郎(少年)…永井樹、昭一(少年)…長江竜馬、ウエイトレス…高山都、マリ…中野若葉、丹下…山路梨瀬、編集者…関本聖、母親…かきつばたアヒル、子供…平野道彦、係員…荒井ひとみ、服部老人…加治春雄、服部息子…田代寛之、服部娘…林加奈子、花嫁…北村香織、記者…増田京介、妊婦…中野明美、近所の婦人…田辺聖子、毛利医師…嶋田久作、東條祥吾…山口智充、矢木沢久米夫…米倉斉加年、田村駒蔵…石橋蓮司、吉永東子…高田聖子、笑楽亭米春…小島秀哉、畑山耕三…平泉成、南野福子…天童よしみ、野村寛司…平田満、加藤舞子…岡田茉莉子、神辺ソノ子…もたいまさこ、有田老人…藤村俊二、有田優子…今村恵子、千葉龍太郎…筒井康隆、徳永喜八郎…小島慶四郎、徳永昭一…火野正平、八木沢純子…いしだあゆみ、花岡和代…香川京子、花岡和代…鈴木杏樹、花岡町子(女学生)…尾高杏奈、花岡昌江…尾野真千子、花岡文代…増田未亜、古城あやめ…愛華みれ、亀田…山下徹大、鶴子…大路恵美、花岡イト…宮田圭子、信次…宮崎将、黒沢絹子…菊池麻衣子、花岡茂…西川忠志、浦田…にわつとむ、花岡孝子(女学生)…中村愛、野村カンジ(少年)…森田直幸、キク…小原早織、梅原…黒田純子、竹山牧師…金替康博、静子…足立悠美加、酒屋…酒井くにお、ガラス屋…酒井とおる、たまえ…五十嵐愛生、兵隊…村上博紀、大家…高見国一、産婆…新海なつ、兵士の母…白幡英子、信者…小泉小由理、お手伝いさん…細川友美、松本富雄…田村ツトム、教師…金哲義、光男…角田貴裕、軍服の男…石崎正尊、花岡町子…山崎奈々、花岡孝子…中山桃、朝子…植野瑚子、佐代子…美津乃あわ、竹子…有村茉佐子、呉服屋…旭屋光太郎、カフェの従業員…後藤啓太、野山…稲健二、千代…出口結美子、マサル…北方将太、ヨシコ…安部洋花、いずみ…小林ゆか、級友…林史隆・山本司・河本竜志・辻俊成、紙芝居屋…桂勢朝、主婦…綾川文代、泥棒…池田章宣、客…寺尾毅、花岡常太郎…岸辺一徳、花岡徳一…城島茂、花岡ウメ…淡島千景