レガッタ

第9回(2006年9月8日放送)

☆☆
 大沢(速水もこみち)は滝(山本太郎)、梶原(三田村瞬)ペアとの一騎打ちの中で、ついに“風の向こう側”に到達。ところが次の瞬間、八木(松田翔太)が選手生命に関わる故障してしまうというショックが襲う。ただ、正直言うと、ふさぎ込む八木の異変を忘れてしまうほどに、“風の向こう側”を表現したらしいエフェクトにショックを受けた!もちろん、そのエフェクトの只中にいた大沢はそれを知るよしもないのだが……。
 肝心要のシーンがこれでは困ってしまうも、ドラマの真摯さは最終盤に向けていっそう高まっていたと思う。倉田(窪塚俊介)に加えて、八木の分の重荷も背負って選手生活を続けていかなければいけない大沢のヒロイズムは、正統派のスポ根ものならではの味である。千香子(若槻千夏)が外れて、大沢、操(相武紗季)、八木の三角関係になってからは、恋愛模様にも雰囲気は出てきていた。
 話をショートカットせざるを得なかった点は『下北サンデーズ』同様に気の毒だったが、かえって話にスピード感が出た部分もあったのはこれまた『下北サンデーズ』同様。終わりよければすべてよしとまでは肯定できない出来ばえも、エピローグの余韻のある清々しさはちょっとした救いに思えた。(麻生結一)

第8回(2006年9月1日放送)

☆☆
 大沢(速水もこみち)の事故のエピソードには大いに拍子抜けしてしまったが、それは大沢に操(相武紗季)が心情告白する導入だったというこで、生真面目な作り自体はいよいよ極まった感じである。ボートから話が離れない物語の運び方はもともと好感が持てたのだが、ただこういうタイプのドラマをこうも遊びなく、かちっと作ってしまっていいのかという疑問もある。
 それにしても、マスター役のブラザートムは『純情きらり』のヒロ役とかぶる。もちろん、ピアノの練習をちっともやらないあのドラマのヒロインに比較するならば、勉強せずにボートばっかりやってるこのドラマの主人公の方が数段好印象なのだけれど。最後のプレゼント枠で、とうとう高村監督(山下真司)が鎌倉警部テイストを炸裂させる。山下真司がはじめてしっくりくるシーンだった。(麻生結一)

第5回(2006年8月11日放送)

☆★
 この手の青春スポ根ものには欠かせない(?!)、集団デートでそれぞれの本当の思いが明るみになる、もしくはほのめかされるというティピカルパターンがここに登場。操(相武紗季)と大沢(速水もこみち)があれだけ接近戦を演じれば、元気印の千香子(若槻千夏)もさすがにへこむか。おかげさまで、千香子のハイテンションないたさが緩和された功名はあったけれど。(麻生結一)

第4回(2006年8月4日放送)

☆★
 肉離れを起こした八木(松田翔太)が何かと面倒を見てくれる操(相武紗季)に思いを寄せる展開が加わって、前話までの一本調子からは少し改善されてよかった。ただ、千香子(若槻千夏)の献身ぶりは実写だからか随所に痛々しい気持ちに。更なる慣れが必要か?!(麻生結一)

第3回(2006年7月28日放送)

☆★
 大沢(速水もこみち)と八木(松田翔太)がバナナをめぐって言い争ったりするのがここでの青春の模様?! 沢尻エリカと山田孝之の濃密コンビ(『タイヨウのうた』)が直後に控えている放送時間は確かに損してるかもしれない。主演者の表現差はあまりにも歴然としていて、ちょっと痛々しくさえある。ただ、それを逆手にとって初々しく見せるやり方だってあるわけだから、もう少し工夫を期待したい。
 ブラザートムはまたしても喫茶店のマスター役か(現在『純情きらリ』でもマスター)。確かにそういう雰囲気を身に着けている彼を見るにつけ、時代の移り変わりを意識せずにはいられない。監督の高村(山下真司)は依然として鎌倉警部にしか見えないけれど。(麻生結一)

第2回(2006年7月21日放送)

☆★
 大沢(速水もこみち)がボート部に復活する展開は予想を超えた予想通りに。せつない語り口を期待するも、操(相武紗季)のホラー映画趣味が露呈したりと、青春スポ根ものとしてはどうなんだろうと思ってしまうエピソードも頻繁だが、これこそが青春スポ根もののコードなのかもしれない。
 八木(松田翔太)との一騎打ちに負けそうになった時、今は亡き倉田(窪塚俊介)の声が大沢に再び力を与える場面はこれまた定番中の定番も、この第2回中ではもっとも印象に残る場面だった。
 監督の高村演じる山下真司が画面に現われると、どうしても鎌倉警部を思い出してしまい、キラキラSEでもって神戸美和子(深田恭子)に切に登場してほしい気分になってしまうのだが、これはすでに違うドラマということで。(麻生結一)

第1回(2006年7月14日放送)

☆☆
 大学のボート部に所属する美男美女が織り成すスポ根青春物。大沢(速水もこみち)と操(相武紗季)の間に操の恋人にして大沢とコンビを組んでいた倉田(窪塚俊介)の死が横たわっている、という深刻な設定につき、ドラマに明るさはなかったが、それだけにいっそう正統派の雰囲気を漂わせつつはあったか。江頭美智留脚本作では『1リットルの涙』に大いに泣かされただけに、今後切ない展開に期待できるかもしれない。(麻生結一)

レガッタ

テレビ朝日系金曜21:00〜21:54
制作:ABC、tv asahi
制作協力:5年D組
企画:五十嵐文郎
チーフプロデューサー:深沢義啓
プロデューサー:三輪祐見子、中込卓也、奈良井正巳、中山秀一
原作:『レガッタ〜君といた永遠』原秀則
脚本:江頭美智留、清水友佳子
演出:新城毅彦、高橋伸之
音楽:大島ミチル
主題歌:『君という名の翼』コブクロ
挿入歌:『BAD DAY』ダニエル・パウダー
出演:大沢誠…速水もこみち、小田切操…相武紗季、八木聖也…松田翔太、田島千香子…若槻千夏、竹内美樹…清水由紀、篠塚ナツ…奈津子、篠塚アキ…亜希子、倉田健二…窪塚俊介、山口翔悟、石井智也、富川一人、山田浩太、川本貴則、長町太郎、川口覚、篠塚春子…宮崎美子、田島真之助…東幹久、伊藤裕子、加治将樹、鈴木亮平、比佐一成、中田祐矢、向井理、高木章雄、真山明大、高橋ひとみ、山崎一、柳ユーレイ、大富士、マスター…ブラザートム、乾和彦…佐藤二朗、滝大輔…山本太郎、高村秀之…山下真司