てるてるあした

第1回(2006年4月14日放送)

☆☆
 「雨と夢のあとに」がそれほどに好評を博したと言うことなのか、同じ脚本家で、黒川智花と木村多江が主演でという布陣で作られたのがこのドラマ(ちなみにブラザー・トムも引き続き登場)。今回もまた、幽霊がらみのファンタジーのようだが、その設定の面白味が第1回から提示出来ていた「雨と〜」に比べると、今作はずいぶんと地味な印象だった。
 借金苦の親に捨てられて一人「ささら」という町にやってきた主人公・照代(黒川智花)は、遠い親戚の久代(草笛光子)の営む下宿屋「笹乃館」に転がり込むのだが、そこで何度となく、少女の幽霊を見る。どうやらそれは、かつて教師をしていた久代の教え子・やす子(福田麻由子)らしい……という話と、夫を亡くして幼い息子と「ささら」にやってきたサヤ(木村多江)が、笹乃館の下宿人・陽太(金子昇)の身体を借りて現れた夫の幽霊と会う……という話が語られるのだが、どちらの話もまだ、海のものとも山のものともつかない感じで、何を楽しみに次回を見ればいいのかはまだわからない。初回なのだから仕方がないとも言えるのだが、語られないなりに何かが起こりそうだと感じさせるやり方もあるはずで、そういう趣向はまったく感じられなかった。
 さらに気になるのは、サヤの夫が死んだ時の話で「工事現場で鉄骨が落ちてきて……」なんて笑うべきなのか醒めるべきなのかよくわからないネタをしれっと入れてしまうあたりで、時折陳腐な方向に流れがちな傾向があった「雨と〜」を思えば、不安もよぎる。「雨と〜」の場合は、全体のしっとりとした空気感がそれをカバーしていたが、今のところはそういった印象もない。ただ、久代と夏江(大森暁美)、珠子(冨士眞奈美)が勢揃いしたのを見て

照代「何人ババァがいンだよ」

なんてモノローグを聞かせてくれる主人公のキャラクターはなかなか小気味よいので、面白くなる可能性はありそうだ。「雨と〜」で父親役だった沢村一樹のビミョーに古いポスターが貼られてたり(ささら出身の有名人なんだそうです)、野中マリア(杏子)のCDが出てきたりするお遊びは……まぁ、いいんじゃないでしょうか。(安川正吾)

てるてるあした

テレビ朝日系金曜23:15〜24:10
制作:tv asahi、MMJ
チーフプロデューサー:五十嵐文郎
プロデューサー:中込卓也、奥住尚弘、浅井千瑞
原作:加納朋子
脚本:成井豊、真柴あずき
演出:唐木希浩(1、2、5、7、10、11)、二宮浩行(3、4、8)、高橋伸之(6、9)
主題歌:『運命の向こう』平川地一丁目
出演:雨宮照代…黒川智花、水野サヤ…木村多江、松本陽太…金子昇、末広大八…ブラザー・トム、溝口エリカ…さくら、山田偉子…高部あい、中津川弁護士…鈴木浩介、雨宮信夫…福本伸一、道躰雄一郎、遠藤由実、中沢純子、関根航、林夏江…大森暁美、雨宮慶子…荻野目慶子、佐々良出身の有名人沢村一樹さん…沢村一樹、ナオト…海東健、栗原…山田明郷、大木…佐藤二朗、鉄平…小林正寛、国木田…米倉斉加年、江藤医師…おかやまはじめ、伊勢崎省吾…東根作寿英、水野泰三…綿引勝彦、五木に頼まれて来たボート好きな男…速水もこみち、小百合…大森美紀子、鈴木誠一郎…浅利陽介、沢井やす子…福田麻由子、手嶋珠子…冨士眞奈美、鈴木久代…草笛光子