プリマダム

第3回(2006年4月26日放送)

☆☆
 佳奈(黒木瞳)がバレエを続けるのに唯一の障害となりそうな夫の高太郎(古田新太)だったが、新聞の「熟年離婚」記事のおかげか意外にあっさり陥落。その数日後、佳奈の帰宅が遅かったことに高太郎がキレて、離婚かバレエかと問われた結果、佳奈はバレエをやめる覚悟をするも、それも結局はほんの数シーンで片が付く。そのメインエピソードにしても、中盤に挿入される吉村夏芽(高岡早紀)のロマンスが実は生保の勧誘だったという話にしても、すべてが予定調和の範囲内で進んでいってる感じ。そんな中で唯一ドラマ的な雰囲気を醸し出すのが、嵐子(中森明菜)とその息子・遙生(中島裕翔)がらみの部分で、遙生が匠先生(小林十市)のレッスンを思い出しながら、モップを使ってステップを踏むシーンなどはなかなかにみずみずしい。佳奈の働くハンバーガー屋に来て「いつまでも注文を取りに来ない」とご機嫌斜めな嵐子の浮世離れっぷりもハマってる。この二人が、本質的な意味で佳奈に絡んでくれば、もう少し面白くなりそうなのだが……。(安川正吾)

第2回(2006年4月19日放送)

☆☆
 佳奈(黒木瞳)はバレエ教室に通う決意をしたものの、やはり同様に通い始めたパート先の店長・山本(加藤雅也)が仕事を佳奈に押しつけて自分だけ行ってしまうせいで、なかなかレッスンを受けることができない。ようやくパートを早くあがれることになった日に張り切ってレッスンを受けるのだが、その日は夫の高太郎(古田新太)が部下を連れて飲みに来るという日(それにしても午後7時に自宅でスタートってえらく早いですね、製薬会社の営業マンってそんなもん?)。それでもやりくりできる計算のもとにレッスンを受けていると、その姿を娘の舞(夏帆)に目撃される。さらにそこに遙生(中島裕翔)やそれを探しに来た畠山(内藤剛志)もやってきて……と、こう書くと大騒ぎが起こったようにも見えるのだが、実際のところは穏やかに時間が進んでいったのみ。まあ夫の部下のもてなしを、普段は家事の手伝いなど全くしない娘達を巻き込んでなんとかクリアするあたりはそれなりに面白いものの、母親がバレエをやっているという事実を2人の娘があっさり受け入れて応援までしてしまうのは少々肩すかしだったか。パパには内緒ということになるも、レオタードを買ったとかいうことをダイニングで話していたりするなら、早々に高太郎にばれてしまうのもむべなるかなという感じ。いくらなんでもちょっと展開が早すぎやしないだろうかという印象も受けるが、まあ、そういう「予想しうるエピソード」を早めにすませておいて後半を意外な話で盛り上げるという「anego」路線を狙っているのかもしれず、もう少し見守ってみましょう。一方、前回も暗示されていたが、嵐子(中森明菜)が何やら重い病気を抱えているらしいことが判明。こちらの話が後半のキモになるのだろうか。
 まあスタンダードな出来映えのドラマなのだが、現状で何が一番乗り切れないかというと、オバサンのバレエなんか見たくないとさんざん揶揄される主人公が足を上げたりする姿が、どう見てもそういう謗りの対象になるようなものではないということ。そりゃまあ黒木瞳だからして当然なのだけれども、それならば“ルックス的なみっともなさ”関してはあまり強調しない方が良いのではないかと思うのだが。(安川正吾)

第1回(2006年4月12日放送)

☆☆
 今時のドラマとしては長い時間を使って、バレエそのものを見せてくれるオープニングは、丁寧でまず好感の持てる作り。そのバレエを楽しそうに見る万田佳奈(黒木瞳)とバレエ団の理事長である倉橋嵐子(中森明菜)は、子供の頃に一緒にバレエをやっていた仲なのだが、佳奈は今や“ただのおばさん”で、家事とハンバーガー屋のパートに明け暮れる毎日。第1回では、その佳奈が、嵐子の息子である遙生(中島裕翔)とたまたま勤め先のハンバーガー屋で知り合い、その向かいにできたばかりのバレエ教室に足を踏み入れることから始まって、バレエ教室のお掃除のパートを始め、さらにそこに踏み込んできた嵐子の言葉に触発されて再びバレエをやってみようと思い始めるまでが描かれた。ちょっと駆け足すぎたきらいもあって予定調和感は大きいものの、まあ初回だということを考えれば、さわやかなままに終えただけでもそれなりの評価をするべきかもしれない。それでも、保険の外交員・吉村夏芽(高岡早紀)やハンバーガー屋の店長・山本潔(加藤雅也)がバレエをやってみようと思うまでの過程はもう少し丹念に描き込んだ方が厚みが出たのでは、と思うと残念ではあるが。王道路線に直球勝負で挑んでいる姿勢はまことに好ましいけれど、ある程度の展開は予想できるだけに、それをどの程度裏切ってくれるかで最終的な評価は決まりそうだ。(安川正吾)

プリマダム

日本テレビ系水曜22:00〜22:54
製作著作:日本テレビ
制作協力:The icon
プロデューサー:西憲彦、志村彰、森雅弘
脚本:中園ミホ(1、2、3、5、6、8、10、11)、加藤綾子(3)、福間正浩(4、7、9)
演出:吉野洋(1、2、5、8、11)、猪股隆一(3、4、7、9)、萩原孝昭(6、10)
音楽:丸山和範
オープニング・テーマ:『誰も寝てはならぬ』歌劇『トゥーランドット』より
エンディング・テーマ:『花よ踊れ』中森明菜
出演:万田佳奈…黒木瞳、万田高太郎…古田新太、吉村夏芽…高岡早紀、青葉笑子…神田うの、倉橋遥生…中島裕翔、土井匠…小林十市、高杉民江…松島トモ子、三崎レイ…映美くらら、岩井千里…黒瀬友美、万田舞…夏帆、万田結…志保、吉村冬美…亜希子、山本潔…加藤雅也、西山繭子、岩橋道子、小田井涼平、安井真理子、斉藤レイ、戸井勝海、二階堂千寿、福下恵美、伊東孝明、山上賢治、昇二郎、高橋光、浅見小四郎、水野智則、菅野久夫、高橋将仁、武藤晃子、今泉あまね、吉岡麻由子、大西耕治、松村あやか、浅野和之、畠山秀介…内藤剛志、倉橋嵐子…中森明菜