弁護士のくず

第12回「愛と金」(2006年6月29日放送)

☆☆
 「逃げる場所はありませんよ!」って、豊川悦司は実は「7人の女弁護士」に出たかったらしい!?というまぁいかにもこの番組的なお遊びで幕を開けつつ(個人的にはこのネタは絶対キャバクラの企画という形で来るに違いないと踏んでいたんですけど……)、九頭(豊川悦司)と武田(伊藤英明)のコンビもひとまず見納めの最終回。……の割に、扱われるのは、突然婚約破棄をした元銀行員・笹野(坂本昌行)と、婚約破棄に対する慰謝料をつり上げ続けるその元婚約者・みはる(畑野ひろ子)の話って、えらく地味だなぁ。まあそれはいいとして、このみはるを

武田「エリートの妻になりそこねた腹いせに、慰謝料をふっかけるような人」

と言われるような女として見せたいのだろうとは思うが、そうではないということが既にたっぷり示唆されたあとでこんな台詞が出てくるあたりからして、なんだかちぐはぐな感じ。今回もそんな具合で密度の低い展開に終始するかと思いきや、弁護士という仕事が人の生き死にを左右することにビビってしまった武田が突然弁護士を辞めようとする話が絡んだことで、さすがに最終回らしい緊張感は加わった形。しかし問題はそこに行き着く過程で、一人訪ねてきたみはるを、相手側弁護士抜きでは話せないという規則を理由に武田が追い返した直後、みはるが睡眠薬を飲み過ぎて倒れてしまったことに武田が責任を感じるという、あまりにナイーブすぎるシチュエーション自体のせいなのか、それともやはりこのドラマ最大の弱点「語り口の普通さ」のせいなのか、武田がそれほど思い悩むまでの切実さがまったく感じられない。後半でこの部分とリンクする、笹野が業務上関わってしまった「死」のほうが、ずっと重いではないか。
 ともあれ、そんな武田を慰めるために加藤(高島礼子)が語るのは、2話でも語られた「九頭vs加藤」の裁判(詳細版)。12話の中で同じ話が2回も、展開的「切り札」として使われてしまうのも構成としてどうかと思うけれど(加藤には他に語るべき話はないのか!?)、この話のオチが武田の悩みにさほど対応していないように見えるのも、展開の締まらなさに拍車をかける。
 それでもなんだかんだで武田は再び裁判に臨み、実はお互いを思うが故の行動がこじれただけだった笹野とみはるの思いは、裁判を通じて通じ合う。その直前の

九頭「法廷は嘘つき合って損得を争うだけの場所じゃないんだ。言えなかった本当の気持ちをぶつける場所でもあるんだよ」

という台詞通りになった形だが、常識をひっくり返すことで真実を提示してみせる九頭の軽やかさが、辛うじてこのあたりで発揮されていたか。
 物語が収束した後は、いつの間にか恒例になってしまったグズグズ楽屋落ちコーナー。みのもんたが何の脈絡もなくワンシーン登場するなんて部分には、個人的には全く面白味を感じない(出演してないのにその存在感を感じさせる「吾輩は主婦である」とは好対照!?)けれど、九頭と武田のコンビの好ましさは確かに印象に残り、ドラマとしての出来映えとは全く別のところで楽しめたことは認めてしまおう。そういう意味で、続編があるのだとすれば歓迎するけれど、その時にはもっと見応えのあるエピソードをぜひお願いしたい。(安川正吾)

第11回「働く妻VS専業主夫」(2006年6月22日放送)

☆☆
 一代でのし上がった下着メーカーの女社長・小百合(杉本彩)と、その夫で専業主夫の平太(田辺誠一)の微妙な関係性を現すかのように、ダッシュボードの上でごろごろ転がる缶コーヒーが物語の発端となるあたりはなかなかに冴えており、先週分を以てついにこのドラマも脱皮を果たしたかと思わされた。しかし最終的に、第7話を彷彿とさせる生ぬるい人情話で終わってしまっては、冒頭の好印象も台無し。それらしく語った「リュサの童話」が実は口から出まかせだったあたりはまことに九頭(豊川悦司)らしいにしても、“悪い魔法をかけられていた母親”がありがたい話ひとつ聞いて改心してめでたしめでたしってのは正直面白いとは思えない。もはやこのドラマ恒例となった楽屋オチもそれ自体が悪いとは言わないが、今回のラストシーンのようにグダグダなものをやるぐらいなら、本編を密度濃くすることにもう少し力を注いで欲しいと言いたくなってしまう。(安川正吾)

第10回「名門大学生の犯罪」(2006年6月15日放送)

☆☆★
 今回九頭(豊川悦司)らが扱うのは、補導歴ありの青年・岡部(塩谷瞬)が、デートの穴場として知られている埠頭で名門大学生3人を負傷させその車を破壊した事件。ぱっと見は明らかに加害者側に非があるこの事件を「正当防衛」にまで持っていく過程で、九頭のナンパネットワークが活かされ、かつ武田(伊藤英明)は女装させられるわケンカの練習はさせられるわと、まさにこれまでの集大成と言うべきシチュエーションの連打。法廷での描写も小気味よく、中でもサクラを利用して大学生側から本音の一言を引き出すシーンはばっちり決まった。嘘も方便な最終弁論も九頭らしくていい。

九頭「依頼人をエコヒイキするのが弁護士の仕事だよ」

という中盤での何気ない台詞もなかなかに鋭く、ある種の問題提起とも取れる。そうそう、このドラマで見たかった話はこういうのだよ、というエピソードが10話目にしてようやく具現化してくれた感じ。毎週木曜10時とか、2年ぶりの主演ドラマなんだからとか、楽屋落ちネタが少々多すぎるような気もするけれど、本編さえ面白ければそれもまた良しといったところか。ただ、完全ネタバレのサブタイトルにだけは物申したい気分だが。(安川正吾)

第9回「夫婦三十年の追憶」(2006年6月8日放送)

☆☆
 三十年連れ添った夫婦の鈴木克雄(塩見三省)と博美(岡本麗)の熟年離婚話かと見せて、それをきっかけに克雄が長年勤務していた商社とその後に勤めたIT企業(その名も「ライブベンチャー」)のある悪巧みが暴かれ、結果として夫婦の愛も復活するという展開は、これまでのエピソードの中でももっとも「ドラマ的」だったと言えるだろう。ロバート・レッドフォードとバーブラ・ストライザンドの「追憶」が夫婦の関係性を象徴するものとして引用される定番の仕掛けも決して悪くはないし、夫婦役の二人も好演していた。だが結局は、それぞれの要素がバラバラなまま終わってしまったという印象。プロットだけを抜き出せば面白くなりそうな話なのに、結局はいつも通り、語り口に魅力が足りない。ファーストシーンで登場した鈴木夫妻の話が、博美が事務所に訪ねてくるシーンで再開されるまで7分半ほどもかかってる時点であまりにもバランスを欠いているし、克雄に起こったひどい出来事が克雄一人の回想で提示される部分も、見せ方として工夫がなさ過ぎるでしょう。そういうところに九頭(豊川悦司)か武田(伊藤英明)か、誰かレギュラーキャラが絡んでこその連続ドラマだと思うのだが。美月(村崎真彩)が九頭と加藤(高島礼子)をくっつけようとして武田がやきもき、なんてレギュラーキャラのみのやり取りは決して悪くないのだが、全体としての構成のまずさが足を引っ張り続けている。(安川正吾)

第8回「名誉毀損!噂の女」(2006年6月1日放送)

☆☆
 売春の噂をたてられる主婦・湯川みちるに石田ひかり、噂を立てるボス格の主婦・保住に深浦加奈子。もはやキャスト的にどれぐらい楽しませてくれるかのみが焦点となりつつあるドラマとしては正解な配役だろう。石田ひかりでこういう役と来ればどうしても、故・野沢尚脚本の「水曜日の情事」における「夫をセックスで殺したと噂される女」がかぶるのだが、向こうが限りなく黒に近いグレーで終始したのに対し、こちらは最終的には白黒ついてしまう。裁判で明らかになったこととは別の次元での真実があるのはいいけれど、その真実にしろ、湯川みちるがそれに至った理由にしろ、あまりにも手垢の付いたもので、まあこのあたりに期待出来るドラマではないのだとこれまでの経験でわかっていても、やっぱり残念な気がする。保住を法廷で追いつめるのがICレコーダーでの録音って部分も、手に入れる方法は違うにせよ、第1話と思いっきりかぶってるしなあ。美月(村崎真彩)をめぐる話が、これまでに比べてしっかり本筋とリンクしていたのは評価しておきたいポイントか。(安川正吾)

第7回「不適切な遺産相続」(2006年5月25日放送)

☆★
 アバンタイトルがあったのは、確か第1話以来。なのだが、これが効果的であったかと言えばまったくそんなこともなく。そういったフォーマットの微妙な変更にしろ、美月(村崎真彩)がレギュラーになったことでお色気重視だった作品の雰囲気が変わったことにしろ、作り手が試行錯誤をしている様子がうかがえるのだけれど、どうもそれが、本来持っていた軽快な良さを削いでいる気がしてならない。エピソード自体の不出来が他の部分にも悪影響を及ぼし始めた印象だ。今回にしても、老齢の男から1度の情事で遺産の一部を譲り受けることになったと主張する“魔性の女”・高井霧子役に三浦理恵子、それを拒否する男の実の娘にふせえり(「時効警察」の怪演も記憶に新しい)、息子に神保悟志と来れば、面白くならないわけはないと思えるのに、フタを開けてみればあまりに淡々とした出来映え。九頭(豊川悦司)がカメラ目線で「場外乱闘」と言うなんていうお遊びも、本編が充実していない状態では痛々しく見えてしまうのみ。そもそも、人間の綺麗事ではない部分を引っぺがしてみせる主人公が売りのドラマが、いい話で終わってしまってはもったいなさすぎると思うのだが。(安川正吾)

第6回「痴漢!女性専用車両の秘密」(2006年5月18日放送)

☆☆
 男女それぞれの論理がぶつかり合う痴漢冤罪ネタはいかにもこのドラマ向きではあるし、女性専用車輌の是非をめぐって九頭(豊川悦司)ら男性陣と加藤(高島礼子)ら女性陣が議論を戦わせるなんて枝葉末節に関しては相変わらず楽しめる(“ハートは女”のオカマ・ポン太(深沢敦)が女性専用車輌に乗るのは果たしてどうなのかってあたりの問題提起もなかなか興味深い!?)。武田(伊藤英明)はいつの間にかすっかり頼れる感じになって、白石(北村総一朗)にミニスカートをはかせての痴漢現場シミュレーションまでやってみせる!ただしこのシーン、おふざけとしては十分に可笑しいものの、展開を考えるとここできちんと疑惑が浮かび上がるような見せ方が欲しかったようにも思える。
 それに法廷で、痴漢の被害者・理沙(松下萌子)と目撃者・薫(一戸奈美)の関係などを提示したことにより、痴漢だと疑われた黒田(沢村一樹)の冤罪に関してはほぼ確定的になったと思われるのに、そこで九頭がわざわざ黒田に“仮面の告白”をさせるのはいささか無理があるのでは。それが黒田の、恋人への愛の誓いであると同時に本当の自分への目覚めとなるという趣向は分かるのだが、だからこそもっと必然性のある流れの中で見せてほしい。扇情的なタイトルも、中味が伴わなければマイナス要因にしかならない。(安川正吾)

第5回「私の父は九頭さんです!」(2006年5月11日放送)

☆☆
 タイトルが語る通り、九頭(豊川悦司)のことを父だと言う少女・美月(村崎真彩)が登場。前回願った「骨のあるエピソードを」とは全く真逆の方向ではあるが、無垢な少女と、子供の前でもセックスセックス言いまくる九頭とのカップリングはなかなかに楽しく、これまでの「九頭vs武田(伊藤英明)」の構図がすっかりかすんでしまうほど。しかしそのきっかけを作る九頭のテレビ出演については、行きつけのキャバクラで「区役所さん」で通していることを考えると少々奇妙で(以前、テレビに出ると弁護士だとばれるから報道陣からのインタビューから逃げる、ってシーンがありませんでしたっけ?)、もう少し別の方法があったのではないだろうか。ついでに重箱の隅だけど、青木裕子アナ(本人)が白石(北村総一朗)に聞く、「最近シングルマザーやシングルファザーの家庭が増えていますが、そういった家庭環境が子供達に悪影響を与えてはいないでしょうか」って質問もすごいな。こういう問題に関してはもう少し繊細な台詞回しが望ましいと思うのだが。
 ともあれ、自分は美月の父親ではないと言い張る九頭による本当の父親探しと、娘は結婚前に付き合っていた不倫相手の子だと言い出した妻(矢部美穂)とその夫(有吉弘行)のトラブルが平行して語られるのだが、どちらも食い足りないままに終わってしまって肩すかし。九頭が美月を引き取ると宣言して、さぁここからもう一波乱、かと思ったらそのまんま終わっちゃった。今回九頭がやったのは結局、富田(川崎麻世)に対する恐喝まがいだけだし、武田が担当した夫婦の一件にしろ、武田のその一言程度で夫婦のねじれた関係が解決できるのなら、弁護士なんていらないって話では。話だけなら☆★レベルも、ロケ撮影の美しさや美月のかわいらしさに★分プラスで、辛うじていつもの点数をキープといった感じ。(安川正吾)

第4回「死者の声!冤罪の真犯人」(2006年5月4日放送)

☆☆
 オープニング映像にhitomiのカットが追加された第4回、今回の九頭(豊川悦司)と武田(伊藤英明)の仕事は、高校の体育倉庫で遺体となって発見された女子高生・蕾(小町桃子)を手にかけたと目される山村(斉藤慶太)を弁護すること。テレビに盛んに出ては遺族の悲しみをアピールする被害者の父親・猪狩吾郎(平田満)が何やら怪しいのは、首筋のひっかき傷を見るまでもなく役者の格から考えても明らかなだけに、その可能性に九頭がいかに迫るかが今回の見どころとなった。殺害現場であるマットレスにいきなり寝ころぶなんて「アンフェア」の雪平(篠原涼子)かと思ったら、「ア〜ン、いいじゃんいいじゃん、ココじゃやだ〜」といきなり一人セックス芝居を始めてしまうあたりはいかにもこの九頭という男で、にやりとさせられたところ。
 そしてクライマックス、第1話以来久しぶりに法廷シーンが出てきたのは喜ばしいことだし、映像を利用して世間を欺こうとしていた父親が逆に映像(しかもAV)によってその隠された素顔を暴かれてしまうという趣向は悪くない。しかし、被害者の女の子が顔出しでそこまではっきりしゃべってたら、報道された時点でネットなんかで取り沙汰されるよな、今時……なんてのは、してはいけないツッコミでしょうか。前回はフロッピーディスクなんてアイテムが一般的なものとして登場したし、舞台は10年ぐらい前だって思った方がしっくり来たりして。そういえば、すでに2回もネタになってるAVが元気が良かったのも、少し前な気がしますしね。ともあれ、九頭と武田の関係性もずいぶんこなれてきたところで、そろそろ骨のあるエピソードを見てみたい気もするのだけど、かなわぬ願いだろうか。(安川正吾)

第3回「美人作家の盗作」(2006年4月27日放送)

☆☆
 デビュー作と写真集を同時発売して売れっ子になったセクシー美人作家・瀬能セリ(北川弘美)のサイン会場に殴り込んだ女・豪田珠美(片桐はいり)を、ご指名を受けた武田(伊藤英明)と無理矢理付き合わされた九頭(豊川悦司)が弁護することに。謝罪で穏便に済まそうとするも、セリのデビュー作は自分の作品の盗作だから逆に訴えると珠美が言い出す。ルックスだけの女のようにも見えるセリは充分に怪しいけれど、珠美も珠美で、武田のことを「クリストファー」と呼ぶメルヘンおばさんだったりしてこれまたにわかには信じがたい。こういった、どちらを信じたらいいのかがわからないがゆえの面白さが過去2回に比べて楽しめたのは、珠美を演じたのが片桐はいりという存在感のある人だったせいだろうか。その勢いのままに後半に入り、九頭が「シンデレラはわざとガラスの靴を落としていった」と一席ぶつあたりから(サイズがぴったりの靴がそう簡単に脱げるはずはない、という理屈には目からウロコの思い)、事件の核心に迫っていくまではかなり楽しめた。しかしその真相が露呈するシーンや、それがどういう結末を招いたかについてはもう少しピリッとした描写があってもいいと思うのだが、そういった部分は相変わらず普通すぎる語り口。ついでに重箱の隅をつつくなら、今時フロッピーって小道具もどうなのか。こういった部分をもう少しきちんと詰めれば、なかなかの娯楽作品になるのだろうに、まだそこまでのレベルには行き着けない。(安川正吾)

第2回「ちょいワルおやじvs不良少女」(2006年4月20日放送)

☆☆
 トランプの手品や、自宅用プラネタリウムの写す星空が「見えてないものの象徴」とされてラストにつながるのはいかにも(いい意味で)ドラマ的だし、本音とは寿司のわさびのようなものでわさびだらけの寿司なんて食えるか、とか、便所でウンコしている姿がその人の本質か、などと問いかける九頭(豊川悦司)の台詞もいい。しかし、18歳にしてAV出演経験ありの美人局、真琴(三津谷葉子)を中心としたメインエピソードはどうしても新鮮さに欠ける印象。今期だけでも本作を含めて3本も弁護士ドラマがあるような現状においてはいかなる話も既視感があるのは仕方ないこととしても、それならそれで見せ方や語り口にもう少し工夫の余地があるような気もする。真琴の出演したAVをちょっとだけ見ちゃって悶絶する武田(伊藤英明)、なんてシーンは面白いだけに、同様のテンションでゲストキャラに関しても描写してくれたらと思うのだが。
 しかし、ヤクザの事務所に乗り込んで間を持たせるために刑法を暗唱するなんて部分ではそれなりに個性が出ているにしても、この九頭という男が“法廷で”どう戦うかについて描くことを2話目にして放棄したのはあまりにもったいないのではないか。かつて加藤(高島礼子)が九頭と戦ったという話も、加藤の言葉で伝えられるだけではあまりにもったいない。役者が好演しているのに、全体としての出来映えがかくも“普通”なのはちょっと残念だ。どうでもいいけど、クレジット映像のラストカットがドコモショップじゃなくなってますね。(安川正吾)

第1回「躍るセクハラ裁判」(2006年4月13日放送)

☆☆
 正義をふりかざさず口は悪くオネーチャン大好きという弁護士、「弁護士のくず」こと九頭(豊川悦司)と、理想に燃えるがゆえに九頭とやり合う新米弁護士の武田(伊藤英明)の軽快なやりとりは、なるほど確かに見ていて楽しい。そういう雰囲気を醸し出せただけでも、第1回としては合格点とすべきなのかもしれない。しかし、器はそれなりのものが出来ているのに中味が伴っていないというか、冒頭の自殺未遂を止めるあたりにしても、メインエピソードたるセクハラ訴訟の描写にしても、「型破り弁護士もの」として抜きんでた面白さが出てこなかったのは少々残念か。セクハラ訴訟で最後の“隠し球”となる田部井(伊藤正之)に接近するまでは、確かにこの主人公のオネーチャン好きを活用した形でそれなりに楽しめたが、証言を拒む彼を落とす手口がICレコーダーでの録音ってのは、ドラマとしてはいささかインパクトに欠けるんでは。訴訟に勝利した後で明らかになる“真実”にしろ、この手の展開はすでにドラマでは常道なのだからして、せめて見せ方でもう少し工夫をしていただきたいところ。
 とはいえ、繰り返しになるがキャラクターは1話にしてすでに確立されているだけに、エピソード次第でいくらでも面白くなりそうな期待感はある。それにしても、ドコモダケ大フィーチャーの上にクレジット映像のラストカットはドコモショップって、スポンサーに忠実なドラマだなぁ。(安川正吾)

弁護士のくず

TBS系木曜22:00〜22:54
製作:ドリマックステレビジョン、TBS
プロデューサー:貴島誠一郎、橋本孝、川西琢
原作:井浦秀夫『弁護士のくず』
脚本:荒井修子(1、2、3、5、7、10、11、12)、瀧本智行(4、6、9)、中島淳彦(5)、きだつよし(8)
演出:今井夏木(1、2、5、8、12)、竹村謙太郎(3、7)、酒井聖博(4、6、10、11)、森嶋正也(9)
音楽:梅堀淳
主題歌:『GO MY WAY』hitomi
出演:九頭元人…豊川悦司、武田真実…伊藤英明、小俣夕花…星野亜希、国光裕次郎…モト冬樹、川田郁夫弁護士…佐野史郎、矢賀照代…安めぐみ、関原仙一…宇梶剛士、田部井順二…伊藤正之、京塚克彦…吉永雄紀、柴木健吉…掛田誠、キャバクラ店長・真崎…北原雅樹、古沢真琴…三津谷葉子、須永貴史…小川直也、佐橋准哉…波岡一喜、キャバクラ嬢・さくら…有村実樹、豪田珠美…片桐はいり、瀬能セリ…北川弘美、尾形郁也…正名僕蔵、編集者・宮園…蒲生純一、アヤ…石橋奈美、ミナ…シトウレイ、猪狩吾郎…平田満、猪狩聡美…筒井真理子、山村真介…斉藤慶太、猪狩蕾…小町桃子、佐藤栄…佐藤二朗、真壁栄作…ノッチ、秋野美月…村崎真彩、富田賢太郎…川崎麻世、秋野葉月(写真)…和久井映見、秋野月夫…小市慢太郎、秋野美恵…栗田よう子、小塚陽子…矢部美穂、小塚新平…有吉弘行、矢島民雄…中条きよし、黒田真吾…沢村一樹、オカマ・ポン太…深沢敦、黒田幸造…石田太郎、黒田真希…椋木美羽、古沢裕樹…深水元基、オカマ・ヒト美…坂本ちゃん、オカマ・ケメ子…弓田真好杜、水原理沙…松下萌子、大谷薫…一戸奈美、秋野美月…村崎真彩、高井霧子…三浦理恵子、徳大寺貴…須賀貴匡、亀有房子…ふせえり、羽根田真一…神保悟志、インリン・オブ・ジョイトイ、木村翠、高井悦子…佐々木すみ江、羽根田仁…高橋元太郎、湯川みつる…石田ひかり、保住京子…深浦加奈子、湯川良純…甲本雅裕、根津友紀子…渋谷琴乃、担任・横山…青木伸輔、鈴木克雄…塩見三省、鈴木博美…岡本麗、高井武…東根作寿英、岡田常務…森次晃嗣、岡部省吾…塩谷瞬、赤地杏里…酒井彩名、木原悠馬…安居剣一郎、友田理穂…松岡恵望子、末木琢…肥後克広、高橋和彦…脇知弘、琴美…直林真里奈、前田敦夫…沼田爆、遠山辰夫…中根徹、金田英輔…笠原秀幸、仲原信夫…矢倉亮、秋野美月…村崎真彩、大塚平太…田辺誠一、大塚小百合…杉本彩、川上真由美…久保恵子、櫻井昌世…武藤晃子、笹野優司…坂本昌行、金盛みはる…畑野ひろ子、永見栄治…小木茂光、金盛孝枝…田島令子、友情出演…みのもんた、白石誠…北村総一朗、加藤徹子…高島礼子