クロサギ

第1回（2006年4月14日放送）

☆☆
　かつて詐欺師によって家族を奪われた黒崎（山下智久）が、自らプロの詐欺師専門に詐欺を働くクロサギになってあくどい詐欺師たちに復讐を果たしていくという、つまりは詐欺師をだます詐欺師の物語。黒崎だから“クロサギ”ってことは、違う名前だったら違うサギになってたってことでしょうね。
　悪をもって悪を懲らしめるお話ということで、言ってみれば『ハングマン』調なれど（ちょっと古いですか）、主人公が若者だからか、皮肉っぽいニュアンスは控えめに、ちょっとしたヒロイックな御伽噺のようにも映る。冒頭から美しい裸の山下智久が登場するわけなのだから、早々察しをつけなければいけなかったということか。
　悪質なシロサギ（＝金銭狙いの詐欺師のことを指すらしい）の新川波江（杉田かおる）に1千万円だまし取られた町工場を営む松村圭祐（尾美としのり）が黒崎の力を借りて、せっかく復讐を遂げようとしているのに、余計な正義感を振りかざす吉川氷柱（堀北真希）が随所に邪魔してくれたおかげで、成就されるに決まっている展開もそれなりにハラハラして見ることが出来た。氷柱は大学生の設定だが、どう見ても中学生ぐらいにしか見えないところも、主人公とのバランス的にはちょうどいいのかな。
　詐欺師の元締のような存在である桂木役の山崎努は、テレビドラマでは久しぶりにお見かけした気がする。本来は新生土曜ドラマにこそ出てほしいのだけれど。（麻生結一）