偽りの花園
第13週(2006年6月26〜30日放送)
☆☆☆
美禰子(遠山景織子)と顕彦(松田賢二)が懸命に更正させようとするのにもかかわらず、アメリカ兵を「今浜」に連れ込んだりして、プチ美琶子的トラブルメーカーであり続ける露子(有坂来瞳)も気になるけれど、この最終週をまず盛り上げてくれたのは意外にもとき子(増田未亜)。小物ならではのねちっこい地道な調査で、顕彦と結婚していた美琶子(上原さくら)という女の存在と、それが実は顕彦の妹であることまでも突き止めたと思ったら、なんと美禰子が美琶子を殺したことまで推理してしまった!その情報をどうするかと言えば、さすが女優、引退公演という形で舞台にして、美禰子が美琶子を刺したシーンを再現してしまう。この舞台上のシーンと現実が美禰子の頭の中でないまぜになって、なんとこんなところで上原さくらが待ってましたの再登場。視聴者の要望に応えてのサービスカットって感じ?ともあれこれが、上原さくらの顔見せの最後となりました(実際はその翌日放送分で、短いイメージカットがあったけれど)。いやはや、たっぷりと楽しませてくれましたね。
その舞台を最後に顕彦の前から姿を消すと言っていたとき子は、本当に気が済んでしまったらしくあっさりとドラマからも退場。さあ次なる仕掛けはと思えば、なんと赤ん坊の頃の美禰子を捨てたという母親が登場。どうして今更と思わせつつ、実はそれが露子の育ての母だったという運命の悪戯に、なるほどそういうことかと膝を打つ。かくして美禰子と露子は“血は繋がっていないけど姉妹のようなもの”という、やっぱり美琶子を彷彿とさせる関係性に。けれど母親と会えたことがよっぽど嬉しかったらしい露子は無事更正して「ジェイン・エア」を読む娘となり、ドラマはどんどんと大団円に向かっていく。その合間に語られる、ひかる(寉岡萌希)、進一(佐野和真)、そして裕之(森脇史登)という若い3人による“シラノごっこ”の話は、いかにも挿話という感じで他のエピソードとのリンクはほとんどないけれど、それでも初恋の瑞々しさと残酷さを存分に感じさせ、まさに一服の清涼剤となった。
最終回の白眉は、美琶子を殺したことを警察に自首する決意をした美禰子と、丹(今陽子)、ひかる、そして権蔵(山田辰夫)の“家族水入らず”の夕食シーン。急に大真面目に美禰子への感謝を述べる丹に思わず涙する美禰子、それに対して(ただ一人、美禰子の決意を知る者として)「泣くな」と言う権蔵。あまりに幸福でそして切なく、美しい。
七年後ということになるか、昭和三十一年に服役を終えて出てきた美禰子を顕彦が迎えに来る……という穏やかなシーンで、この壮絶なるドラマの幕は閉じる。クレジットの映像が家族写真というのもまた気の利いているところで、千葉の両親といる美禰子と美琶子、早瀬川家の人々と美禰子、そして「今浜」の人々と美禰子……と、決して穏やかなものではなかった美禰子の人生が、幸せな笑顔の写真で追想されていく様に、生きると言うことの本質さえも見せられてような気分になった。ぞうりカツレツなどのネタ的魅力もさることながら、話そのものをきちんと盛り上げそして収束してくれるという、今時ゴールデンではなかなかお目にかかれないような正統派の“劇”。すばらしい作品でした。(安川正吾)
第12週(2006年6月19〜23日放送)
☆☆★
5年前に美禰子(遠山景織子)が美琶子(上原さくら)を刺して殺したことをひかる(寉岡萌希)が顕彦(松田賢二)に告げたことをきっかけに、この第4部にもずいぶん動きが出てきた。その罪を美禰子と一緒に分かち合うべきだと考えた顕彦が、それを美禰子に伝える前にしたことは、婚約していたとき子(増田未亜)に別れを告げることだった、って、ちょっと順番が違う気もしますけど、いや、違わないのか?ともあれ、とき子が何を聞いても理由を言わずただ別れるの一点張りな顕彦は、これこそ前週に本人が言っていた「善人のいやらしさ」全開。嫉妬の塊となって、ひかるにつらく当たり、今浜にまで追いかけていくとき子はむしろ被害者とも言えるのだが、職業が女優であるからして、その嫉妬に狂う様はいちいち芝居がっかってる(と、顕彦も後に述懐)。しかしそんなとき子に、チェーホフの戯曲をぶつける攻撃を食らわすひかるもなかなかの大物っぷりです。
とはいえもはや、とき子程度の怖さでは大して盛り上がれない視聴者の気持ちなどわかっているとばかりに、投入された次なるキャラクターは、顕彦が立川で拾ってきた女・露子(有坂来瞳)。顔のみならず、米兵相手のオンリーでしかもアバズレであるところまでどこかそっくりだと勝手にその姿に美琶子を投影してしまった美禰子と顕彦は、この露子の更正に尽力することで、美琶子への贖罪になるのではないかと考え始める。なるほど、直雄(平松豊)が盗んだために足りなくなった勘定を、客と寝ることで補填するあたりの露子の図太さはなかなかのものではあるが、それでもその破天荒っぷりは美琶子レベルには程遠い。それでも、この女を更正させることで、ずっと美琶子の影につきまとわれていた美禰子に幸福が訪れるというのならば、それも見てみたいとは思わされる。ここまで大げさなドラマを繰り広げておきながら、露子役に上原さくらをキャスティングしたりはしないある種の節度の有り様も、評価しておきたいところかもしれない。それにしても、露子にあれを読ませよう、あれも聞かせようと盛り上がる美禰子と顕彦を見て、普通ならば嫉妬しそうなものなのに、むしろそれを歓迎するひかるはやはりなかなかの大器っぽい。(安川正吾)
第11週(2006年6月12〜16日放送)
☆☆☆
美琶子(上原さくら)死す!吉原に焼夷弾の雨が降る中、美禰子(遠山景織子)に包丁でぶすっとやられて!当然それは、先週終盤の、美琶子によるひかる(遠藤真宙)の誘拐・監禁に連なる形で起こる。ひかるに対し、美禰子ではなく自分こそが本当の母親だと偽って「お母さん」と呼ばせたり、ひかるがミモザ館にいることを疑ってやってきた顕彦(松田賢二)に対しひかるの幽霊が自分に話しかけてくる芝居をして、ひかるがそう望んでいるから自分を以前のように愛してくれと顕彦に迫ったりと、常軌を逸し続ける美琶子だが、そんな美琶子のことを「ただものではない相手」とようやく認識した美禰子は、度胸を据えてついに最後の対決へと出かける。ここでの二人の会話がいい。
美禰子「結婚式の当日に、私の結婚相手を奪っていくなんて、あんなことは美琶ちゃん、あなたでなけりゃできないわ」
と、まるでその才能を褒めるかのような美禰子に対し、美琶子は
美琶子「でも、あんたから奪って奪って、奪い続けてるうちに、私はどんどん不幸になって行ったのよ」
と。その微妙な関係性が行き着くところは結局、どちらかが死ぬしかないということなのだろう。持ってきた包丁を一度は奪われる美禰子だけれど、ひかると心中すると叫ぶ美琶子から包丁を果敢に奪い返し、そしてついに刺してしまう!まさにこの作品のクライマックスにふさわしいその場面は、ひかるがそれを目の当たりにしたことで、さらにドラマティックなものとなった。その悲劇が空襲と日を同じくしたがゆえに、美琶子は空襲で死んだものとされ、美禰子の罪は露呈しないままになる。またしても、美琶子は単に「行方知れず」とされるのではないかと一瞬は期待したが、顕彦がその遺体を確認したからには、もう登場しないのであろう。もはやこのドラマ中にその実体がある必要はなく、美琶子は死んで尚、いや死んだからこそ、美禰子の人生に影を落とし続けるのだ。
美禰子「美琶ちゃんがこの世からいなくなったのと引き替えに、私は罪の意識という重い十字架を背負うことになりました」
というナレーションの通り、罪の意識に耐えきれない美禰子は顕彦に離縁を迫る。その直後に顕彦が徴兵され、よもやこの人までも退場か、と思わせて第4部へ。ここまでなら先週に引き続き、☆☆☆★かと思わされた。
少女に成長したひかる(寉岡萌希)が、友人に喫茶「モナムール」に連れて行かれることで、次なるドラマの幕が開く。この「モナムール」の店主とき子(増田未亜)は女優でもあるのだが、実は、戦争から無事帰ってきた後に劇団の仕事に手を染めていた顕彦の婚約者だった。ひかるが顕彦の娘だと知ったとき子は、ひかるを引き取りたいと言い出し、顕彦と再会した美禰子はそのことを告げられる……というのはまあいかにも昼ドラではあるのだが、これまでの怒濤の展開からすると、オママゴトのような印象をどうしても受けてしまうか。美禰子に相対するキャラクターとしてのとき子という女も、現状においては、美琶子はもちろん栄子(鮎ゆうき)の足元にも遠く及ばない小物という印象だし。
それにしても、成長した進一(佐野和真)の口から早瀬川家のその後が淡々と語られていたが、茜(山口いずみ)が亡くなったのは年齢的に納得出来るとしても、栄子と寛治郎(小林高鹿)に関する説明はナシ、一体どうなった!?まあ息子である進一が普通に過ごしているからには、まぁ普通に生きていると言うことなのだろうけれど。今後何らかの形で盛り上げてくれるのかとも期待してしまうのだが、話の流れ的にはすでにお役ご免のようでもあり、そういうあざとくも楽しい展開への期待はもう捨てた方がいいのだろうか。顕彦の演出する舞台が「牡丹と薔薇」で、とき子が演じるのが「善人のイヤらしさ」ことぼたんだったりするあたりのお遊びは楽しいけれど(美琶子が生きていたら、さしずめ川上麻衣子が演じた鏡子役でもやってたことでしょう!?)、次週月曜放送分の次回予告にまでその舞台が登場しているようでは、先行きが少々不安にもなるような。(安川正吾)
第10週(2006年6月5〜9日放送)
☆☆☆★
風邪気味だという顕彦(松田賢二)を自分がせがんで吉原まで送ってもらったにもかかわらず、その容態が悪くなったことを美禰子(遠山景織子)のせいにするのを皮切りに、美琶子(上原さくら)の理不尽な行動はどんどんエスカレート。美琶子から贈られたドレスを目の前で切り裂いた瑠璃子(大家由祐子)が当面の標的かと思われたが、むしろ美禰子のほうに早々に牙をむく。美禰子の両親を探すためだと写真を撮り、その写真を「ミモザ館」の娼婦の一人として飾ったまではちょっとした悪意といった感じだけれど、その「娼婦・ミネ子」を指名した客を消息不明の父親と偽って美禰子に会わせ、よりによって顕彦との結婚披露のその直前に売春行為をさせるまで行くと、
美禰子「あんたって、悪魔に取り憑かれてるんだわ」
と視聴者的にも言いたくなる。それに対して美琶子曰く、
美琶子「あなたには売春をして貰わなくちゃいけなかったの。売春をしたその体で、顕彦さんを愛せるんだったら愛せばいいんだわ。その上での愛だったら私、あんたの愛を信用してあげてもいいわよ」
こういう、理屈が通ってなさすぎるがゆえに説得力のある台詞はまさに母親の丹(今陽子)譲りと言ったところ。そして美禰子は、行きずりの男に汚された体で祝宴に出る羽目になる。宴に遅れて登場した美琶子は、早瀬川家の爵位の話を始めて場をすっかり白けさせるのだが、それ以上に、本来なら花嫁のためのものである白いドレスをこれ見よがしに着ているあたりもまた静かに空恐ろしい。ともあれその一件で美禰子は顕彦との愛の営みをすることができなくなってしまい、まさに美琶子の思う壺。一方、悪魔の化身美琶子は瑠璃子に対しても攻撃の手を緩めず、栄子(鮎ゆうき)や瑠璃子なじみの巫女を金で買収して、瑠璃子は1年以内に死ぬと言わせる。その言葉にすっかり神経衰弱になってしまった瑠璃子だが、そんな瑠璃子を結果的に死へ追いやったのは寛治郎(小林高鹿)のおやすみのキスって、女だったら誰でもいいらしい寛治郎の無節操っぷりもある意味超人的かも。
美琶子の悪魔的所業はさらに続くのかと思われたが、自身の妊娠が発覚したことで小休止。美禰子に対しては、木炭をかじりながら顕彦の子供だと言ってみせる。けれど日本に来て以来美和子と顕彦の性交渉がなかったことは誰よりも視聴者が知っているわけで、このブラフは次回予告を盛り上げる以上の意味はないのではないかと思ったが、その後顕彦と隼一(泉政行)の前で美琶子が
美琶子「体は隼一の子でも心はお兄様の子なのよ」
とまったく意味不明なことをさらりと言い、顕彦も隼一もそれをまんざらでない感じで聞いているなんてシーンをやられると、この3人の関係性を描くためには必然だったかとしみじみ思わされてしまう。
ここでスポットライトを浴びるのが隼一で、美琶子に対し
隼一「俺が死んだら、あんたの中に棲みついてる魔物も大人しくなるんだ。(中略)あんたの体はきれいに澄み切って、暴れることもなくなる」
と、半ば願いのような意味深な言葉を告げた直後に、憲兵に撃たれて死んでしまう。この隼一という男、決して出番は多くなかったにもかかわらず、フンドシ一丁の隼一の遺体を裸で抱いてあたためようとする美琶子(しかも顕彦の前で!)なんてシーンがたいして異常にも感じられなくなるほどに、美琶子との愛の形がしっかり印象づけられていたことについては、まったくもって作り手に敬服するほかない。先週のレビューでうっかり書き忘れた金魚鉢の水イッキ飲みシーンなんかももちろん効いているのだが、何よりも“若いチンピラ”というステレオタイプに収まらないキャラクターのディティールをしっかり描きこんだ脚本と演出の勝利だろう。
隼一が死んで悲嘆に暮れる美琶子は続けざまに子供を流産し、すっかり覇気を失ってしまう(病院のベッドでの、まるで人形のような表情が怖すぎる!)。隼一の予言通り、これで美琶子の中の魔物がいなくなるかと思いきや、栄子に対し
美琶子「こんなに妹をいじめて楽しむお姉様なんて滅多にいやしない。私、泣きながらでもそのいじめに耐えていくしかないんですわ」
なんて自らを全く省みない言葉が出るあたり、どうやら全然変わってないっぽい。それどころか流産によって“顕彦の子供”に対する執着が強まったらしく、その標的は美禰子から美禰子と顕彦の娘・ひかるへと移動。空襲より怖い美琶子は、空襲のどさくさにまぎれてひかるを誘拐・監禁する……というところで次週へ。ヒロインへの仕掛けがレイプからその子供狙いへと展開していく様は、この枠としてはずいぶん既視感もあるけれど、進一(高橋平)やひかるが軍国少年・少女になっているようなご時世もさらりと描写しつつそれがそのまま事件につながっていく筆致はお見事。古典的なドラマツルギーに加え大ネタ小ネタまでを駆使して盛り上げるその職人芸は、今週こそがピークかもしれない。(安川正吾)
第9週(2006年5月29〜6月2日放送)
☆☆☆★
「ユリエ=美琶子」は、丹(今陽子)的にはビンビン直感でわかるらしいも、顕彦(松田賢二)はまだ客観的な事実とは言えないと及び腰。そんな顕彦を丹は
丹「直感で何が悪いのよ。そんなこと言ってるから話が前に進まないのよ!」
と一喝する。またしても丹語録に加えたいなかなかの名言なれど、台詞のインパクトではさらに上を行っているのがユリエ(上原さくら)で、ついに千葉の育ての両親まで引っ張り出した美禰子(遠山景織子)たちに対し、自分が関西の生まれであることを思い出したと主張し、
ユリエ「うちはあんたらの言う、美琶子とかいうヘンな女やあらへんで。(中略)二度といやらしいイチャモンつけんといてや!」
とぬるめな関西弁でカメラ目線ですごんでみせる!
この少し前に、生みの親と育ての親の違いを見せつけた杉枝(増子倭文江)が明かした、美琶子なら脇の下にホクロがあるという話がもしかしたら決定打になるかもしれないと思わせるも、欲情したふりでユリエを愛撫しその脇を開かせようとした顕彦はふがいなくも失敗してしまった。何より顕彦が、自分を愛するふりをしたことに痛く傷ついたユリエは、どんな手を使ってでもその恨みを晴らすと宣言!その手段が、自分に言い寄ってきた若い男・隼一(泉政行)に頼んで「今浜」を破壊させることだったのは、このドラマとしてはいささか普通のようにも思えたが、それは実はプレリュードに過ぎなかったようで、時を同じくしてユリエが顕彦に出した料理が「ミラノ風草履カツレツ」!先週のクギ入りパンで溜飲を下げてる場合じゃなかったわけです。これがこんがり揚がっててけっこう美味しそう。出来映えにはユリエも自信があったらしく、
ユリエ「欲しがりません、カツまでは!」
とダジャレまで披露して(考えすぎ?)顕彦に食べろと迫る。しかしそこで激昂した顕彦に殴られたことで、一気に美琶子としての記憶が戻ってしまった。やっぱり食べ物で遊んじゃいけませんね。
それでもまだ自分が美琶子だと認めきれないユリエは、関西人のニセの両親を「今浜」に連れて行き、自分が美琶子ではないとアピール。その足で早瀬川家にも行き、茜(山口いずみ)や栄子(鮎ゆうき)を前にして言うことは
ユリエ「私、死んでも顕彦さんから離れません。どんなに嫌われても突き飛ばされても、膏薬のようにべったりと張り付いてやるわ」
と来たもんだ。美琶子時代は確かヒルになってへばりつくとか仰ってましたが、今度は非生物ですよ!
しかし、ここまでほとんど主役の座を奪われてしまってる状態の美禰子としても負けてはいられない。ユリエと対決するために「ミモザ館」へと足を運ぶのだが、そこで娼婦の朱実(山口あけみ)が、かつて羽生(川口真五)の祖父・桑太郎(守田比呂也)からもらったあのルビーの指輪をしていることを見つける目ざとさは、ユリエの破壊力と互角にやりあうだけの資格はあるといったところ。かくして美禰子的には「ユリエ=美琶子」が確定となり、後はユリエにそれを認めさせるだけの状態に。
美禰子「ねえ。ダンスしましょう」
と二人でステップを踏みながら懐かしネタ攻撃を仕掛けるも、記憶が戻ったふりをするユリエの方がやっぱり一枚上手。しかし火事場の馬鹿力とはこのことか、美禰子は客とSMプレイの最中の朱実から証拠の指輪を奪おうとし、いやがる朱実と阻止しようとするユリエの三つどもえの戦いに。階段落ちまで披露したその指輪争奪戦の勝者は美禰子!指輪に彫られたイニシャルも確認され、「ユリエ=美琶子」がついに明るみになってしまった。自分のイニシャルが8週越しで役立って、桑太郎も草葉の陰で喜んでることでしょう。
すっかり大人しくなったユリエ改め美琶子は、美禰子や丹らと仲むつまじく団らんのひとときを過ごす。美琶子が海で遭難して以降のこともかいつまんで語られ、美琶子の数奇な運命につい同情しそうになるのだが、美禰子の娘・ひかる(遠藤真宙)が本能的に美琶子を避けるあたりから、今後の波乱が予感され始める。“顕彦の妹”として早瀬川家に入り込んだ美琶子だが、当然栄子は面白くない。美禰子のとき以上に、「おぞましい」だの「獣同然」だのという言葉をさんざん使って美琶子を攻撃する。栄子と美琶子の関係を心配しているらしい丹に美禰子は、
美禰子「でも、美琶ちゃんは私とは違うわ。決して負けやしないでしょう。五分に渡り合って勝負しそうだわ」
とさらりと言うのだが、
丹「それが心配なんだよ。あの性格だからね」
と言う丹のほうが当然のように正しいことが、翌日の金曜放送分で明らかに。まずは手始めとばかりに、「ミモザ館」の女たちや隼一らを招待して早瀬川家でらんちきパーティを決行してしまう。いつもは厳格な磯崎(堀越大史)でさえパーティに加わってへべれけになっているあたりの描写も可笑しいが、美琶子と口論になった瑠璃子(大家由祐子)が美琶子にワインをひっかけられるようなことがあっても、熙道(佐藤仁哉)の開く酒席はこんなものじゃなかったと言いながら平然としている茜が何よりすごすぎる。ともあれ瑠璃子は、さんざん“欲求不満”だとか侮辱された挙げ句に、不審火で家を焼け出されてしまうわけで、美琶子的にはとりあえずザコから片付けたって感じでしょうか。その事件の裏では美琶子が糸をひいていることを感じつつ美禰子は
美禰子「その憎しみの刃が自分に向けられることのないようにと、ひたすら願っていたのです」
というナレーションで今週を締めくくるのだが、その切なる願いこそが、今後の展開を言い表していることは間違いないだろう。もちろん、それがかなわないという意味で。(安川正吾)
第8週(2006年5月22〜26日放送)
☆☆☆
美禰子(遠山景織子)がナレーションで語っていた「想像もできないような奇怪な発展」の方向性は十二分に想像できるものであったけれど、まさかこれほどまでに奇怪がエスカレートし続けるとは、さすがに想像できなかった。一週間見通して、精神的にも肉体的にもどっと疲れが押し寄せてくるほどに、ユリエ(上原さくら)が大爆発を超えた大爆発を繰り返す!
時は昭和18年1月、和やかなシーンといったら、週冒頭の顕彦(松田賢二)とひかる(遠藤真宙)の羽根突きの余韻ぐらいか。酒を酌み交わしながらこたつで語り合う顕彦と権蔵(山田辰夫)のツーショットにしたって、ちょっと前までは拷問しつくしあった敵同士ですからね。
寛治郎(小林高鹿)命名によるミモザ館なる娼館をオープンさせて、ご機嫌だったユリエなれど、夜の営みを拒絶されるなり、顕彦に女がいることを確信。玄米パンに恨みの五寸釘を入れて、ついに戦闘モードに入る。『真珠夫人』『牡丹と薔薇』で繰り返されてきた面白食べ物系がここでも模倣されるも、まだまだこれぐらいは序の口も序の口であったことがのちのちにわかってくる。
息子の進一(平野翔大)が元母・美禰子を訪ねたことに激情して、今浜に乗り込んだ栄子(鮎ゆうき)と丹(今陽子)による本格的な対決がようやく実現するのだが、この激突はもう少し早く見たかった気も。ついちょっと前までは美禰子いじめの急先鋒だった栄子も、ユリエ登場以降はもはやかわいい常識人にさえ見えてしまうので。
結局、丹が栄子を大罵倒して溜飲を下げるも、その仕返しに栄子はユリエに美禰子と顕彦の関係を全暴露。そのリアクションとしてグラスを素手で握り潰す、ユリエの相撲取り並みな情念的握力がまたすごい。
ここからは核心への前ふりの連打に。なるほど、美禰子と美琶子の肖像画は、ひかるが恐れおののく「絵と同じ顔の女の人」を導く小道具として使われるのか。不死身の権蔵はお届けものの猫いらず入り毒饅頭で危うく死にかけ。美禰子と顕彦の情事中にホテル(?)に突入したにも関わらず、あの狭い空間でもニアミスで済ますあたり、やはりユリエは常なる奇跡の人ということか?!
そしてついにユリエが今浜に上陸。いきなりに刃物沙汰を起こすも、これは特高式に捕獲されて不完全燃焼。あの顔で刃物を振り回して啖呵をきるっていったら、美琶子以外には考えられないという結論に達する理詰めの推測がこうも笑えるのは、あまりにもそれらが言いえて妙だからだろう。
その後の今浜を舞台にしたユリエ=美琶子論争においての、人の出入りの激しいことといったら。ユリエにしても、実家に戻る習慣性を取り戻したかのように、ちょくちょく顔を見せ始めるし。一方、丹は台詞中に「近親相姦」というキーワードをこれでもかと登場させる。
丹「そのものずばりの近親相姦じゃないか」「そりゃその方がね、近親相姦にならないで済むからいいけどさ」他多数
ユリエの悪態ももはやとどまるところを知らない。かつての写真を見せられるや、美禰子を「どぶ鼠みたいな女学生」呼ばわり、丹にいたっては呼称を腐れ婆に限定。
ユリエ「私は私よ!」
と自己存在を主張し、人の婚約者を好きになって、その男と結婚式の夜に海に逃げたなんていう、そんな悪い女に仕立て上げたいのかといきり立つも、もはやユリエはそんな悪い女よりも悪い、そんなハレンチな女よりもハレンチという、ある種の成長の軌跡をまざまざと実感させてくれるあたり、ドラマもだてに10年以上の月日を刻んではいない。
丹が自分の境遇を「手早く言えばオメカケ」とショートカットしたのちに、「妹と兄が夫婦になってちゃ、犬猫じゃあるまいし」とまたまた近親相姦に本筋を戻そうとするも、それに対してユリエが真っ向から反論する掛け合いは本当にすさまじかった。
ユリエ「世の中には、(だんだん遅く)言っていいことと悪いことがあるんだよ(号泣!)」
そしてまたまた懐から刃物!散々振り回した挙句に、ついにはダーツのごとく美禰子めがけてそれを投げ放つ。
ユリエ「この次は生かしちゃおかないからね」
との捨て台詞は、最初からとどめをさす気はなかったということか。
満州では鉄火場渡り歩いてきた筋金入り・ユリエはそんじょそこらの輩とはやはり度胸から違う。栄子の励ましに対して、
ユリエ「やるときはやりますよ」
って、その目力たるや、もはやカッコよすぎでしょ。対して、危険な目にあいながらも、「しゃべる呼吸がまさに美琶子」との冷静な状況分析も忘れなかった美禰子のクールビューティぶりは、ユリエとはあまりにも対照的で面白すぎる。
満州からの娼館メンバー・朱実(山口あゆみ)にプレゼントしたはずだったルビーの指輪はその昔、剛(川口真五)との婚約指輪に等しかったも、強引に美禰子との共有物にしてしまったもの。それを手にしたユリエは、ついにフラッシュバック大会に突入する。上原さくらが演じるユリエにして美琶子は、もはや昼ドラの歴史になりつつある。(麻生結一)
第7週(2006年5月15〜19日放送)
☆☆☆
第2週以来、ついに美琶子=新しい名前はユリエ(上原さくら)が復活!これまでになく盛り上がったのも当然だが、これ以上を今後に期待するのももはや難しいか。いくらなんでも、美琶子が二度死ぬ展開は考えづらいので(再登場早々、汽車に身を投げて死ぬと、らしいことをおっしゃっていましたが)。
死のうとした回数だけなら、美禰子(遠山景織子)だって美琶子に負けていない。獄中の顕彦(松田賢二)に拒絶された際には青酸カリをあおったが(実際には睡眠薬だった)、今度は美禰子が美琶子の偽者であることを暴露するぞと肉体関係を迫ってきた運転手の中田(樋口浩二)にはその肉体に触らせることなく(せっかくの帝都ホテルの予約が無駄に)、車ごと岸壁から転落しての無理心中を図る。自らをぼろぞうきん呼ばわりし、その肉体は犬にでも何でもくれてやるとまで言い放った美禰子の決心のままに、後部座席から中田のハンドル操作を狂わせるために身を乗り出す姿には鬼気迫るものがあった。
しかし、中田は死んでしまうも、美禰子は意識不明からあっさりと回復して無事生還。一度死に損なうと生きる気になるというけれど、自分にそれは当てはまらないと美禰子は言うが、実際にはこれは二度目の自殺につき、それもまた当てはまらないというこんがらがりぶりがまたこのドラマらしい。
なおこのエピソードは、第2週に登場した貴婦人がたくましくていい男のお抱え運転手と心中するという、美琶子の定番の夢が具現化した形でもある。そのあたりの念の入れようもさすがだが、天国か地獄かは定かではないも、自殺が成就した暁には美琶子との再会を確信する美禰子のモノローグが、まさに近々の将来を暗示していたとは。
ここで美禰子が顕彦(松田賢二)との子供を授かっていることが明らかに。
丹(今陽子)「とうとう偽者が本物を!」
とまたぬけぬけと名言を吐いてしまう丹はやっぱり素敵すぎる。今回の騒ぎで早瀬川家が世間からの糾弾にさらされてしまったことに責任をとり、美禰子が今浜に戻って7年後の昭和17年11月。この間、ただ一人真実を知らされていなかった早瀬川伯爵(佐藤仁哉)がその全貌を掴んだ途端に心臓発作でダウンしてしまったのには、そりゃそうでしょうと思わず納得。ドラマ的に二度目の発作は命取りという設定は二度目があることが大前提で、今浜に美禰子(遠山景織子)を訪ね、孫・ひかる(遠藤真宙)と初対面。顕彦(松田賢二)を満州から呼び寄せて家督を譲る約束までするも、帰宅するとすぐに二度目の発作に襲われて、早瀬川伯爵は帰らぬ人に。
ここに戦時下につき、宝塚も松竹少女歌劇も男装の麗人が禁じられた社会情勢説明解説してくれた栄子(宝塚出身の鮎ゆうきに語らせるあたりが楽しげ)と丹との、早瀬川家の家督をめぐる全面戦争に突入かと思いきや、そうはならずに物足りなく思っていると、今浜に客としてやってきた天津芸子斡旋組合の一団の一人として、ミモザ屋というの娼館の経営で成功した顕彦が再登場。七年ぶりの語らいの中で顕彦が口走る満州の「女房のようなもの」にピクっとなる。実際には前回分(第33回)の予告編で、ちらっとその姿が映っていたために、次回のあの人の再登場はわかってしまっていた。ここまでじらしてくれたのならばそれも隠してくれればさらにビックリできたのに。
どちらにしても、真っ赤なルージュのユリエがここに初登場。大陸を越えての押しかけ女房とはさすがスケール壮大も、到着するなりに伯爵家がそれほどでもないとの毒舌ぶりはどう考えても美琶子その人。
寛治郎(小林高鹿)「コケテッシュで派手は美貌だから、男受けはするだろうな。(中略)どうみてもあれは、高級娼婦あがりってとこだな」
実際にはダンスホールの元ダンサーだったらしい。時代背景ばかりか、エピソードも朝ドラ『純情きらり』とかぶってるのが興味深い。
早瀬川伯爵への焼香のために、ひかるを連れて久々に早瀬川家を訪れた美禰子は早々ユリエとニアミスでヒヤヒヤ。茜(山口いづみ)がユリエにその素性を尋ねて、
ユリエ「私、無国籍者ですの!」
とにこやかに答えるユリエはやはり期待度大だ。過去について考えると頭が痛くなるキャラで、ここまで笑っていいのかは微妙だが。
ユリエ「何もかもわからないってところが面白いって、顕彦はおっしゃってくださって……」
確かに面白い!ドラマを見て、誰かに電話したくなったのは久しぶりである。(麻生結一)
第6週(2006年5月8〜12日放送)
☆☆★
自分のお腹を痛めて生んだ子ではない赤ん坊を愛することの出来ない美禰子(遠山景織子)は紆余曲折の末に母親の心持ちになれるも、ほぼ時を同じくして顕彦(松田賢二)は赤色テロの容疑で再び逮捕される。それによって熙道(佐藤仁哉)は枢密院の副議長を辞職し、「家運は尽きた」とまで言う状態に。しかし早瀬川家がそうなったおかげで、美禰子と顕彦の近親相姦話に嫉妬とも興奮ともつかない行動をとっていた寛治郎(小林高鹿)が「普通の夫婦になろう」なんて言い出すのだから、人生いったい何が幸いするかわからない?
そして3年が過ぎ、美禰子には伯爵家夫人としての気品が備わり、栄子(鮎ゆうき)や瑠璃子(大家由祐子)からの呼び方も「美禰子さん」から「美禰さま」に格上げ。実は栄子の子供である進一(丸山歩夢)とも親子としてすっかりなじんでいる。進一が自分に懐かないと愚痴る栄子に対して、瑠璃子がさらりと「何か魂胆があるんじゃないかって、子供は直感で分かるのかもしれないわ」なんて言ってのけるあたり、実はこの人が一家のなかで一番のクセモノだったりして。
美禰子は、刑務所からあと7、8年は出られないはずの顕彦のもとに毎週面会に行っているのだが、美禰子に触れ合いたい一心の顕彦は思想を転向して出獄することを決意。懸命に頼み込む美禰子の兄妹愛に感動した熙道(佐藤仁哉)は顕彦を許すことに。シャバに出てきた顕彦を迎えて、早瀬川家での宴の席が設けられるのだが、めでたいはずの場は美禰子と顕彦の“近親相姦”を知っている栄子、寛治郎、茜(山口いずみ)らによる攻防へと早変わり。顕彦と寛治郎が取っ組み合いをし、そこに熙道は「それが薩摩の伝統たい!」とワインをふりかけるというよくわからない状況になるのだが、ここでも瑠璃子がすかさず「どうしてこんなことになるのよ、会話が読めないわよ!」とナイスなツッコミを入れてくれる。たたみかけるように伊織(原知佐子)が久方ぶり(ドラマ内時間ではゆうに4年ぐらいぶり?)に三味線片手に乱入して、「この早瀬川家こそ呪われろ! 赤鬼も青鬼も、みんな出て来ゃんせ!」などと叫んだかと思うと、場内は「ア、ヨイヨイ、ヨイヤサット」とおはら節の大合唱へ。4週目の同様のシーンでは美禰子の醒めたナレーションがここで入ったのだが今回はそれもなく、視聴者は否応なくその異様な世界に飲み込まれるのみ。鹿児島出身者としては、この曲がこんなふうに大フィーチャーされるのは嬉しいようなそうでもないような複雑な感じです。
ネタ的にはこのおはら節こそが今週のクライマックスだったが、ドラマ的にはもう一盛り上がり。出獄して以降肉体関係をまたしても重ねる美禰子と顕彦だったが、顕彦は“近親相姦”への罪悪感からか、はたまた思想を捨てたことへの後悔からか、美禰子に冷たい態度を取るように。美禰子の目の前で女にキスをし、ベッドインまで見せつけて、あげくのはてに「3人でやろう。うぐいすの谷渡りをやる、お前も来い」なんて言いながらヒステリックに笑い出す有様。その一方で、月曜放送分で疑惑を抱いて以来3年越しで調べていたらしい運転手の中田(樋口浩二)の密告により、美禰子が実は“偽物”であるということを茜は知る。「今浜」に乗り込んで、丹(今陽子)に対して
茜「ふてぇアマ!」
と言い放つ茜は、普段が穏和なだけにものすごい迫力。かくしてついに早瀬川家の者に美禰子の素性がばれてしまうも、茜は激高するでもなく、むしろ美禰子と顕彦が近親相姦ではなかったことに安堵するかのように、
茜「あなたたちはもう会っていいのよ」
と、二人のの仲を公認する発言を。近親相姦じゃなくっても不倫には変わりないと思うんだけど、そのあたりをまったく問題視しないのがどこか先週の栄子のムチャクチャさにも通じて、これが華族っていうものかとある意味納得。この人達から見れば、この枠の前作「新・風のロンド」の主人公達などはオママゴトをしているかのようでしょうね。
ともあれ、美禰子が“偽物”であることが意外と早く明らかになったなという印象なのだが、来週で折り返しであることを思えば、そろそろ頃合いでもあったか。常に視聴者の期待の先を行く勢いは好調のままだ。(安川正吾)
第5週(2006年5月1〜5日放送)
☆☆☆
美禰子と顕彦がついに早瀬川の屋敷で対面。実は早瀬川家の種ではない美禰子的には単なる運命の悪戯だが、顕彦的には
顕彦「近親相姦だよッ!」
というわけで大いに衝撃を受けた様子も、美禰子とは“さわやかな兄妹愛で愛し合う”ということでとりあえず一段落。美禰子の吐き気も“想像妊娠”ということで収拾され、単なる小ネタだったかと思わせたが、妊娠話は意外なところで再燃してくる。出戻りの長女・栄子(鮎ゆうき)が、新婚早々肉体関係を結んでいた美禰子の夫・寛治郎(小林高鹿)の子供を妊娠するまでは昼ドラ的よくある話だとしても、その対策として栄子がぶち上げた“破廉恥きわまる、とんでもない策略”こそが今週のハイライトだった。まずは
栄子「美禰子の身体の調子が狂うぐらい責め立ててくれなくっちゃ」
と寛治郎をそそのかし、それで眠れなくなった美禰子が体調を崩したかのように周囲に思わせるまでが軽い小手調べ。その上で実行に移されたのは、転地療養の名目で美禰子と二人で軽井沢の別荘に10ヶ月間こもり、その間に生まれた自分の子供を美禰子の子供と見せかけるというあまりに大胆な(寛治郎的には「きわどい」)プランだった。舞台が軽井沢に移ってからは栄子の独壇場で、
栄子「あたくしが妊娠した寛治郎さんの子をあなたが産むの」
と寛治郎との肉体関係をさらりとカミングアウトしつつ、レモンの汁をまき散らしながら
栄子「あたくしのお腹は月を追う毎にだんだん大きくなってくるわ。あなたにも大きくなっていただかなくちゃ困るの。(中略)他人事のような顔をしないで頂戴!」
と、あまりに筋が通っていないが故に妙に説得力のある台詞で美禰子を一喝し、自分のお腹が大きくなるのに合わせて美禰子にもお腹に詰め物をするように強要するわ、
栄子「さぁ、やさしく触って! やさしく、そぉっと! そぉっと撫でて!」
と自分のお腹を美禰子に触らせて、恍惚としてネグリジェ姿で寄り添うわ、
栄子「さぁ、呼びかけなさい!私がお母様よって、呼びかけて頂戴!(中略)母親なんだから、あなたが母親なんだからッ!」
と言いながら大きくなったお腹に美禰子の顔をグリグリ押しつけるわ、もうやりたい放題。“美を追い求めながら背徳を繰り返す”のが華族というものなのだと身を以て知った美禰子は諦念の境地でそれに付き合っていたのだが、会いに現れた顕彦にだけはお腹の詰め物を全部かなぐり捨てて真実を話してしまう。詰め物に使っていた水まくらが投げ捨てられて破裂したのが合図となったかのように二人の気持ちの枷もはずれ、二人は今度は“兄と妹として”ベッドイン。美禰子を抱きながら
顕彦「お兄様と言え」
とささやく顕彦の背徳っぷりがいい。しかしその関係が程なく栄子にばれ、美禰子はますます後戻り出来ない状態に。やがてやってきた出産の日、隣のベッドでいきむ栄子に合わせてなぜか一緒にいきんでいる美禰子というシーンは大いに奇妙だが、ここまで来ると見る側としてもそれが当然かなぐらいの感覚になってしまうわけで、いやはや慣れとは恐ろしい。かくして、実は早瀬川家の血を引いていない偽物である美禰子は、実は美禰子の血をひいていない偽物の赤ん坊を抱いて再び屋敷に戻ってくる。誰と誰が血が繋がってるのか、誰が繋がってないのかの混線はさらに深まった形。
とまあこんな破天荒な展開の裏側で少々かすみ気味ではあるものの、早瀬川熙道(佐藤仁哉)が、あまりに自分にそっくりだから愛することが出来ないと顕彦に面と向かって激白するシーンや、その顕彦も関わったテロで部下を失った糸川(山田辰夫)の怒りなんて骨太な部分もしっかりと描いていて、それゆえに決して浮ついた印象のドラマになっていないのも大いに評価したい部分。唯一残念な点と言えば、知り合いにこの面白さを伝えたくても、あまりに関係性が複雑すぎてちょっとやそっとでは伝えきれないことぐらいか!?(安川正吾)
第4週(2006年4月24〜28日放送)
☆☆☆
話題になった『真珠夫人』『牡丹と薔薇』の両作品よりも、今回の『偽りの花園』の方が出来ばえ的には充実していくのではないかと早々予感させるほどに、破天荒な展開がいよいよのってきた感じだ。ドラマがはじまってまだ4週しか経っていないのに、ヒロイン=美禰子(遠山景織子)の苗字が3回も変わっちゃうあたり(矢作→糸川→早瀬川)、やはり並ではない。
左翼活動に傾倒している顕彦(松田賢二)を勘当、除籍し、実の娘と思い込んでいる美禰子に家督を継がせようとする早瀬川伯爵(佐藤仁哉)は早速に執事・磯崎(堀越大史)を遣わして、その旨を丹(今陽子)に伝える。丹もまさか本当の娘・美琶子(上原さくら)は心中自殺しましたとも言えず、美禰子を美琶子の身代わりに早瀬川家に送ることを即決。この先偽者を演じ続けなければいけない運命に当然のごとく抵抗する美禰子に対して、
丹「人間生きてりゃ、とんでもないことをやらなきゃいけないってときがあるんだよ」
と言い放つ丹の居直りっぷりこそが、このドラマの肝である。この台詞は今後何かにつけてエコーのように響いてくるのだろう。
早瀬川伯爵に対する執事・磯崎(堀越大史)の報告は、
「大変ご健康そうでお美しいお嬢様(=美禰子)」
とのこと。確かに後述は肯定するが、前述はどうだろう。どう見ても不健康そうなんだけど。
それにしても、手が紫になるほどに木刀でガンガンとやった特高刑事・権蔵(山田辰夫)によって死に至らしめられた作家の石母田(小須田康人)の、その拷問のディテールにわたる説明はあまりにも凄惨だった。誇張に彩られたドラマ中にあってこういったリアルな現実を突きつけられると、いっそう強烈に印象付けられる。なお、一緒に捕まった女優のいずみ(秋本渚)も、裸でいすに縛り付けられて辱めを受けたとのこと。
直々にお出ましになった早瀬川伯爵から確か娘の名前は美琶子だったかと問われて、途中で改名したともっともらしい嘘をつく丹が、早速に「人間生きてりゃ、とんでもないことをやらなきゃいけないってときがあるんだよ」力を発揮。さらには、早瀬川家から送られてきた産着、認知した印の金杯、そしてへその緒の三種の神器を美禰子に披露する。これさえ持ってれば根性も座ってくるし、生まれながらの華族のお姫様だという気構えも出来てくるって、毎度のごとくむちゃくちゃなことをいう人だと思いつつ、それをかみ締めるように言い聞かせるあたりはある種潔いとも言える。金目当ての部分が確信的であったか否かはわからないも、バイタリティはさらに満ち満ちてきて、最初のころよりも人間臭いキャラクターになってきている。
あまりの紛らわしさにわからなくなった人もいるかと心配されてか、念押し的に丹は磯崎に改めて説明する。美禰子は女学生の時に改名した名前、それが現在の通り名も、戸籍上は美琶子。ここで磯崎が「つまりは美禰子=美琶子」とすべてを単純化してくれるのはありがたい。美琶子の再登場は規定事項につき、再びこんがらがった際にはまた磯崎が単純化してくれるのだろうか。
再逮捕されて権蔵に拷問された顕彦は、せっかく面会に来た美禰子を邪険にする。絶望した美禰子は、各人に遺書をしたため、体を許したおりに顕彦に手渡されたペンダントの中の青酸カリをあおって自殺を図るも、結局は直雄(平松豊)に寝坊すけ呼ばわりされる程度に朦朧とするのみ。ってことはあれは単なる睡眠薬だったってこと?
新調した真っ白なドレス姿を鏡に映し、かつて真っ赤なドレスを着て貴婦人を夢想した美琶子を回想しながら、すべてはその呪縛がもたらす運命と位置付けて、
美禰子「私も綺麗かしら?豪奢かしら?貴婦人のように見えるかしら?」
と鏡に向かって語りかける美禰子がこの第4週の白眉。決して真実を明かせぬ偽者として生きていくことへの不安をサスペンス的に内包する中、美禰子はついに伯爵家の人となるのだった。
期待通りに早瀬川家の奇妙な面々も早々その存在感を存分に発揮し始める。芸者の妾腹の娘には絶対に負けない、支配してやると息巻く出戻りの長女・栄子(鮎ゆうき)は美禰子潰しの急先鋒に名乗りをあげる。これまた出戻りの脱力系、次女の瑠璃子(大家由祐子)は同情的というよりもいっさいのなる気なし。維新の功労者であった今は亡き曽祖父は酒乱で自分の妻を切り殺しておいて大泣きする薩摩男の典型?先代の後妻にして元芸者・伊織(原知佐子)の、取り澄ました雰囲気を乱痴気騒ぎに早変わりさせる三味線演奏での乱入は、あまりにも唐突で、美禰子ならずとも不安になってしまった。
驚くべきは、美禰子の結婚相手である寛治郎(小林高鹿)は何と栄子の嫁ぎ先だった貧乏男爵家・曽我の三男って。美禰子に対するファーストインプレッションは、
寛治郎「どこか草の香りがするなぁ!」
そんな寛治郎に対して、
美禰子「ちょっと軽々しい気がして。それにあんなイナゴのような感じの人。嫌ですわ」
磯崎が顕彦の母・茜(山口いづみ)の意向で顕彦に面会した際、美禰子と顕彦が恋人同士であったことが発覚。丹と権蔵もその事実を知ることとなり、知らぬは本人同士ばかりなり。さらには、栄子が美禰子の結婚初夜に割り込んできて、寛治郎と肉体関係に陥るは、登場人物の入り組みようはとどまることを知らない。これは久々に見ごたえのある昼ドラになりそうだ。(麻生結一)
第3週(2006年4月17〜21日放送)
☆☆★
婚礼の日に、美琶子(上原さくら)によって婚約者・羽生(川口真五)を奪われるという衝撃的な出来事から逃げるように、美禰子(遠山景織子)は新橋へ。美琶子の“身代わり”となって、丹(今陽子)の料亭で働き始める。視聴者的には、死体が見つからない美琶子はどう考えたって生きてるだろ!って感じなのだが、それは今後のお楽しみってことで、1年が経過。“一番かぐわしい年頃”となった美禰子の話と平行して、早瀬川伯爵(佐藤仁哉)の息子・顕彦(松田賢二)の話が語られ始め、物語にぐっと奥行きが加わった。
この顕彦、左翼活動に身を投じており、それ故に特高の刑事である丹の夫・権造(山田辰夫)に睨まれている。その一方でそんなこととはつゆ知らない美禰子はこの顕彦と偶然出会い、あっという間に心を奪われ、密会する仲に。おさらいをしておけば、早瀬川と丹の間に生まれた娘は実は美琶子なのだが、早瀬川は美禰子こそが自分の“種”だと思いこんでいるわけで、早くも人間関係の糸は混線気味。さらにこの週半ばで語られた要素として、顕彦が実は早瀬川の妻・茜(山口いずみ)と先代・達顕(波多江清)との間にできた子かもしれないという疑惑もあり、こうなると誰と誰が血が繋がってて誰が繋がってないんだか混乱しそうになってしまうのだが、そういう、一口では到底語れないややこしい(そしてそれが故に、しがらみの強い)関係性を綿密に紡ぎ上げていく様は、さすがに中島脚本と言うべきか。
一度ブタ箱行きになっても反省しない顕彦は、やがて早瀬川から勘当され屋敷を出る。時を同じくして美禰子は“だましてお見合い”をさせられたことに戸惑い家を飛び出すのだが、御輿を担ぎすぎて肩にできたタコを触らせるような人が相手じゃそりゃ飛び出したくもなるわけで、このあたりの雑魚キャラの醜悪な存在感がすばらしい。ともあれ二人は初めて会った喫茶店でばったり会い、勢いのままにベッドインして、その直後に顕彦がプレゼントするペンダントには何が入ってるのかと言えば青酸カリって。一瞬目が点になるも、それはいつ死んでもいいと思っていた顕彦が死なないことを決めた証であって、「僕の命の鍵」なんて言葉を使われるとすんなり納得出来るような気がしてしまうあたり、リリックの力を思い知る。それにしても、そんな二人の関係とは別のところで世界は動き、顕彦が勘当されて家督を継ぐ権利を失ったことのとばっちりが、まわりまわって美禰子へと降りかかってくる(現在はまだ予兆に過ぎないが)なんて、あまりにドラマティック。3週目で一気にここまで持っていくためであれば、1週目の低空飛行も仕方なかったかと思わされた。
美禰子「それは手の込んだ運命の網の目。私を絡め取るための妖怪の手のような触手が、まっすぐに伸びてきたのでした」
と、美禰子の不穏なナレーションにも拍車がかかる一方。なぜか千葉の両親が美禰子の元に送ってきた、ズタズタになった美琶子の肖像画がクローズアップされるごとに、言いようもない不気味な印象がしてしまうあたりもなんとも上手い。話はそれるが、作家の石母田(小須田康人)や劇団員の牧村(大隈いちろう)といった顕彦の左翼仲間達も個性豊かで楽しく、いいスパイスになっていた。
ちなみに、羽生を演じた川口真五氏、顕彦を演じる松田賢二氏は、「仮面ライダー響鬼」でともに仮面ライダーとして戦っていた二人(しかも弟子と師匠という関係だった)。ライダー系俳優がこの枠に出演するのはもはや常道とはいうものの、同じ番組に出てたライダー二人と恋に落ちたのはこのドラマのヒロインが初めてかも?(安川正吾)
第2週(2006年4月10〜14日放送)
☆☆
美禰子(遠山景織子)にとって剛(川口真五)との婚約指輪にも等しかった指輪が美琶子(上原さくら)との共有物になっちゃった後からの第2週。それにしても、これでもかと畳み掛けられる美琶子のえげつない行いの数々がおぞましいやら、笑ましいやら。いろいろとない交ぜに絡み合ってくる中で、次はいかなる不条理を突きつけてくれるのかと、いつしか美琶子の爆発ぶりをこそ待ち望んだりもして。剛の寝床を覗きに行ったりなんてまだまだ序の口で、剛の祖父・桑太郎(守田比呂也)の危篤と告げる偽電報でおびき出したり、さらには剃刀で襟足を剃ってと、拒絶されるや、だったら首をかききってと激情を噴出させるすべてにおける唐突ぶりがまったくもって尋常じゃない。仮にそれが、結局は自らで髪をきるというそれらしい
行為にとどまったとしても、あれほどの迫り様は異様というか、気持ち悪いというか、 拒絶されて当然と思われたのだが……。
愛してればパッションが渦巻くと、捨て子だったら体を投げ出すぐらいのことはしないとっていう美禰子への助言はもはやフランス文学の世界?! 裏で剛に「うっとうしい」
って言われて、
美琶子「捨て子なんかに負けやしないから」
とさらにライバル心を燃やすあたりは完全に常軌を逸している。
両親に美禰子との結婚を反対された剛とそのことにキレた美禰子の義兄・武夫(加瀬尊朗)との殴り合いの喧嘩は、ロケーション最高の海辺にて。大いに殴られておかしくなったか、剛はそれを分岐点にこれまで散々嫌ってきた美琶子(上原さくら)と淫乱にまみれることに。これからも双頭の鷲のように少しも離れない宣言は、
やはりフランス文学からの引用!だけど結婚はしないとお妾になる宣言をするその心は、何でも分け合ってきた乳姉妹の強制維持ということか。さらに、ヒルのようにへばりついて、血を吸って生きていくと、もはや言ってる言葉が意味をなしていないほどのそのデタラメぶりがちょっと気持ちよかったりして。
ルビーの指輪の共有が象徴的に、悪魔(=美琶子)の計略にまんまと引っかかった美禰子をいっそう影の薄い存在にする美琶子は、今度は自らによってつけられた口紅の跡を、自らで美禰子に言いつける自作自演を披露。これは美琶子に言わせれば、愛の極地ってことなんですけど。さらには、体を重ね合わせる中で、首を絞められれば死んでもいいと言い放つよ。さすがに罪の意識に押しつぶされそうな剛は、美禰子の作った愛情いっぱいのライスカレーをいきなりに吐き出すのか!
終いには、耐えるのが運命なのは捨て子だからと美禰子を評する美琶子、ひどすぎます。そりゃ、剛だって出家宣言でもしたくなるでしょ。桑太郎の臨終の場で剛と絡み合ってみせる現場をついに美禰子に押さえられてしまうも、その際の美琶子の深刻ぶりがちょっとうれしそう?
当然に美禰子は美琶子をビンタするも、すると反対に包丁で殺してと迫る美琶子は更なる上手。負けじと剛との結婚式を意地になって決行しようとする美禰子をさらに上回ってくる美琶子。貴婦人(=美琶子)がたくましくていい男なお抱え運転手と心中するというレビュラー番組らしいその夢がまた気持ち悪い!それをトピックに剛と死に方談義をじっくりと深めた美琶子は、結婚式当日に美琶子に死んで詫びるとの遺書を残し、あこがれの心中を実行に移す。ところが、沖に打ち上げられたのは剛の遺体のみ。美琶子はどこへ消えた?
とことん芝居がかった感じがそれっぽいなぁなんて思っていると、「芝居がかっていて不自然」と美禰子に指摘させるあたり、かゆいところにまで手が届く中島丈博先生のダイナミックな筆致にただただ身を任せるしか他に方法がないドラマだ。美禰子と美琶子で名前が紛らわしいドラマ的タブーも狙い通りということか。放送禁止用語も炸裂させて、劇的なるものが今後もこれでもかというほどに詰め込まれていくことでしょう。(麻生結一)
第1週(2006年4月3〜7日放送)
☆★
「牡丹と薔薇」の脚本家による久々の昼ドラは、タイトルCGの一昔前風な質感といい、「牡丹〜」であの妙に耳につく挿入歌を歌っていた人が主題歌に格上げされているあたりといい、どちらかと言えばバッドテイストを感じさせるのだが、それがむしろ期待に繋がるあたりがこの枠の奥深いところ。だが本編の方は、とりあえずこの第1週に関して言えば、意外と地味めに終始したか。
千葉の網元のもとで育てられた乳姉妹の美禰子(遠山景織子)と美琶子(上原さくら)だが、美琶子は実は早瀬川という伯爵と芸者の母親・丹(今陽子)の間に生まれた娘。だが美琶子はそれを知らず、ただ華やかな貴婦人に憧れている……というのがひとまず踏まえておくべき要素。美琶子が伯爵家の血筋であることは、水曜放送分で、育ての母・杉枝(増子倭文江)から美禰子に対してのみ明かされるのだが、ここで杉江が長年の秘密を明かすことに何一つ必然性がないのはあまりに手薄だし、それを聞いた美禰子が「今更ながらに深い衝撃を味わって」いる割には、美琶子に対する行動がその後全く変化していないように見えるのもしっくり来ない。それにしても、そのシーンで
美禰子「やっぱり美琶ちゃんは貴婦人……貴婦人だったんだ!」
杉枝「だから私は不思議な気がしてたんだよ。人間の生まれってものは、争えないものだね」
なんて台詞がやりとりされてる裏で、美琶子は
美琶子「梅奴と呼んでちょうだい」
なんて言いながら男に媚を売っているわけで、「やっぱり貴婦人」と言うべき人に微塵も見えないのはどうしたものか。どう見ても母親の血の方が濃いようですよ。
大人しい受け身な女(=美禰子)と主張し奪う女(=美琶子)というのはこの枠としてはお馴染みの構図だけれど、美琶子の行動があまりにも唐突で切実さが感じられないせいか、はたまた美禰子がドラマ的に何もしていないせいか、現状ではそのバランスが悪すぎる印象。美禰子と婚約した羽生(川口真五)や、その祖父・桑太郎(守田比呂也)の指輪がらみの話にしても、序盤を引っ張るには弱すぎる。帯ドラマのスタートとしては低調な部類に入るように思うが、ここから一体どういう境地に視聴者を連れて行ってくれるのか、お手並み拝見と言ったところだろうか。(安川正吾)
偽りの花園
フジテレビ系月〜金曜13:30〜14:00
制作:東海テレビ放送、東宝株式会社
企画:鶴啓二郎
プロデューサー:服部宣之、塚田泰浩、今村眞治
原作・脚本:中島丈博
演出:皆川智之、村松弘之、加門幾生、坂梨公紀
音楽:村松崇継
主題歌:『偽りの花園』SYO−1
出演:糸川美禰子…遠山景織子、早瀬川顕彦…松田賢二、早瀬川茜…山口いづみ、早瀬川栄子…鮎ゆうき、早瀬川寛治郎…小林高鹿、藤原とき子…増田未亜、羽生剛…川口真五、岩井隼一…泉政行、糸川直雄…平松ゆたか、早瀬川瑠璃子…大家由祐子、矢作斎造…鈴木一功、矢作杉枝…増子倭文江、中田陸一…樋口浩二、鏑木銀五郎…吉満涼太、早瀬川伊織…原知佐子、羽生桑太郎…守田比呂也、島村夢州…井澤健、町田園江…竹井みどり、糸川ひかる…寉岡萌希、早瀬川進一…佐野和真、磯崎…堀越大史、弥生…兎本有紀、タキ…氏家恵、キミ子…平田まり、矢作武夫…加瀬尊朗、猪狩宝泉…碇浩二、羽生豊正…山上賢治、羽生昭子…森沢早苗、鎌田…大塚洋、浜田道彦、山瀬秀雄、荒井泉、大関正義、河野孝行、司容熱子、上見肇、奥山幸男、古川伴睦、藤井京子、内野和枝、桂木朝美、吉田光一、浅草聖子、浅草更代、石母田…小須田康人、牧村左武郎…大隈いちろう、今西喜久男…八幡トモアキ、原田いずみ…秋本渚、早瀬川達顕…波多江清、柏原月子…中島陽子、柏原康夫…久ケ沢徹、さつき…田口寛子、野呂拓哉、早瀬川進一…丸山歩夢、福田亘、松上順也、橋雪夫…津村知与支、島村芳枝…三浦敦子、今野ひろみ、花ケ前浩一、山田強、吉田比登志、平松慎吾、Adeyto、伊藤邦靖、藤田三三三、関口美保子、高城薫、をはり万造、田村三郎、佐藤祐一、水野智則、中村文平、町田政則、勝光徳、松原征二、原元太仁、まつだ壱岱、内田恵司、永井博章、上保大晴、早瀬川進一…平野翔大、木村梨花、キヌエ…かとうあつき、朱実…山口あゆみ、ミドリ…大石里紗、石神…掛田誠、糸川ひかる(7歳)…遠藤真宙、早瀬川進一(10歳)…高橋平、針原滋、浜近高徳、新城彰、戸村美智子、井上浩、大久保運、河端保成、真下有紀、太田行雄、石田晃一、野川光雄、武川修造、足立建夫、康智、三味線…杵屋邦陽、仲手川由美、田嶋佳子、松村朋子、大野桂子、山下純、浜田大介、横溝たかゆき、森田雄飛、岡けんじ、木立美鳥、玉井雅子、高橋純子、坪井理奈、富永泉紀、宗純、岩山孝、西村ヨウ、古本誠一郎、高橋のりひこ、出先拓也、露子…有坂来瞳、佐伯武…小林滋央、谷川益美…飯塚ひより、曽我裕之…森脇史登、猪股…沼崎悠、志穂里…鉢嶺杏奈、末高斗夢、関根由佳梨、昌江…宇江山ゆみ、佐藤淳、霜山多加志、岩田丸、三宅重信、成瀬勝也、桜井聖、ふるごおり雅浩、Schon、Avery、三原伊織奈、Gregory、才藤了介、一矢麻友、朝香賢毅、与古田康夫、イシイリョウ、桂さやか、島田麻貴、島田貴久、大越憂空、糸川権蔵…山田辰夫、早瀬川熙道…佐藤仁哉、糸川丹…今陽子、糸川美琶子…上原さくら