アテンションプリーズ

第8回(2006年6月6日放送)

☆☆
 教官の三神(真矢みき)からキャビンアテンダントとしての適正が欠けている旨を問われた美咲洋子(上戸彩)がひたすらに苦悩し続けて、まるで別のドラマになったかのようにそのトーンは一変。ついに洋子の空の仕事に対する覚悟が芽生えて、シットコムのような形態がようやく普通のドラマになったという感じ。洋子も単なる面白キャラクターから、ようやく共感の余地をわずかながらも垣間見せた。
 大体、第1回からこのテイストでも何ら問題なったはずなのに、随分と時間がかかりました。それでもドラマ中最大のみどころが、依然として上戸彩の孤軍奮闘ぶりであることには何ら変わりはない。ちょっと気になるのは、カッコいいパイロットがまるで意地になっているかのように一人も出てこないところ。(麻生結一)

第7回(2006年5月30日放送)

☆★
 洋子(上戸彩)の音頭で木下(七瀬なつみ)には負けないと、三神(真矢みき)クラスも一致団結。みんなで仲良く「OJT」(実践訓練の意)に進もうと最終のテストに望むも、洋子一人が脱落してしまう段取りは、これまでに何度見てきたかわからないようなドラマ的定番中の定番。逆に言えば、このシットコムのような番組も、ようやくドラマ的な側面も見せてくれたということで、これはこれで喜ばしいことなのかもしれない。(麻生結一)

第6回(2006年5月23日放送)

☆★
 これまでもデタラメなエピソード三昧に頭を抱えさせられっぱなしだったのだが、今回はとりわけひどかった。『ファーストエイド』の講義で出遅れた関山(大塚ちひろ)を救うべく、翔太(錦戸亮)に勉強を教えてもらう約束をしてた弥生(相武紗季)を無理やり誘って、美咲洋子(上戸彩)がハイテンションで規則破りするあたりはいつもの調子なのだが、無断で忍び込んだモックアップがあの程度のセキュリティでは、まずもって空の旅の安全の方が大いに不安になってくる。
 言い合いになった洋子と弥生がもみ合う中で、救命訓練の人形(スージーと命名)が破損。そんなスージーを3人で担いであっち行ったりこっち言ったりという展開は、低俗ギャグ映画でよくお目にかかるようなシーンなれど、3人がかしましくやってくれてる分、少なくとも見飽きることがないのが唯一の救い。
 ここで一番問題だと思ったのは、麻生カオル(笛木優子)の扱いである。倒れ掛かってきた人形に驚いて気絶してしまうのは定番としても、その後彼女がまったくこの件に絡んでこないのはどうしたことだろうか。少なくとも洋子たちの怪しい行動に、何らかの報告ぐらいはしそうなものだけれど。もしかして、あのまま気絶しっぱなしとか?いくらちょっとしたシットコムでも、このあたりはちゃんと対応してくれるはずだ。こういうエピソードの投げっぱなしはいくらなんでも是認できない。
 結局スージーも壊れてなかった、ああ勘違いって、これじゃ第5話と丸っきり同じで、あまりにも芸がなさすぎる。丸一日スージーは独り占めされていたらしいも、時間経過が曖昧なために、そのあたりも判然としない(スージーを持ち出した翌々日の朝に返却したとすると、丸一日以上では。スージー紛失が明るみになってからは丸一日以内。どちらにしても、丸一日はどこにもない)。そんなもやもやとした気持ちも、洋子のはじけっぷりを前にすると、ささっと治まってしまう。ただただ、上戸彩さまさまのドラマである。(麻生結一)

第5回(2006年5月16日放送)

☆☆
 このドラマを救世し続ける存在が美咲洋子役の上戸彩であることは第4話のレビュー中に書いたが、それに勝るとも劣らないほどにこのドラマの正常化に尽力しているのが教官・三神役の真矢みきである。彼女のクールな魅力は、こういう氷の教官役でこそ映えると改めて思う。
 そんな三神がかつてファンクラブまであったスーパーキャビンアテンダントコンビ、無敵MKギャルズの相棒にして、現在は新航空会社にてキャビンアテンダントの統括担当を務める桂木志穂(森口瑤子)にヘッドハンティングされるって、またまた使い古されたありがちな話で攻めてこられたまではまだよしとしよう。
 洋子が三神にどこにも行かないでと懇願するも、実際にはすべてが洋子の勘違いだったというオチは、もはやチャンチャンでは済まされないおざなりぶりである。第一、洋子と三神の関係性にここまで、そこでの深まりも感じなかったし(このエピソードによって、もはや深まってしまったが)。
 ただ、だからといってこの第5回がまったく楽しめないかといえば、このドラマをちょっとしたシットコムとさえ割り切って見れば、もはやそんなこともないゆえは、これまた第4話中のレビューに書いた通りである。カレンダーモデルの応募話から三神を絡めたオチといい、“ミス4月”こと麻生カオル(笛木優子)のいい女になるための、洋子に対するアドバイス的復讐にしろ、それを真に受けて砂風呂、骨盤矯正に挑戦する洋子、弥生(相武紗季)、関山(大塚ちひろ)が悶絶系の悪戦苦闘ぶりでにぎやかしくやってくれるバカバカしいエピソードの連打にしろ、これがちょっとしたシットコムとするならば、それ風の面白さ満載じゃないか。もはやこのドラマのゆるゆるさなど、恐れるに足りないのである。(麻生結一)

第4回(2006年5月9日放送)

☆☆
 このドラマは各話の落としどころはまじめなれど、途中の経過は緻密さに大いに欠けているので、ドラマとしてまじめに見通すのはなかなか厳しい。テレビ局・チャンネル2のディレクター・福永(鈴木浩介)に踊らされるままに、美咲洋子(上戸彩)が訓練生たちを取り上げたドキュメンタリー番組のリポーターとしてはしゃいでいた前半から一転、機体側で福永がボールペンをなくした一件で空の仕事に対する責任を実感した洋子が、その福永の罵倒の言葉に対して一喝するという結びに至る展開は、あまりにも捻りなく急転直下に過ぎる。
 このシンプル極まりない展開に、それなりのうねりを発生させて見せてくれている第一功労者は、ここ最近の安定感のままにこのドラマでも随所に際立っている上戸彩なれど、上戸彩の力にだけ頼るのも負担が大きくなりすぎるので、ここは視聴者的な小さな努力として、このドラマをドラマとしてではなく、シットコムとして考えてみることにする。
 すると、どうだろう。洋子のおちゃらけはことごとく有用になるし、とってつけたようなオチや反省の弁(今回はCAをバカにした福永ディレクターの発言が、洋子己に跳ね返ってくるあたり)もシットコムでならば許されるレベルに落ち着くではないか。
 よくよく考えてみるとシチュエーション自体も、訓練センターに洋子の部屋、あとは弥生(相武紗季)の実家である蕎麦屋のやぶ久と、ロケが少々ほどである。これはまさしくシットコムでしょう。点数はドラマ的評価だけに奮発できないが、この視聴者的な小さな努力によって、大いに気に入らなかった方にとっても少しは楽しめる時間になるかもしれない。だったら最初から観客を入れておいてくれさえすれば、見紛うことなく第1話からもっと楽しめたはずなのに。(麻生結一)

第3回(2006年5月2日放送)

☆★
 劣等生描写一辺倒だった洋子(上戸彩)も、体力と度胸が勝負の救難訓練となるとその実力を遺憾なく発揮。一方でこれまで、賑やかし&説明台詞要員だった感のある若村弥生(相武紗季)や関山有紀(大塚ちひろ)も、泳ぎが苦手だったりスライダーが滑れなかったりというシーンを通じてようやくキャラクターが前面に出てきた。こういう青春群像的側面が見えてくるとそれなりに楽しい感じがしてくる。しかしその好調さは長続きせず。事ある毎に洋子に難癖を付けていた弘田沙織(上原美佐)と洋子が、エレベーターに一晩閉じこめられるという事故によってお互いを知ることになった……という大筋は大いに結構なのだけれど、沙織が入っていったビルの最上階は“危ないクラブ”にも“スポーツジム”にも全く見えないし、真夜中から朝になって試験が始まる時間まで(ゆうに7〜8時間以上!?)エレベーターに閉じこめられっぱなしになる理由としてガードマンの居眠りだけしか提示されないのはあまりに乱暴。このあたりのラフさのせいで、沙織が聞かれもしないのに自分の家が貧乏だったと語り出す部分もしっくり来ない印象になってしまった。洋子と沙織らが力を合わせて試験をクリアしていく姿はなかなか爽やかで良いのだが、クライマックスは良くてもそこに至るまでがまずいせいで素直に感動出来ないというのがこのドラマのパターンになってしまってるようだ。もう一つの流れ、洋子が中原翔太(錦戸亮)に対して、整備の仕事を侮辱するようなことを言ってしまう話も、メインエピソードとうまく絡んでいないような。(安川正吾)

第2回(2006年4月25日放送)

☆★
 訓練生仲間のいがみ合いを見て「女ってめんどくせぇ〜っ」と呟く美咲洋子(上戸彩)の破天荒っぷりはそれなりに面白いのだが、だからこそこういう人がどういう過程を経て一人前のキャビンアテンダントとなるのかはもう少しきめ細やかに見せて欲しいと思わずにいられない。前回ラストで「キャビンアテンダントになってみせる」と切った大見得はどこへやら、いきなり居眠りはするわ、ごく基本であろうと思われる筆記試験にもまったく努力した様子が見られないわでは、このキャラクターに好感を持てと言うほうが無理。せめてそのあたりだけでもきちんと描けていれば、洋子が先輩キャビンアテンダントのミス四月こと麻生(笛木優子)の制服を“盗んで”着用し、空港ロビーを闊歩してしまうというメインエピソードもまだ楽しく見られたかもしれないが、この流れでは共感の入り込む余地のない非常識キャラにしか見えないでしょう。中国人女性を案内するという微笑ましいシーンも、全体のラフな印象をぬぐうまでの力はなく、木下(七瀬なつみ)の言う通り、もう少し厳しい処分の方が妥当ではないかとフツーに思えてしまう。
 三神(真矢みき)が、初めて制服を着た感想を問うたのに対し、洋子がなんと答えたのかが描写されないのは妙な感じだったが、翌日からスーツを着て出社することにしたのがその答えだったと精一杯好意的に解釈するとして、それでもスーツの中はドクロマークのTシャツって、つまりこの主人公の出した答えは、とりあえず表面だけでも繕っとけばいいだろうってこと!?(安川正吾)

第1回(2006年4月18日放送)

☆★
 女より男と一緒にいる方が落ち着けるパンク少女・美咲洋子(上戸彩)が、好きだった男の何気ない一言でキャビンアテンダントを目指すことにするという出だしは決して悪くなかった。だが、一般的な目線で言えばどう見てもキャビンアテンダント向きでないこの少女が、決意してから入社試験を受けるまでの数ヶ月間どのように努力したのかだったり、奇妙な格好で臨んだ面接をどのように突破したかだったりが適当にすっ飛ばされてしまうあたりに、大いに不安になる。こういう初期設定にした以上、そこはまずきちんと描いてくれなければ、見る側としては全く話に乗れなくなってしまうのだが。
 タイトルアバンで早々に崩れた話のトーンはそう簡単には立て直せず、入社して訓練生となった後のエピソードも、どうにもピンと来ないものばかり。LとRの発音が区別できないが故にバカにされるシーンなど、クラスの他の全員が立派にそれをやっているような描写があればともかく、一般的な日本人としては普通でしょうっていう感じだし(個人的には、Rの発音の方がさらっとできちゃうほうがスゴイような気も)、できない生徒を見せしめにするかのような教え方をする教官の三神(真矢みき)への疑問の方がふくらんでしまう。その直後、格納庫でのドタバタの末に電源ケーブルをひっこぬいてしまうというのも、シチュエーションにしても見せ方にしてもあまりにおざなりではあるまいか。
 そんなこんなで一度は訓練を続けることをあきらめかけたヒロインが、三神に対して

洋子「空のお茶くみのくせして、何気取ってるんだって感じ。キャビンアテンダントがみんなの憧れだった時代なんて、もうとっくに終わってますから」

と一席ぶつのは、このドラマの根幹をゆるがす発言であるが故になかなか興味深かったが、その後復帰した理由を説明するのが「負けるのだけは絶対にイヤなんだ」というシンプルな一言っていうのはドラマ的には肩すかし以外の何ものでもない。というか、そういうシンプルな境地に行き着くほどの描写が積み重ねられていない。「あなたにとってキャビンアテンダントとは何なのか」とは三神が洋子にぶつけた質問だが、実は作り手自身もまだ、その答えが見えてないのではなかろうかという気持ちにさせられる出来映えだった。(安川正吾)

アテンションプリーズ

フジテレビ系火曜21:00〜21:54
制作:フジテレビ、共同テレビ
企画:土屋健、大辻健一郎
プロデュース:岩田祐二
協力プロデューサー:加覧義徳
原案:上條逸雄
脚本:後藤法子(1、2、3、4、5、7、8、10、11)、永田優子(6、9)
演出:佐藤祐市(1、2、3、6、8、11)、植田泰史(4、7)、城宝秀則(5、10)、北川学(9)
音楽:菅野祐悟
主題歌:『OH PRETTY WOMAN』木村カエラ
出演:美咲洋子…上戸彩、中原翔太…錦戸亮、若村弥生…相武紗季、弘田沙織…上原美佐、関山有紀…大塚ちひろ、麻生カオル…笛木優子、東野はるか…大友みなみ、香川麗子…高橋マリ子、村山瑞穂…眞野裕子、渡辺誠…小市慢太郎、堤修介…小泉孝太郎、若村昭三…浅野和之、竹本理恵…星野奈津子、大木光也…田中聡元、訓練生…浅香友紀・深沢菜央・深田あき・松岡佳音・百瀬実咲、鮎川司…高岡蒼甫、芳村智枝美…山崎静代、美人CA…吉瀬美智子、マサト…斉藤直行、ヒロ…植田健、リュウ…高橋洋平、司の彼女…東原亜希、修羅場女…鶴田倫美、ベランダ女…白石マミ、不動産屋…本多晋、駅員…浜田道彦、洋子の兄…足立龍弥、リクルートスーツの女…市川円香、空港アナウンス…土井里美、幼少洋子…鈴木うらら、少女洋子…黒沢ともよ、楊秀華…王雪丹、中年男性客…俵木藤汰、先輩CA1…宮下今日子、先輩CA2…野上智加、若い女性客…朝倉えりか、掃除のおばちゃん…上杉二美、クリーニングカウンター職員…森恵子、グランドスタッフ…大野美幸、グラビアの女性…平野由希、ムキムキ男…崔リョウジ、ムキムキ男の仲間…佐々木義人・石川英司・小池、管理人…土田アシモ、福永裕一…鈴木浩介、カメラマン…羽根田陽一、ニュースキャスター…西井里佳、桂木志穂…森口瑤子、お茶の先生…二宮弘子、整体師…高橋修、ヨガの先生…野上智加、タクシー運転手…谷津勲、警備員…岩戸秀年、木下クラスの訓練生…渡部彩、窪田理奈…浅見れいな、長野和子…石川真希、岡場五郎…山里亮太、大島恵…山口日記、手塚浩一…菊池均也、鈴を無くした老婦人…市川千恵子、オセロ好きの老人…新井量大、ジュースの老婦人…森康子、双子の乗客…ザ・たっち、イケメン男性客…累央、一人旅の少年…小室優太、立ち上がる乗客…黒田志保、機内のスター…木村カエラ、商談を控えている乗客…大林丈史、友人を待たせている乗客…増子倭文江、徹夜明けの乗客…大江聡、丸顔の乗客…藤本静、イケメンIT長者…芦田昌太郎、赤ちゃんの母親…遠藤好、頭痛の女…松永香織、レストラン店員…菊池一浩、サインを求める男…石原誠、宝石王・シャキール…バンダ・ビョムケシュ、訓練生…梅原美紗子・江口いくえ・坂本和代・竹谷佳織・七生奈央・七海かおる・平川梓・福之上真友、横山豊…山田明郷、横山道子…泉晶子、新人訓練生…渋谷飛鳥、太宰晋一郎…井上順、木下朝美…七瀬なつみ、桜田信哉…小日向文世、三神たまき…真矢みき