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スウとのんのん (TBS系月〜金曜13:30〜14:00)
ドラマ30
製作著作/中部日本放送
プロデューサー/山本恵三、冨永晃一、大羽秀樹
原作/小沢真理『世界でいちばん優しい音楽』
脚本/渡辺典子、小金丸大和
演出/堀場正仁、西村信、松井智人
音楽/多田彰文
主題歌/『愛がいっぱい』BON-BON BLANCO
出演/高原菫子…今村恵子、毛利貴子…喜多嶋舞、豊上正宗…岸本祐二、高原のぞみ…佐藤未来、山田学…石井洋祐、西園寺真…中原裕也、稲垣皓…上原風馬、三浦リエコ…井上佳子、鈴木惠理、加藤年子、木村庄之助、森田直幸、佐々木和代、田中菜月、小菅結衣、村松嵩次、下雅意善規、正希光、芦原あかね、丹羽文雄、土本ひろき、池戸陽平、高橋潔、杉原伊織、織田雄二、小島範子、中尾達也、鬼頭卓見、荒井楓、三枝慶太…黒田アーサー、海江田透子…大沢逸美、稲垣蘭子…上村香子、稲垣巌…大出俊、佐伯志津…島かおり
ほか

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第8週(3/28〜4/1放送)
☆☆
 モーリ(喜多嶋舞)の理想の男性のタイプは背が高くて、高収入、高学歴の3高(最近、この言葉を聞かなくなりましたけど)。そのいずれの条件をもクリアーしつつ、料理好きで掃除好き、オフにはあちこちに出かけるポイントの高さも加わった西園寺(中原裕也)はあまりにも近すぎる存在だったも、すでに両思いの2人を隔てるものは何もなく、順当にゴールインする。不穏な空気が支配するこのドラマにあっては、このほのぼのエピソードはむしろ異色なものに映る。最初はその真逆を予想してたんだけど。
 もっとも驚かされたのが、リエコ(井上佳子)の寿退社話。いつの間にかみんなの仲間になっちゃってるし、性根までが悪だったこのキャラクターへの制裁はないのかと不思議に思っていると、最後の最後に婚約破棄を臭わせて仕事復帰させるあたり、もっと意地悪でしたね。
 海江田(大沢逸美)が第二企画部長として昇進することになって、リストラされるものだと思われていた山田部長(石井洋祐)はかつてカミソリの山田と言われたほどの切れ者で、本社に栄転となるとは、能ある鷹も爪を隠すも隠し過ぎでしょ。その後は稲垣グループの会長である巌(大出俊)の自宅で決定されていく会社の重要決定事項に常に絡み続けるのだが、冷静に考えるとこれもかなりの不穏なエピソードということになりませんか。
 スウ(今村恵子)の完全無欠ぶりはついに極まって、最初怒っていた巌をあっさりと懐柔。終いには巌はスウに相談を持ちかけるまでになる。のんのん(佐藤未来)の誘拐騒ぎまで引き起こした蘭子(上村香子)も、抱きしめてわかりあえただけにとどまらず、18歳で嫁いで以来、幸せだったことは一度もなかった巌との夫婦関係をもう一度築きなおそうとの決意までも導く。
 メインストーリーはロンドン支社長の話が浮上する豊上(岸本祐二)とスウの恋愛模様。その絡みで登場する、今は亡き皓(上原風馬)がのんのんに送ろうとしていたタイムカプセル=物置に置かれていた古いトランクの話あたりが、もっともこのドラマに期待していたテイストに近いか。その感動的なトランクの中身に、豊上がスウに告白できなくなるあたりもいいけれど、一番しみじみしたのは皓の登場シーンが初めてソフトフォーカスじゃなかった幻想シーン。
 ところで、最後すっかり影が薄くなってしまった三枝(黒田アーサー)は小さな会社をはじめて心機一転がんばるみたい。これでほぼ全員が救われた模様。(麻生結一)


第7週(3/21〜3/25放送)
☆☆
 心配された麗子(芦原あかね)によるゆりか(荒井楓)のドメステックバイオレンス問題は、スウ(今村恵子)のお説教で万事解決。仕事も出来る女へと躍進著しいスウの向こうを張って、大手企画会社からのヘッドハンティングの話を受けるつもりだったモーリ(喜多嶋舞)も、スウの説得により残留を決意。勝手に家に上がり込んだりと、ついには挙動不審者に成り下がった三枝(黒田アーサー)も、何をきっかけにしてか、のんのん(佐藤未来)の授業参観のプリントをスウに届けるまでに改心。スウも滑り込みセーフだった当日の参観日には巌(大出俊)や豊上(岸本祐二)まで登場してめでたしめでたし。唯一、スウの足を引っ張って気概を見せる蘭子(上村香子)も、最終週には懐柔されることでしょう。って、この書き方ではスウが百戦錬磨の存在に映ってしまうかな。実際そうなんですけど。(麻生結一)


第6週(3/14〜3/18放送)
☆☆
 スウ(今村恵子)を陥れるところで一枚岩だった蘭子(上村香子)と三枝(黒田アーサー)が袂を分かったことにより、ドラマは稲垣家関連とKプランニング関連で完全に分離することに。Kプランニング編(?!)では、商品の発注を忘れてしまっていた三枝を、激怒する取引先の社員の前でいきなりにひっぱたいた機転によって会社を救ったりと、スウの賢者ぶりがいっそうクローズアップされることに。そんな三枝はついに会社を首に。防犯カメラに映らない巧みさで会社(第二企画部のみ?!)を荒らし放題、パソコンにはメールリンクで会社中のパソコンにウィルスを送りつけ、おかげで初めて任された雑誌の企画についての会議で使うデータもやられてしまってピンチに立たされるも、リエコ(井上佳子)がバックアップをとっていたおかげで難を逃れる。果てしなく悪い人になっていたリエコ(井上佳子)が奇跡的にいい人にシフトしてきたところがこの第5週最大の見どころ?!
 稲垣家編で、スウとの和解宣言もカモフラージュの蘭子(上村香子)が、のぞみ(佐藤未来)を引き取ろうとあの手この手と画策するあたりは案の定。のんのんばかりが注目を集める中で、何かと比べられるゆりか(荒井楓)と、そんなゆりかを不甲斐なく思ってイライラしっぱなしの麗子(芦原あかね)がだんだん気の毒になってくる。(麻生結一)


第5週(3/7〜3/11放送)
☆★
 海江田(大沢逸美)の息子・柊也(森田直幸)の父親の正体をリーク、さらにはスウ(今村恵子)とのんのん(佐藤未来)の生活を盗聴と、随分物騒なお話ばかりになってしまって、チラチラと垣間見せてきたほのぼの調はすっかり影を潜めてしまった。巌(大出俊)と和解する話とのテンションがあまりにも違いずぎるのは困ったもので、スウの進藤(『救命病棟24時』の江口洋介)ばりの万能の人ぶりも共感しづらくなるばかり。
 三枝(黒田アーサー)にも裏切られたリエコ(井上佳子)はここまで悪い人になっちゃうと、もはや救済の道は絶たれたかな。スウがあっさりと就職できたKプランニングは、稲垣グループの関連企業だったんですね。(麻生結一)


第4週(2/28〜3/4放送)
☆☆
 スウ(今村恵子)が大賢者ぶりを発揮して、海江田(大沢逸美)が息子の柊也(森田直幸)から「お母さん」と呼んでもらえるようになったエピソード以外には、幸福感からは程遠い展開に。三枝(黒田アーサー)とリエコ(井上佳子)がタッグを組む目的も、普通にスウいじめのみに変容してきてるし。プレゼンに落ちちゃったモーリ(喜多嶋舞)の出番が少なかったのも残念。
 久々に明るい喜多嶋舞を見ていて(?!)、彼女が『はなきんデータランド』というランキング番組で司会をしていたことをふと思い出して、ちょっぴりほのぼのしい気分になったが、これはドラマとはまったく関係のないお話でした。(麻生結一)


第3週(2/21〜2/25放送)
☆☆★
 スウ(今村恵子)が盲腸で倒れたために、前半は『スウとのんのん(佐藤未来)』というよりも『モーリ(喜多嶋舞)とのんのん』化して、逆に微笑ましさがアップ。いきなり寝坊して保育園に遅刻寸前、手料理もまずくて食べてもらえず、慣れない家事に育児に大丈夫かとの疑問符を払拭できなかったモーリ。リエコ(井上佳子)にはベビーシッター以下扱いされ、しまいには志津(島かおり)に鍋で叩かれる始末。スウが復帰後はハッタリ企画がプレゼン通っちゃって、これはこれで大騒動。最初は出来る女系をにおわせるも、実際はとてもいい人でした。
 登場人物はスウをめぐって擁護派と抵抗勢力に真っ二つ。スウに思いを寄せている感じだった三枝(黒田アーサー)が、実は蘭子(上村香子)のスパイだったことがわかるあたりはいかにも昼ドラ風で、これはこれで仕方がないのだろうけれど、いっそ全編に楽しげ風で押してもらえたら、もっと楽しかったのにという気もする。(麻生結一)


第2週(2/14〜2/18放送)
☆☆
 やはりモーリ(喜多嶋舞)とリエコ(井上佳子)から目が放せない?!これまで反・菫子(今村恵子)で共闘していた2人がついに何かにつけて激突する間柄に。会社で迷子になってしまったたのんのん(佐藤未来)をデパートばりに館内放送で呼び出ししてくれたモーリはいっそう優しいも、そのきっかけとしてのんのんを泣かせてしまうリエコは、悪代官ばりに共感の箇所が一つもないとうい悪人にまで高められてきた。菫子の「子供がいると不便」との言葉にだけは敏感に目を覚ますのんのんもある種すごいんだけれど。
 モーリのつっこみキャラはいっそうに磨きがかかってきた感じで、きっと悪い人に違いないという思い込みからのギャップも手伝って、いっそう魅力的に見える。対するリエコは、三枝(黒田アーサー)から菫子が預かったフロッピーを摩り替えたりと、益々いじめが陰険になってきた。ドラマの見方が間違えておりましたらごめんなさい。(麻生結一)


第1週(2/7〜2/11放送)
☆☆
 原作は『ニコニコ日記』の小沢真理による『世界でいちばん優しい音楽』、脚本が『ママまっしぐら!』シリーズの渡辺典子と聞けば、これはCBC制作ドラマ特有の不機嫌なハイテンションぶり(?!)とは一味違う作品になっているかもと期待したが、第1週を見た限りではどちらにも転びそうな危うさも。独特の浮遊感に磨きがかかれば、一味違った魅力のあるドラマにもなるだろうが、そういったよさを昼ドラ的なコードが邪魔をしそうで心配になる。やはりよるドラ向きだったかもと思ったりもして。
 25歳にして初就職となった高原菫子(今村恵子)は、毎日計ったように5時に帰宅。これは娘・のぞみ(佐藤未来)を保育園にお迎えしなきゃいけない理由によるものだったのだが、その5時ぴったりに帰るシンデレラガールぶりによって、早々社内で陰口をたたかれるようになる。
 シングルマザーを隠しておかなきゃいけないとか、25歳にして初就職が浮世離れとか、何だがいつの時代だろうと思うような話はとりあえず受け入れることにして、最初は先輩OLである毛利貴子(喜多嶋舞)と三浦リエコ(井上佳子)がダブルで菫子をいじめていたのだが、探偵まがいに菫子の後をつけた毛利貴子は、その事情を知ってあっさりと菫子側の人間に。喜多嶋舞はクイズ王(『相棒』)の印象があまりにも強烈なため(古い話をいまだに引きずっております)、まさか1週目にして懐柔されてしまうとは思ってもみなかった。『相棒』や『華岡青洲の妻』あたりがお休みだったせいもあるが、この1週間でもっとも意表をつかれたエピソードとなる。
 反対に、リエコの意地悪ぶりはエスカレートするばかり。ヒロインに対して悪意に満ち満ちているのは美人キャラと相場が決まってるところに、このタブー崩しぶりはちょっと目が離せない?!(麻生結一)




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