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わかば (NHK総合月〜土曜8:15〜8:30)
連続テレビ小説
制作・著作/NHK大阪
制作統括/小林千洋
作/尾西兼一
演出/榎戸崇泰(1、2、5、9、15、16、22、26)、渡邊良雄(3、4、6、12、13、14、20、21、25)、福井充広(7、8、18、24)、黒崎博(10、11、17、23)、田中正(19)、山本晃久(22)
音楽/服部克久
主題歌/『泣いたりしないで』福山雅治
語り/内藤裕子アナウンサー
出演/藤倉(高原)若葉…原田夏希、高原詩子…田中裕子、安住(藤倉)亜紀…山口紗弥加、谷準一…塚本高史、藤倉雅也…姜暢雄、瞳しずか…綾戸智絵、藤倉典子…黒田福美、藤倉渚…加茂さくら、三島秀和…笑福亭松之助、王繁美…東ちづる、高原栄造…織本順吉、井川一行…ばんばひろふみ、藤倉保…田中隆三、王成順…石本興司、山岡鉄男…山西惇、高原光…崎本大海、村上啓太…内野謙太、大崎慎平…住田隆、杉本康博…小籔千豊、井川都志子…朝比奈潔子、ジュディ…メラニー・グリーン、吉村絵里…仁平裕子、山崎直美…和田遥、王美華…坂口あずさ、藤倉樹里(5歳)…西本利久、安住義洋…野田晋市、佐野貴子…藤澤志帆、星野香織…森本更紗、山下厚子…山内明日、福田るり子…振角麻衣、医師…菊池聡、医師…大西みのり、学校職員…鍋島浩、車椅子の女性…鳴尾よね子、吉田…長原成樹、看護師…猿渡ゆか、テレビの声…湯口和明、ラジオの声…湯口和明、笠井功二…下塚誠、笠井雄一…浅見小四郎、笠井久子…谷村真弓、間中明…岡本光太郎、佐伯亮…関秀人、公園の女性…鳴尾よね子、平泉郁江…武村陽子、職人…小松健悦、谷八重…上原由恵、高原若葉(9歳)…蓮沼佳奈、高原光(5歳)…川井一成、西田教授…稲森誠、三宮建設社員(声)…福寿淳、矢島義夫…小倉久寛、矢島淳美…松田美由紀、岡田新一…堀内正美、神崎葉子…藤谷美紀、平泉武夫…上杉祥三、平泉松子…南風洋子、島本悟…斉藤洋介、島本聡子…剣幸、村上のぶ…南田洋子、高橋久子…左時枝、村上幸恵…斉藤慶子、村上浩太郎…西郷輝彦、木之下俊介&高原公一(回想)…内藤剛志
ほか

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第26週(3/21〜3/26放送)
☆★
 印象の薄さでは朝ドラ史上最強とも思えただけに、『天花』ほどは悪くなりようもなかったのは不幸中の幸い。その薄味では『こころ』の不快さにだって容易に到達できるものではない。『さくら』を上回る(出来的には下回るの意味)のも、つかみどころのなさぐらいか。骨っぽいところもほんのちょっぴりあった『ほんまもん』よりは、その分だけこちらが下回るか。どちらにしても、不出来から数えた方が早い順番になることは間違いない朝ドラだった。
 チンチクリンの女と浮気していた夫・安住(野田晋市)が原因で号泣する亜紀(山口紗弥加)の、最後の最後まで共感しづらいことといったら。キャラクター自体がゼロに等しかった安住の浮気問題にはどう反応すればよかったのだろう。
 若葉(原田夏希)と雅也(姜暢雄)が目指した緑と共生する家の設計までにさしたる紆余曲折がなかったのもどうしたことか。説教調やわかりやすすぎるメッセージが散りばめてくるあたりもいかにもわずらわしかったが、若葉が心の中で思い描く理想郷としての家で締めくくるあたりはそれなりにまとまっていた。
 再放送枠の『えぇにょぼ』は最終週にまで見せ場がたっぷり。2年前には急性アルコール中毒で担ぎ込まれ、再三悠希(戸田菜穂)を手こずらせてきた奏子(濱田万葉)がついにナースに。岩井婦長=今ならば師長(和田アキ子)にナースキャップをかぶせてもらうシーンがとても感動的。
 そんな奏子と小鉄(的場浩司)の結婚式前夜、幼馴染ならではの悠希と小鉄の語らいがしみじみとしていて実にいい。人のことを区別しない秀才だった悠希と心根の優しいヤンキーだった小鉄との20年間に及ぶ友情が心を打つ。女子高生時代の悠希のソフトフォーカス的回想も久々でうれしかった?! 奏子の妊娠を知った小鉄が喜びのあまりに伊根の海に飛び込むラストが清々しい。伊根の海が故郷のそれに見えてくるあたりはドラマならではの感慨だった。(麻生結一)


第25週(3/14〜3/19放送)
☆☆
 つわりで参っていた若葉(原田夏希)の介助役として宮崎からやってきた詩子(田中裕子)は、今後赤ちゃんを育てられるのかを試されているのだと若葉を励ます。そんな詩子が作ってくれたカレーうどんだったら食べられる若葉は相当安上がりな親孝行?!
 それにしても、栄造(織本順吉)が再び倒れて病院に運ばれたことを聞いた段階でのリアクションとしては、若葉の取り乱し方はあんまりじゃないだろうか。今更このドラマの違和感をあげつらってもどうしようもないとは思いつつも。夢の中で公一(内藤剛志)からまだこっちに来ちゃいけないといわれたものだから、現世に舞い戻ってきたという栄造が2週に渡って倒れ続けたのは、結局その不死身ぶりをアピールしたかったがため?!
 鉄男(山西惇)から怒鳴られる様がかつての若葉を思わせる、井川造園の新人・直美(和田遥)はそれにしてもハスキーだなぁ、などとドラマとはあまり関係ない感慨に逃避していると、若葉が突然に破水して予定日より1ヶ月早く子供を出産する。★一つプラスは出産のお祝いほどの意味合い。
 朝ドラは展開がかぶるという継続検証にまたも新しいデータが加わった。靖雄(今井雅之)の妻・佐和子(綾瀬るり)が出産したことで、またまた再放送枠の『えぇにょぼ』が新作の方と同じような動きをする。ただ、意表をつく展開という意味では、いったんは悠希(戸田菜穂)をこれでもかと突き放した慎さん(榊原利彦)が再び悠希に急接近するというあまりの未練がましさに呆気にとられるばかりだった『えぇにょぼ』の圧勝だ。(麻生結一)


第24週(3/7〜3/12放送)
☆★
 典子(黒田福美)が週の冒頭でのたまった、

「あっという間だった気がする」

との台詞がすべて。井川造園は立ち直った模様。亜紀(山口紗弥加)は政略結婚の相手だった安住(野田晋市)と芦屋の豪華マンションにつられて結婚した模様。キャラクターみんなでお茶を飲みながら、すでに起きてしまった出来事をペチャクチャとしゃべってれば、視聴者にはそのすべてが「模様」として伝わっていくという、この省エネな語り口を許容していいものか。追い討ちをかけるかのように、光(崎本大海)はヨーロッパ(絵葉書がエッフェル塔だったからパリでしょう)、ジュディ(メラニー・グリーン)は北海道のホテル、しずか(綾戸智絵)はニューヨークでがんばっている模様。そして他の人たちは総出で若葉(原田夏希)の赤ちゃんを期待する……。
 木々の声を初めて聞いて、というそれっぽい清々しさをクローズアップしていけば、精神年齢が幼すぎる若葉の存在をもう少しフォローできたような気もするのだが……。かつて一緒に作った小学校のビオトープの前で妊娠したことを雅也(姜暢雄)に伝える……、これは悪くはないけど普通と言えば普通。
 並べて放送するのはあまりにも残酷だ。再放送枠の『えぇにょぼ』の出来のよさにはさらにうならされる。父・源太郎(板東英二)にガンの告知をするか否かに悩む悠希(戸田菜穂)が実にいい。板東英二の大熱演も心を打つ。伊根の祭りの船が鯨採りの船に見えるあたりは本当に素晴らしかった。どうしてのこのレヴェルで展開する朝ドラが絶滅してしまったのか、まったく残念なことだ。(麻生結一)


第23週(2/28〜3/5放送)
☆★
 井川造園のピンチの最中、若葉(原田夏希)はついに山岡(山西惇)にまで説教!即反省、次の日には和解。チラシ配ってがんばろうってみんなでこぶしを突き上げて一件落着。
 そこに造園環境学校で知り合った高橋(左時枝)から造園設計の仕事をやってみないかと誘われる『わかば』史上最大のジレンマも、井川(ばんばひろふみ)がそれっぽい仕事をとってきてすぐに懐柔されちゃって、あたかも何もなかったかのよう。あの『天花』でさえも、幼稚園を移る移らないって、それなりに時間をかけていたのに。
 ただ、『天花』『こころ』よりも今作の方が上出来であることは付け加えておきたい。こういう低レヴェルの争いは、視聴者的には悲しすぎるわけだが。
 トラブルメーカー・奏子(濱田万葉)が小鉄(的場浩司)からプロポーズされて、伊根の町が故郷になるエピソードのすがすがしさが印象的だった『えぇにょぼ』に連日救われる。(麻生結一)


第22週(2/21〜2/26放送)
☆★
 ついに詩子(田中裕子)と栄造(織本順吉)が和解。この重要エピソードもあっさりと片が付くあたりは、これまでの傾向通りでもはやビックリしない。矢継ぎ早に今度は木之下(内藤剛志)のことを心配しはじめた若葉(原田夏希)。するとそのおせっかいに木之下が激怒。今度こそドラマがあるのかと思いきや、木之下とちょっといい感じになっていた詩子の言葉(いつもあれ)とのダブル効果により(直後に詩子は唐突に宮崎に帰る)、再生を誓った木之下は店をたたんであっさりとドラマからアウト。海に亡き妻の指輪を捨てるのがラストシーンも、この指輪って重要アイテムでしたっけ?っていうか、どっちにしても指輪捨てちゃダメでしょ。大体、お年寄りのボランティアはどうなったんでしょうね。

若葉のモノローグ「木下さん、どこかで元気に暮らしてください」

って、こんないい加減な台詞もなかなか聞けるものではない。だが、不思議なことに『天花』や『こころ』のときのような苛立ちは感じない。それがいいことなのか悪いことなのかはよくわからないが。
 『えぇにょぼ』は悠希(戸田菜穂)と慎さん(榊原利彦)がついに離婚?離婚を扱った朝ドラがあったとは驚き(『青春家族』も離婚しましたっけ?)。岩井婦長=今ならば師長(和田アキ子)の結婚話も微笑ましいだけではない厚みがあっていいし、奏子(濱田万葉)、小鉄(的場浩司)といった他のサブキャラも生き生きとして抜群。(麻生結一)


第21週(2/14〜2/19放送)
☆☆
 結婚したからといって女が家事をするなんて思わないでほしいと雅也(姜暢雄)に先制攻撃しておいて、即謝るあたりのわかば(原田夏希)のマリッジブルーぶりは、相変わらずわかりやすというか、一切のひねりなしというか。もちろんこのエピソードだって、一つの性格を継続してきた上で発生するそのキャラクターの悩みであるのならば何ら問題ないのだけれど、わかばってそういう人でしたっけ?それでこそマリッジブルーとも言えるんだけれど。
 結婚式になかなか現われない詩子(田中裕子)がわかばがバージンロードを歩き終えたところで、扉をガ〜ンとあけて光の中から登場した場面には、不謹慎ならが爆笑してしまった。このドラマの超重要課題であったはずの詩子の神戸行きが、こんな『卒業』の変形パロディのような形で済まされていいんでしょうか(「か」は反語の「か」)。
 期せずして、再放送枠の『えぇにょぼ』でも悠希(戸田菜穂)の兄・靖雄(今井雅之)の結婚式の回だったが、仕事でも心でもすれ違う悠希と慎さん(榊原利彦)の気持ちは、ついに決定的な亀裂となる。いやはや、この朝ドラがここまで面白かったとは、ちょっと意外です。(麻生結一)


第20週(2/7〜2/12放送)
☆☆
 若葉(原田夏希)と一緒に結婚の報告に赴いた雅也(姜暢雄)の宮崎二番勝負で、第一ラウンドはv.s.伯父・浩太郎(西郷輝彦)。唐突に花嫁の父的に頑固オヤジ化した浩太郎だったが、雅也が若葉の笑顔にほれたのではなく、若葉を胸で泣かせることが出来る度量の男であったことを確認するや、即座に仲良しに。最初脅かしといて苦もなく懐柔という戦法は、このドラマの常套手段なのでまたかという印象。
 第二ラウンドはv.s.準一(塚本高史)。こちらはいきなりに本格的な決闘風になるのだが、準一も結婚することになったとのオチで腰砕け。その相手を評して、

準一「若葉みたいに美人じゃないけど」

と言われて、若葉は思わずニンマリ。
 雅也の直談判によって、詩子(田中裕子)が2人の結婚式のために神戸に行くことを約束するところは、このドラマにとっては最重要の場面であった。そこまで行き着いてみて、やはり一点のテーマ的なこだわりで見せていくやり方は、朝ドラでは非常に難しいと思った次第。6ヶ月の長丁場を考えると、常に物語が動いていないことにはスムーズに見進めるのが苦しくなる。
 再放送枠の『えぇにょぼ』はそのあたりが実にうまい。どうしても心を開いていくれない白血病の患者・水野(桂小米朝)と正面から向き合うことで、悠希(戸田菜穂)は医者としてのまた新しいやりがいをかみ締めるも、逆に夫・慎さん(榊原利彦)とはすれ違うばかりで、というなかなかうまくいかない週だったのだが、問題山積だからこそ、それを必死に解決していこうとするヒロインに違和感なく感情移入できるし、その成長にも心がほころぶ。
 この『わかば』が6回連続ぐらいであれば、ワンテーマを煮詰めていくやり方もすんなりときたかもしれないが。中では、若葉と雅也を何かとフォローする啓太(内野謙太)が、ドラマをリラックスさせてくれる稀有な存在だ。(麻生結一)


第19週(1/31〜2/5放送)
☆★
 唐突に成順(石本興司)と繁美(東ちづる)がメインのお話。成順が繁美に黙って友達に300万円貸してしまったために、繁美は激怒。すると何を血迷ったか、成順はいきりたつ繁美をビンタしてしまう。どう考えてもこれは成順が一方的に悪いでしょ。よくわからない話だなと頭をひねっているうちに(もちろん、『天花』のいかなるエピソードよりもわかるんだけど)、その友達がお金を返しにきて(もしくはそれに準じる何か)一件落着。
 雅也(姜暢雄)と一緒に組んで、念願の庭の造園をすることになった若葉(原田夏希)だったが、施主である夫・義夫(小倉久寛)が和風庭園、妻・淳美(松田美由紀)が家に合わせての洋風庭園を希望したものだから、同じ敷地に別の庭を半々で造ることに。この発想自体はユニークだったので、このドラマ始まって以来に面白いことになるかと期待するも、結局は若葉が出した折衷案が採用されて、めでたしめでたしと尻すぼみ。
 結局2つのエピソードは、夫婦関係も様々であることを見せておいて、若葉と雅也が一緒になることを決意するまでの導きだった。雅也のプロポーズ、およびプロポーズの撤回、さらには若葉からの再プロポーズと重ねるあたりは、まじめな若葉っぽくて好感が持てるところ。(麻生結一)


第18週(1/24〜1/29放送)
☆★
 1週間見通しても、さっぱり印象に残っていないことが多いこの朝ドラ。この第18週も印象的な場面を一所懸命に探してみると、不況につき仕事がない井川造園が請け負うも、結局は全員参加型となったビオトープ造りの場面ぐらいか。これも短いんだけど。
 雅也(姜暢雄)が嵐の日に自分の設計した家の様子を見に行ったまま帰らないエピソードは、当然若葉(原田夏希)の父・公一(内藤剛志)が震災で命を落としたエピソードと重なってくるのだけれど、あまりにも真っ当に過ぎてドラマ的な感慨にまでは至らない。結局は軽症だった雅也が若葉にプロポーズする場面にしても、コクが足りないというか、味がしないというか。
 一言で言ってしまえば、ドラマにフレッシュさが欠けているのだ。『えぇにょぼ』や『あぐり』と比べると、あまりにも差がある気がするので、これまでよりも悪い点数にしてみる。こんなにも痛切なテーマを扱っているのに、登場人物たちにヒリヒリとするような痛みが伴ってこないのはどうしたことだろうか。(麻生結一)


第17週(1/17〜1/22放送)
☆☆
 阪神・淡路大震災から7年目を迎えた2002年1月17日を描いた回が放送されたのが、10年後の2005年1月17日。この朝ドラが描きたかったところはまさにここだろうし、その鎮魂の思いはドラマの真摯さと重なり合う形に。
 ドラマが動くのは震災の日、公一(内藤剛志)に母親を助けられたという岡田(堀内正美)が訪ねてきたことをきっかけに、設計した家の状態を確認してきたいと言った公一をそのままに送り出してしまった自分こそが公一を死なせてしまったと栄造(織本順吉)が告白するあたりから。詩子(田中裕子)もまた同様の思いを抱いていたという痛切な思いはどうしたことか広く知れ渡って、若葉(原田夏希)と雅也(姜暢雄)が結婚式を挙げ、詩子が神戸に出てきて万事解決との能天気な提案するのはしずか(綾戸智絵)。結果的にそうなるにしろ、もうちょっと違った扱いがあったと思うのだが……。(麻生結一)


第16週(1/10〜1/15放送)
☆☆
 朝ドラとは不思議なもので、この時期にはこのエピソード、などという厳密な決まりがあるはずもないだろうに、BSで新作と再放送が並んで放送されるようになってからわかったことだが、同じ週に同じようなエピソードが並ぶことが多々。予定調和的なるもののたどりつくリズムはどうしても似通ったものになるということだろうか。
 『えぇにょぼ』では、奏子(濱田万葉)が偶然見ていたニュースで、子供のころに自分を捨てて出て行った母・葉子(上村香子)を発見。悠希(戸田菜穂)と連れ立って徳島まで会いに行く。一方『わかば』では、成順(石本興司)が生前の公一(内藤剛志)が偶然映っていたビデオを発見。神戸では若葉(原田夏希)が、そして宮崎では詩子(田中裕子)が公一の在りし日の姿を目にして感激する。
 震災が起こった1月17日をひかえて、光(崎本大海)がかつてそうであったように、時を同じくして美華(坂口あずさ)と詩子がそのトラウマによるものか、体調不良に。第17週がその17日にピッタリと合わせてある。(麻生結一)


第14、15週(12/27、12/28、1/4〜1/8放送)
☆☆
 年末の2回は総集編風で、年明けの5回と計7回だったので、実質は話の進み具合も1週分未満。といいますか、ここですでに折り返しを迎えたのが嘘のように、どうにも印象に薄いというのが正直なところ。
 あまりにも予定通りに、光(崎本大海)がパティシエを目指すべく神戸へ行くことに。井川造園の仕事始めでは、施主の笠井功二(下塚誠)とその隣に住む兄・雄一(浅見小四郎)が父親の代から生えている木をめぐって喧嘩するも、若葉(原田夏希)のおかげで万事仲直り。年末年始と井川(ばんばひろふみ)が続けざまに若干存在感を発揮したところが新味といえば新味。
 結局は回数でも大きく上回った『えぇにょぼ』の方を熱心に見るという、いつものペースが崩れず。両作品に出演の織本順吉も、『えぇにょぼ』のエピソードの方にはホロっとくる。(麻生結一)


第13週(12/20〜12/25放送)
☆☆
 時は2001年12月。朝ドラにクリスマスねたが必要かどうかは置いておくとして、クリスマスの捉え方に何となく古めさしさを感じてしまうのは単にこれまでのイメージを引きずっているからだけだろうか。まぁ、ドラマの設定自体も3年前の出来事ではあるけれども。
 ただ、庭は人を幸せにするためにある、との大前提にブレがないので、雅也(姜暢雄)の先輩カップル、葉子(藤谷美紀)と間中(岡本光太郎)の別れ話にエピソードがスライドしようとも、ドラマの安定感が失われないのは、それはそれでこのドラマの特性といえるのかもしれない。
 雅也の意外な一面(プラスイメージばかり)がボロボロと見えてきて、若葉(原田夏希)との仲はショートカットばりに急接近。放送開始から3ヶ月経っていることを思えば、それぐらいのことはあっていいのかも。第75回のキャストが綾戸智絵がトメで驚いた。確かにキャラにあっててお上手ですけど。(麻生結一)


第12週(12/13〜12/18放送)
☆☆
 公一(内藤剛志)と詩子(田中裕子)が3度の偶然の出会いの末に結婚したという嘘のような本当の話は、若葉(原田夏希)と雅也(姜暢雄)の結びつきにも関わってくるはずの肝なのだが、この話が単体としてまったく面白くないというのは大いに困りものだ。
 いつもの笑顔が35パーセント分しか輝いていないという理由から周りのみんなから心配される若葉だったが、その原因が祖母・のぶ(南田洋子)が倒れたことにあるとわかるや、取引先の建築家にしてここのところ井川造園に入りびたっている雅也の嘆願によって即休暇が与えられることに。第一に気もそぞろで仕事されてケガでもされたら井川造園側が困るとの理由が更につっこまれると、共済保険の手続き終わってないからって、そんなリアルな設定にちょっぴり苦笑。
 若葉のキャラクターについて少々。木之下(内藤剛志・二役)に宮崎の大家族を説明するにあたって使うボキャブラリーが古めかしい。

若葉「もう大変ですよ。寄ると触るとケンカばっかり」

って、若者的じゃないにもほどがあるでしょ。神戸で家族みんなで暮らしたいと語る若葉に対して、

木之下「若いくせに、えらい辛気くさいこと言うねんな」

と端的な指摘をしてくれた木之下に感謝。家族の数だけ家族の形があるとの結局のメッセージに象徴されるように、とにかくドラマも古臭い。そうであったとしても、『天花』のような古臭さと苛立ち系のミックス型と比べれば、ぜんぜんこちらの方がありがたいですけど。(麻生結一)


第11週(12/6〜12/11放送)
☆☆
 神戸でも宮崎でも木之下(内藤剛志)の存在が波紋を広げる第11週。渚(加茂さくら)の誕生日にしずか(綾戸智絵)の生歌ハッピーバースデイが聞けるおまけつき。そのしずかが木之下に関することでたびたび思わせぶりな態度をとることは大いに不可解だったけれど、震災で亡くなった木之下の彼女がしずかの友達だったという理由を聞いてしんみりと納得。
 ここのところ仕事で絡み続けている若葉と雅也(姜暢雄)は、少しだけ心が通じたどころではなくすっかり仲良しに。同時進行的に重きがあってもいいはずの宮崎パートがすっかり刺身のつま状態なのは、このドラマに噛み応えがないことの象徴。やはりどうしても見る意欲は再放送枠の『えぇにょぼ』の方に傾いてしまう。その『えぇにょぼ』よりも更に面白いのが夜の再放送枠の『あぐり』なんだけど。どこから見ても楽しめる類まれな傑作です。(麻生結一)


第10週(11/29〜12/4放送)
☆☆
 簡単に第10週の動きを整理するならば、

・若葉(原田夏希)、準一(塚本高史)と正式に別れる。あれで付き合っていたといえるかどうかは疑問なれど。
・山岡(山西惇)が犬嫌いであったことが判明する前に、犬嫌いを克服?!
・雅也(姜暢雄)が亜紀(山口紗弥加)の兄で、しかも建築家であることを若葉はついに知る。
・その雅也の設計事務所から井川造園に依頼されていたレストランの庭造りに割り当てられていた日数が5日を3日に減るも、若葉の先導によって無事仕事が完了する。
・ここのところの活躍が評価されて、若葉は井川造園の正社員として採用される。
・ボランティア中の木之下(内藤剛志)は、いつもと違うという域を超えて、もはや別人の趣。もしかして、これは3人目の内藤剛志?!

とこれぐらいになるだろうか。ドラマに意外性は乏しく、若葉のガンバリ屋さんぶりをクローズアップする展開もマンネリ気味で、随所に説教臭いのもいただけない。という感想を書きながら、一つ前の朝ドラを思い出してみたり。(麻生結一)


第9週(11/22〜11/27放送)
☆☆
 平泉家の和風庭園の作業中、当主である武夫(上杉祥三)の母・松子(南風洋子)から亡き夫の思い出の花であるハイビスカスを植えてほしいと頼まれた若葉(原田夏希)だったが、こっそりと鉢を庭の隅に置いたものだから、武夫から井川造園に苦情が入る。
 いずれはやさしくなるであろうと予想されていた山岡(山西惇)が、ついに若葉を応援する立場に。これまたいずれはやさしくなるであろうと思われた木之下(内藤剛志・二役)が若葉にジュースをおごってくれた。木之下もまた震災で妻を亡くしたらしく、若葉と同じ境遇であったことが判明する。(麻生結一)


第8週(11/15〜11/20放送)
☆☆★
 啓太(内野謙太)と厚子(山内明日)の後押しを受けて、光(崎本大海)がついに家出。震災の悪夢を乗り越えんと神戸へ向かうも、2日間行方不明に。実は明石から先に進むことが出来なかった光だったが、助けに来た若葉(原田夏希)と一緒に神戸の地に足を踏み入れる。
 もともと光の話の方が噛み応えがあると思っていたが、久々にメインで取り上げられたことでドラマに幅が出た感じ。ただ、神戸に来てからの適応ぶりはあっさりし過ぎのような気もしたけど。ジュディ(メラニー・グリーン)からケーキ作りを教わるエピソードは何らかの複線だろうか。
 光の家出に便乗して(?!)神戸にやってきた準一(塚本高史)はこれまでの温厚キャラをかなぐり捨て、仕事について愚痴る若葉を初めてにして大叱責。打たれ強いはずの若葉もさすがに動揺するが、泣き言はダメと関白宣言しちゃう準一の変貌ぶりにこちらもちょっと動揺する。
 何かにつけてのぶ(南田洋子)が連呼する「人生、いきちょるだけで丸儲け」の格言には一時期食傷気味だったが、タイミングよくはまるとそれなりに含蓄を帯びて聞こえてくるから、すりこみの力とは恐ろしいものです。
 『えぇにょぼ』のヒロイン・悠希(戸田菜穂)は愛する夫・慎さん(榊原利彦)が浮気しているのではないかとオロオロ。見てる方はそんな2人にハラハラ。そういう感じが『わかば』にもあればもっと楽しめるんだけど。(麻生結一)


第7週(11/8〜11/13放送)
☆☆
 亡き父・公一(内藤剛志)に瓜二つの木之下(内藤剛志)の後をつけて、木之下がマスターをつとめる元町の焼酎バーGROOVEを突き止めちゃう若葉(原田夏希)はストーカーと刑事を足して二で割ったような感じ。そんな若葉の気配に気がついていた木之下はちょっとした殺し屋か、探偵の趣。まぁ、そんなドラマじゃないんですけど。
 過労がたたって倒れてしまった若葉を意識不明のままに下宿先である藤倉邸に送り届けるシチュエーチョンはかなり厳しいが、山岡(山西惇)にやさしさが垣間見られ始めたのはパターンながら感じは悪くない。(麻生結一)


第6週(11/1〜11/6放送)
☆☆
 前半から中盤にかけては若葉(原田夏希)が作業に入った立派な和風庭園の持ち主である島本(斉藤洋介)とその妻・聡子(剣幸)のお話。山岡(山西惇)に怒鳴られつつもけなげにがんばる若葉の姿が島本夫妻にも勇気を与え、というありきたりな展開。
 阪神淡路大震災で命を落とした若葉の父・公一(内藤剛志)にそっくりなアマチュア・ジャズ・ピアニストにして焼酎バーのマスター・木之下俊介(内藤剛志・二役)に遭遇するというのが次週へのつなぎのエピソード。まさかお父さんが記憶喪失で、なんて展開じゃないでしょうけど。
 『ええにょぼ』、依然好調を持続。正直言ってこっちの方が面白いです。NHKの朝ドラ再放送の法則に関しては、また次の機会にでも。(麻生結一)


第5週(10/25〜10/30放送)
☆☆
 若葉(原田夏希)の神戸での下宿先となる亜紀(山口紗弥加)の実家である大きな洋館の中身がほとんど『ちゅらさん』の二番煎じだったりするあたりは感心できないも、ドラマが大いに停滞気味だった宮崎編と比べればノドのつかえがとれた感じでドラマは動き出した。その二番煎じの中では、ジャズシンガー・瞳しずかこと木村福子(綾戸智絵)とジュディ(メラニー・グリーン)の言い争いがちょっと面白い。
 アルバイト扱いの井川造園の社長・井川役にばんばひろふみ。バンバンのテレビドラマ出演はかなり貴重では。男を振りかざす先輩職人の山岡(山西惇)にしろ、会社の窮状を愚痴る井川の妻・都志子(朝比奈潔子)にしろ、根っからの悪人タイプではないも、とりあえずは若葉に立ちはだかる存在。
 亜紀の兄・雅也(姜暢雄)の第一印象を悪くしようとしたのはわかるけど、下戸の酔っ払いで登場とはまた随分古い手をお使いになりましたね。なぜあんな真っ昼間にホームセンターに?まぁ、いずれわかってくるのかもしれませんが。(麻生結一)


第4週(10/18〜10/23放送)
☆☆
 「やるっきゃない」の若葉(原田夏希)が神戸に行くまでが永遠にも感じられた1週間。しかも、神戸に行ったら行ったで、棲家となるはずの下宿が昔どこかの朝ドラで、また最近放送されたパート3あたりで見たようなデジャブ的空間で、今後が大いに不安になる。
 ファックス通信遠距離恋愛が懐かしい『ええにょぼ』は展開が小刻みな分、『わかば』より楽しめる。(麻生結一)


第3週(10/11〜10/16放送)
☆☆
 若葉(原田夏希)は就職するはずだった神戸の建設会社から内定を取り消しにされてしまうも、そのことをみんなに内緒にしようとするのはなぜ?若葉から口止めを懇願されたにもかかわらず、よかれと思ってそのことを言いふらす叔母の繁美(東ちづる)もどうかしてるけど。
 仮に卒業まであと半年あるといっても、

若葉「やるっきゃない」

との古めかしい宣言に時代がいつかわからなくなる?! 結局神戸に行く行かないに一週間費やすも、再び仕事探しをしはじめるにしても就職課に行くか、会社に電話するか、もしくはインターネットで検索する程度なので、ドラマとしての盛り上がりにはどうしても欠けることに。段々この朝ドラにも大いに心配になってきた。
 同じく就職問題で右往左往するにしても、『えぇにょぼ』のヒロイン(戸田菜穂)の方が週末夫婦宣言しておのろけ三昧と割り切りのよさを感じる。

『慎さん(榊原利彦)!』

の連呼に昔の記憶がうっすらと蘇る。(麻生結一)


第2週(10/4〜10/9放送)
☆☆
 若葉(原田夏希)が準一(塚本高史)に呼び出されるのが鵜戸神宮だったりと、日南観光案内の趣はそれなりに楽しげだが、ドラマ的な感慨は早々に一休みといった様相。ヒロインが惚れた腫れたをやられると、朝ドラ的なトラウマにさいなまれるせいかもしれないけど。
 従弟・啓太(内野謙太)を乗せたバイクの爆裂音を聞くに興奮状態となった弟・光(崎本大海)のエピソードは、今後に引き継がれるものだろう。母・詩子役の田中裕子はお得意の癖のある演技を披露するも、先日NHKアーカイブスでやっていた『しあわせの国 青い鳥ぱたぱた?』のときのような屈折ぶりとは隔絶の感あり。幸恵役の斉藤慶子はネイティブだけあって、他の出演者とは段違いに宮崎弁がスムーズ。(麻生結一)


第1週(9/27〜10/2放送)
☆☆★
 いたって素直な滑り出しに好印象な新しい朝ドラ。すっかり朝ドラを見る感覚が麻痺してしまっている分には、格好のリハビリになりそう?! もちろん、それ以上を期待したいところではあるけれども、ここしばらくの経験値がそこまで無邪気にさせてくれないあたりに、『てるてる家族』を除くここ数作の朝ドラ群の罪深さがある。
 就職試験の面接で高らかに自己表明する若葉(原田夏希)がとても頼もしく見え、続けさまに緑が目に飛び込んでくるタイトルバックから実に清々しい気分になる。実は阪神・淡路大震災で建築家だった父・公一(内藤剛志)が亡くなっていたという背景には厚みがあり、神戸出身の若葉が母・詩子(田中裕子)の出身地である宮崎県日南から再び生まれ育った神戸に試験を受けに来ていた動機にも説得力を感じる。
 好調なのはヒロインばかりではなく、弟・光(崎本大海)をはじめとした若葉を取り巻く人々にもそれぞれの人生が垣間見えて、サブエピソードの方にも興味を持続出来そう。キャストの豪華さだけを誉めそやし続けなくてもよさそうなのは大いに有難いところ。
 ナレーションの内藤裕子アナはズムーズではないが、聞き手に若干の緊張を強いるたどたどしさがヒロインの初々しくも素朴な感じともマッチしており、この作品にはふさわしいのでは。それにしても、いつから朝ドラって東低西高の図式が出来上がったんでしょう。ちょっと前までは逆だったのに。(麻生結一)




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