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一番大切な人は誰ですか? (日本テレビ系水曜22:00〜22:54)
製作著作/日本テレビ
制作/日本テレビ、光和インターナショナル
企画/鈴木光、渡辺弘
プロデューサー/戸田一也、原田文宏
脚本/大森寿美男
演出/佐藤東弥(1、2、7、10)、長沼誠(3、4、8)、鈴木元(5、6、9)
音楽/池頼広
主題歌/『黄昏ロマンス』ポルノグラフィティ
出演/松ヶ谷要…岸谷五朗、松ヶ谷路留…牧瀬里穂、中町小南…小林涼子、藤尾哲春…佐藤隆太、石井愃一、市川勇、田島有魅香、坂下公也…内藤剛志、木幡功…鶴見辰吾、ROLLY、忍成修吾、小柳友貴美、伊藤克信、ベッキー、柳澤貴彦、マイケル富岡、水木薫、桂亜沙美、風見章子、手塚理美、山谷初男、不破万作、村田充、山口紗弥加、中村久美、久内加奈子…三浦理恵子、久内圭索…高田純次、北村隆夫…田村亮、北村逸子…吉田日出子、中町東子…宮沢りえ
ほか

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第10回(12/15放送)
☆☆★
 これまでのすかした面白さをねらったタッチから、要(岸谷五朗)と路留(牧瀬里穂)の夫婦関係にクローズアップすることでドラマはグッとシリアスに。それにしても見通すのには大いに骨を折った。それはドラマが不出来だったからではない。こういう飄々としたおかし味をテレビドラマでやることがとても難しいということを痛感するに、少なからず気が重くなったからだ。
 初回のテイストが揺らいで揺らいで、また同じようなところに落ち着くことになったが、そうしているうちに途中で落ちてしまった心情もあるような気もする。キーになるのかと勘ぐった、要に告白される前に既に小南(小林涼子)が要の娘であることを知っていた路留の立ち位置は、結局どうでもよかったってこと?
 路留の行方を探すドサクサに警察手帳をなくしてしまったために、要は駐在所に欠員が出た八丈島に異動となる。ここで味わい深かった第7話の八丈島での出来事とこれからとが一気につながることに。バスを降りたった黄八丈の洋服を着た女性(桂亜沙美)が母(水木薫)の元に走る。母が娘にかける「きてくれた」の一言が「着てくれた」と「来てくれた」にかかるエピローグは、東子(宮沢りえ)の思いまでも内包してきれいにまとまっていた。
 要の警察手帳を探してくれたであろう木幡(鶴見辰吾)などの好キャラクターを生かしきれなかった憾みは残るが、色のある演出と言い、出演者の打々発止といい、見どころも少なくなかった。日テレがこういうドラマにこだわるあたりはちょっと興味深い。(麻生結一)


第9回(12/8放送)
☆☆★
 父・隆夫(田村亮)の意識が戻った日、母・逸子(吉田日出子)のようにも隆夫の愛人・美貴子(中村久美)のようにもなりたくないと思った路留(牧瀬里穂)は、要(岸谷五朗)に書き置きをして家を出る。実際の路留は東子(宮沢りえ)から要を略奪したわけだから、逸子と美貴子の両者を掛け合わせた存在とすると、いっそう煮詰まってしまうのもよくわかる。
 途中、路留の後輩・萌子(山口紗弥加)が路留の忘れ物を取りにマンションに行ったところで要が帰ってきて、という定番のコミカルエピソードもはさまれるが、最後の10分ほどは要と東子の二人芝居なる。ここでの岸谷五朗と宮沢りえの演技合戦は見ごたえあり。ただ、路留を探しに駆け出していく要に路留の携帯番号を教えるのに、小南(小林涼子)がマンションの前で待ち伏せしてたのにはコケた。ここで登場させなければ、見せ場が作れなくて致し方なくという感じがありあり。(麻生結一)


第8回(12/1放送)
☆☆★
 かつての3M中の二翼が第8話にしてついに激突。路留(牧瀬里穂)が東子(宮沢りえ)の家をいきなりに訪ねたものだから、とっさに

東子「東子……、中町です」

の外人風はよかったね。牧瀬里穂と宮沢りえは牧瀬の方が2歳ほど年上のはずだが、役の設定では路留が東子よりも6歳も年下。ただ、さほど違和感がないのは、ここのところ宮沢りえにすっかり貫禄がついたからだろうか。
 八丈島から戻った要(岸谷五朗)と小南(小林涼子)は、東子と路留のツーショットに驚く間もなく、サプライズとなるフォーショットの文字通りの要となる。東子が振り回していたねぎが折れたシーンはアクシデントに違いない。岸谷五朗の突っ込みもアドリブでしょうけど、楽しげさぶりがいっそう増した感じ。食事中ではなく食後しばらしくてワインを振舞う東子だが、それも空腹で飲んだら悪酔いしてしまうからとの配慮から?! 随所の東子のハイテンションぶりも、すべては路留に対する気遣いだったか。
 何の前触れもなく、父・隆夫(田村亮)がくも膜下出血で意識不明に。そのことを連絡してきた女(中村久美)は長年隆夫と付き合ってきた愛人だったわけだが、ここで新キャラクターを登場させるぐらいならば、宝の持ち腐れ状態の達者なサブキャストたちを縦横無尽に使ってほしかった気がする。そういうアンサンブルドラマの可能性もあったはずなのに。(麻生結一)


第7回(11/24放送)
☆☆
 前回のラストから引き続き、要(岸谷五朗)と東子(宮沢りえ)が抱き合って迎えるオープニングには微笑ましくなったが、小南(小林涼子)がデジカメプレゼント男・小沼(村田充)に誘拐監禁されてしまう下手なサスペンス調に、同じ過ちをどうして繰り返すのかとゲンナリしてしまった。

東子「触られただけでも鳥肌が立つ」

と言われたことに対する仕返しって、随分シンプルな逆恨みだこと。SOSメールを送るために路留(牧瀬里穂)にもらった携帯が活躍するあたりはなるほどと思ったけれど。
 要は小南を助け出すも、その際に小沼をこれでもかと殴りつけたために謹慎処分を課せられた。結局、この陳腐な誘拐劇は、謹慎となった要と小南が一緒に八丈島へ旅に出る導きとなるわけだが、八丈島で黄八丈を探す過程が上々なだけに、そのきっかけにももう少しこのドラマにふさわしいエピソードをこしらえてほしかった。(麻生結一)


第6回(11/17放送)
☆☆★
 アトリエTOCOのホームページが公開されると、メールによる注文が早速に。八丈島から安くても一反30万円ぐらいはする黄八丈が送られてくる前に、その注文主と東子(宮沢りえ)が電話で話し込んでしまうくだりは、一昔前っぽくもあるが、そのあたりのゆったり調こそがこのドラマの魅力ともいえる。
 もっとも印象的だったのは、路留(牧瀬里穂)がただ一度だけ会った父親の会社の人の話。海に連れて行ってもらうも、その人は足が悪いために砂浜に座ってみているのみ。仮に路留が溺れたらその人は助けに行けない。だからその人のために溺れない。
 小南(小林涼子)は緊急連絡用にと路留(牧瀬里穂)から携帯電話をもらった路留にメールを出そうとしていた小南に東子(宮沢りえ)が激怒。家出をした小南は路留のところに行くのだが、それは東子に溺れないためだったと、先ほどの話に連なっていく。(麻生結一)


第5回(11/10放送)
☆☆★
 要(岸谷五朗)は小南(小林涼子)が自分の娘であることをすんなりと路留(牧瀬里穂)告白。路留は自分がそのことを知ったことを小南に告げなければというも、実はすでにそのことを自分が知っていたことはやはり告げない。このことが今後のキーになるのだろうか?
 自社ブランドの服を着てる人間はみんな福沢諭吉に見える、との坂下(内藤剛志)の発言には妙に納得。そんな坂下のことを東子(宮沢りえ)はホモだと思っていたわけだけれど。今日から男になる発言を高らかにするも、ホモはもともと男だともなるほどね。
 アトリエTOCOを宣伝するためのホームページ用に、東子に服を作ってもらった人たちを訪ねてデジカメで写真を撮っていく過程が微笑ましくていい。そのホームページ制作を何も知らない小南は路留に依頼したものだから、いっそう事態はややこしいことに。小南と路留の結びつきを知って裏切りだと激怒する東子の心情はすんなりと受け止められるも、路留はいったい何を考えているのか?(麻生結一)


第4回(11/3放送)
☆☆
 小南(小林涼子)が要(岸谷五朗)の娘であると知っていながらにして、小南のことを友達として要に紹介する路留(牧瀬里穂)がどんどん嫌な女になっていくという展開になれば、それはそれで意表をつくところだけれど。路留が木の下で読書している画が心に残る。(麻生結一)


第3回(10/27放送)
☆☆
 勤務中の凛々しさとは真逆のソファーに寝そべってテレビを見てる要(岸谷五朗)の顔が路留(牧瀬里穂)は嫌いだったりといったズラシの面白さと、東子(宮沢りえ)の店を手伝うようになった川口(忍成修吾)が実はコンビニ強盗だったというサイコサスペンスまがいとの調合が今一歩うまくいっていない。
 今後のドラマの軸は、路留(牧瀬里穂)についに“出来ちゃった”友達が、実は要(岸谷五朗)の娘・小南(小林涼子)だったという、『鬼平』から足がつく関係についての模様。ちょっと気になるのが、一人だけ違うテンションで飛ばしている木幡(鶴見辰吾)。(麻生結一)


第2回(10/20放送)
☆☆
 飄々としたところがちょっぴり面白かったり、それほど面白くなかったりと定まらない印象を覚える。その世界観の小ささは魅力にもなるだろうが、一歩間違えると窮屈さにもつながりかねないか。宮沢りえが14歳の小南(小林涼子)の母親役ではちょっと若すぎるのでは。(麻生結一)


第1回(10/13放送)
☆☆★
 『てるてる家族』が最高だった大森寿美男のあれ以来の脚本作で、これまた『てるてる家族』の春男役でいい味を出していた岸谷五朗が主演と聞けば、どうしても『てるてる家族』の夢をもう一度と欲張ってしまうのだが、『てるてる家族』のハードルの高さを思うといくらなんでもそれはあまりにも困難極まりないわけでって、ここまでに何回『てるてる家族』って書きましたっけ?
 交番勤務の警察官・要(岸谷五朗)は転勤となった東京郊外の街で再婚した妻・路留(牧瀬里穂)と新生活をスタートさせる。ところが勤務初日に久方会っていない娘の小南(小林涼子)と遭遇。離婚した元妻・東子(宮沢りえ)と一緒にこの街に住んでいることがわかって……。
 自らのブランドを立ち上げようとしたようなデザイナーと警察官が結婚していたとの設定自体はリアリティとは遠い気がするが、抜いた台詞の応酬にはちょっとした魅力があるので、期待も込めて点数は多めに。すっかり真面目ドラマをやることが定着した感のあるこの枠だが、“Tears Wednesday”の呼び名はやめちゃったの?!(麻生結一)




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