TV DRAMA REVIEW HOME

オーダーメイド〜幸せ色の紳士服店〜 (NHK総合月曜21:15〜21:58)
月曜ドラマシリーズ
制作・著作/NHK名古屋
制作統括/銭谷雅義
原作/高梨みどり『Order-Made』
脚本/戸田山雅司
演出/西谷真一(1、2)、吉永証(3、5)、藤井靖(4)
音楽/千住明
主題歌/『ビルを見下ろす屋上で』矢井田瞳
出演/楠花梨…上原美佐、伊東幸子…原沙知絵、楠木隼人…海東健、錦清晴…柏原収史、茂田満…徳井優、金山伸行…上田定行、大野敬一…池戸陽平、幸子の父…佃典彦、木村庄之助、石河美幸、さくら、外山文孝、大嶽隆司、五井重彦…丹波哲郎、大上昌吉…天野鎮雄、錦清一郎…黒部進、原田賢次…津嘉山正種、原田忍…たかべしげこ、中尾譲治…鈴木林蔵、生地屋…伊沢勉、尾川峰山…市村正親、楠由子…竹下景子、楠広…長塚京三
ほか

>>公式サイト


第3回「華麗なるお客様」(12/13放送)
☆☆
 ドイツのチョコレートショップの日本第1号を任されている雇われ店長の幸子(原沙知絵)から店員の制服を作ってほしいと依頼された花梨(上原美佐)が、宿敵である錦糸館の錦(柏原収史)とコンペで争うという展開自体は健康的というか、幼いというか、若い女の子にしてテーラーというヒロインのキャラクターを活かしきれていない気がしてならない。むしろ興味をひいたのは、20年前に錦糸館をやめた広(長塚京三)の過去の方。
 フランスのパテスリーで修行したと虚勢を張る幸子も、実はワーキングホリデーで入国後、3日間バイトしただけだったという真相が、アイドルタレントがお飾り店長におさまったために玉突き的に店長を首になったことを契機に、今度こそフランスにお菓子の勉強に旅立つという結びにまで連なっていく流れは清清しくていいんだけど。店長としてスカウトされたのがホステスをやっているときとは、原沙知絵だったらホステス役との強いイメージがあるんでしょうかね。ちょっと違う気もするんだけど。幸子の子供時代を演じた子役が原沙知絵に似てたのにはビックリ。(麻生結一)


第2回「弟の生まれかわり?」(12/6放送)
☆☆
 元気一杯の第1回を見て、これは第2話以降も期待できるはずとその伸びしろを考慮して若干点数を辛くしたのだが、この第2話は普通の浪花節風でちょっとガッカリ。テーラーデビューを飾る花梨(上原美佐)にとっての最初の客・隼人(海東健)は和製ディマジオとまで呼ばれた社会人野球の強打者だったのだが、肩を壊して選手生命を絶たれたばかり。花梨に支払われたスーツ代の24万円は野球部をやめたときの報奨金全額で、すべてに捨て鉢な隼人にとってオーダーしたスーツは着る気もないスーツだったことが判明するに、華々しかった選手時代から引退後はあまり幸せとは言いがたかったジョー・ディマジオが来日した際に着ていたスーツのレプリカを仕立てるあたりは気が利いているととるべきなんだろうけれど、ちょっと苦々しくはないかい。
 最初の客が亡き弟と同じ名前・隼人であったその心から、母・由子(竹下景子)がネームの刺繍をするエピソードも、オーダーした側からするとちょっと重いでしょ。もちろん、そういうビターテイストを志向しているのではれば別にいいんだけれど、そういうわけもなさそうだし、話が噛みあい過ぎることでの違和感を感じてしまった。古い8ミリの出し方などはあまりにも下手。
 中では、若い客だったら今風のデザインがいい、などといったお仕着せをいいテーラーはしない、ワンシーズン限りの服じゃだめ、と何気なく花梨にテーラーの心得を話したりする父・広(長塚京三)が利いている。(麻生結一)


第1回「じゃじゃ馬 テーラー志願」(11/29放送)
☆☆★
 まるで魔法使いのような父・広(長塚京三)の仕事ぶりにあこがれて、テーラーになることを夢見ていた少女時代の花梨。ところがテーラーは男の仕事だと聞かされたものだから、その跡継ぎと期待されている弟の隼人なんかいなくなってしまえばいいと初めて魔法の呪文を唱えてみると、隼人はあっけなく死んでしまう。そんな花梨が男なら父の後が継げると男の子になる宣言をするオープニングから、そのメルヘン風の語り口に魅せられているうちに、いつの間にかドラマの世界に引き込まれてしまった。
 男言葉を使う成長した花梨がここで登場。そのヒロイン役に上原美佐を起用するとは随分と思い切った青田買いをしたものだと思っていたが、実際に見てみて納得。そのはつらつとした感じがダイナミックでなかなかいい。彼女にまだ朝ドラヒロインの資格があるのならば、次の次の次あたりに期待したい気分にもなる。
 花梨がなんとかテーラーになる手立てとして思いついたのが男も女も関係ないコンクールへ出品だったが、その実態は審査員に顔を並べている組合の幹部連中の店が賞を独占するデキレースもいいところ。花梨は大いに落胆するのだが、審査委員長を務める五井財閥の元会長・五井重彦(丹波哲郎)から特別賞を送られて、ついに花梨はテーラーデビューを果たす。ここでの五井会長の目利きぶりはちょっとした超人クラス。
 花梨が作ったスーツの感想を五井に尋ねられるに、広が指摘した肩のバランスが崩れていたところこそがミソ。それは通常ボディに合わせて作るコンテスト用とは違って、花梨がいつもその背中を見ていた父・広の体型に合わせて作られたダブルのスーツだった。それを知った広が涙を流すシーンには、世界で唯一のスーツであるオーダーメイドの醍醐味が込められているようで、第1回目の結びとしては相応しかったように思える。
 見せ方の工夫はあまりテレビ的ではない独特のもの。ちょっと『アメリ』風だったり。ヒロインの父・広を演じる長塚京三は、背中で人生を語るタイプだけに、これははまり役では。竹下景子はただ一人だけ名古屋弁で奮闘中。毎度BK制作のドラマに文句をつけているが、このドラマもアフレコは相当下手。(麻生結一)




Copyright© 2004 TV DRAMA REVIEW. All Rights Reserved.