TV DRAMA REVIEW HOME

ねばる女 (NHK総合月曜21:15〜21:58)
月曜ドラマシリーズ
制作・著作/NHK
制作統括/古川法一郎
作/西荻弓絵
演出/磯智明(1、2、5)、大関正隆(3)、岡田健(4)
音楽/大島ミチル
出演/水沢葉月…飯島直子、水沢光輝…沢村一樹、根本邦子…磯野貴理子、根本元晴…うじきつよし、荻島大三郎…渡辺徹、根本茂嘉…上田耕一、久保辰雄…河西健司、社長…中丸新将、高宮静香…山下容莉枝、三枝尋司…温水洋一、水沢純一郎…田中碧海、根本純夏…池永亜美、根本豊吉…庄司永建、葛城…斉藤暁、八重…大島蓉子、近田治雄…並樹史朗、部長…小林すすむ、角田…デビット伊東、近藤…ふかわりょう、夕美子…光浦靖子、千鶴…中根かすみ、白石エリカ…相沢紗世、チエミ…五月晴子、春江…中澤敦子、ウメ…此島愛子、島田…衣笠友章、ラッキー飛鳥…池田鉄洋、店主…椿鮒子、根本元治…宍戸錠、水沢雪子…野川由美子、神山登代子…冨士眞奈美、根本良子…藤村志保、原口時江…池内淳子
ほか

>>公式サイト


第4回「行く先は地獄納豆」(11/8放送)
☆★
 ほてい納豆を継ぐ決心をする葉月(飯島直子)だったが、周りの反応はいたって冷たい。これまで故郷に背を向けてきた経緯から、いとこの邦子(磯野貴理子)はとりわけ反発。ついには学生時代に腕を競った剣道で対決するすることになるも、剣を交えているうちに分かり合ったとでもいうのか、一転協力体制に。
 時期じゃないからという理由で地獄納豆の作り方を教えようとしなかった時江(池内淳子)もいつの間にか懐柔。数回の失敗を経て、葉月はついにその極意をマスターする、って随分簡単ですね。型通りの展開をこれ以上ねばられても、それはそれで困っちゃうんだけど。(麻生結一)


第3回「黄金色の決意」(11/1放送)
☆☆
 前回にはその真摯な語り口がいいと書いたけれど、ここまで紋切り型に暗いともうちょっと捻りようはないものかと正直退屈してしまう。 筑波山の麓に住む納豆名人・時江(池内淳子)の一言一句、そして朝食に出た自家製豆腐のおいしさにうならされる葉月(飯島直子)に微妙な変化が。昔納豆の完成を前にして命を落とした兄・元晴(うじきつよし)が薬を飲みながら作業していたことを知っていた元治(宍戸錠)の自責の念と、そのことを泣きながらに責めたてる母親・良子(藤村志保)の悔恨の念。何とか元晴の意思を受け継げるすべはと葉月荻島(渡辺徹)の思案も結局は徒労に。
 東京に帰ると、担当していたカフェのプランが変更されており、マネージメントへの配置換えを言い渡された葉月は愕然とする。借金は肩代わり、従業員はそのままに雇用という好条件でほてい納豆を買収しようとする栃木の納豆メーカーとの仮契約に立ち会う直前、元晴が作った最後の昔納豆を口にする美月。その会社の目的が水戸で作った納豆というブランドだけにあって、昔納豆に興味がないと言われたことで、美月は決然とその話を蹴る。
 おかしなところは一つもないんだけど、同じく意外性に満ちたところも一つもなし。デザイナーとしてのキャリアがうまくいかなかったから兄の意思を受け継ぐ決意をした、と見えてしまうのもヒロインを輝かせない大いなる要因。(麻生結一)


第2回「かきまわされる心」(10/25放送)
☆☆★
 兄・元晴(うじきつよし)の急死に伴い、1ヶ月限定でほてい納豆の軸になることになった葉月(飯島直子)は、基晴の親友にして納豆菌研究者の荻島(渡辺徹)や元晴が師匠と仰ぐ地獄納豆の生みの親である時江(池内淳子)と接するうちに、商社マンとしての地位を捨て、納豆作りに専心した元晴の真意を知る。死期が近いことを知り、何がしかの自らの刻印するべく、とはそれしかないという動機なれど、うじきつよしによる名演の余韻がもたらした説得力は偉大。
 『ハコイリムスメ!』に引き続いてのUターン、もしくはIターン系の役柄とは、いつから飯島直子はそっちの専門女優に?細かい心理の表出には、いつもながら感心させられる。納豆名人役の池内さんは『麻婆豆腐の女房』でのヒロインの母親役でも水戸在住だったような。水戸在住役の専門ってのはないでしょうけど。
 『すずがくれた音』が深刻なほどに不調だった西荻弓枝さんも、『ねばる女』の真摯な語り口を見るに、なるほど本命はこっちだったのかと妙に納得。まるで前川洋一脚本作における『高原へいらっしゃい』と『麻婆豆腐の女房』の関係性に等しい?! 今後は月曜ドラマシリーズを書く脚本家のそれを挟んだ民放ドラマには注意しなければ。まぁ、コメディ調(=『すずがくれた音』)の場合は演出にはずされちゃうってこともあるにはあるけれど……。(麻生結一)


第1回「納豆なんて大嫌い!」(10/18放送)
☆☆★
 地上波デジタルの放送エリアが茨城、兵庫、富山にまで拡大されたことを記念して制作されたドラマとの理解だが、だったら舞台は兵庫だって富山だってよかったところも、やっぱり東京近郊でさばいた方がドラマにはしやすいってことでしょうか。
 故郷の水戸の何もないところを忌み嫌って、東京で家具デザイナーとなった葉月(飯島直子)もここのところは振るわぬ日々で、渾身の作品である女性のための一人用ソファーも企画会議で散々の言われよう。同じく故郷を、そして父・元治(宍戸錠)が営む納豆製造業を嫌って商社マンになったはずの兄・元晴(うじきつよし)が家業を継ぐと言い出すに、葉月はその真意が理解できず……。
 NHKの月9男、うじきつよしがほてい納豆の創始者である祖父の13回忌の場面で登場するなり(お供え物までもが納豆という徹底ぶりは、田舎の因習にこだわる『トリック』風?!)、妙な死臭を漂わせていたので、やはりシリアスのうじきつよしは並じゃない(コメディのうじきさんは若干微妙だけれど)と期待に胸ふくらませていると、初回にして死んでしまうとは、やはりあの死臭も演技だったってことか。恐るべし、シリアスのうじきつよし。ワンポイント田舎者役でまたまた大島蓉子が登場。ワンクールに平均何本のドラマに出演されているのかを計算したくなるほどって、この方も恐るべしです。(麻生結一)




Copyright© 2004 TV DRAMA REVIEW. All Rights Reserved.