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マザー&ラヴァー (フジテレビ系火曜22:00〜22:54)
制作/関西テレビ、MMJ
プロデューサー/安藤和久、東城祐司、吉條英希、伊藤達哉
脚本/岡田惠和
演出/新城毅彦(1、2、6、10)、塚本連平(3、5、8、12)、三宅喜重(4、7、11)、今井和久(9)
音楽/寺嶋民哉
主題歌/『Sounds of Love〜しあわせについて〜』アンジェリーナ
挿入歌/『デイドリーム・ビリーバー』モンキーズ
出演/岡崎真吾…坂口憲二、杉浦瞳…篠原涼子、永野圭…水川あさみ、中町恭介…金子貴俊、神野麻衣子…矢沢心、種田庄二…蛍原徹、野本公平…阿南健治、可愛今日子…西丸優子、高石宏一…高山猛久、藤永忍…麻生幸佑、KONISHIKI、要潤、上村香子、近江谷太朗、小野武彦、木内みどり、佐藤仁美、田山涼成、安藤和久…益岡徹、重松啓一…篠田三郎、岡崎マリア…松坂慶子
ほか

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第8回(11/23放送)
☆☆★
 おしゃれクンな真吾(坂口憲二)色に染まりたいと下北の古着屋で目をつけていたネルシャツを、水道が壊れたせいで真吾の部屋に泊まることになったマリア(松坂慶子)に真吾がプレゼントするというもっともヘコむ形で強奪される瞳(篠原涼子)は、ぶら下げられた古着の中!
 普段から辛辣な圭(水川あさみ)をいっそう唖然とさせた真吾と瞳の幸せバカップルぶりは、瞳が自らの分身として真吾に託した鉢植えとの同化ぶりで第8話全編に充満する。荒れ果てた真吾の部屋の大掃除を試みるに、マリアがその茎を折ってしまったものだから、瞳の首まで曲がっちゃって……。
 これって、アメリカのドタバタコメディでも使い古されたネタでしょ。はたまた『ドラえもん』に似たようなエピソードがあったような気もするし。ノリ的には『恋セヨ乙女』シリーズ調か。あまりお品がいいとは言えない調子をきれいなオチをつけて、後味よく見通せるのがこのドラマのプラスポイント。瞳を、そしてマリアを思いやるがゆえに嘘をついてしまう真吾の好感度も高いのでは。
 真吾が誘い出した居酒屋でマリアが質問する形で、真吾が弁慶を演じるお芝居が結局どういうお芝居なのかついに明らかになる。タイトルは『Re』。テーマは時空を超えた自分探し、そして輪廻転生。空間に閉じ込められた男が義経になっちゃう話?! 小劇場テイストのこのお芝居、最後にはそれなりの分量を見られるんでしょうか。(麻生結一)


第7回(11/16放送)
☆☆★
 真吾(坂口憲二)の嫉妬を駆り立てるのは、マリア(松坂慶子)のピアノの生徒となったダンディな重松(篠田三郎)。そんな重松が早くに妻を亡くしたためにずっと2人暮しだった娘が嫁ぐその結婚式で、妻が好きだった「オーバー・ザ・レインボー」を弾いてやりたくて連日レッスンに通っていたとの成り行きは定番中の定番で何の新味もないが、何となしに漂うほのぼのテイストのおかげで嫌味なく見通せた。
 カニパーティに劇団員を限定で誘ったつもりが、瞳(篠原涼子)もくっついてきちゃったことにマリア(松坂慶子)が久々に嫉妬心。逆に、真吾とボートに乗りたかった瞳は、真吾とマリアがそれをすでに果たしている様を見て絶叫。篠原涼子の一人芝居パートがとにかく笑えます。(麻生結一)


第6回(11/9放送)
☆☆★
 年下、マザコン、売れない食えない劇団員の三重苦、さらには男は結局変わらない、ダメな男ほど危機感がない、と真吾(坂口憲二)をボロカスにけなす麻衣子(矢沢心)に誘われて合コンに参加するも、早々に退屈。この場に来てしまったことを後悔する瞳(篠原涼子)だったが、その模様を音大時代の紀子(上村香子)と食事に来ていたマリア(松坂慶子)に目撃されちゃったから、さあ大変。とっさにタートルネックで顔を隠そうとしたり、といった瞳の小さなリアクション群が隈なくケッサク。
 連続ドラマ(『愛と追憶の夜明け』のタイトルバカにしてましたけど、おそらくの元ネタ『愛と追憶の日々』は傑作ですよ)のオーディションに受けるにしろ、合格したにしろ、真吾の報告が常にマリアに続いての二番手である扱いに加えて、合コンに参加していた瞳を思いやって、彼女に寂しい思いをさせちゃダメと真吾に助言していたマリアの懐の深さが、ついに瞳に合コン参加を告白させると同時に、いてもたってもいられずに逆切れし、一番じゃなきゃ嫌だと駄々をこねる姿に終始共感できるのは、ひとえに篠原涼子の好演につきるでしょう。彼女のコメディエンヌぶりは進化してますねぇ。
 愛の朝の劇場『さよなら母さん』の主演をはり、そのオンエアを瞳とマリアに挟まれて見ているご機嫌な真吾(坂口憲二)の妄想が、実際には熱演を繰り広げた出演シーンの全カットという無残な結果に終わるトホホぶりがまたいとおしくて。普段の辛辣ぶりとは打って変わって、後ろ向きで手を振って真吾を本番に送り出す圭(水川あさみ)がカッコいい。類似シーンを見るたびに、『キャバレー』のライザ・ミネリのカッコよさを思い出してしまう。(麻生結一)


第5回(11/2放送)
☆☆★
 瞳(篠原涼子)が携わっているオープン間近のレストランで催されるパーティーは、実はマリア(松坂慶子)の音大時代の友人が主催したもので、最初は出席を渋っていたマリア(松坂慶子)を真吾(坂口憲二)が後押しついでにドレスをコーディネートするあたりからドラマは微笑ましさを連打。マザコンの真逆、息子のいいなりになる母親の話といった趣きも。
 甲斐甲斐しく働く瞳の前に、かわいらしくゴージャスなマリアとそんな母親をエスコートした真吾が華々しく登場したものだから瞳は愕然。ここからは、小麦粉をかぶって顔が真っ白になったり、ケーキが顔にグチャと飛んできたりと、スラップスティンクに体を張った篠原さんの独演会状態に。これは敢闘賞ものでしょう。
 ガス抜き的に意外に効いてるのが庄二(蛍原徹)が持ってくる定番の母親との証明写真。後ろを向かな過ぎる真吾に対して、

圭(水川あさみ)「何でそんな上っ面だけの芝居すんのよ」

とは、またリアルな?!(麻生結一)


第4回(10/26放送)
☆☆
 最近調子がいい真吾(坂口憲二)、あとダメなのは芝居だけって、圭(水川あさみ)はそんな本当のこといっちゃっていいんですか?、って、一応それもドラマの中の話ってことで。
 真吾がUFOキャッチャー取ってくれたトイ時計を後生大事にする瞳(篠原涼子)は、男性にとっては天然記念物的にありがたい存在かも。ただ、なくしたことを真吾に感づかれる前に、自らUFOキャッチャーで再ゲットするべく8000円も使ってしまうような、夢見る三十路女がいるとも思えない。篠原涼子の腹芸で、どうにかコメディのテイストで収まってはいるけれど。
 マリア(松坂慶子)は瞳に自らの存在を誇示すべく、真吾が小学生のときに作ってくれた紙粘土のブローチをこれ見よがしにつけたことを大いに反省する。このエピソードからも、このドラマがマザコンのドラマでないことは明々白々。
 そんなマリアにバチがあたったか、そのブローチをなくしてしまったために、劇団員が全員集合してのブローチ探しとなるわけだが、誰かのためにみんなで探すって、先週の『めだか』とまったく同じ展開じゃないの。テレビドラマはこの程度で裁いてればいいだろうぐらいの、そういう系列局通しの共通理解なのかな。
 ちょっと面白かったのは、嫌なやつだと思われたくないために一緒に探す座長・圭のその心持にバチがあたる(=通り過ぎたバイクが地味に水をはねて、それが派手に顔にかかる)場面以降から、圭がボケキャラに専念するようになるあたり。ノリノリなカラオケボックスでも観葉植物に邪魔されて(?!)って、完全にコメディロールに転身した模様。ただ、この時勢に『涙のリクエスト』はちょっと苦々しくありませんか。(麻生結一)


第3回(10/19放送)
☆☆
 具合が悪そうな真吾(坂口憲二)はてっきり交通事故の後遺症に見舞われているのかと思いきや、単なる風邪でした。じゃあ、あの交通事故は何だったの?
 寝込んだ真吾のお見舞いに来たマリア(松坂慶子)と瞳(篠原涼子)がついに鉢合わせ。マリアは瞳に遠慮して、せっかく作ってきた真吾の風邪の日限定好物、しょうが入りおじやを持って帰るも、そのことに真吾は激怒。恋人の前だかlらといって遠慮してほしくないと言われて、マリアは大いに感動する。逆に、瞳はそんな母親優先主義の真吾に大いに激怒。それでも、弱ってるところを見られたくなかったとの真吾の言い訳に瞳はホロリ。またまたラブラブになる。
 広義に解釈すればこれもマザコンかもしれないけれど、真吾は母親の意向に左右されるようなキャラクターではないわけだから、正確に言えばこれはマザコンのドラマではない。単に母親思いのやさしい男のお話なわけで、微妙に釈然としない思い。むしろ面白かったのは、麻衣子(矢沢心)のいたずら電話と種田(蛍原徹)の母親の鍋焼きうどん証拠写真だったりする。(麻生結一)


第2回(10/12放送)
☆☆★
 真吾(坂口憲二)の母・マリア(松坂慶子)と同じ誕生日だったことを知った瞳(篠原涼子)が、果たしてマザコンの真吾に一人で祝ってもらえるのかと不安に思う感じはなかなか面白かった。思いもしなかった高級レストランでのディナーの真っ最中に、一人で誕生日を過ごしているマリアのことを思ってたまらなった真吾がその場から飛び出していく様に、

ひとみ「えっ!」

となるリアクションは定番になるみたい。このあたりの間のうまさが、毎クール似たようなポジションで篠原涼子が使われ続ける理由なのかなぁ。
 韓流のパロディというか、マリアに花束を渡してとってかえす時にバイクにはねられるも、ボロボロになりながらも瞳のもとに舞い戻ってきて、好きといわれて好きと答えるあたりのバカっプルぶりには苦笑させられたが、あっという間に見通せるあたりはよろしいのでは。
 そんなに客に笑ってほしかったら芝居じゃないくてお笑いに行け!、客いじりする役者なぞいやらしいぞ!、と毒づく圭(水川あさみ)がいい感じ。(麻生結一)


第1回(10/5放送)
☆☆★
 マザコンのドラマという先入観で見始めると、ちょっと拍子抜けしてしまうほどに真吾(坂口憲二)とマリア(松坂慶子)の関係は友達風のいい感じ。そんな二人に絡むのが、レストランチェーンのスーパーバイザーなる職業の瞳(篠原涼子)。関テレのドラマ的には、篠原涼子は常にキャリアウーマンとの認識の模様(『アットホーム・ダッド』しかり)。
 もともとの母親役は岩下志麻だったらしいが、年齢的にいったらむしろ松坂慶子でよかったのでは。真吾が所属する劇団の主宰者であり座付き作家の圭(水川あさみ)が真吾の演技に対して、

圭「影ってもんがないのよ、あんたには」

との一喝に、『愛するために愛されたい』を即座に思い出したり。ただ、人力を引いているその様を見ると、『ファイティングガール』以来の当たり役になりそうな気もして。
 真吾に初デートをすっぽかされて意地になり、みなとみらいの観覧車でカップルと相席になる瞳(昼間はそこまで込んでないはずだけど)が、真吾とマリアが仲睦まじくするする様子を眼下に発見する場面は笑える。人力車の料金が「二倍二倍」な客でKONISHIKI登場。「二倍二倍」は高見山からKONISHIKIに継承された?!(麻生結一)




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