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女医・優〜青空クリニック〜 (フジテレビ系月〜金曜13:30〜14:00)
制作/東海テレビ放送、国際放映
企画/鶴啓二郎
プロデューサー/市野直親、浦井孝行、櫻井美恵子
原作/『青空クリニック』軽部潤子
脚本/深沢正樹、大原久澄
演出/藤木靖之、吉野晴亮
音楽/渡辺博也
主題歌/『lost angel』day after tomorrow
出演/藤井優…木内晶子、柴田勝之…大浦龍宇一、広瀬智也…西興一朗、柴田ひかり…野村涼乃、港響子…湖映佳奈子、山中朋子…小島香奈子、鶴巻哲平…芦田昌太郎、浜本キヌ子…松井紀美江、内海ノブ子…鷹家昌子、富塚靖…岡田謙一郎、渡部竹男…頃末弘己、川田敏江…岸田今日子、柴田美幸…渋谷琴乃、花咲みどり…内田春菊、北沢里美…清水めぐみ、川崎ふみ…佳那晃子、北沢正…有川博、横山…肥後克広、川崎悟郎…谷本一、草間誠司…平岳大、沢木事務長…潮哲也、島村内科部長…加藤茶、寺崎いずみ…勇直子、浜本実花…永田めぐみ、吉永由香里…小澤栄里、草間秀美…奏谷ひろみ、中帆登美、玉山博之、渋谷亜希子、東美江、平久保雅史、荒井宏城、城元大輔、宮崎温文、三島由起子、三宅重信、田島昭政…宗方勝巳、大山豊、市東美奈子、本村健太郎、沢村ゆかり、名川貞郎、松浪志保、山中里佳子…仲程仁美、高島功…鈴木淳評、浜本則昭…貴山侑哉、竹中光代…黒木優美、岩戸大星、希帆、樫村勲、後反克介、田淵悠太郎、関澤貴則、廣瀬和美、韓由美、駐在…中西正、広瀬加奈子…駒塚由衣、猪野剛太郎、岡部久美…須部浩美、宮下由紀…山内紅実、宮下透…大谷俊平、青山医師…伊藤智之、星野渚…樋口泰子、高木彩那、岸一輝、久保結季、野辺平歩、松浦愛紗、佐藤和也、平中優乃、成田翔吾、池田恭祐、柴崎憂、星野真央…千葉理奈、押川大輔、草間太一…高木優希、渡部義彦…渡邉悠、若林元太、佐々木大輔、鶴巻多恵…福井裕子、港大輔…デビット伊東、星野朝美…赤座美代子
ほか

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第8週(8/16〜8/20放送)
☆★
 島民から尊敬を集めている元教師の正(有川博)の、妻・里美(清水めぐみ)に対する言動に最初ドメスティックバイオレンスを疑う優(木内晶子)だったが、実際にはすでにアルツハイマーという診断を受けて、最期のときを過ごそうと島に帰ってきていたのだった。悪化する病状に介護を投げ出そうとする里美に対して、優(木内晶子)は正の気持ちを何とかかなえようと、戦友宣言した勝之(大浦龍宇一)の力を借りてまたまた医者の立場を超えて奮闘するのだったが、結局は挫折してしまう。
 せっかくのテーマの真摯さと語り口がかみ合わないのはいつもの如し。勝之をめぐってケンカになる優と智也(西興一朗)がドサクサまぎれに激しいラブシーンを演じるも、なぜに松明だか暖炉だかの木がそばで燃えてる?初志貫徹するまでは会わないはずだった大前提も今は昔といった感じ。
 第1週以来に敏江(岸田今日子)が登場。朝美(赤座美代子)たちとの打ち解けようはさすが優を島に送り込んだ張本人と思わせるも、だったら島民も最初から優に対してもう少し好意的でもよかったでしょうに。敏江からあえてきつくあたるようにとでも言われていたとしか思えないんだけど。(麻生結一)


第7週(8/9〜8/13放送)
☆★
 あれだけ悪い人だった朝美(赤座美代子)がすっかりいい人に?! かつて死産に立ち会ったことでその後の一歩が踏み出せない元助産士の響子(湖映佳奈子)が、実花(永田めぐみ)の出産には協力できないと渋り続けるも、朝美の説得で翻意ってまた突然だなぁ。おかげさまで、出産の場面の感動も今三歩ほど。
 美幸(渋谷琴乃)はおはぎはおはぎでも、つぶあんじゃなくてこしあんが好きだったとのひかり(野村涼乃)の指摘が妙にねっとり。そんなこんなでひかりが美幸方の親戚・光代(黒木優美)と一緒に札幌に移住計画が浮上するに、いきなり怒り出す勝之はいつもながらに奇妙に映る。
 結局は、いい年した男=勝之(大浦龍宇一)と女=優(木内晶子)が戦友宣言することで、無理やりに優と勝之を結び付けようとしていた試みも終了?! で、司法試験そっちのけで押しかけ旦那風の智也(西興一朗)と仲直り?! そんなことしなくても物語は十二分にドラマティックになりえたはずなのに、毎度のごとく極論にのみ走ろうとするこのドラマはいかにも見づらい。(麻生結一)


第6週(8/2〜8/6放送)
☆★
 ひかり(野村涼乃)に嫌われ、実花(永田めぐみ)の面倒な出産問題まで抱え込んで、おまけに東京の彼氏=智也(西興一朗)との別れ話まで浮上と、相変わらず優(木内晶子)の受難は続く。キャラクターの性格が今一歩定まっていないせいで、ドラマの随所に歪みがうまれている印象は変わらないが、美幸(渋谷琴乃)の看病一辺倒の話から脱却したおかげで、これまでのような窮屈な展開からは逃れられるかも。
 この第6週でとにかく目立っていたのが、いきなり悪キャラへと変貌をとげたいずみ(勇直子)。島にやって来て、智也(西興一朗)と関係を持ったと優に言い放った嘘を誠にするべく、智也を酔わせて一夜をともにしてしまうあたりの暴走女王ぶりには仰天するばかり。ベットで目を覚ました智也にいずみが脚を組むところをカメラでなめて、

いずみ「おはよう」

とは怖すぎです。

いずみ「優優優優、言ってるんじゃないわよ。(智也に物投げつけながら)私が独身なのに、あの子が幸せな結婚するなんて変でしょ」

頼りになる先輩から妬みの塊に。ここまで突き抜けてくれれば、このキャラの性格変更だけは容認せざるを得ない?!
 そんないずみの誘いにのってしまって頭を抱える智也がいかにも情けない。挙句には、優をそばで見ていたいからと島で司法試験の勉強をはじめる始末。こんなんじゃ、また弁護士は無理でしょうよ。
 優のモノローグでの勝之(大浦龍宇一)の呼び方が「あの人」に変わって、この2人の関係にも微妙な変化が見えはじめるも、その不幸度でさらに上手をいく豪華キャストを揃えた裏の方が分がよさそうな気がする。(麻生結一)


第5週(7/26〜7/30放送)

 ウニ祭りの三人四脚走で優(木内晶子)が勝之(大浦龍宇一)とひかり(野村涼乃)と組んで優勝した事実を知るや、美幸(渋谷琴乃)はまたまた半狂乱。その後味の悪さのままに、美幸は逝ってしまうのか。
 いずみ(勇直子)が智也(西興一朗)を奪い取ろうとしているというありがた迷惑な手紙にしても、あのイメージフラッシュはやっぱりコメディの手法でしょうに。いまどきあれはないよ。
 東京の大学に進学する功(淳評)をひき止めようと、自殺未遂する里佳子(仲程仁美)にも共感できないが、だからって優は里佳子を何発殴るかね。見進めるほどに残念な気持ちになる。(麻生結一)


第4週(7/19〜7/23放送)
☆★
 娘のひかり(野村涼乃)に美幸(渋谷琴乃)が自分の病気のことを伝えたために、美幸のことを直すと言い切っていた優(木内晶子)をひかりはうそつきだと責めるのだったが、美幸と一緒に死ぬために食事をしなくなったひかりを安心させるために自分は魔法で美幸を治せる云々と言って、さらなる嘘の上塗りをする優の安易さにも共感できないが、それはそれとしても見せ方の古めかしさにはそれ以上に首をひねりたくなる。明るくしたいのか、ドロドロにしたいのか、そのあたりの意図が不明確だし、イメージフラッシュの挿入なども古めかしく、ドラマ的なセンスを感じない。智也(西興一朗)と勝之(大浦龍宇一)を重ねて優が夢想するところなど、いまどきあれをやってしまったらコントでしょうに。
 万引きの常習犯だった孫・真央(千葉理奈)を弁護する朝美(赤座美代子)の発言もまったくの意味不明。大家の多恵(福井裕子)も含めて、各キャラクターの設定も硬直したものに感じられる。(麻生結一)


第3週(7/12〜7/16放送)
☆☆
 美幸(渋谷琴乃)は診療所での治療に最後の望みを懸ける決心をする。しかし、娘のひかり(野村涼乃)とたくさんの時間を過ごし、そしていろんなことを伝えたいという気持ちが強いだけに、ひかりの中で優(木内晶子)の存在がどんどん大きくなっていくことに対して強い嫉妬心を抱いてしまう。
 余命いくばくもない美幸のエゴイスティックな側面にスポットを当てたあたりはなかなかなもの。その複雑な思いには共感するところもあるのだが、周辺のキャラクター設定の極端さにはついていけない部分も。いつも怒鳴ってるだけの勝之(大浦龍宇一)や先週は優に張り手を、今週は優を突き飛ばした朝美(赤座美代子)、単に粗野な大家の多恵(福井裕子)などなど、感じの悪いキャラクターには事欠かない。『よい子の味方』では元気いっぱいのシッターを演じていた渋谷琴乃だけに、そのあたりにも若干の違和感が(『よい子の味方』が終了したため、次週からはこちらに専念できてよかったです)。(麻生結一)


第2週(7/5〜7/9放送)
☆★
 大いに期待していたドラマなのだが、すべてに極端で見ていて居心地が悪い。筋もキャラクターもどうしてここまで硬直させなきゃいけないんだろう。突きつけられる選択肢が、常に白か黒か的なものばかりなのも興ざめ。もともと、優(木内晶子)が島に渡った動機も安易だったわけだけれど。
 Dr.コトーがスーパードクターだったのに対して、優は『ブラックジャックによろしく』の主人公に毛が生えたようなものだから、治療のスキルで島民の信頼を勝ち取ることなど出来るはずもなく。ただ、いくら守(池田恭祐)のぜんそくの発作に対応できなかったからって、看護士の朝美(赤座美代子)から後々張り手3連発もらういわれもなかろうて。治療中ならともかく。
 一番ビックリしたのは、勝之(大浦龍宇一)の妻・美幸役で、渋谷琴乃が愛の劇場(『よい子の味方』)から連投していたこと。この枠で渋谷琴乃といえば、傑作『女優・杏子』を思い出さずにいられない。タイトルの雰囲気はこのドラマと似てるんですけどね。
 勝之の余命いくばくもない美幸への思いはわかるとしても、娘のひかり(野村涼乃)を傷つけないために妻と引き離そうとする気持ちもイマイチ釈然としない。いろんなことを娘に教えたいと願う妻と娘の時間を出来るだけ作ってやろうとする勝之のジレンマをもっと丹念に描ければ、しっとりとした良さが出た思うんだけど。音楽がイヴ・モンタンの遺作『IP5』のメインテーマそっくり。(麻生結一)


第1週(6/28〜7/2放送)
☆☆
 地域医療に医師としての理想のあり方を見出そうとする女医・優(木内晶子)の成長を描いた、まさに女性版(もしくは北国版)の『Dr.コトー診療所』。コトーが外科医だったのに対して、優は内科医なので尋常ならざるスーパーオペなどは見せられずにすむかと安心しきっていたが、こっちはこっちでいろいろやらかしてくれそうな予感が?!
 ロボット医者としてのキャラクター設定のせいか、全国ネット連ドラ初主演の気負いからか、しょっぱなから木内晶子の優がとにかく硬い。と思っていたら、恩師であり僻地医療のエキスパートでもある敏江(岸田今日子)の登場により一変。確かな技術と最新の設備が医療には必要という路線から、いきなりに奇跡を信じて患者と一緒に病気と闘う真心の医者に1日で変身してしまうとはまた極端な。

優「私、昔から加減っていうものを知らないんですよね」

なるほど、そういうことでしたか。
 優は小学1年生のときに母を亡くしたことで人の命を救いたいと思って医者を志した初心を思い出し、内科部長の島村(加藤茶)の医療ミスを告発。続けざまに僻地医療に携わりたい思いを結婚間近の智也(西興一朗)に吐露。智也は2年後に会うまでは連絡も取り合うまいと奇妙な物分りのよさを発揮したかと思ったら、予告なしに熱いディープキス。
 コトーのようにゲロゲロになることなく、無事に赴任地である北海道の天売島へ到着するも、島民の反応はあまりにも冷ややかで、という展開はコトーとまったく同じパターン。こういう対立を作らないことには、全60数話のドラマは成り立たないわけだけれど。
 役場の職員・勝之(大浦龍宇一)、看護師の朝美(赤座美代子)らが登場して、ドラマは本格的に始動。あまりにも『Dr.コトー』と同じシチュエーションなれど、独自色を出していいドラマにしていただきたいです。ゴールデンの連ドラに多くを望めない以上、このドラマにはがんばってもらわないと困ります。(麻生結一)




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