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東京湾景 (フジテレビ系月曜21:00〜21:54)
制作著作/フジテレビ
企画・プロデュース/大多亮
プロデューサー/栗原美和子、森谷雄
原作/『東京湾景』吉田修一
脚本/原夏美
演出/村上正典(1、2、5、7、9、11)、平井秀樹(3、4、6、10)、澤田鎌作(8)
音楽/イルマ、高梨康治
主題歌/『君さえいれば』Weather Forecast
挿入歌/『僕は忘れない』自転車に乗った風景
出演/木本美香・金優里(二役)…仲間由紀恵、和田亮介…和田聡宏、早瀬佳男…佐藤隆太、山根真理…佐藤江梨子、小山ヒロシ…速水もこみち、木本紀香…ソニン、井上弘一…中村俊介、井上麗子…李麗仙、井上龍弘…石田太郎、神谷文…仲村トオル、姜用九…パク・ヨンハ、大杉健…哀川翔、和田健介…夏八木勲、木本正雄…石坂浩二
ほか

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第11回(9/13放送)

 バイクにはねられるも、一命は取り留めた美香(仲間由紀恵)は、その代償として記憶を失うのだが、ドラマ開始15分にして早速記憶の断片が蘇りはじめ(クリスマスの己のチョゴリ姿)、33分の空港垂れ幕事件の再現により記憶が完全に復活する。ここで思ったのは、その間本当に美香は記憶を失っていたのかという疑問。仲間由紀恵の演技では、一命を取り留めた風にも見えなかったし、記憶を失った苦悩も皆無だった。
 これは脚本がダメなのとは別問題で、脚本が陳腐なら陳腐で、それを補う演技を見せてほしかったところだが、結局はそれを助長させたのみ。『トリック』や『ごくせん』での女水谷豊ぶりが輝いている彼女を思うと、これはミスキャストだったと思うしかないか。演出のふがいなさもプラスされて、事態は悪くなるばかり。こういうダメな例と比較すればなおさら、椎名桔平の記憶喪失演技の巧みさには頭を下げるしかない。
 いったん筆を折った神谷文(仲村トオル)は、妹・美香のアイデンティティを取り戻すため再び執筆を開始したかと思ったら、もう書けちゃいましたか。その神谷の執筆理由に関する、

佳男(佐藤隆太)「この世の愛を信じるすべてのために」

との水飴的な説明台詞にもうんざり。
 驚愕は、亮介(和田聡宏)と姜(パク・ヨンハ)による韓国語と日本語で成立してしまうダイアローグ。ここまでくるともはや罪の域か。開いた口がふさがらなかった『愛するために愛されたい』、結末がまったく意味不明の『仔犬のワルツ』、見るたびに不快になる『こころ』や『天花』あたりの記憶に残るダメさぶりと見比べると、このドラマの味の薄さは記憶さえ残りそうにないが。
 このドラマの制作者たちは大いに反省すべきだと思う。ドラマというカテゴリーをどのように位置づければ、こんな代物をこしらえる暴挙となるのか。自分たちだけで気持ちよくなってるだけだったら、PFFにでも出品しなさいよ。月9の体裁がこの調子ならば、この枠は撤廃した方がいいのではとも思えてくる。

「神谷文さんが書いた小説『Destiny of Love』を抽選で50名の方にプレゼントします」

とは、最後の最後にまた随分手の込んだジョークを言うものよ。(麻生結一)


第10回(9/6放送)

 優里(仲間由紀恵)が生涯愛したのは正雄(石坂浩二)だったけれど、美香(仲間由紀恵)の本当の父親は神谷文(仲村トオル)の父・神谷教授で、このことを昔の恋人である健介(夏八木勲)から正雄(石坂浩二)が聞かされるって、結局のところの元凶中の元凶は優里かい。最初の4回ほどはまだドラマだったような、そして段々ドラマ未満になっていって、ついにはドラマではありえなくなる様は、だからこそ美香と弘一(中村俊介)の結婚式前後に詰め放題に出来たわけね。
 母親の面倒を見る宣言をした亮介(和田聡宏)は、一回たりとも母親の面倒を見ず、新たに子供に習字を教えはじめたかと思ったら、それもほったらかしに留学って、そんないい加減なキャラクターに共感するのもなかなか難しいでしょうに。真理(佐藤江梨子)が亮介とのことは芝居だったって繰り返し言ってるのに、

佳男(佐藤隆太)「つまり関係を持ったふりをしてくれって頼まれたんだね」

とさらに念を押す佳男(佐藤隆太)の方がよほどわからんも、そんな彼のダスティン・ホフマンの引用に油断してる隙に、美香は交通事故で記憶喪失に。もはやドラマではないこのパロディの類はすでに『天花』を上回り、ついには『愛するために愛されたい』超えを目標に掲げた模様?!(麻生結一)


第9回(8/30放送)

 すべては推量でしかないのですが、美香(仲間由紀恵)は亮介(和田聡宏)が大賞を受賞した書道大会授賞式には命がけでいったらしいです。その命がけぶりは、どこにも描かれてなかったけれど。随分とアメリカンな授賞式の言葉に小っ恥ずかしくなったのは、紛れもない事実。
 弘一(中村俊介)的には、美香から優しい言葉をかけられることは生殺しらしいです。結婚する気がないなら、二度と来ないでと言っておいて、今度来るときまでに決意しておいてって、その論理展開がかなり矛盾しているぐらいだったらわかりますけど。

佳男(佐藤隆太)「運命は流転してるんですね」

へぇ〜。このドラマが模倣してることはよくわかるんですけど。
 正雄(石坂浩二)から美香と兄弟であることを知らされたらしい亮介は、真理(佐藤江梨子)とベッドインな猿芝居を打つ。衝撃を受けた美香は、一目散に弘一のところへ。美香の心境がまったくわかりません。

正雄「私は美香の本当の父親じゃないんだ×2」

って、芸能界一の博学にこんな台詞を言わせてしまうとは、ある意味すごいですね。しかも2回!
 お久しぶり(?!)の神谷(仲村トオル)曰く、

神谷「まだ何かある」

らしいですよ。このドラマが真の模倣を貫くのなら、もはや何もないでしょうよ。こういうドラマにあたっちゃった出演者の皆さんは、大変でしょうね。(麻生結一)


第8回(8/23放送)

 あえてその道を選択したのだろうから致し方ないが、パク・ヨンハのインタビューをオープニングに挿入したりして、ますますドラマであろうとすることを放棄しようとするこのドラマ、いやもはやドラマではない何か。
 通り魔に刺されて大ケガをおった弘一(中村俊介)に対する責任をとって結婚しろと美香(仲間由紀恵)に命じる父・正雄(石坂浩二)に、

紀香(ソニン)「そんなの変だよ」

と噛み付いて、ついに紀香がその存在感を示す。この回唯一の正しさがここに。まぁ、ここまでの消え方といったら、『天花』の由加(サエコ)に負けず劣らずだったけれど。
 美香には会いたくないと言っておいて、やっぱりあっさりと面会を受け入れる弘一の反省の弁、及びに泣きじゃくる姿が怪しい?! 由紀と亮介(和田聡宏)は当分会わないことにって、あっさり受け入れる様には大いに拍子抜け。ここで2人をぶつけないと、ドラマにならないよ。

亮介「(正雄に土下座して)俺が韓国人になります!」

と仰天クライマックスは用意されていたけれど。(麻生結一)


第7回(8/16放送)

 「夏のソナタ〜祖国へ〜」との副題を見るにつけ、ついに月9もNHKのドラマに便乗する時代になったかと哀れみをもって見はじめるも、見進めるにその気持ちは哀れみから蔑みへと変化していく。
 クレーンで吊るされた鉄骨が亮介(和田聡宏)に落ちてくるところ、美香(仲間由紀恵)からの携帯着信音で間一髪で救われるって、おいおい。このドラマ、いつの間にジョーク集に徹底しはじめたの?! 大体、番組がはじまる前からパク・ヨンハのメイキング見せてどうするの。香港のアクションムービーだって、NG集はラストって決まってるのに。時折面白キャラに変貌する美香を見ると、やはりこれはジョーク集だと確認出来るあたりの手厚さには感謝?! 『愛するために愛されたい』、『プライド』、『仔犬のワルツ』、『天花』あたりにこれも含めて、よくぞ公共の電波にのせてくれたものよと、怒りを超越する心持になったりもして。こういうドラマのおかげさまで、面白いテレビドラマを作ることがいかに難しいかを思い知らされるっていうのも何だか皮肉だけど。
 ここまで行き着くと、もはやディテールには何の意味もないように思えるが、正雄(石坂浩二)がpenを買い揃えていることをわざわざ見せるにしても、もう少しうまいやり方があるだろうに。美香と亮介が手に手をとって韓国に飛び立つのを阻止しようと、成田に駆けつけた弘一(中村俊介)が通り魔にブスリとやられるまではまだよしとしましょうよ(本当はよくないけれど)。その後ちゃんと病院に運び込まれたのに、

「生死も確認できておりません」

とはどんなニュースソースですか。その間違いの上塗りぶりは、昔の土ワイのようにクレジットを写真入りの刑にすべきではとさえ思ってしまう。真理(佐藤江梨子)が悪女である大前提をあっさりと捨てて、佳男(佐藤隆太)といい感じになるあたりのおざなりさ加減にもただただあきれるのみ。
 まぁ、これはもはやドラマではないという思いに切り替えてみれば、来週の韓国ロケが楽しみだったりもしてくるのだけれど。 (麻生結一)


第6回(8/9放送)
☆★
 これだけ謎が謎を呼ばないドラマの作り方も、やろうと思ってもなかなかやれるものではない。まさに無自覚の勝利(もしくは敗北)かね。恋愛の対立軸や足かせをどこにもってくるのか、恋愛ドラマが作りにくくなったといわれる日本のテレビドラマ状況ではいっそう悩ましいところだけれど、だからといって、仕掛けた対立軸や足かせのすべてがまったくの茶番に見えてしまってはどうにも具合が悪い。
 井上(中村俊介)と結婚してほしいと美香(仲間由紀恵)に頭を下げる父・正雄(石坂浩二)。たまらなくなった美香は取材するはずだった亮介(和田聡宏)が出場している書道大会に駆け込んで、亮介が書いたハングル文字を見て思わず涙。“約束”は韓国語でも“やくそく”と発音するんですか。新鮮な喜びは、うんちくじみていたここぐらいのもの?!
 神谷(仲村トオル)の原稿から浮かび上がってくる優里(仲間由紀恵・二役)がかつて愛した日本人。ここで、ただでさえわかり安すぎるドラマをさらに説明しにかかる佳男(佐藤隆太)と健(哀川翔)の迷探偵コンビがつらい。その道化ぶりがあまりにも徒労じみていて、気の毒にさえ思えてくる。
 これだけ模倣してるのに、韓国のドラマとは似て非なるものになってしまっているのはなぜなのか?やはりパッションの差か。これでもかってぐらいの前のめりでねっとりとした感じがないと、どうにも展開が盛り上がっていかな。どことなくよそ行きというか、クールというか。運命の作り方をかたくななまでに同じにするあたりの徹底ぶりにも、そこまでなるのならばと、通常ならのせられる気にぐらいなろうとするのだけど。(麻生結一)


第5回(8/2放送)
☆★
 キャラクターの造形がいかにもステレオタイプだし、物語の詰め方も陳腐に流れる傾向が回を追うごとに顕著になってきている。美香(仲間由紀恵)をめぐってついに対決した亮介(和田聡宏)と弘一(中村俊介)のツーショットにしても、弘一の力みぶりと比べると亮介はうかがい知らずといった感じで茶番風にしか見えないのが残念。男ってもんがすべてをぶっちゃけて話してほしいかどうかも疑問だし。そんな男は正直勘弁です。
 弘一の母・麗子(李麗仙)が美香と紀香(ソニン)があまりにていないとの指摘と、美香は性格まで母親似という釘刺しに、美香が父の娘ではないことがほのめかされるあたりは予定通りといった感じか。
 美香が出した企画、和の心特集の第二弾が、「倉庫の肉体労働者がフォークリフトのハンドルを筆に持ち替える時」で、どんどん先に進めろというゴーサインが出る雑誌の読者層って、どんな読者層だよ。まぁ、好きな人が単なるガテン系ではない芸術家の卵って、そういう人が好きっていうのも、またステレオタイプなんだけど。
 クライマックスで亮介が書道大会でハングルを各場面に、パソコンで“約束”の意味を調べるってのも、情緒がないね。っていうか、正座してパソコン打ってる佳男(佐藤隆太)は編集者の鏡か?!(麻生結一)


第4回(7/26放送)
☆☆
 ついに美香(仲間由紀恵)は自らが在日韓国人であることを告白。ところが亮介(和田聡宏)はすでにそのことを知っており、クリスマスイブの日にシマチョゴリ姿の美香を見て以来、惹かれていたと逆告白。な〜んだ、すでに両思いだったのかい。というわけで、2人はついに結ばれましたとさ、めでたしめでたし。となればこれで最終回になっちゃうんだけど、父の正雄(石坂浩二)が警察に連行されたりしてるうちに、井上(中村俊介)からのプロポーズが政略結婚じみた色合いを強めていき、と全4回で終わらせる気はさらさらないみたい(『妻の卒業式』が全5回とすると、こっちは全3回でも十二分なはず?!)。
 ということで、今後は家同士の関係性も絡めつつ、日本人男性を愛した韓国人女性と韓国人女性を愛した日本人男性の世代を超えた運命話に展開はシフトしていく模様。何はともあれ、血は争えないって話ですよね(シンプルにくくり過ぎ?!)。
 美香が断りを入れたにも関わらず、達筆に任せて小説を書き始める神谷(仲村トオル)の担当を引き継いだ佳男(佐藤隆太)、もしくは親切な探偵2人組の片割れとの打ち合わせに、いつの間にやら酔っ払いな美香が遺憾なくナチュラル・コメディエンヌぶりを発揮するあたりは、ドラマのトーン的にいかがなものか。もちろん、クセっぽい演技にこそ特徴がある仲間由紀恵には、ぜひとも女水谷豊を狙ってほしいんだけど。(麻生結一)


第3回(7/19放送)
☆☆
 本当の私を見つけてほしいと美香(仲間由紀恵)は思うも、亮介(和田聡宏)が美香の身の上を先刻承知していることは周知の事実。だったら、この2人の恋の行方にいかなる障害が?と思っていたところに、真理(佐藤江梨子)がメキメキと韓流ドラマ的悪女キャラぶりを遺憾なく発揮するあたりのわかりやすさは相変わらず。
 父・正雄(石坂浩二)の感動スピーチに涙する美香にイマイチのれないのは、台詞の言い回しが独特な仲間由紀恵の隠し切れない面白キャラぶりが災いしてか。この人のナチュラル・コメディエンヌぶりは天性のものだと思うので。消えつつある日本の家族愛の象徴、『サザエさん』賛歌はCXのドラマならでは。これがテレ朝だったら『ドラえもん』になるんだろうけど。
 母・優里(仲間由紀恵・二役)の形見のブレスレッドが三回連続ではずれてしまう暗雲の兆候を振り払うかのように、神がかりのキャッチを見せる亮介はまるで平成の宮本武蔵でしょ。書もお得意ですしね。
 古きよき時代の男、佳男(佐藤隆太)は、亮介が美香を理解してくれるであろうことを、

佳男「彼はきっと……、ですよ」

との言葉の空白に込める?! この台詞だけとっても、★一つ減点分あるけど、まぁ処女作ですしね。(麻生結一)


第2回(7/12放送)
☆☆
 目も当てられないほどに相当ひどい代物になるのではと思っていたこのドラマ。ふたを開けてみると、栗原美和子Pのいずれの最近作に比べても数段見やすい、というのが正直な感想になる。さすがは、オフィシャルページで脚本家原夏美という自分自身を自画自賛されてるだけのことはありますね(どういう感覚を持ち合わせていれば、あれほどまでに自らを褒め称えることが出来るんだろう?! うらやましい性格の方です)。
 美香(仲間由紀恵)は早瀬佳男(佐藤隆太)と雑誌の特集で扱う和の心を思案して、行き着いたのが亮介(和田聡宏)が書道教室で子供たちに教える和の心。ここで亮介に美香が真逆の世界で生きてる、品川埠頭⇔お台場=東京湾景であることが判明する。わかりやすい!
 いかにして手に入れたのかは一切語られていないが、作家・神谷(仲村トオル)は亡き母・優里(仲間由紀恵・ニ役)の肖像画を入手し、その元カレが生きていたことを突き止める。足の悪い亮介の父・健介(夏八木功)が早々に大本命に。何かにつけて美香(仲間由紀恵)と亡き母・優里(仲間由紀恵・二役)をオーバーラップで見せる方法がびっくりするほどにわかりやすいと思っていたら、時代を超えてその血縁者を好きになったわけですか。何てわかりやすい運命の設定。亮介との復活を狙っている真里(佐藤江梨子)も、わかりやすく美香の意地悪ライバルに就任の模様。
 猛暑にとろけそうな甘っちょろい展開に☆★にしようかとも思ったが、びっくりするほどのわかりやすさに思わず少しおまけしたくなる。仲間由紀恵の存在感にも大いに助けられているのでは。(麻生結一)


第1回(7/5放送)
☆☆
 同名小説をベースにしつつ、在日韓国人女性をヒロインに国境を越えた愛というオリジナルな要素をミックスさせた作品と聞くに、見る前から大いに不安になったが、実際に見てみるとごった煮スープのような盛りだくさん感を出そうとしているわりに、全体的には地味な印象を受けた。
 2003年クリスマスイヴの夜、ヒロインである木本美香(仲間由紀恵)と品川埠頭の倉庫でフォークリフトを操る和田亮介(和田聡宏)とは、後々の出会いサイトで知り合う前に暗闇で激突。その場所が蒲田駅周辺だったりすると『砂の器』になっちゃうんだけど、とりあえずはお互いに人は殺してなさそう。
 美香は父・正雄(石坂浩二)に守(山崎潤)との交際を直談判するも、相手が韓国籍ではなく日本人男性との理由で交際を断られてしまう。ここでは正雄の台詞に注目。

正雄「大学病院の内科勤務医か。悪くないな」

って、それじゃほとんど『白い巨塔』の東教授の延長じゃないの。
 ちょくちょく美香の相談にのっている佳男(佐藤隆太)が下心なしだとすると、佐藤隆太も出演していた古きよき時代の男がいっぱいだった『プライド』の大和(坂口憲ニ)と完全にかぶってるぞ。モノローグや説明台詞を防ぐための聞き上手専門キャラほどに、無駄な存在もないような気がするのだが。
 雑誌の編集者である美香のもとに現われた小説家・神谷文(仲村トオル)は、どうしたことか美香亡き母である優里(仲間由紀恵・二役)の日記を持っていて、そこに描かれている悲恋を描きたいという。その悲恋とは、優里が反対されながらも恋に落ちた日本人青年(川端竜太)が、木材の下敷きになって死んでしまうという『冬ソナ』的悲恋。
 すでにお腹いっぱいという感じだが、メインストーリーは美香と亮介の出会い系サイトをきっかけにした恋愛話の模様。美香がauのINFOBARを巧みに使いこなす様を見るにつけ、仲間由紀恵が出演するauの新しいCMなのかなと錯覚することしばしば。いつか見たシーンの羅列の中で唯一のオリジナルは、「本当の私を見つけて」とのリスクエストに羽田空港出発ロビーで応えるべく、亮介が垂らしに垂らした習字の巨大垂れ幕ぐらいか。
 心のコップが溢れ出そうだった美香は亮介に対して、

美香「出会ったばかりの彼に、なぜか懐かしさを感じていた」

とは、あとからこの2人が実は異母兄妹だったなんていわれたりしそうで怖い。それが実は違っちゃったりする力技の二転三転があったりすると、引用作品の中ではもっともマイナー系となる『永遠の君へ』になってしまうわけだが。母の日記の文面と携帯メールの文面が同じだったりする仕掛けも、らしいといえばらしいか。(麻生結一)




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