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火消し屋小町 (NHK総合月〜木曜23:00〜23:15)
連続ドラマ
制作・著作/NHK、MMJ
共同制作/NHKエンタープライズ21
制作統括/安原裕人、鈴木圭
プロデューサー/千葉行利
原作/逢坂みえこ『火消し屋小町』より
脚本/中谷まゆみ
演出/国本雅広
音楽/MOKA
主題歌/『明日へ架ける橋』倉木麻衣
出演/南夏子…池脇千鶴、乾伸郎…鳥羽潤、相原こずえ…ベッキー、山田花子…櫻井淳子、三国守…大森南朋、服部正和…石丸謙二郎、川西太一…石井康太、片桐…加勢大周、綾瀬成美…大河内奈々子、大家…半海一晃、赤石…永山たかし、副教官…勢至郎、川村…前田耕陽、久美子…小林麻子、伸郎の浮気相手…高橋しゅり、山野老人…林孝一、マンションのオーナー…浅見小四郎、つばさ…高橋快聖、たくや…佐野剛基、ひろき…佐野観世、塚口…岡田太郎、美都子…伊藤留奈、こずえの上官…佐藤裕、桐野ハナ…高田敏江、留美…今村恵子、服部百合…石井里弥、楠瀬和子…木村翠、レポーター…鈴樹志保、若い男・ストーカー…吉岡靖喬、未来…笹田かりん、嫁…小名紫、主婦…篠崎はるく、南家の隣人…五月晴子、刑事…建蔵、レポーター…鈴木舞花、八百屋…パラダイス山元、魚屋…江良潤、肉屋…廣川三憲、佐藤真理子…fumiko、米村菊子…上村香子、佐藤良一…金子昇、大和教官…西郷輝彦、岡正子…杉田かおる、中山圭介…細川茂樹、東ママ…山寺宏一、尾方所長…間寛平、南冬吉…大杉漣
ほか

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最終週「あたしは消防士」(8/9〜8/12放送)
☆☆★
 思わせぶりに伸郎(鳥羽潤)の不安げな表情がインサートされるたびに、もしかして伸郎が放火魔かもと勘ぐってしまってせいで、必要以上の緊迫感とともにドラマを楽しむことができた?! それを演じているのが23時台ドラマの帝王・鳥羽潤とくれば、何が起こってもおかしくないとも思ったし。(非公式コラムvol.7を参照)。確かに元カレのリョウ(金子昇)だって、その役を金子昇が演じているとなれば、かなり怪しくも思えてくる。結局、放火魔の正体自体にはさほど重きがなかったとなると、週をまたいでの引き回しにはちょっと疑問も沸いてくる。
 東ママ(山寺宏一)があまりにも男前な消防団の団長だったりするサブストーリーなどはガス抜き的に楽しげ。冬吉(大杉漣)と菊子(上村香子)が恋に落ちる話にまで火災を絡めるあたりの徹底ぶりはそれはそれで一貫しているとは思うけれど、火事場に突入する冬吉はこずえ(ベッキー)がとめるべきでしょうに。
 視聴率もそれなりに好調だった模様のこのよるドラ。いかなる時間帯に放送されているドラマも似たり寄ったりの視聴率しか稼げなくなっている状況下、言ってみれば視聴率の平均化を思うに、この枠のドラマには今後いっそうがんばってもらわねばと思う。(麻生結一)


第4週「火事、オヤジ」(8/2〜8/5放送)
☆☆
 消防士になりたいと言い出した娘・百合(石井里弥)に猛反対する服部(石丸謙二郎)が、南(池脇千鶴)の父・冬吉(大杉漣)と重なってきて、消防士の娘を持つ父親の気苦労にスポットが当たる。それでも、寂しいけど不幸じゃないとの前向きな姿勢はこのドラマらしいところ。
 後半は南につきまとうストーカーまがいの放火魔の話に。放火された火消しのママ(山寺宏一)の男っぽい啖呵には爆笑してしまったけれど、肝心の放火魔の正体は来週に持ち越し。(麻生結一)


第3週「恋のボヤ騒ぎ」(7/26〜7/29放送)
☆☆★
 前2週と比較するとエピソードの整頓が行き届いていないごちゃごちゃとしていた感じもあったが、活気不足の今クールの他作品と比較するとその元気のよさにはやはり魅力がある。南(池脇千鶴)が突入した火事場で浮気現場を押さえられてしまった伸郎(鳥羽潤)の謝罪攻勢を、ことごとく突っぱねる南のガサツ脱力系ぶりにはいっそう磨きがかかったか。
 度重なるヘマにより筒先からはずされてしまうこずえ(ベッキー)、前線での経験不足にコンプレックスを抱く隊長の中山(細川茂樹)、合コンで出会った南の高校時代の同級生・成美(大河内奈々子)に思いを寄せる三国(大森南朋)のそれぞれがそれぞれに消防士としてがんばる様は、素直でひねりがないのがむしろいさぎよい。(麻生結一)


第2週「同じ釜のメシ」(7/19〜7/22放送)
☆☆★
 消防士物の定番的な押さえどころは死守しつつも、その元気印ぶりは第1週以上の印象。変にひねらずに、素直な作りのドラマに徹しているあたりに居心地のよさを感じる。南(池脇千鶴)が沼川出張所に着任したことで、消防学校時代からキャストはがらりと一新された。ただ、副委員長こと、こずえ(ベッキー)だけは火事場で遭遇してちょっとだけ登場する。
 初めての火災現場で鼻血は出すは、初めての所持当番で自ら作った親子丼を口から出すはで、いっそうガサツさを増していく南役の池脇千鶴が体を張っての熱演中。消防士の仕事は火災現場への出動ばかりではなく、猫急(猫救助)に九急(九官鳥救助)と多岐にわたっているあたりは、『ファイヤーボーイズ』で予習済み。
 南が老人とのマウスツーマウスによる人工呼吸にためらう場面でツーショットとなる南の父親・冬吉役の大杉漣と恋人・伸郎役の鳥羽潤って、そう言えば『ニコニコ日記』で「ガイセイバーZ」的に対決したお二人じゃありませんか。(麻生結一)


第1週「人生はちょろい?」(7/12〜7/15放送)
☆☆★
 火消し屋としての理想像を熱く叫んでいた『ファイヤーボーイズ』の主人公のうっとうしさとは180度違って、同じ職業を題材にしていてもこちらのヒロインはかなりの脱力系。なれど、ドラマにはうっとうしくない程度の活気もあり、なかなか面白かった。
 人生はちょろいが口癖の南夏子(池脇千鶴)は、親が私立の有名幼稚園に入れてくれたおかげで短大までは苦もなくエスカレーター。親戚のコネで今の会社に就職するという楽勝人生を邁進しいていたが、突然会社が倒産してしまい、職探しをする羽目に。そこで見つけた職業こそが、初任給17万円完全週休2日の公務員、消防士だった。もちろん、入隊後の訓練の日々に、人生がちょろいはずもないことは早々身にしみて……。
 冒頭から消防士を目指すまでの展開のスピーディーさには、展開の遅さが美徳のようになりつつある最近の連ドラには見習っていただきたいところ。消防学校での日々は、おかしみと厳しさのバランスが程よい感じ。夏子がロープの結び方をいい加減にすませたせいで、はしごを登っていたこずえ(ベッキー)が危うく大怪我しそうになったり、自分の素性を語らない山田花子(櫻井淳子)の夫・片桐(加勢大周)が消防士だったりと、夏子の同期生にそれなりの見せ場がある中、阪神淡路大震災で祖父母を亡くした経験から消防士を目指した正子(杉田かおる)には大した見せ場なし。次週からはいよいよ実地となると、4人の友情話もこれでお終い?!(麻生結一)




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