TV DRAMA REVIEW HOME

ピンクヒップガール (フジテレビ系月曜25:28〜25:58)
ディビジョン1:STAGE3
制作著作/フジテレビ
スーパーバイザー/永山耕三
チーフプロデューサー/高井一郎
プロデューサー/若松央樹
脚本/衛藤凛
演出/高木健太郎
出演/染井美乃…須藤理彩、前田遼太…小泉孝太郎、金松等…モロ師岡、佐伯えみ…小林麻央、部長…半海一晃、店長…土井よしお、山本進一…佐藤二朗、かずえ…三鴨絵里子
ほか

>>公式サイト


第3回(6/21放送)
☆☆★
 これまでに苦労して売ってきたミュージックテープの売上金を、コーディネーターの金松(モロ師岡)が持ち逃げ?! というわけで、美乃(須藤理彩)と前田(小泉孝太郎)が必然的に2人っきりになってしまう。演歌の道は貧乏旅行とばかりに、泊まる場所にさえありつけない2人が暗闇の海岸でキスしたシーンは、これまでがこれまでだけに妙に生々しくって。演歌のドラマだけに、より生々しいその後も想像できる?! むしろ演歌って、純愛なんですかね?!
 30歳までに一旗あげるまでは実家には帰れないと実家に泊めてもらうことを渋る美乃の年齢は、とっくに30歳の期限を切れていたというオチは、上げて下げる、おちゃらけてしんみりさせる、このドラマの過去2回と同様の展開。前田から着物に合うピンクの草履をプレゼントされて感動する美乃も、それがカノジョのために買っていたティファニーの時計が化けたものだったと知って悔しがるあたりの美乃の恩知らずぶりがらしくていい感じ。
 前田が振られたはずのえみ(小林麻央)がドサクサ紛れに登場して、最終回はまた違った盛り上がりをみせるみたい。(麻生結一)


第2回(6/14放送)
☆☆★
 ど演歌の道をただひたすらに突き進む登場人物たちのバイタリティと悲哀の落差、一貫した空騒ぎぶりなどから見るに、このドラマはエミール・クストリッツァの映画みたいにしたいんじゃないのかな。音楽の雰囲気なんかもそれっぽいし。まぁ、深夜枠ですし、どんどんいろいろやってもらったほうが楽しいですね。ゴールデンの連ドラ群に漂うとりあえず感がないのは、やはり気持ちがいいし。
 第2回は「熱川恋しぐれ」の巻。美乃(須藤理彩)のためにプロモーターの金松(モロ師岡)が用意した熱川一の特設ステージがバナナワニ園という、大体予想のつく掴みから、ワニの飼育係を勤めているも、実際は老舗の射的屋の御曹司・山本(佐藤二朗)に求婚された流れに身をまかせ、雑誌の消えた芸能人特集で「一発屋演歌歌手」という、あまりにもそのままな汚名を着せられたことも重なってついに引退を決意したはずが(一緒に載ってたのがラッキィ池田って、結構失礼?!)、というこれしかないというオチにいたるまで、いっさいの意外性はない。ただ、オリコン48位のデビュー曲「ずんどこどっこいてやんでぇ」を美乃が熱唱するエンディングまで見ると、ちょっと得した気分になったりもして。遊びがいっぱいっぽい作品らしく、気楽に楽しめるあたりがいい。
 引退の決心は、

美乃「岩のごとく」

だったはずの美乃を演じる須藤理彩は、第1話以上の大爆発ぶりを発揮。山本に「シャム=(ワニ)に似てる」って言われてファンとのスキャンダルを自覚するあたりの壊れっぷりが突き抜けてます。どうせやるならとことんやらねばの精神が、美乃の破れかぶれぶりと重なって、密かに感激してしまう。
 失恋の痛手にもめげず、10周年キャンペーンからデビュー曲披露に早代わりするチープさも楽しいし、すかさずマイクがハウリングしちゃう無駄なこだわりもいかにもという感じ。予告編のラストが毎度切れてる感じなのはわざと?!(麻生結一)


第1回(6/7放送)
☆☆★
 フジテレビが深夜のドラマ枠を復活させたディビジョン1の第3弾は、演歌歌手のドサ回りをロードムービー風に描いた異色作で、デビュー曲がオリコン48位(これってすごいのでは。もしかして演歌チャート?)に入って以来泣かず飛ばずで、その後の10年間は地道に地方営業を続けている染井美乃を演じる須藤理彩のはじけっぷりがとにかくビックリ。
 レコード会社の前田遼太(小泉孝太郎)は、てっきり担当していたロックバンドの四大ドームツアーに同行するはずだと思っていたら、四大は四大でも染井美乃の四大温泉ツアーのチーフに抜擢されてしまい、1ヶ月で手売り1000本(しかもカセット!)さばいてこいと命じられるはめに。
 というベタなきっかけから期待感があるが、見どころは何といっても立ち姿、そのあり方がもはや演歌そのものの須藤理彩の怪演。実際、朝ドラヒロインをつとめた『天うらら』だってガテン系の役柄だったわけだから、そっち方面(?!)でこそ輝けるはずとは思っていたが、この企画はまさにとの思い。何の苦労もなく業界人としてぬくぬくとやってきた風の前田役も小泉孝太郎にピッタリ。伊東に来たのに宿ははとやじゃなかったりするインサートも楽しい。
 ピンクの振袖というイタイいでたちもいいが、須藤理彩のいかにも演歌風の歌唱力もなかなかのもの。新曲「あぁ桃尻娘」はレコーディングしたバージョンよりも実際に歌っている感じのほうがハマってる。彼女に振られた前田を励ます(?!)「男と女のお話」の熱唱にも笑った。(麻生結一)




Copyright© 2004 TV DRAMA REVIEW. All Rights Reserved.