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ほーむめーかー (TBS系月〜金曜13:00〜13:30)
製作/ケイファクトリー、TBS
企画/渡辺信也
プロデューサー/鈴木聡
脚本/清水友佳子
演出/岡島明、大塚徹、宮崎暁夫
音楽/小林つん太
主題歌/『DO MY BEST』中澤裕子
出演/山路いずみ…中澤裕子、山路孝輔…河原雅彦、山路大輔…田中冴樹、橘理恵…網浜直子、西村幸子…中村綾、田岡美也子…西村信子、稲垣直哉…松尾敏伸、安藤貴子…歌川椎子、磯辺睦美…氏家恵、村田尚子…奥野ミカ、島貫文彦…徳井義実、田中博…福田充徳、西村五郎…綾田俊樹、大久保加代…山田スミ子、西村剛…ひわだこういち、田島早苗…川幡由佳、バーのマスター…小林隆、村田恭一…佐藤一平、北川篤…白川裕二郎、橘雅之…みのすけ、天野加奈子…眞野裕子、マユミ…生方和代、ノリコ…山崎えり、タツヤ…龍坐、森下秋恵…円城寺あや、川上敏行…岩崎大、嶋田夏子…新井友香、坂口絵里子…加藤直美、飯田けい子…原田砂穂、八百屋主人…森山米次、小林広也…半海一晃、ビラ配りの男…松尾伴内、マーク篠崎…黒沼弘己、週刊トツゲキ編集者の声…川平慈英、CM監督熊田…粟根まこと、徳川隼人…佐野考治、東栄ハイム女子社員…森脇英理子、橘愛…井上花菜、老人…花原照子、駄菓子屋の老婆…佐々木すみ江、山路義行…斎木しげる、【タイトルバック】いずみの母…池田尚子、3,4才のいずみ…吉田有希
ほか

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最終週「ボクのパパは世界一!」(5/31〜6/4放送)
☆☆☆
 正直言ってこのクールは、鑑賞に堪えうるドラマがあまりにも少ない。次回をワクワクさせるようなドラマは皆無に等しい。たどっていくと、2002年春クール以来の不作、いやそれ以下だろう。例え連ドラにいい作品が少なくとも、朝ドラや昼ドラ、もしくはシリーズ物やクールをまたいだドラマなどがフォローしてくれるおかげで、通常は何とかかんとか乗り切れるものだが、このクールに関しては朝ドラは連ドラよりもひどいときているから、もはやお手上げ状態。そんな中で意外に強力だったのがこのドラマ。第4週あたりから調子が出てきていただけに、もっと続けてほしかったところだけれど。
 最終週は、孝輔(河原雅彦)が建築業界のノーベル賞と謳われるシュタイナー賞の最終選考に日本人初のノミネート。一躍時の人に。家族で取材された雑誌の記事がきっかけで、大輔(田中冴樹)は子役としてスカウト。自然なリアクションが評価されて、初めて受けたオーディションでCM出演が決定する。
 これ以上ないというほどの幸運続きに本来ならば浮かれ気分になるところだけれど、“ユニークな奥様”いずみ(中澤裕子)はいっさいそんな世俗的喜びとは別次元にいるところがこのドラマの一味違うところであり、ミソの部分。いずみの言動もことごとく面白い。シュタイナー賞を知らなかったいずみが知っていたのは皆勤賞、もう少しがんばりま賞ぐらい!精神年齢テストで7歳の判定だったいずみだが、大輔は4歳だからからくも年長者の威厳は保たれたって。ちなみに孝輔は17歳。この家族、やっぱり極ピュアですね。
 ドラマの最初期に理恵(網浜直子)に対して相談した掃除機はサイクロンがいいか、紙パックがいいかという質問が、3ヶ月後のここで効いてくるとはね。ガムテープで補修されてる傷だらけの掃除機も笑える。穏やかなママになる過程が、どうしたことか二択のクイズ形式になってるアイディアは面白かったので、もうちょっと前からやってもよかったのでは。
 台詞も生き生きと、ひねりの効いた小ネタも含めて、ここ3週間の脚本は素晴らしかった。中澤裕子と河原雅彦のツー・ショットも終始好調。孝輔が年俸1億円のヘッドハンティングの話を蹴って、美しくドラマを円環させたところから考えても、これは続編がありそうな感じ。ヘッドハンティングの話に乗って、いずみのアメリカ生活も見てみたかった気もするけど。(麻生結一)


第5週「ぼくの将来 わたしの将来」(5/24〜5/28放送)
☆☆☆
 ヒロインのいずみ(中澤裕子)自身がことを起こすというよりも、別次元の発想で正しさを体現する彼女が周りを修正しいていく面白さで、いっそうドラマは好調。マンション派v.s.商店街派という幼稚園のママグループ同士の魑魅魍魎が巣くう勢力争いにしても、中間派、あるいは武闘派のいずみが常に正しい判断をしてくれるので、見ていて何とも気持ちがいい。
 そんな達観の人、いずみだったら、究極のアルデンテを目指すにしても、茹で時間別のスパゲッティを5秒刻みで並べちゃったり、それぐらいの突き抜け方はありでしょう。ナポリタン女王になるべく、麺からウィンナーから手作り、本格ソースのためにトマトまで栽培して、という段階を細かく描いて、最後の最後のナポリタンパーティーで、マンション派と商店街派を融合させてしまう週の締めくくりにふさわしいエピソードまでの持っていき方も上手。FLORAで翻訳を始めた理恵(網浜直子)の英語がインド仕込みと勘違いしてたり(正解はイギリス)する小ねたも笑える。これまでのいかなるドラマで見たときよりも、中澤裕子がとてもいい。
 はじめてのお使いを成功させた大輔(田中冴樹)と絡む駄菓子屋のおばあちゃん役の佐々木すみ江はあれだけでおしまい?そのあれだけが効いてたんだけど。(麻生結一)


第4週「主婦vs主夫」(5/17〜5/21放送)
☆☆★
 第1週以来に理恵(網浜直子)の話がクローズアップされて、面白さも同様に盛り返した格好。理恵の話が常に出来がいいとすると、ローテーション的にいけば次は第8週が面白くなるはずなんだけど、残念ならがこのドラマは第6週で終わりです。
 GWの大型連休で単身赴任中の孝輔(河原雅彦)がせっかく帰ってきたのに、以前働いていた編集部の天野加奈子(眞野裕子)からテープ起こしの仕事をいずみ(中澤裕子)は請けてしまったものだから、孝輔がハウスハズバンド宣言して家事いっさいを任されるエピソードを水曜日の回まで積み重ねて、木曜で主婦の応援歌的にその大変さを一気に吐き出すあたりのドラマの進め方がなかなかに巧み。
 加奈子から受けた仕事がいずみには難易度が高すぎて、理恵(網浜直子)に手伝ってもらうところから、次第に話を理恵の方にシフトさせていくあたりも上手。まったく家事に理解のない理絵の夫・雅之(みのすけ)がいきなりものわかりよくなっちゃうあたりは定型だけれど、加奈子から依頼された翻訳の仕事を最後の最後で理恵が断るあたりの裏切りはいい。
 同枠の『ママまっしぐら』ではヤンキー役だった網浜直子が、ここでは高学歴のインテリ・ミセス役。必ずしもイメージ通りじゃないけれど、決然と仕事を断る様はカッコいい。そんな理恵と大学が同じだった加奈子役の眞野裕子は、網浜直子とはかなり年齢が違うはずだけど、むしろ加奈子の方が先輩口調なのには?まぁ、美人で仕事が出来る「負け犬」的キャリアウーマンの役だけに、考えをめぐらさせば何とか納得がいく範囲かな。
 クサい海外ドラマ『愛の迷い道』が二ヶ国語放送されていたことを知らなかったある意味「伝説の編集者」いずみが、連載されないのを承知で仕事に執着するのが、せっかくがしゃぽんで超レアなカパカパ大王をゲットしたにもかかわらず、焼き網で焼いてしまったので、その巻き返しを試みるための資金稼ぎ(小銭限定)という理由も、いかにもこのドラマらしい。
 ところで、がしゃぽん、がちゃぽん、がちゃがちゃ論争はいかなる結論に達したのでしょう。絶対、がちゃがちゃだと思うんだけど。(麻生結一)


第3週「好きになったひと」(5/10〜5/14放送)
☆☆
 大輔(田中冴樹)の幼稚園の入園式にパンダのトレーナーで行こうとしていたところをご近所さんに寝巻きみたいとけなされたものだから、いずみ(中澤裕子)は独身時代のミニスカスーツに着替えてみるも、ママはママでも違うママになっちゃった、なんてベタな微笑ましい一席こそがこのドラマの楽しい部分。逆に、単身赴任中の孝輔(河原雅彦)がデザイナーの田島早苗(川幡由佳)に言い寄られる話の方は、あまりにも型通りで面白くない。あの程度の片思いで東京のマンションに乗り込んでくるわけもないし。
 むしろ、ご近所の一人・尚子(奥野ミカ)が夫の恭一(佐藤一平)がありながら、マンションの管理人・直哉(松尾敏伸)の友達である篤(白川裕二郎)との不倫に走る艶かしい話の方がいいんだけど、ビックリするほどに円満解決するあたりは、この枠のドラマならではか。東海テレビ制作の昼ドラだったら、このネタだけで3ヶ月作りそうだけど。篤役の白川裕二郎って、香世(小沢真珠)に鞭打たれてた人ですよね。(麻生結一)


第2週「嫁の言い分」(5/3〜5/7放送)
☆☆
 夫・孝輔(河原雅彦)の父・義行(斉木しげる)といずみ(中澤裕子)の掛け合いが楽しかった第2週。出張という名目も、実際はリフレッシュ休暇中に妻・園子(内田明里)と喧嘩して家出してきたという設定はあまりにもありきたりだけれど。ついこの間の『アットホーム・ダッド』も似たような設定だったが、親が子を訪ねてくる動機としては家出以外でもよさそうなものだけれど。
 山路家の中華といったらもっぱらラーメンで、ラーメンにはチャーシューではなく、ウィンナーが入ってる!なんて小ねたは相変わらず好調。料理に初挑戦するといずみよりも腕前が確かだった義行に対抗すべく、いずみが繰り出した大根ジュースがあまりにもまずそう。
 スーパーで友達になった幸子(中村綾)と不動産業を営むマンション嫌いな義母・信子(田岡美也子)との対立話は、定番中の定番といった感じ。(麻生結一)


第1週「ママファイターいずみ登場!」(4/26〜4/30放送)
☆☆★
 ケイファクトリー十八番の親子物だが、ヒロインのいずみ(中澤裕子)が戦隊ヒーロー物の大ファンも、主役のイケメン君にはまったく興味なく、変身後の姿こそが理想の男と思っていたり、何かとキレる性分も、そのたびに息子の大輔(田中冴樹)に始末書を書かされたり、といった一ヒネリ効いた設定がなかなかに楽しい。
 第1週は同じマンションの住人である理恵(網浜直子)と娘・愛(井上花菜)の心をいずみが救済するお話で、新鮮味はないけれども安心して見ていられた。最後までこんな感じなのでは。(麻生結一)




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