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ホームドラマ! (TBS系金曜22:00〜22:54)
製作/TBS
制作/DREAMAX TELEVISION
プロデューサー/橋本孝、瀬戸口克陽
脚本/岡田惠和
演出/平野俊一(1、3、5)、酒井聖博(2、4、6、9、11)、高津泰行(7)、片山修(8、10)
音楽/長谷部徹
主題歌/『ORIGINAL COLOR』堂本剛
オープニング・テーマ/『アローン・アゲイン』ギルバート・オサリバン
出演/井坂将吾…堂本剛、秋庭智彦…ユースケ・サンタマリア、原口仁美…酒井若菜、長峰翔子…井上真央、中西光太…西洋亮、青山宏樹…泉澤祐希、岡田浩暉、木村多江、黒沢年雄、小林すすむ、長内美那子、仁藤優子、山田明郷、山崎一、半海一晃、六角精児、斉藤陽一郎、伊藤正之、櫻庭博道、武野功雄、松浪志保、山崎満、山口みよ子、足立学、樋渡真司、池田貴美子、伊藤博幸、村松利史、沼崎悠、飯塚俊太郎、矢原加奈子、山本直樹、上村愛香、井坂亜由美…岡本綾、花井みを、岡崎宏、浅野麻衣子、堀江慶、飛岡宏年、須田泰大、佐藤和也、松浦隆、北見誠、丸尾ケン、神田時枝、田村三郎、森沢早苗、及川まこと、福徳一志、近藤康成、杉山千恵子、加藤成亮、塚田若乃、斎藤拳匠、海瀬叶、新見まゆみ…紺野まひる、遠山映子…いしだあゆみ、河野清一郎…田村高廣
ほか

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第11回(6/25放送)
☆☆
 いろんなことがいろんな風に解決した、そして家族として継続していくまでを描いた最終回。もっとも気がかりだった光太(西洋亮)の健康問題は、あのチョコバーの生産中止によって、光太がすでにチョコバーに依存していないことが判明。よかったよかった。
 最初はもっとも深刻だったはずが、いつの間にかコメディ担当になったまゆみ(紺野まひる)が将来の夢を語る場面で、またまた智彦(ユースケ・サンタマリア)から料理ベタと酒癖をつっこまれて、

まゆみ「これはお茶だけど」→酒ではないの意

と言い返したのには笑ってしまった
 締めは反省の虫・将吾(堂本剛)が亡き妻・亜由美(岡本綾)の父・誠(黒沢年雄)から、廃校になる建物をフリースクール向けにリフォームして欲しいという依頼を最初は断るも、人のことはいろいろ言うくせに、というダメダメ呼ばわりな家族の励ましの言葉で挑戦することになる話。海外の仕事ならともかく、日本国内のことであれほどの家好きが暇を見つけて帰省しないのも変な話しだが、もっと変なのは手紙の送り先に「河野清一郎(田村高廣)と愉快なご一家」と自分たちに“ご”をつけてあったこと。清一郎がついていながら何たる無教養なことか。そんなこと言ったら、「マジ〜」って言われちゃいそうですけど。(麻生結一)


第10回(6/18放送)
☆☆
 智彦(ユースケサンタマリア)の亡き妻・香のそっくりさん、喫茶店の店主役で、木村多江が再登場したものの、だったら岡本綾だってそっくりさんだせたんじゃ、程度の感慨しか正直持てなかった。このドラマ的には愛する人を亡くしてすぐに別の人を愛せるか、というテーマは避けては通れない道だとは思うけれど。
 結局、そっくりさんの桃子が結婚間近だったことをがわかって、智彦はふられる格好に。この定番のオチを崩そうとする意図はわかるけれど、ふられ記念日の励まし方はやりすぎでしょ。『ちゅらさん』的な親しき仲には礼儀なし風が、かなり感じ悪い。(麻生結一)


第9回(6/11放送)
☆☆
 あれから5ヵ月の設定ゆえに、風評被害も今は昔の感。あのテーマはもう少し描きこめた気もするのだが……。出産をひかえた仁美(酒井若菜)は、病院への検診も将吾(堂本剛)の送り迎えつき。みんなが買ってくるものだから、生まれる前からベビーグッズは増える一方でと至れりつくせりも、それって事故で消えた命と新たに生まれてくる命とを重ね合わせてるだけじゃないの、という問い。これ自体はいたって普通だが、またまたうざすぎた将吾が自らのうざさを反省するくだりは、もはやこのドラマ名物といった感じで、このキャラクターがいっそう愛おしく思えてくる。命名「生(せい)」を見てて、生(なま)が飲みたくなった智彦(ユースケ・サンタマリア)が、今回は決してパエリアを作っていないまゆみ(紺野まひる)のパエリアを恐れるやりとりには笑ってしまった。この2人の掛け合いがいい感じ。トイレの会社に就職した智彦がトイレの話ばかりしていた記憶はないが。(麻生結一)


第8回(6/4放送)
☆☆
 写真誌に集団生活をスクープされたことで、世間からの好奇の視線にさらされるも、いかにもらしくきりぬけるこの擬似大家族。ただ、そんな試行錯誤も手放しで感動とはなかなかいかない。清一郎(田村高廣)の息子・慶一(山崎一)が清一郎を連れ戻すエピソードも含めて、複雑な心境になる。
 無慈悲なまでのマスコミ力にさらされる対象、事件にも背景はあるという、あまりにも当たり前のことにドラマとは関係なく行き着いたりもしたが、そこに共感できたからといって、同じような境遇の人たちから届いた大量の野菜や肉を何の疑いもなしに食べてしまう擬似家族たちの言動には?バーベキューという乗り越え方があまりにもユートピア的で、らしいといえばらしいんだけど。あの場面でカメラマンのシャッターがきられないのもちょっと変な気がした。あの映像こそ格好のスクープだと思うし。もちろん、そんな社会派ぶりを入れようものなら、ただでさえ低調な視聴率がさらに下がってしまうだろうけど。
 智彦(ユースケ・サンタマリア)が関西弁泥酔説教事件を持ち出すに、そのたびにマジ切れするまゆみ(紺野まひる)がいい味出してきてます。今話でかなりキャラクターが変容してしまった気もするけれど。(麻生結一)


第7回(5/28放送)
☆☆★
 映子(いしだあゆみ)が過労で倒れてしまったことで、まゆみ(紺野まひる)が家事のいっさいを引き受けると宣言したはよかったけれど……。みんなのために何か出来ることはと思い悩んでいたまゆみが料理に洗濯に奮闘する姿は、これまでの薄幸イメージが強いだけによりいっそう微笑ましく映る。家事全般は大いに苦手だったことが判明するも、彼女は共働きだったわけだから、この設定自体はおかしくないでしょ。酔っ払ってそれぞれにダメだしする場面で、突然の関西弁にはビックリしたけど。彼女の関西弁を聞きながら、返す返すも『てるてる家族』はいいドラマだったと思い出にひたったりもして。
 翔子(井上真央)が将吾(堂本剛)の写真を撮ろうとしない冒頭に、もしかして将吾の身に何かが、ととっさに思うも、ドラマはカメラ雑誌のコンクールに入選した翔子をきっかけに、この擬似家族が写真週刊誌に取り上げられてしまう成り行きになる模様。(麻生結一)


第6回(5/21放送)
☆☆
 その奇妙な集団生活ぶりに近所の人たちからあやしまれはじめて、という話には深入りずに、今回は光太(西洋亮)にまつわるお話に終始。びっくり誕生会のエピソードはほのぼのとさせるも、チョコバー型のバーステデイケーキとは、相変わらず映子(いしだあゆみ)がまったく光太の体のことを考えてないことが露呈する。
 光太が父親との思い出がつまったチョコバーと決別するシーンは、名場面になりそこねた。大体、チョコバーの袋ごと川に捨てるところからいただけないし。結局、禁断症状に負けて、またまたチョコバーを手にしてしまう光太。それがまたまた映子から手渡される場面に何だか複雑な心境となって、いじめていた連中に光太が逆襲する肝心な場面にももう一歩乗れなかった。(麻生結一)


第5回(5/14放送)
☆☆★
 隔週交代の見せ方上手ぶりは今回も健在。妊娠を告白した仁美(酒井若菜)の心情を映すにしろ、授業参観を誰にも言い出せなかった宏樹(泉澤祐希)の心理を見せるにしろ、映像の作りこみで表現しようとしている徹底ぶりは、ちょっとわかりやす過ぎるくらい。結局、家族全員で授業参観に押しかけたエピソードにしても、そこからの展開で見せようとしたりしないあたりが連ドラとしては弱いのかもしれないけれど、芝居のアンサンブルのよさには心引かれる。将吾(堂本剛)が変な頭してる人発言には妙に納得。(麻生結一)


第4回(5/7放送)
☆☆★
 このドラマの見せ方上手ぶりはどうやら1回越しみたい?! というわけで今回はいたってノーマルバージョンの方。事故の遺族である将吾(堂本剛)たちに謝罪したまゆみ(紺野まひる)は、まるで抜け殻になったかのように家に引きこもるが、智彦(ユースケ・サンタマリア)に諭されて将吾たちと一緒に住むことになる。これでついに大家族は9名に。ここでは、智彦が将吾の受け売りでまゆみを説得するところがミソ。何はともあれ、トイレは増設すべきでしょうね。
 事故のトラウマからバスへの恐怖心が消えない翔子(井上真央)が、ちょっとした揺れで事故のフラッシュバックを起こし、パニック状態に陥る場面の緊迫感は息が詰まるところ。そのことに気がついてやれなかったとしきりに反省する将吾が実にいい。

将吾「家族家族とか言ってるクセして、何なんだよホントに……、悔しいな」

家族ごっこへの猪突猛進ぶりが文字通りウザくもあるけれども、ウザいなりの反省をしているあたりがいとおしくも思えてくる。
 イジメにあう光太(西洋亮)は、そのイジメそのものよりもチョコバーの食べすぎの方が心配になる。映画『チョコレート』の悲劇とかぶるところがあるし。映子(いしだあゆみ)がまた箱買いしてるんじゃないかとハラハラしたりして。(麻生結一)


第3回(4/30放送)
☆☆☆
 この第3回は、第1回目に引き続いて演出のうまさにうならされることしばしば。将吾(堂本剛)の家族作りの呼びかけは、 瞬く間に「おはよう」を言うだけも大変なほどの大家族に膨れ上がって、毎日がにぎやかしく変貌。画面も船酔いしそうなほどに揺れている。家の中では必ず手持ちカメラの原則なのだろうか。意味的にはいかにもわかりやすいやり方だとは思うが、徹底してやり倒しているおかげか、プラスの効果をあげている。生活のディテールの切り取り方がとても上手で、説明的にならず各キャラクターの個性を浮かび上がらせているあたりもうまい。
 慰霊祭に集まった中では、一人だけこれに加わっていない智彦(ユースケ・サンタマリア)が、家族がいたときには会社を休めなくて、家族がいなくなってから休みをとれと言われてもと上司に食ってかかるシーンはあまりに痛切。会社を辞めて以来、一人部屋に閉じこもる智彦にキレる将吾(堂本剛)が自分のことを

将吾「ウザいよな、俺」

とちゃんと自己分析できているのにはプチビックリ。まぁ、誰が見てもウザいとしか言いようがないのだけれど。そんなしんみりの空間に

清一郎(田村高廣)「ウザいというのは?」

の問いかけがガス抜き的で絶妙。清一郎の存在感はこの家族のみならず、このドラマにとっても要所要所で効いてくるのでは。「がんばれ」は頭にくるけれども、「がんばりましょう」は何かいい感じとは、岡田さんらしい優しいニュアンスの使い分け。
 エンドロールを見て、まゆみ(紺野まひる)が登場していないことに気がついてあれれ?と思っていたら、その直後に登場。ここで、あの時のツアーコンダクター(岡田浩暉)が彼女の旦那さんだったことが判明する。悲しみにくれる人がここにも一人いた。
 光太(西洋亮)のチョコバー中毒には、家族の誰かが気遣ってやるべきだと思っていたら、何を血迷ったか映子(いしだあゆみ)は箱買いしちゃってるじゃないの!(麻生結一)


第2回(4/23放送)
☆☆★
 半ば強制的にも映る将吾(堂本剛)の家族作りに共感できるかどうかで、このドラマへの印象はガラっと変わってくるだろう。チョコバーの光太(西洋亮)、万引き癖の宏樹(泉沢祐希)、バスに乗れない翔子(井上真央)、自殺未遂を犯す清一郎(田村高広)、そんな清一郎の年若い愛人と噂される映子(いしだあゆみ)、デパートを退職した仁美(酒井若菜)と続々と集まってきて、残るは智彦(ユースケサンタマリア)と家族候補ではないまゆみ(紺野まひる)。自らの理想の家族像について語る将吾の演説には、しんみりとさせられる。(麻生結一)


第1回(4/16放送)
☆☆☆
 あたかも家族のように振舞う8人が食卓を囲んで団欒する場面から、血のつながりのないこの面々が出会ったきっかけとなったタイでのバス事故が描かれた2時間バージョンの力作中の力作。とりわけ、演出の見せ方のうまさには感心させられた。その一点においてだけでも、いい点数をつける価値のあった初回。
 タイのバスの車窓から見える風景が美しければ美しいほど、バス事故の悲惨が際立つことに。このあたりは映画『スウィートヒア・アフター』だったり、『ユリイカ』だったり。ただ、ドラマの進む方向性は典型的な山田太一調。 3ヶ月後の慰霊祭で再会を果たす遺族たちの食事中に、トイレの話になってしまうあたりもやっぱり山田太一的?!
 食事中の8人が、タイのお店の人から家族みたいだと言われるきっかけはサラっとしていていい。新婚旅行中に妻の亜由美(岡本綾)を失った将吾(堂本剛)が思う擬似家族の姿が見えてきて、傷ついた心を引きずるそれぞれの生活と一軒家をペンキで塗る将吾とのカットバック見せるあたりもなかなかうまい。それだけに、出来うることならばこの第1回で終わってほしいとさえ思った。ここのところの岡田惠和脚本作には不満が多いだけに……。
 将吾が窓から顔を出すと、手前の窓辺に亜由美がいる場面にはハッとさせられる。こういう素晴らしいシーンをこれからもどんどんと見たい。(麻生結一)




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