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永遠の君へ (フジテレビ系月〜金曜13:30〜14:00)
制作/東海テレビ放送、東宝株式会社
企画/鶴啓二郎
プロデューサー/風岡大、塚田泰浩、今村眞治
脚本/高田純、田部俊行、梶本恵美、辺利好、渡辺善則
演出/奥村正彦、牧時範、村松弘之、三木茂
音楽/椎名KAY太
主題歌/『プロローグ』BREATH
出演/真島(朝倉)春生…大路恵美、桧山恭司…浜田学、桧山志津枝…朝加真由美、真島純一…村井克行、真島沙織…今村雅美、桜井真鶴…三国由奈、古賀…長岡尚彦、野上祥子…藤倉みのり、教頭…児玉頼信、人見正介…大城英司、大牟田…加藤善博、坂上芳江…大方斐紗子、片岡節子…弓恵子、杉岡…池田武志、柏木勘太郎…中沢青六、松本知佐、安藤弘子、佐藤千晶、荒川智大、清水伸、滝沢央佳、北条啓吾…岡本光太郎、白井百合子…渋谷亜希、ヒロシ…加々美正史、岳美、吉崎恵子…かんの梨果、柏木千夏…花村怜美、吉田祐健、山崎健二、赤間浩一、大坪佳代、中田敦夫、串間保、阿部六郎、内野智、川屋せっちん、榊徹、川原洋子、高橋則彦、横手ひさお、足立龍弥、国枝量平、美月麻帆、藤本洋子、小幡茜、飯島豊久、宮崎則仁、市場裕次朗、稲村優奈、渡部遼介、牟田浩二、藤波晟、八幡朋昭、窪園純一、青木崚、中津研一郎…江藤潤、小笠原洋子…増子倭文江、田村円、藤田哲也、尾関伸嗣、松田俊政、澤純子、赤嶺星奈、木村郁、田口志保、美斉津明子、松原ひろの、関口篤、児玉美智子、遠藤公太朗、秦中智鶴、木下真利、遠藤たつお、甲野優美、矢田有三、谷藤太、深沢さやか、三原伊織奈、松永麻里、藤田直也、大瀧麻紀子、トニーセテラ、東沙弥香、朝倉冴子…田島令子、朝倉卓郎…大和田伸也
ほか

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第13週(6/21〜6/25放送)
☆☆★
 最後の最後に大きな嵐が迫りくるとのNRと同時進行で、本当に嵐が来ちゃうあたりの律儀さが緩くスリリング。とりわけ、沙織(今村雅美)が春生(大路恵美)の着替えを届けるために牧場を訪れるも(まずもって、恋敵の着替えを届ける設定からして斬新過ぎるよ)、台風のため帰れなくなり(まるで『冬のソナタ』!)、ついには一致団結して牛のお産を手伝うまでの束ね方の地味な力技加減には、大いに引きつけられた。春生のチマメで血だらけの手といったら、尋常じゃなかったもの。さらには勇ましく包帯をとるや手を縄にくくりつけ、重心をさげて子牛の足を引くは引くは。あの足は模型なんでしょうか?ここで沙織が中絶したことを告白。ところがラストに大いなるどんでん返しが?! やはり沙織はあなどれないなぁ。
 最終週の影の主役は志津枝(朝加真由美)だったか。志津枝が余命いくばくもないことが判明すると、これまでをさらに上回るレヴェルで登場人物たちが総出で反省モードに突入。春生、恭司(浜田学)、真島(村井克行)、沙織の四角関係に負けじ劣らず、志津枝と冴子(田島令子)、卓郎(大和田伸也)の三角関係も驚くほどにわかりあっちゃったりする懺悔っぷりが逆に怖かったりして。最後までこのドラマを見切った奇特な同士たちは、このドラマの前半戦のあまりの凡庸さも一緒に反省してほしいと思ったかもしれないけど。
 普通だったら、志津枝は恭司がみんなを不幸にしてしまう元凶中の元凶、春生の顔など見たくないもないはずなのに、そんな志津枝を癒すべく音楽療法を試みる春生がヴァイオリンで演奏する「ロンドンデリーの歌」に、ものの見事に志津枝は癒されちゃった!ここで、なぜ春生が使い慣れていないヴァイオリンの演奏を試みたかは謎だが、卓郎との練習風景が無音だったりする凝り様には、ドラマの出来ばえとはあまり関係もなく惚れ惚れとしてしまう。
 春生に出て行かれてベタに酔っ払う様があまりにもグーだった真島は、ニューヨーク州立医科大学へ留学が決定。すると、春生と恭司は真島に連動するかのごとく、決別の時を迎える。

春生「波はどこから来るの?」

恭司「水平線の向こうだろう」

春生「水平線の向こうはずっと水平線」

恭司「風も吹いてる」

この何だかよくわからないダイアローグが交わされる最中に、愛の証である色違いのオルゴールが砂浜に埋葬される場面が心に残る。やはり、この枠のドラマのロケ撮影は素晴らしい。沙織のどんでん返しも清々しかったけれど、春生がニューヨークの音楽学校に通い始めるという結末には、だったらこれまでの紆余曲折は何だったんだと思いつつも、思わずほほえんでしまった。(麻生結一)



第12週(6/14〜6/18放送)
☆☆★
 春生(大路恵美)が自分たちが兄妹でないことを恭司(浜田学)に告白したことを皮切りに、ここからはリレー式の懺悔合戦に。卓郎(大和田伸也)、冴子(田島令子)、志津枝(朝加真由美)それぞれが怒涛の反省モードに。何ていい人たちなんだ!
 予想ほどではないにしろ、それなりに嫉妬の鬼となった真島(村井克行)に自分と恭司とのどちらを選ぶのかと迫られ、混乱する春生を見るに、病気が再発してしまうのではと大いに心配になる。それをやるとわかりやすく『牡丹と薔薇』的に盛り上がるんだろうけど、それをやらない中途半端な慎ましさがこのドラマらしいところ。ただ、小さく自己完結し続ける兄妹の関係性は依然として効力を発揮している。
 恭司に家出された沙織(今村雅美)は、牧場の女主人を目指して孤軍奮闘していた矢先に妊娠が発覚。もはやろれつが回らぬほどに熱演している今村雅美の痛々しさが、沙織の痛々しさと重なり合ってかなり強烈です。

沙織「へたばれる」

とは、どこかの方言なんでしょうか?へたばるの未然形?(麻生結一)


第11週(6/7〜6/11放送)
☆☆★
 前半戦とはまったく違うドラマのように、いい感じでメロドラマ的に温まってきてますよ。今さらお薦めとは書きづらいけれど、俗っぽい面白さが地味に楽しめる。
 恭司(浜田学)と沙織(今村雅美)が何と、牧場で新生活を開始する。かつて春生(大路恵美)と恭司が夢見ていた牧場の伏線を忘れていなかったことをここに証明するあたりの律儀さに好感。その牧場を新婚ほやほやの春生と真島(村井克行)が訪ねていって、いわくつきの4人が牧場で集合する様だけでも奇妙な面白さがあったが、ここに冴子(田島令子)の昔の恋人、つまりは春生の実の父・中津(江藤潤)までもが絡んできて、ドラマテックな要素は出揃った形に。
 借金まみれの悪い男風も、春生が実の娘だと知って急にしおらしくなるや否や失踪してしまう中津には肩透かしを食わされた感じ。だが、そんな春生と中津の関係性を知ってしまうことで、真島が善人一辺倒ではいられなくなるあたりにはハラハラとなる。
 回を追うごとに顔色が悪くなっていく沙織は、春生と恭司のよりが戻るのではという危機感を抱いてキレまくった末に、よくないことが起こると真島に暗示。すべては自らが蒔いた種だというのにね。沙織にはスタンドプレイで墓穴を掘るスタイルに、いっそう磨きをかけていただきたいところ。

沙織「今さらきれいごと言わないでよ。(中略)小学生がホームルームしてんじゃないのよ」

とは、なかなかの名言です。
 冴子と中津がラジオのリクエスト番組で恋文のやり取り未遂をしていたというエピソードは、いかにもこの枠のドラマらしい発想。指きりするのだって、卓郎(大和田伸也)がやると妙に重々しいなぁ。(麻生結一)


第10週(5/31〜6/4放送)
☆☆★
 前の作品(=『牡丹と薔薇』)に負けじと無理やりドロドロをやろうとしていた前半戦とはうって変わって、唐突な過剰エピソードを散りばめるやり方を放棄して、ごく普通に見せる風になってドラマが正常化してきていたが、この第9週は前半戦の伏線=春生(大路恵美)が入水自殺した時に負傷した恭司(浜田学)の腕の話がようやく機能してきて、これまででは最も見ごたえのある週になった。問題は、エンジンのかかりが遅すぎたということ。とことん気持ちの悪かった前半を見通してここまでたどり着くのは、なかなかの難儀だと思うので。意外に後遺症は少なかったのかと思わせといて、今週になっていきなり頻繁に痛み出すのも、変だといえば変だけれども、濃厚な演出はなかなか見せてくれたので、
 久々にいいムードだった春生と恭司のデートはしっとりとバッティングセンターで。『冬のソナタ』を見慣れると、この程度のベタな場所設定ぐらいはむしろキュートに思えてくるから不思議。
 春生ダッシュに何かしらのたくらみをもっているのかと思いきや、何ひとつたくらんでなかった正攻法の真島(村井克行)と、初登場以来逆切れクィーンぶりをコンスタントに発揮(今週は、恭司にいい人呼ばわりされて逆切れ!)している沙織(今村雅美)の兄妹が、昼ドラ的テイストを汲み取りつつ裏切るキャラでなかなか効いている。実際は兄妹ではないと春生が恭司に告白した手紙を沙織がいち早く発見して破り捨てたいきさつにしても、その直後の対面で春生が恭司を意識した演出が入っていないのはおかしいとは思うけれど、この重大な伏線をとても大事にしたと好意的にとっておきましょう。それよりも、ワインで乾杯する場面は横一列の4ショットって、変わったことするなぁ。この手のドラマのパターンとしては間違いなく死んでしまっていたであろう志津枝(朝加真由美)の手術があっさりと成功して、病気がよくなってしまう展開にもちょっと驚く。(麻生結一)


第9週(5/24〜5/28放送)
☆☆
 不快な気持ちにさせられること必至にねっとりとお互いの情念をぶつけ合っていた登場人物たちが、180度方向転換して今や懺悔の言葉を吐くばかり。てこ入れするにしても、ドラマのテイストまで変えてしまうとは、さすがは何でもありのこの枠のドラマですね。タイトルも『永遠の君へ2』へ変更してしまった方がいいのではと思えるほど。病に倒れた志津枝(朝加真由美)と春生(大路恵美)が抱き合う絵なんて、ちょっと前までは想像できませんでしたからね。(麻生結一)


第8週(5/17〜5/21放送)
☆☆
 どん底まで落ち込んだ春生(大路恵美)の精神状態に負けないぐらい、一時期は再起不可能なほどの出来ばえだったこのドラマも、先週あたりから脚本家を複数人投入したりといったてこ入れが効を奏してか、随分と正常化してきた印象。普通、あそこまで落ち込むとなかなか立ち直るのは難しいだけに、これは実に喜ばしいこと。だからといって、急激にドラマが面白くなったというわけでもないんだけど。
 真島(村井克行)の妹で、春生の音楽療法を取材するライターの沙織(今村雅美)が新キャラとして登場し、春生の好敵手になりそうな予感。度々の逆切れぶりが、このキャラクターの特徴のようですね。今村雅美をこの時間帯に見ると、ついつい裏枠の『ピュアラブ』シリーズを思い出しちゃうんですけど。
 春生がドヴォルザークのユーモレスクの演奏を聴いたせいで一人の患者が急変。これぞ音楽の怨霊か?! さらにすごかったのが、卓郎(大和田伸也)が「風に立つライオン」を熱唱したおかげで、春生が過呼吸になってしまう場面。あれだけ念のこもった歌を聴かせられちゃ、気分も悪くなるでしょうに。
 春生のために立ち上げたはずの朝倉音楽出版が役員の一人の横領によって大変なことに。卓郎は2億円の損失補填を迫られるが、1億5千万円なら何とかなって、あとは家を手放せばどうにかなるって、結構のんびりとしたことで。恭司(浜田学)は自らの貯金3千万円を春生のために貯めていたって、いつの間にそんな大金を。2年間のホスト業で、そこまで貯まるもの? さらに、真島(村井克行)の手元にも5千万円の遊んでる金が。随分はぶりのいい話ですこと。(麻生結一)


第7週(5/10〜5/14放送)
☆★
 あれから2年という設定でドラマは再出発。脚本家も変わって、療養所を出た春生(大路恵美)の髪型も正常化して(?!)、前半の悪夢を振り払ってくれることを願わずにはいられなくなる。元気になった春生のイントネーションが微妙に関西弁になってたりするあたりは、若干の後遺症と考えるべき?!
 音楽療法士を目指しはじめた春生は、毎朝のジョギングを決して欠かさない!このキャラクターの過剰さに関しては、そういった行動パターンにちゃっかりと保全されている模様。春生が音楽慰問のボランティアをしている病院の内科医で、春生に交際を申し込んだ真島(村井克行)がどうやら恭司(浜田学)の次なるライバルになるのかな。
 急患として志津枝(朝加真由美)が運ばれてくるあたりのご都合主義は相変わらずだけれど、各キャラクターの口から発せられる台詞自体は、以前よりも真っ当であるように聞こえる。(麻生結一)


第6週(5/3〜5/7放送)

 ちょっと行き道を間違えてしまうと、とんでもない袋小路に入ってしまいかねないことを毎週にわたって教えてくれているこのドラマ。春生(大路恵美)はついに気が変になり、病院も内科から精神科に。春生が壊れていくと同時に、ドラマもいっそう壊れていくよ。
 何で結婚式の席次表の新郎新婦の名前が、脅迫状風の切り抜きになってるの?! もしかしたら、ここって笑うところ?! ドイツに留学することを報告しに来た北条(岡本光太郎)に牧師をやってもらうシーンも似たような感じで、対応に困ってしまう。
 つらい思い出を封印して記憶の書き換えをしてしまっていた春生の追い込まれようはわかるんだけど、出だしの設定でつまづいているので、いまさらその引き裂かれた感じは深まっていかない。真鶴(三国由奈)が持ってきた合唱のMDを聴いてすべての記憶が蘇るとは、結構簡単でしたね。学校をやめた真鶴がMDを持ってくるのも変だと思うけど。
 冴子(田島令子)は春生に、春生と恭司(浜田学)が兄弟でないことを告げる。でもそのことを恭司には知らせないって、いかにも引っ張る感じがいやらしい。もはやどれが動機なのかもわからず、春生は入水自殺。間一髪のところを助けた恭司は、いつの間にか左腕を負傷して、後遺症が残るらしい。こういう後付けもおざなりにもほどがある。いつの間にか注文されていたウェディングドレスの使い方などは、いかにもらしい感じ。(麻生結一)


第5週(4/26〜4/30放送)
☆★
 第5週目にして、何ともいえない後味の悪さに独自性を見出しつつある?!ついに互いが兄妹だと知ってしまった春生(大路恵美)は恭司(浜田学)との最初で最後のデートで別れを決意って、これまでにもデートしまくってたくせに。しかし、恭司に抱かれたあの日のことはいつでもどこでも思い出されて振り払えず。挙句の果てに、グラスで手を切るは、ペンシルで傷口をブスブスさすは、さらには行きずりの男たちと寝ること2人。売春まがいの行為で落ちていく自分に安心感を感じる春生だったが、白昼堂々の試みでは心配であとをつけていた父・卓郎(大和田伸也)に見つかってしまう。恭司は自らが卓郎が志津枝(朝加真由美)を無理やり奪って生まれたことを告げ、春生は卓郎に憎悪を抱く。

春生「悔やむんだったら、自分の青春を悔やめば」

春生がこれほどの凄みを見せたのは初めて?!
 ついに、春生(大路恵美)と恭司は兄妹の関係を越えて同棲しはじめる。なるほど、これをやりたかったわけか。長い道のりでしたね。

卓郎「結局、わたしたちには打つ手がないんですよ、もう」

ついに出た、お手上げ宣言。視聴者的にも打つ手がありません。そしてなんと、冴子(田島令子)は卓郎(大和田伸也)に、春生(大路恵美)の父親は結婚前に交際していた男性だと告白。まさに同じ穴のむじな。これでお互いの関係に障害はなくなったはずなんだけど、春生は恭司に会うと過剰反応を起こすようになって。何はともあれ、春生役を演じるのは大変でしょうね。(麻生結一)


第4週(4/19〜4/23放送)
☆★
 最大の見どころは、ついに明らかになった恭司(浜田学)と春生(大路恵美)が兄妹であるという事実を決して春生には言わないでという取り決めを冴子(田島令子)があっさり破ってしまうところ。それにしても、このドラマのコクのなさはどうしたことだろう。これだけの素晴らしいキャストが毎話熱演を繰り広げているというのに、まるで何も起きていないかのように見えてしまうのはあまりにも悲しい。(麻生結一)


第3週(4/12〜4/16放送)
☆★
 筋立てがパッとしないので、出演者の熱演までもがパッとしないものに見えてきて、どうにも気の毒な感じがしてしまう。妊娠を偽って恭司(浜田学)と結婚しようとした百合子(渋谷亜希)の自殺未遂もくたびれ損といった感じ。春生(大路恵美)の教え子である真鶴(三国由奈)の妊娠騒動の丸いおさめ方も何だったんだろう?全編において、

春生「抱いて!」

もしくは

卓郎(大和田伸也)「抱いたのか?」

なる台詞が横行。実弾攻撃の次は、一千万円の小切手が登場。他に手はないものか。

卓郎「真実を知ったら、もっと苦しむことになる」

の意味もわからん。真実を言えば、すむ問題でしょ。卓郎は妻・冴子(田島令子)にばれるとは苦しむことになるだろうけど。そのあたりののっぴきならない感じが希薄なのがこのドラマに惹かれない一番の点だ。
 恭司は北海道の牧場で働く夢を語る。また唐突だこと。

恭司「うまく言えないけど」

ってうまく言ってよ。ドラマなんだから。(麻生結一)


第2週(4/5〜4/9放送)
☆★
 卓郎(大和田伸也)が言うように、

「まるでオペラの復讐劇」

を目指してると聞けば、なるほどと思うところもあるが、春生(大路恵美)の命の恩人でこそあれ、いかなる非もない恭司(浜田学)を朝倉家総出でおとしめようとする大前提を克服できないまま、いつの間にやら春生と恭司が相思相愛になられても、淡々と見進めること以外になすすべはない。そうしているうちに、志津枝(朝加真由美)が恭司は二十八年前、卓郎に乱暴されたときにできた子だと告白。ようやく大前提が出揃ったかと、ちょっとホッとしてみたりして。
 卓郎を演じる大和田伸也の血管が切れそうなほどの大熱演を見ていると、このキャラもそう遠くないうちに死んじゃうんだろうなと思った次第。手切れ金(?!)が渡したり戻ったり、際限なくやりとりされるあたりは、あまりにも珍妙。盛り上げのきっかけは、いくらでもありそうなものだけれど。(麻生結一)


第1週(3/29〜4/2放送)
☆☆
 『真珠夫人』の大和田伸也、『愛のことば』の岡本光太郎、『貫太ですッ!』の渋谷亜希、『男の選びかた』の田島令子、『レッド』の朝加真由美、脚本は吉と出て『母の告白』、凶と出て『愛のことば』の高田純と、東海テレビの昼ドラ的真打格がズラズラっと勢ぞろいしているのだが、ドラマのスタートダッシュには大いに不満が残った。
 高校の音楽教師をしている朝倉春生(大路恵美)は、芸大の教授である父・卓郎(大和田伸也)の教え子でバイオリニストの北条啓吾(岡本光太郎)と結婚を前提に交際している。北条とコンサートに行く約束をしていた日、春生は街で暴漢に襲われるも、通り掛かった桧山恭司(浜田学)に助けられる。
 肝心の春生と恭司の出会いだが、春生を助けるべく、恭司が暴漢を刺してしまうまではいいとしても、朝倉家が一丸となって恭司に嫌悪感を抱く根拠はどこにも見当たらないのだけれど。助けてもらった謝礼金の代わりに、恭司が店長をつとめるキャバクラで春生がバイトするエピソードにも思わず苦笑。『牡丹と薔薇』のように何でもありが大前提のドラマだったら、それはそれでいいのかもしれないけれど、このドラマはそういうタイプではなさそうだし。大路恵美と浜田学の主演コンビは期待感高し。(麻生結一)




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