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ドリーム〜90日で1億円〜 (NHK総合月〜木曜23:00〜23:15)
連続ドラマ
制作・著作/NHK、カズモ
共同制作/NHKエンタープライズ21
制作統括/内藤愼介、鈴木圭
プロデューサー/大山勝美
原案/マーク・ヴィクター・ハンセン、ロバート・アレン『お金持ちになれる1分間の魔法』より
脚本/市川森一
演出/石橋冠(1、2、5、6)、福本義人(3、4)
音楽/沢田完
主題歌/『明日へ架ける橋』倉木麻衣
詩/寺山修司『人の一生かくれんぼ』より
出演/小井戸千春…水野美紀、海野忠人…陣内孝則、大浦龍宇一、西牟田恵、山根あかね…筒井真理子、森ヒロシ…岡田圓、根岸季衣、今福将雄、山谷初男、弘中麻紀、三谷侑未、池津祥子、尹嬉淑、歌川椎子、梨本謙次郎、千葉哲也、庄司永建、小井戸修司…市原尚弥、中丸新将、増子倭文江、三谷悦代、永田耕一、千春(幼少期)…土橋恵、谷口智、村杉蝉之介、山口詩史、菅原田真紀、岩崎光里、不破万作、河西健司、市村直樹、久保晶、藤夏子、妹尾正太、水野智則、上村依子、金杉太朗、牧江里子、永井努、大岡加奈衣、黒沼弘己、大西耕治、木村知幸、林和義、山崎崇史、大須賀王子、末木利文、小林勝也、串田和美、偉藤康次、堀川裕生、俵木藤汰、三枝創、青木和代、須藤香代子、たがみかおり、村田オレナ、桐山ゆみ、桑名湧、坂本大地、小田切一、佐藤亜紀、神谷美帆、高橋智己、土屋まなみ、保美愛、きぐるみピエロ、隅野貞二、奈佐健臣、野村五十鈴、上野平貴、薬師寺順、春名萌々子、渥美博、俵広樹、真矢野靖人、フローランス、大河内しのぶ…南田洋子、菅原理事長…北村総一朗、勝間田英輔…長塚京三
ほか

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最終週「七転び八起き」(5/3〜5/6放送)
☆☆
 一攫千金ドラマの隠れ蓑に、結局はディケンズの『大いなる遺産』のようなお話にしたかった模様で、それはそれでなるほどとも思うのだけれど、だったらサブタイトルが違うでしょうに。
 海野(陣内孝則)が勝間田(長塚京三)の面通しを画策する場面を、新国立劇場の隅っこの方で撮ってたのはどういうわけ?オペラ見ながらスケール盛大にやってくれるのかと思っていたのに。確かにこの地味なドラマらしかったともいえるけれど。勝間田は誘拐犯ではないと千春(水野美紀)が否定するシーンは、まるで『砂の器』のよう。まぁ、いろいろとくっつけてきてるわけですね。一人サスペンスごっこに疲れ果てた(?!)海野が、闇夜で一人踊る場面が、まるっきり意味不明でちょっぴり楽しい。
 勝間田の偽寺山修司ぶりが暴かれるあたりのノスタルジックな感じも悪くないのだが、最終回の成田の見送りはいかにも蛇足といった感じ。この魅力的なキャストでなら、もうちょっと違ったものが見てみたかったというのが正直なところ。(麻生結一)


第5週「負けるが勝ち」(4/26〜4/29放送)
☆☆
 物語の流れは相変わらず悪いが、部分的にはなかなか面白いところも。突然、海野(陣内孝則)のナレーションが頻発し始めたり、かなりぎったんばったんしてるんだけど、一つのことにこだわる妙な粘着的な感じに惹きつけらたりもして。「90日で一億円」という副題は、もはや意味を失ってるんだけど。大体、今何日目なの?
 千春(水野美紀)と勝間田(長塚京三)の過去に疑問を抱いた海野は、自ら千春の実家におもむいて調査を開始。千春の母から千春がかつて誘拐された事実を聞き出し、勝間田こそが千春を誘拐した犯人であると確信する。そんな余興に力を注ぎすぎたか、中国株の大暴落を読めずに大損するはめに。
 ところどころに飛び出す力技の連発には驚かされるばかり。「週刊近代」に掲載された“今年の珍事件総決算 群馬の空っ風ママ、誘拐犯相手に身代金値切り勝ち!”の記事でサスペンスの核心に行き着かせるあたりは安易だけど、それをやらなきゃ話は進まないか。訳あり物件の御祓いでは、有名な霊媒師役で根岸季衣が唐突に登場。あの中途半端な御祓いは、千春の過去をちょっぴり引き出す役割も果たした?! ナノテク化粧品の小川(千葉哲也)って、おでん屋が初登場?! 『天花』の竹山先生ほどの確信犯じゃないとしても、あたりもすべてが唐突でエピソード同士がつながっていかないんだけど、千春と勝間田がリフォーム後の部屋でビールを飲み交わすシーンなどは味わい深くていい。しみじみ調の『しあわせのシッポ』と通じるところも。水野美紀の美しさも際立ってきた感じ。勝間田が寺山修司を名乗って誰かが気がつきそうなものを誰も気がつかない仕掛けも、計算ずくのサスペンス?!(麻生結一)


第4週「油断大敵」(4/19〜4/22放送)
☆☆
 玉石混交のお宝が眠る蔵をネットオークションで20万円で競り落とす小バクチも、蔵の中にはガラクタばかり。だまされたらだまされかえせとばかりに、再びオークションに出し直してまんまと800万円せしめたと思ったら、たいていの悪事が心ある内部告発者の勇気ある行動によって露見する最近の風潮通り、あかね(筒井真理子)とヒロシ(岡田圓)の善なる裏切りにより、海野(陣内孝則)にきつくお灸をすえられてしまう千春(水野美紀)。実際には勝間田(長塚京三)が後ろで手を引いており、というエピソードのボリューム自体は十二分なはずなんだけど、何だか物足りない。各話ごとがきちっとオチてないのも不満なところ。バレンタイン用の涙型チョコが、葬式の会葬礼に化けるあたりは面白かったんだけど。
 ベンチャーの成功者としては外面も大事とばかりに、車とブランド物の服を買い与えられ、擬似的ではあってもついに千春がいい女になったところで、次週にこそはドラマの盛り上がりを期待したい。(麻生結一)


第3週「ウソから出たマコト」(4/12〜4/15放送)
☆☆
 海野(陣内孝則)の指示により、いよいよ千春(水野美紀)が金儲けのドリームチームを始動されると聞けば、ドラマの面白さもいよいよ本格的になってくるのかと期待したのだが、作品の根幹と演出のテイストが微妙に食い違っているのか、何となく乗り切れない。
 せっかくの安眠枕販売計画は、考案者の大河内しのぶ(南田洋子)が急逝して、その権利をメーカーにとられてしまう。こういう単体のエピソードは面白いんだけど、そこに畳み掛けるような連続性が出てこない。故人を偲ぶからには、もう少し絡みがあってもよかったと思うんだけど。(麻生結一)


第2週「この指とまれ」(4/5〜4/8放送)
☆☆★
 市川森一先生がこのドラマのヒロインを水野美紀に、と考えた意図がじわじわと見えはじめた第2週。ちびっ子フェスティバルで着ぐるみのままに借金取りに追いかけられたり、夜のお仕事でセーラー服コスプレを披露するもお客からおばさん呼ばわりされたり、原チャリでお寿司のデリバリーしてるところで修司(市原尚弥)の父でもある昔の男・純一(大浦龍宇一)に軽く扱われたりと、がんばってるんだけど空回りしてしまうドタドタ感が、いかにもそれっぽい(ほめてるんです!)。施設から抜け出した修司が大船で見つかったと聞いても、真っ先に駆けつけようとするでもなく、駅のホームにあるベンチで夜を明かそうとしたりといったダメ母ぶりもあまりにも板についていて、なるほどこの役は水野美紀にあってるかもと思えてくる。
 施設の理事長・菅原(北村総一朗)から修司を里子に出すと宣告さて、ついに千春(水野美紀)はこれまでセミナーでやってきたことを実践にうつすことを決意するが、結婚式のケーキカット用はりぼてケーキが食べられないのと同じように、セミナーでやっているマネービルは所詮おとぎ話と海野(陣内孝則)に諭された通りで、選挙人地図や開発前の商品に関して、女子高生にフリートークさせるティーンズサミットのアイディアも当てが外れて、人のノスタルジーにのっかって廃校の土を売る商売も、資金ゼロでは如何ともしがたく、ついにはサラ金に手を出してしまうことに。
 ここでようやく勝間田(長塚京三)が絡んできて、ドラマはいよいよ本題に突入、ってここまでに2週間かける必要があったかどうかは疑問だけど。校庭に勝手に入って土を持ち出そうとするも、巡回の警察官に見つかってしまうエピソードには大笑いしてしまった。(麻生結一)


第1週「子供を返して!」(3/29〜4/1放送)
☆☆
 副題で「90日で1億円」とうたっているからには、その90日を描くのかと思いきや、自己啓発セミナーの主宰者である海野(陣内孝則)に言わせれば「お茶目なサービス」である大掛かりな詐欺作戦の片棒以上のものを担いで、仮に擬似的ではあったとしても、ヒロインの千春(水野美紀)が第1週目にして早くも90日で1億円を稼ぐところまでを描いてしまったところには大いに面食らった。ただ、どう考えても詐欺師軍団のお話ではなさそうなので、第2週からが楽しみなところ。少女時代の千春を誘拐はしたけれど、身代金の要求は8万円にまで値切られしまった、今は大金持ち風の勝間田(長塚京三)がキーパーソンの模様。

「毎回夢じゃ3ヶ月で1億儲かんのに、現実はたったの60万。落差がありすぎて悲しくなっちゃう」by千春

「テレビドラマに1本出演したとおもえば、悪くないギャラですよ」by海野

それって、NHKのギャラが安いっていう意味?! 千春と同じセミナーに参加している80歳の元キャリアウーマン役でお久しぶりの南田洋子。相変わらずガッツポーズが妙に似合う水野美紀には、きっとNHKのドラマは似合うのでは予想してるんですけど、いかがでしょう。(麻生結一)




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