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それは、突然、嵐のように… (TBS系水曜22:00〜22:54)
製作/テレパック、TBS
プロデュース/矢口久雄
脚本/金子ありさ(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10)、いずみ吉紘(4)
脚本協力/関えり香(2)、卯月みふる(3)
演出/佐々木章光(1、3、6、10)、藤尾隆(2、4、7、9)、日名子雅彦(5、8)
音楽/長谷部徹
主題歌/『まっ白』小田和正
出演/小川こずえ…江角マキコ、深沢拓馬…山下智久、小川日出男…柳葉敏郎、早川香織…宮地真緒、上島ゆきえ…木村多江、杉浦克己…小橋賢児、石倉喜代子…加藤貴子、加瀬啓介…勝地涼、臼井加奈…山田優、吉沢和美…濱田マリ、佐々木勝彦、前田耕陽、有坂来瞳、久松夕子、半田武彦…村杉蝉之介、西野妙子、須永慶、井上夏葉、石田弘志、井上智之、上島菜之花…遠藤由実、大須賀裕子、中山真由美、菊田由美子、井上朋子、河原れん、楠本藤一郎…井上順、牧野佐保…綾瀬はるか、東海林京子…鷲尾真知子、大森暁美、渡辺典子、中村はなえ…白川由美、中村光三…竜雷太
ほか

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第10回(3/17放送)

 こずえ(江角マキコ)は日出男(柳葉敏郎)と別れて、拓馬(山下智久)にも乗り換えず、よくわかんないうちに担当したインタヴュー記事が認められて、すっかり編集部からも認められる存在に。拓馬もダンスをやるのだの、やらないだの言ってる間に、何だかわけがわからなくなっちゃった。
 まったく手際の悪い心境ドラマも、軽いノリで始まって、必要以上に重たくなる展開は『お義母さんといっしょ』に同じかな。脇のキャスティングがほったらかされててまったく生きてこないのもつらすぎる。ラストはこずえと日出男が横断歩道ですれ違って、元の鞘に納まる?! 出会いは常に横断歩道、という路線を貫きたかった気持ちはわかるけど。
 何はともあれ、このTBSの水10枠からドラマが没収されたということで、正直ホッとしています。この枠でまともだった作品は『マイリトルシェフ』と『恋文』ぐらいか。(麻生結一)


第8回(3/3放送)
☆★
 初登場の由梨子(渡辺典子)は予想通りに、単なるお騒がせキャラだった!マリッジブルーを装って日出男(柳葉敏郎)を呼び出し、唐突に外資系証券会社の日本支社にヘッドハンティング。日出男は花屋を継ぐ話をこずえ(江角マキコ)にしたばかりゆえに、この話をこずえに相談できない。ところが、由梨子はこずえに直接、日出男を新会社に誘ったことを話してしまう。さらに、こずえが拓馬(山下智久)への思いを綴った由梨子宛てのメールも日出男に送りつけて……。
 またこのドラマに共感できないキャラクターが一人加わったということで。メールの使い方も下手だが、編集部での話もすべりまくってる。重症です。(麻生結一)


第7回(2/25放送)

 こずえ(江角マキコ)と拓馬(山下智久)は抱き合うも、キスはせず。それがこずえにとっての一線ということらしい。日出男(柳葉敏郎)は会社でリストラ敢行役を引き受けるぐらいなら、家業の花屋の仕事を手伝いたいとその平和主義者ぶりを明らかにする。そのいい人ぶりをかみ締めつつ、久々に夫婦で外食していると、バッドタイミングにも(もしくはグッドタイミングにも)拓馬と香織(宮地真緒)が同じテーブルに乱入。こういう定番のエピソードは、数話前に済ませておくべきものでは。
 香織は拓馬の手術費用を捻出すべく、自らウエイトレスのバイトをはじめる献身ぶり。まぁ、普通っちゃ普通だけど。ついに次回、結婚報告メールまで送信済みの由梨子が登場する模様も、ドラマへの関心はすでに薄れてしまって。(麻生結一)


第6回(2/18放送)
☆★
 高校生拓馬(山下智久)と主婦=こずえ(江角マキコ)との恋愛模様にこれといった変動なし。しいて言えば、何だか突然、嵐のように、拓馬がこずえへの思いを高めはじめてる。過去の栄光を知らないから彼女こそがいいとの説明だけれども。あぁ、これこそがこのドラマのすべてか。
 香織(宮地真緒)に問い詰められたこずえは、好かれて別れたかったと大人のズルさを告白。こずえに会いに行く途中、ケンカを売られた拓馬はどんなに殴られようともこずえにもらった2000円札だけは守り抜くけなげさを見せる。これが秋クールのドラマだったら、2000円そっちのけで新渡戸稲造の5000円の方を守ったかもしれないけど。『武士道』でブームが来るなりなくなってしまうことになるとは、あまりにも皮肉。
 ついにはドラマと関係ないことまで書き出す始末です。失恋して恋愛U字曲線を発明する編集長(濱田マリ)の仕事の鬼ぶりも、あの髪型の前ではちとかすむ。なるほど、指輪の代わりに時計をしていた実用性が誤解の元になったわけか。(麻生結一)


第5回(2/11放送)
☆★
 脚本家がまたまた一人に戻るも、大勢には影響なし。編集部でかなわない女について聞かれたこずえ(江角マキコ)の答え

「若くて一途で、自分の気持ちを真っ直ぐ伝えられる」

とは、ようやく本領を発揮し始めた香織(宮地真緒)のこと。この香織に佐保(綾瀬はるか)も絡んできて、拓馬(山下智久)の周辺も少しはにぎやかしくなってきて、ドラマ的にはよかったのでは。主題歌の王道路線に見習って、ドラマも変にひねらずに王道路線を歩んだほうがいい。こずえの勝ち組論なぞはもはや不要でしょう。(麻生結一)


第4回(2/4放送)
☆★
 脚本はいずみ吉紘と金子ありさの連名になり、ドラマはこれまでの大体2倍ぐらいに混迷の度を深める。こずえ(江角マキコ)は呼吸困難で緊急入院した拓馬(山下智久)を心配し、日出男(柳葉敏郎)を置き去りにして病院に駆けつけるも、拓馬は髪型を気にするほど元気で、しかも看護婦からは「おば様」扱いされて逆立腹。ここでも日出男は多くを聞かずにいい夫のままかい。
 拓馬の身の回りのものを届けたお礼にと、こずえがバイトをしている編集部までダンスのクーポンを持って訪ねてきたダンス教室のオーナー・楠本(井上順)から、拓馬がダンサーとしては致命的な病気である肺気腫を患っていることを聞かされる。拓馬が退院するまで面倒をみようと心に決めるこずえだったが、拓馬の病室ではすでに香織(宮地真緒)が甲斐甲斐しく世話をしていた。
 結びつくはずもない2人を必死で結び付けようとするわけだから、その試みがうまくはずもなく。このクールのTBSのドラマには似たような傾向がある。キャラが立ってこないので、それぞれの役柄を覚えきれないのだ。このドラマの場合も、家族と編集部のエピソードがことごとく不発なため、誰が誰なのかいまだに把握できない。5本ともに粒揃いで、“ドラマのTBS”復活の兆しを感じていた前クールと今クールの5本が分散してくれていたら、どんなによかっただろうに。同じ“迷”ドラマ系でも、『プライド』ぐらいに噛みごたえがあればそれはそれなんだけど。病院を抜け出してきた拓馬が借金取りに追われてる風に見えたらしいこずえの想像に、

「何だそりゃ」by拓馬

との台詞は、このドラマを通してどこにでも用いられる感想か。
 大体、拓馬の病名を赤の他人に言うだろうか?ダンスクーポンを返しに行く律儀さも?そのあたりのおざなりが、ドラマをますます二流化させてしまう。小田和正の主題歌だけは一流風なんだけど。1000円パジャマを着こなす拓馬のかわいさが、このドラマ唯一の救いかな。(麻生結一)


第3回(1/28放送)
☆★
 このドラマのいけないところは、何をどう見せたいのかがさっぱりわからないところ。まぁ、『お義母さんといっしょ』も似たような感じだったけど。こずえ(江角マキコ)が由梨子さんに出すメールの件名「自己嫌悪」は、このドラマ自身の言葉のようにも思えてくる。携帯をはじめて持つってエピソードに、2004年的にはリアリティなし。今、携帯を持っていない登場人物を出すのであれば、それが主義主張になってるぐらいじゃないと厳しいでしょう。こずえは拓馬(山下智久)と、またまた“突然、嵐のように”出会っちゃうし。何かと年のことにこだわるこずえがそういうキャラに見えないところで、このドラマはすでにつまずいているのかな。『年下の男』ぐらいにへこたれてたら、否が応にも納得させられるけど。噂の由梨子さんはニューヨークのホテルでコンセルジュをしていることが判明。恋人との出会いを「まるで突然、嵐に巻き込まれたようだ」と形容した戦犯(?!)は由梨子さんみたいです。香織(宮地真緒)には、今後出番がめぐってきそうにもない。加瀬役の勝地涼は、これよりも『ちょっと待って、神様』の方が断然いい。仕事で遅くなったこずえを心配し、夜道でこずえのことを待つ日出男(柳葉敏郎)こそが、何となくダラダラとしたこのドラマの象徴的存在。これまた突然嵐のように、拓馬は呼吸困難に陥ってしまうとは、支離滅裂というか何というか。(麻生結一)


第2回(1/21放送)
☆★
 タイトルが“、”で区切られている理由が、なんとなく見えてきた。つまりは、ドラマの連なりが悪いってことね。拓馬(山下智久)と踊ったダンスのことが、いや拓馬本人が忘れられず、何となくそわそわとしてしていたこずえ(江角マキコ)だっただけに、随分と都合よく拓馬と道端で再会してしまったが最後、あとはもう拓馬のペースにハマるのみ。犬に靴を汚されたお返しにと、ダンスシューズを買ってもらうのかと思いきや、買ってしまったり、踊りたくないと言い張ってるのに、いつの間にかダンス教室の生徒になっていたり。
 確かに、夫の日出男(柳葉敏郎)はせっかくつけた香水にではなくて、1本あった白髪の方に気がついちゃうような無骨者。だからって、ベットの横に脱ぎ捨てられた夫の衣服をそのままにしてちゃ、こずえこそが無骨者になってしまうでしょ。ジェンダーロールの否定とSサイズ論が完全に矛盾している一貫性のなさは狙いなんだけど、その狙いまでもがこのキャラクターを共感の薄いものにしているのはなぜだろう?
 年上の女が年下の男にクラブにつれてこられるパターンは、『年下の男』のまんま。大した問題もないのに、お互いがお互いに逆切れパターンっていうのが、最近のドラマには多いですねぇ。とりあえずは逆切れさせておこう的な手法がいかにも安易。とりあえずは、早めに由梨子さんなる人物を登場させて、ドラマを活性化させたほうがいいのでは。(麻生結一)


第1回(1/14放送)
☆☆
 タイトルの感じや主婦と年下の美少年との恋愛模様という前宣伝に、どんよりとしたテイストを予想するも、実際はかなりのコミカル調。それにしても、『きみはペット』や『魔女の条件』といった同型のドラマって、どうして逆凸凹の主人公たちが基本なんだろう?!
 幸せな結婚生活を送るこずえ(江角マキコ)は、かつて勤めていた雑誌の編集部でアルバイトをするを一念発起して決意するも、かつての同僚で現編集長、吉沢和美(濱田マリ)からは簡単な仕事しか任されず、戦力としては期待されていなかった。お使いに出たこずえは、横断歩道の真ん中で傘もささずにたたずむ拓馬(山下智久)と出会う。拓馬を助けようとして、こずえの荷物はびしょ濡れになり、拓馬が講師をつとめるダンス教室で荷物を乾かすハメに。
 年下君がダンサーである設定も丸っきり『きみはペット』と同じ。やはり、このあたりがメルヘンとしてのリアリティのスレスレということか。みょうちくりんな前髪君=拓馬が高校生にして講師という設定には、最終回まで悩まされそうだけど。こずえを裏切り者呼ばわりするも、本人の前では後輩面する喜代子(加藤貴子)の変わり身の早さが笑えた。トイレでも「あ〜なったらおしまい」とまで言われるも、その足でスーパーでねぎを買うお決まりの生活臭に、江角マキコは可能か?! 『ちょっと待って、神様』まで行ってしまわれてもつらいけど。必殺ともいうべき、小田和正による主題歌がここぞというタイミングで流れてくるところが、このドラマ最大の売りだったりする?!(麻生結一)




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