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スカイハイ2 (テレビ朝日系金曜23:15〜0:10)
制作/tv asahi、アミューズ
チーフプロデューサー/黒田徹也
アソシエイトプロデューサー/新井英文
プロデューサー/横地郁英、松岡周作
原作/高橋ツトム
脚本/田辺満(1、6、8、9)、小川智子(2、5、7、8)、高山直也(3)、公園兄弟[真辺克彦&鴨義信](4)
脚本協力/鶴田法男(2)
監督/金子修介(1、2)、麻生学(3、4)、高津隆一(5、6)、鶴田法男(7)、中原俊(8、9)
音楽/森野宣彦、矢野大介
主題歌/『時の雫』GLAY
挿入曲/『Suna no Shiro』DAITA
出演/イズコ…釈由美子、天野そら…高橋真唯、広田大地…小林翼、中村育二、天野照男…森本レオ、【以下ゲスト:第1回】寺田農、布川敏和、木下ほうか、粟田麗、深水三章、伊原剛志、【第2回】貴志玲香…渡辺典子、中原丈雄、前田耕陽、畠中洋、佐々木正洋、崔洋一、三枝…大和田伸也、田中のぞみ…上原さくら、【第3回】朝倉伊織…とよた真帆、松下陽介…尾美としのり、仁藤啓二…矢島健一、朝倉桃子…木村茜、庄司永健、鹿内孝、【第4回】皆川静香…佐藤藍子、吉村ひとみ…北川弘美、岩田哲次…平泉成、【第5回】合田竜也…須賀貴匡、南條賢一…富家規政、市川千恵子、榊英雄、大場一史、南條理恵…東ちづる、【第6回】須藤元気、高橋かおり、高杉瑞穂、小林滋央、諏訪太郎、蛍雪次朗、浅茅陽子、【第7回】柊瑠美、早見優、寺門ジモン、田中要次、氏家恵、松永隼、椿直、津田寛治、【第8、9回】沢村一樹、デビット伊東、小市慢太郎、山田辰夫、村田充、樋口史、渡辺えり子
ほか

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第9死(3/19放送)
☆☆★
 呪い殺した人数がミソだったという最終回。これはネタばれ注意です。何とも気の毒な境遇の人生を送ってきたことが判明する空(高橋真唯)は、『炎の少女チャーリー』ばりに悲鳴とともにその相手を焼死させる能力があるのかと思いきや、幼いころに焼き殺したと思い込んでいた強盗の2人は父と母が、安藤(デビッド伊東)は久米島加奈子(渡辺えり子)なる霊能者が、死ぬ前に地獄に落ちること覚悟で呪い殺すことを選択した結果だったことがわかる。『スカイハイ』の定理があまりにも律儀にかたくなに守られているからくりに、襟を正して見なきゃいけない気分になる。
 呪い殺すたびの演出が妙にキッチュなのは、中原俊のテイストですかね。確か第1シリーズの第2話でも悪趣味ぶりを発揮していたような記憶が。空を殺してしまったかつての強盗の一味で、現在は売れっ子絵本作家の川村翔(沢村一樹)に天野(森本レオ)償いを迫る場面は、ちょっときれい事にまとめすぎでは。
 門番失格の烙印を押されたイズコ(釈由美子)がついに再生の道を歩む?! このドラマのゴールデン進出はなさそうです。(麻生結一)


第8死(3/12放送)
☆☆☆
 占い師の久米島かの子(渡辺えり子)が死んでないのに何度となく怨みの門に来てしまうところから異色の面白さ。死んでしまうことをまったく後悔してないさばさばとした対応からユーモアがにじませるあたりは、さすが渡辺えり子。この方の役のつかまえ方のうまさには、毎度のことながら感心させられます。占い師の名にかけて、死を宣告したそら(高橋真唯)を救うべく、死ぬ前に呪い殺す選択をしてしまうあたりもらしい感じ。
 「神社の人」、イズコ(釈由美子)が第1シリーズ同様に最終回を前にして地上に降り立つ。大地(小林翼)との掛け合いが笑わせる。(麻生結一)


第7死(2/27放送)
☆☆★
 タイムカプセルねたとは証文の出し遅れのような感じだけれど、死体が見つからなければ怨みの門への道は閉ざされたままとは、これは目新しい趣向。『はんなり菊太郎』でも相当怖かった柊瑠美がホラー演技で見せる永遠のセーラー服姿の中学生像こそが、今回のすべてだが、現世を彷徨う理由はやや弱かったか。
 ピッチャーの真似が東尾だったり、西武の監督が広岡だったり、ディテールがノスタルジーをそそりました。見せ場は少ないも、クラスメートが豪華キャストなのには驚いた。田中要次は第1シリーズの第4話にも出演していたはずだけど、そういったことはあまり気にしてないのかな。森本レオしかり。(麻生結一)


第6死(2/20放送)
☆☆
 この第2シリーズはスポ魂物が多いみたい。怨みも憎しみも復讐もないあたりが、やっぱりスポーツマンシップなんでしょうか?!  世界王者とのタイトルマッチを目前の練習中に死亡したボクサーの金坂(須藤元気)が、イズコ(釈由美子)に頼み込んで3分間だけ自分を殺した練習パートナーである川田(高杉瑞穂)の肉体を借り、王者・千堂(小林滋央)と闘う場面がクライマックスだが、途中は説明的な台詞ばかりだったので、そこに至るまでにドラマへの興味が薄れてしまった。さすがにボクシングのシーンは本格的だったけど。
 恋人の真知子(高橋かおり)がなぜ自殺未遂をおかしたのかを説明しない意図がいまいちわからず。金坂の母親役で浅茅陽子も登場。再生の道を選択した金坂に対して

「お生きなさい」

と言う前に、凄まじいパンチを繰り出すイズコがちょっぴりお茶目。(麻生結一)


第5死(2/13放送)
☆☆
 理恵(東ちづる)の死体が横たわったままに、怨みの門のイズコ(釈由美子)が登場するシーンがこれまでになくカッコいい。怨みの門と現世との出し入れにも随所にシャープさが感じられて、これまでのマンネリ以外の手もOKだったんだと新鮮な気持ちになる。
 実家の借金を肩代わりしてもらって結婚した理恵は、ホモセクシャルの夫・賢一(富家規政)から体外受精を頼まれるも、孫の誕生を願う義母もそれを承知している模様。理恵は出会い系サイトで知り合った若い男性・合田(須賀貴匡)に愛されていると思い込んでつくしまくるも……。
 死んだって消せないほどの恋だとどんなに強く信じていても、過去にさかのぼっての心の声を聞かされちゃ、男女に関係なく呪い殺すしかないでしょ。再生へと導こうとしてるらしいイズコは、どう考えたって呪い殺す選択肢に誘導してるとしか思えないんだけど。第1シリーズほど現世の人たちが活躍しないのも物足りない。何はともあれ、今週の金曜日は東ちづるデーでした(『はんなり菊太郎』とこれ)。(麻生結一)


第4死(2/6放送)
☆☆
 オリンピックの女子マラソン代表選考をめぐってのスカイハイとは、アテネオリンピックをひかえてまたまた選考でもめているところにあまりにもタイムリーなお話。陸上クラブの合宿所が火事になり、五輪出場を目指していた有力ランナー、静香(佐藤藍子)がライバルのひとみ(北川弘美)を助けたために死んでしまう。怨みの門でも自分の行動は間違いなかったと確信していた静香だったが、訳知りのイズコ(釈由美子)が大いに勧めるので、とりあえず失われた記憶をのぞいて見ると、代表のチャンスをつかむために手段を選ばないひとみから、静香は見殺しにされていたのだった。
 女子トップアスリート同士の特別な関係から想像するに、このドラマらしい盛り上がりが期待できるかと思っていたのだが、実際には大いに失望させられた。コムロハウス陸上部監督・岩田役の平泉成の役作りがまるっきり小出監督風だったりといったベタさ加減はいいとしても、マラソン大会のシーンがあまりにもお粗末で。第1中継者があんな貧弱なオリンピック予選はないでしょ。白バイの先導もいないし。中途半端な火事のシーンの予算分で、もう少しマラソン大会のシーンに予算をかけた方がよかったのでは。そういう安っぽさは、ドラマのリアリティにかかわってくる問題なので、実際のマラソン中継のノウハウをここにいかせればそれなりに盛り上がったとも思う。
 その真実を知り、ひとみを呪い殺すことを選んだ静香。ついに息の根を止めにきた静香にトンネル内で足止めを食わされたひとみは、実時間でも3分半ほどはロスしたはずだが、後続は誰も来ない。どんな大差で先頭争いしてたんでしょう?! 静香とひとみ、それぞれの思いにも予想以上の展開がない。同じ事務所の先輩後輩、佐藤藍子と北川弘美が似たような立ち位置を演じていた点は、ドラマとはまったく関係なく興味深かったけれども。前回分でほめすぎたと反省。(麻生結一)


第3死(1/30放送)
☆☆☆
 第1シリーズのときも、麻生学監督版の第3死と第4死は非常に優秀だったが、今回も実に見ごたえがあった。被告・仁藤(矢島健一)の無罪を勝ち取り、裁判所を出た弁護士の伊織(とよた真帆)は、事件の被害者の兄にナイフで刺されて死亡。お約束の通り、門番のイズコ(釈由美子)に会っても、死を受け入れられない伊織は、これまでの経緯を振り返る。
 これまでも過酷な選択はさまざまあったが、今回のジレンマいつもよりも痛切。憎むべきは仁藤なれど、仁藤は名医にして娘・桃子(木村茜)の執刀医意とくれば、単純に呪い殺すことも出来ない。しかも、生あるときには証人を脅してまで無罪を勝ち取ったわけだし。法律とは諸刃の剣とは言い得て妙。愛するものを守るために、己の力の使い道を誤ったと言われても仕方がないが、それが弁護士の仕事であるわけだし、何においてもそれこそが母親の思いなのだから。ただ、実際に仁藤を呪い殺しても桃子は手術を受けられたわけで。あれって、仁藤よりも落ちる医者が執刀したってこと?
 自身が踏みつけにしてきた被害者の苦痛を、伊織が身をもって知る場面の酷烈な描写は凄まじかった。そう、釈由美子ととよた真帆のツーショットこそ、『生き殺』のコンビ。ということは、このあと高岡早紀、横山めぐみの登場もある?! 第1話しかり、だんだん同窓会みたいになってきてるけど。(麻生結一)


第2死(1/23放送)
☆☆★
 仮面をつけてこそ本物になるという奇妙な生業、女優の女優らしい怨みについて。女優・貴志玲香(渡辺典子)はビルの屋上で台詞の稽古中に背中を押され転落。2年間意識不明のままに結局死亡し、怨みの門にやってきた。玲香が昏睡状態だった間に、彼女の付き人だった田中のぞみ(上原さくら)は女優になり、玲香の死によって中断されていた映画『バロック』に主演することになる。
 『イヴの総て』のバリエーションのようなお話で、女優業の世知辛さが垣間見えてなかなか面白かった。とりわけ、玲香の歩んできた女優としての道のりが、演じる渡辺典子と大いに重なり合って、その赤裸々さ加減がとてもスリリングで。玲香のデビュー作を撮った監督役で、渡辺典子のデビュー作ではないけれども、初期の主演作『いつか誰かが殺される』を監督した崔洋一が登場する楽屋落ち的なキャスティングもお楽しみ。
 金曜ドラマチックナイト枠(って、まるでこの枠じゃないの)、がけっぷちドラマ『もはやこれまで』の脚本を手に、

「くだらない」by玲香

なんてナマナマしい描写もあったりして。年齢的なこと考えると、そろそろ脇で中年の役に回ってほしいとののぞみからの告げ口も、あまりにもリアル。

「18歳でデビューしてからテレビで映らない日は一度もなかった。それが25を過ぎて、30を過ぎて、忘れ去られるみたいで怖かった」by玲香

そんなあせりに隠された怨みの記憶は次第に浮き彫りに。玲香に取って代わったのぞみもまた、欲望をエネルギーに変えて生きる女優そのもの。

「テレビだけじゃ、使い捨てよ」byのぞみ

テレビドラマでここまで露骨な台詞が聞けるのも、この枠ならではか。新進女優をこらしめて高笑いするチクチク感は、死んでても生きててもやっぱり同じような感じになるわけね。もう一度だけ撮影現場を味わいたいとの惜別調から一転、玲香とのぞみが対決するまでの見せ方には迫力あり。のぞみ役の上原さくらも、そのうそ臭い感じがいかにもはまっていた。(麻生結一)


第1死(1/16放送)
☆☆☆
 異色のダークサイドドラマ、『スカイハイ』の続編。第1シリーズは回による出来ばえにむらっけがあったが、これは脚本家、演出家がローテーションすることの宿命。この第1回はこのドラマらしい屈折に満ち満ちていて、見ごたえがあった。
 1台の高速バスが、運転手の酒気帯び運転によって事故を起こす。この事故によって、妻に先立たれ天涯孤独の人生を送る初老の男・小山田(寺田農)、刑務所から出てくるも情婦に裏切られていたヤクザの村瀬(伊原剛志)、そして両親とともに流星群を見に行く途中だった幼稚園に通う姉妹の4人が命を失ってしまう。非業の死を遂げた被害者たちが霊となって怨みの門を訪れ、

「選択選択って、うるせえんだよ」by村瀬

と怒鳴られるほどに、門番であるいずこ(釈由美子)が3つの選択を否応なく迫る大前提は普遍の模様。
 まず最初に、バスの事故で先立ってしまった幼い姉妹を両親と会わせるために、身寄りのない2人の男、小山田と村瀬が姉妹の両親を呪い殺すことを選択しようとするところに驚愕した。呪い殺す選択肢に、そんなポジティヴな動機が可能だったとは。まぁ、そこまで悪魔的にはなれなかったわけだけど。
 さらに意表をつくのが、達観風の小山田が自殺した妻に会うために、運転手を呪い殺して地獄行きを選択し、悪人風の村瀬が姉妹の手を引いて、天国を選択するところ。こういう裏切りこそが、この物語の魅力。
 あれ?幼稚園の延長先生役の森本レオは、第1シリーズでは鳩小屋を掃除してた人だったはずじゃ?前クールの『トリック』から連投を考えても、こういうあやしめのドラマには欠かせない人材ということか。『川、いつか海へ』でも幽霊役でしたからね。寺田農は前日の『異議あり!』からテレ朝ドラマづくし。釈由美子、伊原剛志、そして姉妹の父親を演じた布川敏和の3人は、傑作『生きるための情熱としての殺人』のレギュラー・メンバーだ!いまどきの幼稚園のイベントって、やっぱり親たちはいっせいにDVカメラをまわしはじめるんですね。(麻生結一)




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