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プライド (フジテレビ系月曜21:00〜21:54)
制作著作/フジテレビ
企画・プロデュース/大多亮
プロデューサー/杉尾敦弘、牧野正
脚本/野島伸司
演出/中江功(1、2、6、9、11)、澤田鎌作(3、5、8、10)、平井秀樹(4、7)
音楽/オリジナルサウンドトラック『プライド』吉俣良
主題歌/『ボーン・トゥ・ラブ・ユー』クイーン
出演/里中ハル…木村拓哉、村瀬亜樹…竹内結子、堀田大和…坂口憲二、相澤百合…中越典子、島村真琴…佐藤隆太、石川知佳…MEGUMI、園田冴子…滝沢沙織、大久保亮太…鈴木一平、レナード・ブーストロム…クロード岡本、ブルースコーピオンズ選手…粟野史浩・明楽哲典・古川桂次・澤田博幸・伊藤竜也・平野貴大・波岡一喜・山崎勝之・山本浩貴・武井秀哲、江川京子…山口美也子、夏川啓介…谷原章介、山本均志…山下徹大、安西容子…石田ゆり子、安西健吾…時任三郎、江川健…風間杜夫、今泉千恵子…松坂慶子、水川あさみ、村田充、東山麻美、小島奈津子、新井浩文、四方堂亘、佳田玲奈、鶴田倫美、藤岡大樹、大久保運、吉田晃太郎、佐藤一平、伊藤麻衣、伊藤あい、田中仁浩、沼崎悠、佐伯俊、多賀康之、木内友三、佐藤孝輔、小松田昭子、本間滋、妹尾正文、高樹マリア、田中碧海、小堀陽貴、舛田野子、千葉良平、辻本有悟、長村敦史、斉藤佑介、佐藤元裕、北野郷史、川原卓、勝俣晶宣、勝俣桂樹、岩井洋司、江島明彦、アレキサンダーK・レネ、キモ・ホッカネン、池上友則…市川染五郎、兵頭雄一郎…佐藤浩市
ほか

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第11回(3/22放送)
☆★
 大和(坂口憲二)の奇跡的な復活劇には、驚きなれている『プライド』出演陣さえもさすがにビックリ。

「大和さん、試合に出ちゃったよ」by知佳(MEGUMI)

「冗談でしょ。杖でようやく歩けるぐらいなのに」by百合(中越典子)

「そうだよね」by知佳(MEGUMI)

しかもゴールまで決めちゃった!ただ、あんな不完全な状態で復帰して再びケガをしたのでは、後々の選手生命に響くのでは。もともと選手生命はないと言われてたがゆえにヤケクソ?でも、ラストではちゃんとリンクを杖なしで滑ってたし。まぁ、そういう細かいことは気にしてないんでしょうね(そんなことでいいんだろうか)。
 30分も延長したにもかかわらず、試合がダイジェスト風以下で一体何をやってるんだか展開がさっぱりわからない。まぁ、そういう細かいことは気にしてないんでしょうね PART2。どうやら寝そべってる間に、ハル(木村拓哉)は氷の女神とやらを見たみたい。あとは思うがままに複数人を一気に抜き差ってゴール!その安直極まりない展開に思わず笑顔になる。
 試合の模様と切り返して見せていた亜樹(竹内結子)と夏川(谷原章介)の別れ話は定石通りも、試合終了前に亜樹がスタンドにかけつけていたことを考えると、あのチャペルは試合会場のそばにあったってこと?まぁ、そういう細かいことは気にしてないんでしょうね PART3。
 悪役を絵に描いたような山本(山下徹大)には都合よく婚約者がいたということで、守銭奴・百合は大和とめでたく結ばれる。お金がないのに幸せになれる方法はお安い御用とは、そのダジャレ感がらしすぎて思わず苦笑い。何はともあれ、ブルースコーピオンズの9番は夜間自主トレしたものがつける伝統になったか、一時はリストラまで言い渡された真琴(佐藤隆太)が新エースに就任。ハルは日記に「エースをねらえ!」とは書いてなかったみたいだけど。
 成田空港で大の大人が大声で

「決めてこいよ」by大和

って、もう外界との協調などというものはこの方々には関係ないんでしょうね。腕を上げてエレベーター下がっていく画はほとんど『ターミネーター2』。ハルはバンクーバーに渡ったと思ったら、あっという間にNHLのスターに。それって、どこのNHL?大スターになって凱旋帰国したハルへのインタヴューで、いつも持ち歩いてる恋人の写真見せてほしいと頼む失礼なインタヴュアー=小島奈津子もいないでしょうに。
 もしかしてもしかしたら、ものすごい裏切りや中途半端なラストが用意されてたりするのかなと恐る恐る見進めていくが、主要登場人物カップル勢ぞろいでハルと亜樹の再会を祝福する大団円に真逆な拍子抜け。古きよき時代の女=亜樹は、ハルが不在中にスケーティングテクニックを磨いてたんですね。だったら、このスケートリンクでのデートの場面がもう少しあってもよかったのではなどと考えいるのもつかの間、夜空には花火が連発。持つべきものはやっぱり金持ちの友達=友則(市川染五郎)ってことで、ある意味守銭奴・百合が正当化された形に。貸切リンクに亜樹がどうやって入れたかも、まぁ、そういう細かいことは気にしてないんでしょうね PART4。
 ひとつ確かなことが。タイトルバックは非常によく出来ています。クィーンの過剰な「ボーン・トゥ・ラブ・ユー」にも慣れちゃった。ところで、兵頭(佐藤浩市)はいつから失明の危機に?ハルはみんな気がついてるって言ってましたけど、第12話を想定してのエピソードだったんだろうか。兵頭が安西(時任三郎)に容子(石田ゆり子)のことを頼まれてたとすると、かわいそうなのが兵頭を慕っていた冴子(滝沢沙織)。笑顔なくスケートリンクの輪に混じっていた彼女のことが微妙に気になる。(麻生結一)


第10回(3/15放送)
☆★
 大和(坂口憲ニ)からの何とも形容しがたい話し言葉スタイルの手紙に触発され、監獄のハル(木村拓哉)は筋トレをはじめる!

「何で筋トレ?」by同部屋の小僧

ご自身がおっしゃる通り、実に単純極まりないね。映画『ロッキー』シリーズを見た男子は、大体筋トレはじめちゃいますけどね。
 夏川(谷原章介)に告訴を取り下げてと頼む亜樹(竹内結子)

「私を信じて」by亜樹

「信じた結果がこれさ」by夏川

これってどれよ?もともと、夏川が2年間音信普通だったのが悪いわけでしょ。ついちょっと前まで信じて待っていたのは亜樹の方のはずなのに。告訴取り下げの条件として、夏川は亜樹に結婚を確約させる。
 百合(中越典子)はリハビリに懸命になる大和を甲斐甲斐しく看病するも、守銭奴的発言は相変わらずで非常に感じが悪い。中越典子の出世作『こころ』のこころも負けず劣らず共感しがたいキャラクターだったけど。
 体育会系って、闘魂ビンタしあうこと?見せ場のない役柄に前回で降参したはずの兵頭(佐藤浩市)は、ハルにNHLのトライアウトを勧めるくだりで、一応スポ根物としての体裁は保たれた?! 竹内結子と滝沢沙織の初(?!)ツーショットを見て、『笑顔の法則』の悪夢を思い出した。はたして、あっちとこっちのどっちが悪夢か?!(麻生結一)


第9回(3/8放送)

 名もなき戦士のはかなきサクセスストーリーもいよいよ最終盤へ。

「女は面倒くさい」by知佳(MEGUMI)

亜樹(竹内結子)&百合(中越典子)の間に挟まれて、もっとも真っ当じゃなさそうだった知佳だけが真っ当だったというオチですかね。
 いくら大和(坂口憲二)が大ケガをおったとしても、真琴(佐藤隆太)がゴールキーパー目指しちゃ、これまでの控えのゴールキーパーは形無しでしょうよ。このあたりの手抜かりぶりは、このドラマをスポ魂物の風上にも置けないところ。

「ハリウッド映画です。モノクロの」by亜樹

この人の台詞もすっかり意味不明になっちゃいましたね。「四季の歌」とはおなつかしや。まさに古きよきかな。『ラブ&ファイト』と聞けば、愛の劇場を思い出してしまう昼ドラファン。まぁ、ハルと友則(市川染五郎)のすべりっぷりまでは許容するとしても、店でメンバー全員で裸になるってどういうことよ。
 約束通りに戻ってきたなどとしゃあしゃあと言う夏川(谷原章介)は、不在中のハルとの関係に嫉妬して亜樹に暴力をふるう。まぶたを切った亜樹を見て、

「顔でお皿洗うんだ?」byハル

「時々ね」by亜樹

亜樹は虐待されてもユーモアを忘れない?! そんな亜樹の仇討ちとばかりに夏川を一撃するハルを演じる木村拓哉には、そろそろこういう一面的な暴力キャラからは卒業していただきたいところ。殴っちゃったら、その時点で夏川と同じレヴェルになってしまうだろうに。それにしても、いろんなものがテーブルから落ちましたね。
 傷害の容疑で連行されたハルに面会するなり、

「仕方がない」by兵頭(佐藤浩市)

とは、見せ場のない役柄にさすがの佐藤浩市もお手上げ状態?!

「プライドをなくした、ただのゴミだ」by兵頭

の台詞も『牡丹と薔薇』の小沢真珠が言うんだったら様になってたかも。(麻生結一)


第8回(3/1放送)

 ハル(木村拓哉)は自分の部屋のスペアキーを渡すことなく、夏川啓介(谷原章介)に亜樹(竹内結子)をかっさらわれる。ゲームオーバーにつき催されたハル(木村拓哉)と亜樹(竹内結子)との恋愛を振り返る古きよき同士、亜樹&大和(坂口憲二)のコインランドリーでクルクルになるトークにこそ、この第8回のエキスはあったか。

「どこでどう決心したか、とてもあいまいなの」by亜樹

「そんないい加減な」by大和

もしかして、大和が初めて本当のことを言った?!

「種類が違うの。カレとハルは」by亜樹

そんなことは、亜樹に言われなくても一目瞭然でしょ。

「一緒にいるとね、めまいがしそうなくらいドキドキするの」by亜樹

もう勝手にやってください。
 大和が実は貧乏人であることに気がついた百合(中越典子)の態度は、亜樹にもまして嫌味。

「人を金の亡者みたいに言わないでよ」by百合

誰が見ても金の亡者だけど。

「とんだ皇子様ね。こんな部屋がお家だなんて」by百合

やっぱり金の亡者だ。
 氷の女神なるホッケー選手にとっての極点を見せるために、ライバルチーム・グリーンモンスターの玲志(山下徹大)に情報を売る兵頭(佐藤浩市)も完全に間違ってる。百合のことで玲志ともみ合った大和は、劇的にエレベーター落ち。階段落ちはお手の物の野島伸司脚本作としては、ちょっぴりだけ変化をつけてきたと言うことなのね。
 ハルと亜樹の関係に関して事情調査にやってきた夏川に、

「過ちはなかった。真実しかなかった」

と言い放つハルが今話では一番まともだったかも。(麻生結一)


第7回(2/23放送)

 2年間も音信普通だった男がいきなり会社に電話してくるような世界観についていくだけでも必死です。

「だって僕は夏、君は秋、離れていても季節は繋がっている」by夏川(谷原章介)

なるほど、ボキャブラリーの質、もしくは臭さがハル(木村拓哉)と同質なわけね。亜樹(竹内結子)はこういうタイプが好きなんだ。

「フランス人みたいに、ダラダラ食べます」byハル

なんて軽口をたたくような感じ。思わぬところに、このドラマ唯一の一貫性があったということで。
 どうやら園田冴子(滝沢沙織)は、兵頭(佐藤浩市)のために手編みのセーターを編んでるらしいですよ。いっそ、そっち方面で1話作ってほしい気分。(麻生結一)


第6回(2/16放送)
☆★
 乳離れできてない子供だったことを自らカミングアウトするハル(木村拓哉)の母親・千恵子役は、先々週の黒蜥蜴(『乱歩R』)、松坂慶子だった。その美しすぎる親子のツーショットは、このドラマにとってのこれまででもっとも正しい判断だったのでは。

「幼稚園児だったんですよ、ハルさん」by大和(坂口憲二)

古きよき時代の男がハルの核心に触れる。だったらタイトルは、『プライド幼稚園物語』ぐらいがふさわしい?! 局の垣根を越えて、『よい子の味方2』でもいいんだけど。
 幼稚園以来の再会というブランクも感じさせず、まるで恋人同士のように振舞うハルと千恵子。しかしこの母親がハルに会いにきた本当の目的はお金の無心だった。亜樹(竹内結子)はハルをガッカリさせないため(?!)、代わりに200万円を千恵子に支払う。24歳のOLとは思えないほどのお金持ちぶりはどうしたことでしょう。実は、『ブルースコーピオンズ』のオーナーの娘だったりする?! ちなみに、ホッケーのシステムについて語るライバルチーム、グリーンモンスターのセンターをつとめる山本(山下徹大)はオーナーの息子らしく、いかにも悪人顔だった。
 千恵子の男がホームに迎えに来てるって、もしかしてわざわざ仙台から?お金がないんだったら、その電車賃こそ節約すべきでは。そして「あきれるほどにいい女」亜樹は、ハルの母になる?! 亜樹の帰らぬ彼氏は夏川啓介(谷原章介)って、春夏秋冬出揃えさせるつもり?(麻生結一)


第5回(2/9放送)
☆★
 鍋を囲んでの恋愛ゲーム話から、いつものようにいやな予感が。兵頭(佐藤浩市)が親友=安西(時任三郎)にも、恋人=容子(石田ゆり子)にも裏切られた経緯を聞くにつけ、

「なんか大人って複雑なんですね」byハル(木村拓哉)

って、都合のいいときだけ子供になるんかい。ついこの間の

「いまどきのガキはどうかしんないけど」byハル

発言も今は昔か。誰かを待ってる女が気になるのか、って、兵頭も随分と察しがいいね。
 メインストーリーは大和(坂口憲二)がアイスホッケーを始めた事情とそれにまつわるトラウマについてだが、キャラクターとしてトラウマを抱えてるという伏線があまりにも薄いため、すべてが唐突に感じられた。今話ではちょっぴり趣向を変えて、いつもは亜樹(竹内結子)にハルの悲しい過去をベラベラとしゃべる大和が当事者になり、いつもはやられっぱなしのハルが秘密をばらす古きよき時代の男に。それとも、高校1年の時バイク便のバイトで事故を起こし、その被害者が死んでしまったことを第5話までおくびにも出さなかった大和こそが真の古きよき時代の男?!
 大和(坂口憲二)が百合(中越典子)に別れ話をした場面を完全オミットしたのはなぜ? 暗くなるまでだから、どれだけ走ったことだろう。事故現場まで導くトレーニングを装ったランニングによるショック療法によって、大和はトラウマを克服。ハルの魂胆は見事にはまったか、メンバー全員でのバスのお出迎え付き。こういうの、好きだよなぁ。疑問なのは、バスが事故現場に近づいただけでも震えが止まらなかった大和が、ランニングの際にはその場所についてからようやく事故現場に気が付いた点。
 野次りの親父であり、大和の事故で死んでしまった子供の父親役で風間杜夫が登場。その妻役の山口美也子は、第2の古きよき時代の女を襲名する。ここに、「メイビー」のきめ台詞が、ファンの間でも認知されていることが判明いたしました。料理より片付けより、人をけなす方が得意な百合に惚れなおす大和に?亡くなった息子に渡せなかったケガを避けために作ったお守りを、ハルが大和に手渡す場面はいい。ただ、いまだにアイスホッケーがいかに面白いスポーツであるかはまったく伝わってこない。『エースをねらえ!』のつめの垢でも煎じて飲ませたい気分。第1回にも書いたが、クィーンの『ボーン・トゥ・ラブ・ユー』もアレンジがくどくてカッコ悪い。どうしてフレディ・マーキュリーのオリジナルではいけなかったのか?クィーンのCDが売れてるのは悪いことじゃないけれど。(麻生結一)


第4回(2/2放送)

 今クールは迷ドラマの花盛りなれど、そんな中でも頭ひとつ抜け出しつつあるドラマがこれ(決してほめてはいない)。ハル(木村拓哉)を取材したテレビ番組が放送されれば、いっそうハルの人気は沸騰するものと思ったのもつかの間、数人の女性が近づいていきなり頬を張られてしまう。どうやら、女性たちの友達・真理子(水川あさみ)をハルが妊娠させたらしいのだが、当のハルには覚えがない。実は、ハルの名前を語った友則(市川染五郎)こそが真里子と問題を起こした張本人だった。真里子に会いに行く友則に、ハルは快く付き合うことに。そんなハルの態度に、引退後に友則の父親が経営している会社に入れてもらうためにすり寄ってるだけだと大和(坂口憲二)は食ってかかる。友則が歌う、

「私のためにあらそわないで。もうこれ以上」

って、河合奈保子でしたっけ。

「それは大和さんの言ってる方が正しいと思うわ(中略)引退後の就職なんて、そんなこと考えてるとしたら最低だわ」by亜樹(竹内結子)

何たる現実認識の欠如かな。まぁ、こんな調子で2年以上も元カレを待ち続けてるんでしょうね。少なくとも、引退後の就職を考えていない方がやばいはず。何はともあれ、大和→亜樹の古きよき暴露コンビは、今回も健在だったということで。
 ハルは容子(石田ゆり子)の操を守り抜くため、毎月の経済支援を約束、ってその古き悪しき独断ぶりがあまりに気持ち悪い。どうやら、容子と兵頭(佐藤浩市)は、かつてつき合ってたみたい。容子をめぐってにらみあうハルと兵頭なれど、同じ土俵で戦っていないだけにむなしさのみが残る。
 ハルは、心のキャンパスが白い感じの亜樹が好きらしい。でも、安い絵の具だけは使ってくれるなと忠告。

「ハルと亜樹、どっちが偉いんですかね?」

とは何たる愚問。

「私かテニス、どちらかひとつを選びなさい。よくって」(『エースをねらえ』より)

ぐらい突き抜けてもらわないと。ハルは亜樹に友則が二号の息子で、戸籍上も認知されておらず、その昔はグレて族に入っていたことを暴露。このドラマにはプライバシーってものがないの?! ちなみに、ハルと友則は、殴り合って理解し合ったらしい。これ名づけて、男同士の不思議。

「いまどきのガキはどうかしんないけど」byハル

いまどきのガキこそがそうするのかと思ったよ。あれ、ハルってガキでしょ?!ハルが言うところの本物のアイスマン、友則はビルの屋上から1万円札をばら撒く。

「なんかちょっといいな。古きよき時代の男って感じで」by亜樹

ここまで意味が消滅してくると、こんな台詞はこんな台詞でちょっと楽しいかも。それとも『スカイハイ』第2話並に、出演者は脚本を投げつけているのだろうか。
 フェイスオフでは、友則に関するしゃべり場状態に。

「俺たち、友さんのことどう思ってたんだろう?」by大和

この場に比べては、しゃべり場の面々にあまりに失礼。ここでのディスカッションは小学生以下。
 敵陣に乗り込んでいったハルたち。実は妊娠していなかった真理子の頬を亜樹が張るまではよかったけど、

「気持ち悪い!合コン合コンって気持ち悪い」by亜樹

とは論点がかなりずれちゃってますね。亜樹が張り倒されたことでハルが激怒。

「学生さんたちさ、この国から消えていなくなれ」byハル

そんなことになったら、日本存亡の危機でしょ。ここに「学生さんたち」v.s.「社会人」の殴り合いのケンカが実現。それにしてもこの古きよきドラマ、アイスホッケーの練習しませんねぇ。

「何なの?そんなんで今日の試合勝てると思ってるの?」by冴子(滝沢沙織)

もはや、正しいことを言ってくれるのはマネージャーの園田冴子だけか。しかも誰も聞いてないし。(麻生結一)


第3回(1/26放送)
☆☆
 コーチの兵頭(佐藤浩市)は、チームの再編成のために3名の選手に退部を勧告する。マネージャーの園田冴子(滝沢沙織)が読み上げた名前の中には真琴(佐藤隆太)も含まれていた。大和(坂口憲二)や友則(市川染五郎)はその決定に反論するも、ハル(木村拓哉)はむしろ兵頭の意見に賛成だと表明。友則たちから真琴を辞めさせないようにと迫られると、ハルはいきなり真琴に殴りかかり、どっちが怖いのかと詰め寄る。ケガをして以来、真琴は試合でファイトすることを恐れており、それを見抜いていたのがハルと兵頭だけだったのだ。兵頭は、真琴がワンアシストでも決めることが出来たら、チームに残れるように計らうと約束する。試合は残すところあとわずか。真琴の倒れ込みながらパスに、ハルが見事にシュートを決め、ついに真琴のアシストは成立した。
 古きよき時代の男、大和は今度はハルの高校時代の秘密をベラベラとしゃべってしまう。ハルは高校時代にもつらい目にあってたんですね。合宿で救急車で運ばれる奴が出て、夜中に1人で練習って、それじゃ退部も止むを得まいに。ただ、尋常じゃないトレーニングなるものは、いっさい描かれず。もしかして、あの筋トレがそのトレーニングだなんていわないでしょうね。どちらにしても、かばってくれる仲間たちに対して、ハルの自主トレのすごさを盾に反論する真琴には???
 早くも2つ目の秘密ばらしをへて、大和がこのドラマ中で亜樹だけを対象としたハルの専属スポークスマンであるという位置づけがはっきりした。真琴に暴力をふるって店を飛び出すハルのあとを追った亜樹に、

「ありがとう。ハルさんのこと追いかけてくれて」

って、これはちょっと気持ちが悪いか。そんな古きよき時代の男の誠実を見込んで、百合(中越典子)の価値観を変えてくれるように頼む亜樹。

「嘘ついたままでいいと思う」by亜樹

この2人による共同戦線は、いったんは頓挫しかけるも必ずやうまくいくでしょう。
 ハルの悪童ぶりはもはや誰にもとめられない。一番を目指さないヌルい奴らを全否定するくだりなど、共感に程遠いキャラクターをあえて目指しているとしか思えないも、橋の上で声を変えて元カレになりすまし呼びかけたときにまじリアクションだった亜樹には、間髪いれず謝ったりもする。一言で言ってしまえば、『はみ出しアイスホッケー選手 純情系』といった感じか。
 真琴のアシストが記録された一連のプレーにおいての時間のゆがみ具合は『キャプテン翼』級。『エースをねらえ!』があまりにもリアルに思えてくる。真琴がハルからパックを手渡されるラストが青春してるのは別にいいんだけど、恋愛ゲームなるボキャブラリーはもはや死語だろうよ。(麻生結一)


第2回(1/19放送)
☆★
 野島伸司と木村拓哉のご両人は、その言語世界においては近しい関係にあるのかもしれない。その“古きよき時代”(=おそらく1990年代)には可能だったかもしれない台詞群は、木村拓哉の力をしても救いきれないことしばしばだけれども。
 ハル(木村拓哉)と亜樹(竹内結子)が交わしたかりそめの恋じみたゲームみたいな契約論議に関しては、

「面白くない。別に」by亜樹(竹内結子)

との感想がもっとも的を得ているか。そのくせ、今は亡き安西(時任三郎)を盲目的に慕うばかりに、容子(石田ゆり子)には操を守ることを強要するって、そんなわがままな。
 ハルの精神がガキレベルである理由は、テレビの尋ね人番組でに出て、若い男と一緒に蒸発してしまった母親に画面を通じて呼びかけた小学生のころの苦い思い出の説明で語りつくしたつもり?! ハルは古きよき時代の男、大和(坂口憲二)にだったら何でも話すらしい。古きよき時代の男とは、人の秘密をベラベラとしゃべる男のことみたいですよ。

「お前、余計なことしゃべりすぎだぞ」byハル

って自覚はあったか。

「勝負しろよ」byハル、もしくは大和

って、確かにこりゃ、古きよき時代以外の何ものでもないわ。まぁ、腕相撲で解決するんだったら、害はないんだけど。
 ハルの独善ぶりがエスカレートすればするほど、亜樹の言動も意味不明になっていく。この二人の関係性に、久々に“The 比較級 + 比較級”の構文を思い出してしまったよ。『ひまわり』『ブーべの恋人』『哀愁』の待つ女たちに同化してか、膝を負傷した大和を心配する素振りなど微塵も見せず、待ってる自分がかわいい論をぶつ亜樹って、どう見てもおバカさん。

「何言ってるのかよく……」by大和

まったくだ。名選手は視野が広いとは言うけれど、リンク上で競り合ってるところで、観客席に飛び込んできた亜樹が見ててくれることを確認してゴールするハルには、思わず爆笑してしまった。
 再放送されている『愛という名のもとに』という『セント・エルモス・ファイア』の焼き直しのようなドラマを見ると、12年前にはベタなりに元ねたを超えようとしていた試みは確認できるだけに、今作などを見るとその時の流れに無常を感じずにはいられない(大体、元ねた自体も大したことなかったんだけど)。(麻生結一)


第1回(1/12放送)
☆☆★
 アイスホッケーのスポ魂ぶりと恋の行方のどちらに重きがあるのかと見始めたが、どちらもアメリカンだったというのが第1回目の印象。恋愛はゲームとクールに割り切るも、いざアイスホッケーの試合となると、ゴールに向かって猛進する熱いハートの持ち主、ハル(木村拓哉)は自他共に認めるいい男(他はもちろんだが、自もかなりのもの)。実業団チームのメンバー、大和(坂口憲二)、友則(市川染五郎)、真琴(佐藤隆太)たちとバーでナンパを試みて、本社のOL・亜樹(竹内結子)と知り合う。
 2年前に海外に渡った設計士の元カレを待ち続けている古きよき時代の女に一目惚れするのはいいとしても、ケンカに見せかけて気を引こうとするとは、また前時代的な手法を。『ポーキーズ』みたなおバカ系青春映画とかに出てくるようなノリに思わず唖然とする(あくまでもイメージで、『ポーキーズ』に本当にそういうシーンがあったかどうかは定かではない)。

「何かよく意味が?」by亜樹

見てるほうも、随所によく意味がわかりませんでした。乱闘から一人離れて、という男の美学までは了解するも、亜樹に対して

「なれなれしいんだよ」

と言って突然切れるって、どういうわけ?なれなれしいのは、むしろハルのほうだったのでは?初デートにスケートリンクで女の子を抱きかかえるほどのなれなれしさがあろうか(“か”は反語の“か”)。その反動を味あわせる、これも恋愛ゲームの1つだったりする? 雨にぬれてすごい熱って、こういうエピソード は21世紀にも存在しうるものなのね。絶滅寸前であることは、間違いないけれども。

「バッテリー充電させてくれる女」byハル

は褒め言葉?かりそめの恋をいい条件ととる亜樹は、古きよき時代の女というよりも、単なる都合のいい女なのでは?
 ハルの恩師、安西(時任三郎)はドラマ的に大した感慨を残す間もなくアウト。あの設定だと、死ぬべくして死んでしまったといった感じなれど、せっかくの時任三郎だっただけに、もったいない気がした。日本らしからぬ墓苑のロングショットを見るなり、これがやりたかったんだろうなとは思ったけど。
 百合(中越典子)のお母さんはお金のことでとても苦労したらしく、だから百合はお金持ちの男にしか興味がないとは、またわかりやすい設定だこと。だからって、友達の携帯で勝手にメール出したりしちゃダメでしょ。こういうキャラクターは、たぶんに自分の本意ではない相手とくっつくというのがパターン。あまりにも見事なパターン通り、大和を演じる坂口憲司のキャラクターを考えると、ハルと大和は敵チームのライバル同士の設定の方がよかった気がするのだが。『愛するために愛されたい』の主人公も、視聴率男の前では脇の脇に追いやられてしまうのか。「橋の上で会いましょう」という約束を癖にさせてしまうほどの亜樹の元カレも、いずれ出てくるんでしょうね。
 何はともあれ、木村拓哉は一挙手一投足のすべてがとことんカッコよく、竹内結子はひたすらにかわいかったということで、美男美女の恋愛ドラマだと割り切ってみれば、それなりに楽しめるのでは。それにしても、竹内結子はドラマの共演者でジャニーズ勢総なめですね。
 個人的な趣味もあるけど、クィーン・バージョンの「ボーン・トゥ・ラブ・ユー」には違和感がある。遅いし重いし、アレンジくどいし。(麻生結一)




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