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昨日の友は今日の敵? (NHK総合月曜21:15〜21:58)
月曜ドラマシリーズ
制作・著作/NHK
制作統括/古川法一郎
作/相良敦子
演出/磯智明(1、2、5)、高橋練(3、4、6)
音楽/吉俣良
語り(ブラウニー)/犬山イヌコ
出演/日高あや子…浅野温子、日高聡…加藤雅也、日高保彦…生田斗真、日高ゆうか…渋谷飛鳥、日高洋介…須賀健太、島田淳…苅谷俊介、羽田麗子…こだま愛、今野…パパイヤ鈴木、佐藤…ガダルカナル・タカ、開発部長…佐戸井けん太、鈴木幸代…内田春菊、久保田…濱田マリ、安藤…光浦靖子、カメラマン倉田…杉作J太郎、栗原…デーブ大久保、オーナー…大森うたえもん、噺家…林家彦いち、将棋の老人…桜井センリ、教員…皆川猿時、野川しげ…加茂さくら、野川光太郎…田中健、田中美里、野口健、山田信也…井上順、野川幹夫…愛川欽也、日高早苗…草笛光子
ほか

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最終回「涙のにんじんケーキ」(2/9放送)
☆☆
 麗子先生(こだま愛)が光太郎(田中健)との結婚に許しを請うべくそばを打ってみせたのは、幹夫(愛川欽也)がしげ(加茂さくら)の両親を説得したときと同じ方法だった。さすがはお菓子の権威だけあって、そばを打つ手にも余裕が感じられたりして。
 「恋人に想いを伝える」ケーキコンテストで、あや子(浅野温子)は家族のためにケーキを作るも、洋介(須賀健太)に食べられて応募に間に合わず。それでも、早苗(草笛光子)がレシピをこっそりと送っておいた「Cuore」のコンペでアイディア賞を受賞することで救われる。結局、あや子、ゆうか(渋谷飛鳥)、そして洋介は聡(加藤雅也)と一緒に高知で暮らすコトを選択し、早苗と保彦(生田斗真)は東京に残ることに。さらには光太郎と麗子も日高家に転がって、一マスも余すことなくパズルが完成。引越しそばならぬ引越しケーキが出てくるあたりもこのドラマらしい。そばとケーキが一緒に出てくれば、もっとらしかったんだけど。
 ドラマを見通して目立っていたのは、何といっても草笛光子扮する早苗。常なる挑戦を忘れないその生き方がカッコよかったです。(麻生結一)


第5回「泣きたい夜」(2/2放送)
☆☆★
 光太郎(田中健)と麗子先生(こだま愛)はもう結婚?公園のボートに乗った程度の付き合いだったはずでは?麗子先生が言っていた落ちこぼれとは、自分自身だったことを知るあや子(浅野温子)はもう少し驚いてもよさそうなものだけれど。
 夫婦で店を切り盛りしてほしいと願うしげ(加茂さくら)は、光太郎の結婚に反対して家出。早苗(草笛光子)と意気投合して日高家に泊まるも、夫の幹夫(愛川欽也)が迎えに来て仲むつまじく帰っていきました。めでたしめでたし。
 遺跡の発掘をしている島田役の苅谷俊介さんは、本当にその道のプロらしいですよ。まさに社会的な名刺を失い、自身の無力をかみ締める早苗(草笛光子)がビグナーズラックで土器のお腹の部分を掘り出す場面が心に残る。発掘現場に家族が集結するエンディングには、このドラマらしいほのぼの調が集約されていた感じ。『ちょっと待って、神様』には劣るけど、このドラマも主婦への応援歌のようで見ていて清々しい。(麻生結一)


第4回「家族バラバラ」(1/26放送)
☆☆
 副題は「家族バラバラ」だけど、それほどバラバラになることもなく嫁姑戦争はあっけなく終結。お互いがお互いを思いやる物分かりのよさは驚くべきほどで、逆に何かあるんじゃないかと思ってしまったほど。
 それぞれの本音をぶつけ合ったあや子(浅野温子)と早苗(草笛光子)の関係は、その翌日からいっそうギクシャクし始める。そんなおりに、聡(加藤雅也)は高知への転勤話を切り出す。聡は家族全員で高知に行くことを提案するが、パティシエの勉強をあきらめられないあや子や子供たちは大反対。すると、早苗が聡について行くと言い出す。聡は家族の事情と定年したばかりの早苗のことを考え、一人で単身赴任することを決意する。
 早苗の食事中にあや子が掃除機をかけたり、早苗が留守番を放棄して旅行に出かけたりと、いい感じで嫌がらせあいが本格化してきたと思った瞬間に仲直りとは、あまりにも拍子抜け。濱田マリは『乱歩R』で焼死しちゃったかと思ったら、『そして、突然、嵐のように』ではキャリアウーマン、そしてここでは80'sディスコでフィーバーする専業主婦役と、あまりにも対照的な役柄をこなしてますね。(麻生結一)


第3回「あなたは家族じゃない」(1/19放送)
☆☆★
 ついに嫁姑戦争勃発も、その定番を少しずらした感じがなかなか面白い。家事にも慣れてきた早苗(草笛光子)は、キッチン用具の配置やソファーのカバーなども自分の好みに変更中。パティシエを目指すあや子(浅野温子)はお店を持つ夢を打ち明けるも、先生(こだま愛)からその道の厳しさを説かれていっそうに奮起。ただ、その腕前は同じ教室の若者たちのようにはなかなか上達せず。早苗は山田(井上順)から雑誌のアドバイザーとして戻ってきてほしいと口説かれるも、きっぱりと断りあや子の夢を応援することを宣言する。ところが、プロのスケートボーダーになりたいという保彦(生田斗真)の進路をめぐって、早苗とあや子はついに対立することに。 早苗のはりきりこそが、あや子の最大のストレスになるとは。さすがは元名物編集長、キッチンの片づけなども慣れてしまうと手際は抜群。できる人は、何をやらせても見事なものですからね。雑誌の世界が持ち込まれ、自分が否定されてる気分とはなるほど。パティシエの道は甘いものを作ってるのに甘くないとは言い得て妙。
 退職から1ヶ月、家のことをがんばってきたのに家族じゃないとまで言われちゃ黙っていられない早苗と、家事とはそれほど甘いものじゃないとようやく言えたあや子の、待ってましたとばかりの売り言葉に買い言葉が披露され、ようやっとタイトル通りの展開になってきた。井上順はこのドラマでも『それは、突然、嵐のように』でも、似たようなダンディな初老役。早苗が最後に手がけた雑誌1月号の表紙は、そういえば田中美里さんでしたね。(麻生結一)


第2回「お姑さんを躾けます」(1/12放送)
☆☆★
 嫁・あや子(浅野温子)による姑・早苗(草笛光子)の家事教育編。早苗の家事は、相変わらずの失敗続き。パティシエ修行に教室に通い始めるも、あや子はそのことが気が気でならない。落ち込む早苗は編集長をつとめていた出版社を訪れるも、雑誌はすでにそれまでのカラーを一新する方向で動き出していた。それでもめげない早苗は、あや子に本格的に家事的弟子入りし、楽しみながら家事をする方法を見つける。
 勘が戻るまでって、朝から家族分以上の目玉焼きを焼いちゃう姑にも困りもの。オートロックがかかった洗濯機のドアを無理やり開けようとする姿も危なっかしい。確かに昔の電化製品はたたけば直ったものだけれど、今の電化製品はたたくとホントに壊れますからね。何はともあれ、やってもやってもわいてくるのが家事というもの。
 脇筋に蕎麦屋が出てきたりすると、『必要のない人』なる苦々しいドラマを思い出さずにはいられないが、このドラマに蕎麦屋の存在が必要なのかどうかは、今のところ大いに疑問。(麻生結一)


第1回「嫁姑にご用心」(1/5放送)
☆☆★
 2000年に放送された『昨日の敵は今日の友』の裏返しのタイトルに大いに不安になったが、人物の説明に大半を費やした第1回はとりあえず快適に見通せてホッとした。まるで夜に昼ドラを見ているかのような嫁姑の問題に行き着くことは予想がつくも(前作の『夢みる葡萄』は夜見る朝ドラだったことを考えると、この枠はテイストをずらす方向で一貫してる?!)、姑の設定がバリバリのキャリアウーマンの定年退職後というあたりがちょっと新味。
 あや子(浅野温子)は夫の聡(加藤雅也)と3人の子供、そして女性誌の編集長として働いている義母の早苗(草笛光子)と暮らす専業主婦。ついに定年退職する早苗に家事を手伝ってもらい、あや子は長年の夢だったパティシエになるための専門学校に通うことを考えていたのだが、早苗はまったく家事がダメで、あや子はこれからの日々に不安を感じずにはいられない。
 浅野温子が登場すると反射的に、“共犯者”の登場を期待してしまうのだが、今回はほのぼの演技に徹する模様。ただ、第1回目の見せ場は、草笛光子の方が上で、名物編集長ぶりがはつらつとしていてカッコよかった。ただ、ビックリ定年パーティ前のちょっぴりな祝福って、あの中途半端は何だったんだろう? 40年間の疲れがたまって丸2日寝続ける設定は、あの歳でそれだけ続けて寝られたら、生命の安否の方が気がかりにならないのかな。運送屋があんな中途半端な場所に荷物を置き去りにするだろうか?『マンハッタンラブストーリー』の船越英一郎よろしく、田中美里は本人役(?!)で登場。(麻生結一)




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