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牡丹と薔薇 | (フジテレビ系月〜金曜13:30〜14:00) |
制作/東海テレビ放送、ビデオフォーカス 企画/鶴啓二郎 プロデューサー/西本淳一、大久保直実 脚本/中島丈博 演出/西本淳一、油谷誠至、皆川智之、藤木靖之 音楽/中川幸太郎 主題歌/『涙のアリア』岡本知高 劇中歌/『牡丹と薔薇』中村彰一 出演/野島(三上)ぼたん…大河内奈々子、清原(野島)香世…小沢真珠、三上(上村)鏡子…川上麻衣子、野島(是沢)豊樹…神保悟志、野島富貴子…北原佐和子、野島泰造…佐藤仁哉、野島冬子…一柳みる、三上和人…萬雅之、三上友重…吉満涼太、葵笛子…竹井みどり、柏木雅也…白川裕二郎、三上ぼたん(少女時代)…田島穂奈美、野島香世(少女時代)…安谷屋なぎさ、春山幹介、野島麗香…小池彩夢、牧賢太郎…井田國彦、内浦純一、永住千夏、さくらきよこ、草薙良一、木下浩之、沼崎悠、中根徹、ナレーション…磯辺万沙子、浅間象造…峰岸徹、内田美晴…新藤恵美、清原由岐雄…西村和彦ほか >>公式サイト |
第12週(3/22〜3/26放送) ☆☆☆ 仰天(主に爆笑)させられっぱなしだった破天荒ドラマの最終週に、ここまでの恐ろしい結末が待ち受けていようとは。香世(小沢真珠)は麗香(小池彩夢)を人質にして、ぼたん(大河内奈々子)と徹底抗戦の構え。ぼたんと通じている由岐雄(西村和彦)が仕事から帰ってきて麗香を抱きかかえても、香世は思いっきり由岐雄を突き飛ばし、麗香には 「席にもどれ!」 と命令。その日の夕飯はサーロインステーキ、と思いきや、狂牛病が心配だからと3000円の値札がついたままのよく焼いた財布がお皿に。これこそが『牡丹と薔薇』版の“たわしコロッケ”だったか。コショウを差し出すのに 「ホイ」 って、それはちょっとやりすぎでしょうよ。 三つ編みをしてあげながら、中学生時代にぼたんに絶交を言い渡された怨みつらみをぶつける香世の何たる執念深いことか。由岐雄は香世の寝込みを襲うも、麗香の足には赤い糸が。一人で逃げようと麗香が香世の財布からお金を盗むと、よりによってそれは香世が大事にしていた2000円札だった! 「泥棒すると警察に引っ張られるのよ」 って、あなたこそが泥棒の常習犯でしょ。かと思えば、いのしし野郎にもらった薔薇のペンダントを麗香にプレゼント。 「麗香がどんなに憎くても、殺さないでね」by麗香 の懇願に、 「そのときはおばちゃまも死ぬわよ」by香世 って、結局殺すのか?! 麗香を連れ戻すために忍び込んだ和人(萬雅之)を見つけた香世は開口一番、 「てめぇ、どっから入ってきやがった!」 って、もはや時代劇。金属バットで殴られて、和人はあえなく退散。ついに乗り込んできたぼたんの第一声、 「謝りたいとは思ってるのよ」byぼたん の「とは」が気にくわない香世は、麗香をシーツに袋詰めにして隠すも、そこから脱出。ぼたんと香世は、麗香の腕をつかんで取り合いするも、ぼたんの方が先に放す。これぞ実の母の証明とブレヒトの『コーカサスの白墨の輪』を引用するも、ここはあっさりと流したか。続けざまに、麗香は外出中の香世に足をつながれて、おしっこがしたいと泣き叫ぶ。 ついには由岐雄と香世が壮絶な殴り合いを演じることに。由岐雄は香世を殴りつけるも、そのたびにゾンビのように復活。しかし、香世は由岐雄に突き飛ばされた拍子に目をぶつけてしまい、外傷性網膜剥離になってしまう。 一大決心したぼたんは香世とワインを飲み交わし、和解した矢先に包丁で香世に襲いかかる。最初は逃げ惑う香世も、ぼたんに殺されるのなら本望とむしろ殺してと懇願するが、いきなりに今度はぼたんが気絶。救急車で運ばれた後だというのに、床に突き刺さったままの包丁をなめて美晴(新藤恵美)と麗香のツーショットって、まったく狙いすぎなんだから。 あまりにも唐突に腎不全で半年の命と宣告されてしまうぼたんの病室には、 “野島真世” の文字。戸籍上は名前が戻ってたんですかね。何を根拠か、ぼたんが死期を悟ったと思ったら、今度は香世がぼたんへの腎臓移植を買って出ることに。 「不思議な人だな。麗香をいじめていたかと思うと、一転して献身の権化のようになってしまうのだから。やっぱり深いんだな」by和人 って、ちょっと深すぎるにも度を越してます。 もしかしたら、香世にとって生まれて初めてぼたんに役立つことができるチャンス?! 「私の体の中に香世の腎臓が入って、そして私たちは一体になるのね。とうとう一つに」byぼたん 麗香がぼたんの手術の成功を祈っていると、牡丹と薔薇の絵が落下。不吉な予感と思いきや、手術は無事に成功。代償として、香世は手当てが遅れて失明することに。 自分が殴ったせいだと自らを責める由岐雄は、目をつぶって香世の苦しみを体験し、あちこちのものにぶつかる!カテーテルをとって出てきたおしっこは「きれいな清水の透き通ったおしっこ」だったというぼたんの手紙に、満面の笑みを浮かべて、 「おしっこが!」 とリアクションする香世が恐ろしい。 ぼたんと香世の姉妹愛が恋敵たちにも伝染したか、象造(峰岸徹)と由岐雄は男同士で麗香に関する密約をする。 「今度のことで魂が浄化されたような気がします」by由岐雄 様々な邪念が取り払われ、純粋なピュアな自分を取り戻した由岐雄は象造と涙ながらに手を取り合うって、そんなバカな。 目が見えなくなった香世は、ぼたんを心配させまいと目が見える迫真の演技を披露するも、いつまでもだましとおせるはずもなく。ぼたんの退院祝いは、象造、由岐雄、和人に美晴まで出揃って、机にはお寿司の出前がズラリと並ぶも、ついに香世が失明したことがぼたんにわかってしまう。香世の面倒を一生みるという由岐雄を突き飛ばして、 「目が見える以上に香世を幸せにしてみせるわ」byぼたん と絶叫するぼたんはもはや尋常とはかけ離れた存在に。 それから半年。ぼたんと香世は空気のきれいな信州の別荘に滞在。すると象造から5人で住む仰天プランが持ち上がり、由岐雄がいさんでぼたんと香世を迎えに行くと、な・な・なんとぼたんまでもが目が見えなくなっていた! 「私たちは今、本当に幸せなのよ」 というぼたんと香世の恍惚とした表情が濃厚にして悪夢的。ママ(北原佐和子)からパパ(神保悟志)にプレゼントされたネクタイとタイピンを送られる由岐雄も、そりゃ腰抜かすわな。あのタイピンは巡り巡って由岐雄の手に。何たる因縁か。 「香世の腎臓をぼたんの体に移植して、もう心も体も同じじゃなきゃすまなくなったんだわ」by美晴 って、相変わらず美晴はザックリと片付けるね。もしかすると、ぼたんは針で自ら目をついて……。「奪いつくし、与えつくし、最後にはとうとう命と命、魂と魂が深く交じり合って」、盲目になった2人が夕焼けにたたずむ場面の美しさがあまりにも恐ろしい。ギリシア悲劇も真っ青といった感じ。 もっとも印象深いのは前半戦の川上麻衣子による怪演だけれども、小沢真珠の七転八倒ぶりも爽快でさえありました。(麻生結一) 第11週(3/15〜3/19放送) ☆☆ 香世(小沢真珠)がナイフを振りかざして麗香(小池彩夢)にケガを負わせたおかげで(?!)、その血液型から麗香が由岐雄(西村和彦)とぼたん(大河内奈々子)の子供であるという事実が白日の下にさらされる。象造(峰岸徹)はまさに「ホトトギスのひなを育てているウグイス」だったわけか。即、呼び名を「パパ」から「おじいちゃん」に変更するあたりの早業ぶりは、さすがに名をなした企業家ならでは?! 香世は長年にわたって嘘をついていた由岐雄をなじるにも、 「本当に見事だわ。手品よりもすごいわ。まるで名人芸よ」by香世 とその嘘つきぶりをむしろ賞賛?! 「ちゃんと子種を仕込んでたんじゃないの。種馬の役割を果たしてたんじゃないの」by香世 と言い放って股間を鷲づかみにする香世の迷いのない潔さがすごい。痛みに耐えかねる由岐雄。次の瞬間には出刃包丁を持ち出し、麗香を刺し殺すといったかと思ったら、今度は由岐雄に殺してくれと頼むあたりは、相変わらず支離滅裂に激しいですねぇ。 ちゃっかりと子種を仕込んでいたことを責め立てる香世に対して、ぼたんはさらなる驚愕の言い訳をする。 「由岐雄さんとはあなたが結婚する前に一度っきりと、ここ2ヶ月ほどのことなのよ」byぼたん 全然言い訳になってないよ。 「好きなだけくっつきあってなさい。粘着テープみたいに」by香世 今回ばかりは香世の方が正しいかと思いきや、麗香のベットにうさぎのぬいぐるみを磔の刑に処すは、パリのプレタポルテに28万円払っといて、スプレーをふきかけて台無しにしてしまうはの大爆発で、その暴走機関車ぶりは誰にもとめられない。やはり、この人が正しいことをするはずがないと改めて実感する。 最後の別れにと麗香と添い寝する由岐雄。ぼたんも麗香と引き離されるぐらいなら、由岐雄と別れた方がマシだと思ったわけも、同じ屋根の下にぼたんの不倫相手がいることで、象造はむしろ大興奮! 油断も隙もありゃしないのがこのドラマの身上とばかりに、今度は香世が象造にそそのかされて麗香を強奪。 「まるでニンフのような麗香と、包み込むような愛情で接しているジュピターのような由岐雄。神話の中のワンシーンみたい」by香世 こんな土壇場で突然文学的になるあたり、やはり香世は並じゃない。意外にも教養レヴェルは高そうですね。こと、子供のこととなるとぼたんだって黙ってはいない。 「まかしとけない。まして香世なんかに」byぼたん 今まで気がつかなかった方がどうにかしてるとも思えるけど。確かに麗香は、わがままさも感情が激しいところもすべてがぼたんよりも香世似であることは認めるところ。ついに、ぼたんと香世のブロークン・シスターズは子供までをも共有し始めるというのか。 香世は麗香のちょっとした手のかすり傷にも気遣うやさしさの大安売り状態。ちょっと前にはナイフで刺したくせに。まぁ、そんなブロークン・シスターズも、美晴おばあちゃん(新藤恵美)の突拍子もなさに比べればまだまだでしょうね。 「ねたましいのね、あなた。もっと広々とした気持ちで愛する妹に子供を預けてるんだと思えば、そんなに悩まなくてすむんじゃないのかしらね」by美晴 って、そういう問題じゃないでしょうよ。絶望するぼたんは、恐るべき香世がいざとなったら麗香を殺しもかねないと恐怖におびえる。 『カルメン』のハバネラを聞きながら踊りまくる香世はその眼力によって由岐雄が連れ出そうとしていた麗香を阻止。さすがに香世のテンパーもネタ切れ気味かと思っていたが、この小さいきっかけの見つけっぷりなどはやっぱりあなどれませんんえ。 「あんまりお行儀が悪いから、ちょっと折檻してやったの」by香世 なんて言われたら、そりゃぼたんとしても電話越しで気が気じゃないでしょうね。 そういえば、『京都迷宮案内』の第1シリーズって、大河内奈々子と西村和彦のコンビでしたっけ。そして第2シリーズからは大路恵美と的場浩二のコンビに。その大路恵美が次のドロドロのヒロインですから、その円環具合は面白いですね。(麻生結一) 第10週(3/8〜3/12放送) ☆☆ 和人(萬雅之)にぼたん(大河内奈々子)を暴行させたのが香世(小沢真珠)だったことを初めて知らされて、由岐雄(西村和彦)が激高。香世への怒り以上に自分だけが真実を知らなかった仲間はずれ感に怒って(?!)、和人(萬雅之)を責め立てた?! 「そこまで血なまぐさいことがあったら、普通ならいくら姉妹でも激しく憎みあうんじゃないのか?(中略)いったいどういう姉妹なんだ!」by由岐雄 文字通り、並の姉妹じゃないってことですかね。 子供を作らないのかとぼたんに問われて、 「子供にやきもち焼いて、絞め殺しちゃうかもしれない」by香世 とは相変わらず血気盛んですな。上海への出張を前に抱いてほしいと身悶えする香世を涙を流して突き飛ばす由岐雄も冷静に考えればかなり危険な存在。野島の家に泊まった由岐雄のキスの味が納豆フレーバーだったことで異変を感知する香世の能力も相当なものだけど。さすがは拝啓の“拝”という字がわからなくて姉に電話するだけのことはある。 象造(峰岸徹)は麗香(小池彩夢)に嫌われ続けて、 「幼稚園のころから麗香は俺とは寝たがらない。でも君とは寝たがる。焼けるね」 と由岐雄に嫉妬。そんなおり、麗香が唐突に行方不明に。 「きっと変質者よ」byぼたん と動転するドサクサにまぎれて、随所に飛び出していた美晴(新藤恵美)の意味深発言を乗り越える形で、麗香が由岐雄の子であることをぼたんは告白。 「えっ?」by由岐雄 との由岐雄のとぼけたリアクションには爆笑してしまう。結局、本能的に由岐雄に父親を感じていたか、麗香は由岐雄に会いに清原家に行っていただけだった。ついに、事実関係を知らないのは香世のみとなる。これが怖いんですよね。 万事に大雑把で、何事にもこだわらない香世が、由岐雄が上海から一日早く帰国していたことを証明する帰国前日のタクシーの領収書を見つける。 「私だって、ことと次第によっちゃこだわるわよ。こだわりだしたら、鬼のようになるわよ」by香世 このドラマの求心力は、香世の爆弾的台詞によってますからね。 麗香は由岐雄とディズニーランドに行くことを象造(峰岸徹)に宣言。 「パパなんか連れてってくれないじゃない。一人でパパイヤでも食べてなさいよ。パパ嫌(イヤ)!パパイヤよ」by麗香 って、ついにダジャレオチまで。だからぼたんはパパイヤを出したのか。そんなディスニーランド行きを阻止するため、象造は由岐雄を上海に長期出向させることに決め、勝ち誇ったように笑う。やることが汚い!、というよりも小さい!自身のみみっちさは自覚するも、由岐雄に勝利感を感じる間もなく、ぼたんに冷たい人とののしられる象造は、思わずぼたんをぶってしまって、その場を麗香に見られてますます嫌われちゃったよ。 象造の靴箱チェック! 「ねずみが巣をこしらえてんじゃないかと思ってね」by象造 もちろんねずみとは由岐雄も、普通靴は履いて帰るでしょうよ。 しつこくかわいがったがために、ついに麗香に噛み付かれてしまう象造は、激怒して由岐雄が買ってきた上海土産の鳥籠を粉々に踏みつけ、またまたぼたんを殴りつける。思い余ったぼたんは、上海に長期出向になる由岐雄の元へ走り、ベッドで本来のあるべき姿に。 香世は帰ってこない由岐雄の冷たさに耐えられなくなり、部屋の中をめちゃくちゃに。 「離れないからね。あなたがどんなに私を嫌っても、背後霊のようにしがみついてやるからね」by香世 次の日、象造は逃げたカナリアを捕まえたって、どうやって。また虫かごにカナリアを入れるってどういうことよ。カナリアみたいなひ弱な鳥が自然の中で生きていけるのか?思いっきり死体を出して、やっぱり生きていけなかったことを実証。ところでこのカナリアって、誰のメタファー?もはや、そんなことに意味があるのかと思えるほどに、崩壊させることに物語の目標が移ってしまったかのようだが。 上海に行くべきかをぼたんにしおらしく相談した香世は、実はぼたんのリアクションをチェックしたてのね。和人はぼたんと由岐雄をアシストしようと、 「センシティティブでデリケートでパッショネイトで、ガラス細工のように壊れやすくて」by和人 とほめ殺しにして香世をホテルに誘うも、ベットイン直前に和人は香世に殴りつけられる。香世の怒りの矛先はついに麗香へ。直接口を割らせようとするも思うようにいかず。果物ナイフを突きつけたままに2人ともに階段から転げ落ちて、ナイフは麗香の背中にグサリ。そんなことだろうとは思ったけれど、それでもぼたんは香世を許すんだろうか? まったく関係ありませんが、人の部屋の臭いを思う存分に主婦同士が言い合うファブリーズのCMって面白いですね。(麻生結一) 第9週(3/1〜3/5放送) ☆☆ 飛行機事故で死んでしまった豊樹(神保悟志)の遺体には首にネクタイが巻きついた状態で、富貴子の遺体は識別不能ってそんな残酷な。両親の死に悲しむ間もなく、香世(小沢真珠)はアメリカに送らなければならない豊樹と富貴子の歯型問題でパニックに!美晴(新藤恵美)は、つくづく親子の縁が薄かったことを嘆く。 牡丹と薔薇の絵の前で、ぼたん(大河内奈々子)と香世はお互いを助け合いいつくしみ合って生きていく誓いを立てた途端、野島の邸宅までもが借金のかたにとられてしまうことがわかる。 「お金も住む家もなくなって、浮浪者みたいになっちゃうの?」by香世 「そんな極端なことには……」by由岐雄 「貧乏人になるくらいなら私、死んだ方がマシだわ」by香世 ぼたんと香世の運命に正比例するかのように、ドラマの展開も極端なことになっていくよ。 品行方正な由岐雄は、身一つでぼたんを受け止めると宣言。 「貧しくて平凡な僕のお嫁さんだ」by由岐雄 ほめてんだか、けなしてんだか。お金がなきゃ生きていけない香世は、富貴子のカード残高ぎりぎりまで使って衝動買い。 「むしゃくしゃするから今のうちにって、ぱぁ〜っと買ってきちゃった!」by香世 「香世、あなたって人は」byぼたん まったくこの人は。 窮地の野島家を救うべく、一念発起するぼたん。 「香世、私だって一か八か勝負するときはするのよ」byぼたん と言い放って、真っ赤なスーツに身を包んでぼたんが面会したのは新キャラ、浅間象造(峰岸徹)。豊樹とは馬が合わなかったらしい象造はアルマ建設を再建するべく全権を握ることに関して、野島家の令嬢が全面的に信頼していることを証明するため、ぼたんに自分の女になってくれと頼む。 「愛人、いや二号、妾でもかまわん!」 「何が何でも無茶な理屈をこねてでもこの人がほしくなった!」 また極端なキャラクターが出てきましたよ。取り立て屋に無下にされた勢いで遺書を書き、一緒に死のうとぼたんに迫る香世の手には、富貴子が昔外国で買った劇薬が。なぜそんなものが家に? 「死ぬつもりならね、何だってできるわよ」byぼたん 珍しく真っ当な台詞だこと。真っ当だからこそ、逆に変な感じがしたり。 「いやらしい金持ちのスケベ爺にかこわれるなんて、人身売買と同じじゃないか」 とこれまた真っ当なことを言う和人(萬雅之)を殴って、むしろ幸せだと語るぼたんの台詞に初もの。 「むしろファイトがわいてくるわ」byぼたん いきなり英語です。 「由岐雄さんには香世と結婚してもらいます。(中略) 由岐雄さんだって香世のことは嫌いじゃないわ」byぼたん って、確か結構嫌っていたはずでは。 「妹に婚約者を譲って、あの男のかこいもんになる。よく決心したわね」by美晴 って、そんなハレンチを容認する美晴おばあちゃんって、やっぱり悪すぎでしょ。 「今、ぼたんの花が真っ赤な血の色に染まって、あなたの助けを求めているの」byぼたん と由岐雄に迫るぼたん。2人に美晴おばあちゃん、2階に上がって何せえっちゅうんですか。 「抱いてほしいの。今のうちに抱いて」byぼたん 思いのすべてを言葉に込めるも、由岐雄が和人と約束していたせいで今のうち作戦(?!)は未遂に。 「由岐雄さん、女心を踏みにじっちゃ、罪だわよ」by美晴 孫を妾に推薦するおばあちゃんのほうがよっぽど罪でしょうよ。 「あんなマムシみたいな奴に飲み込まれてたまるか!」by由岐雄 と意気込んで象造と対決する由岐雄。 「金の力にものを言わして、30歳も若い女をゲットしようなんて、虫のいいことを考えないでもらいたいですね」by由岐雄 と言った矢先に、殺せるなら殺してみろと象造は婦人用の拳銃を由岐雄に握らせるも、由岐雄は腰砕け。誤って発砲された弾に、弾は入ってないと思っていた象造が今度は腰砕け。 香世はAV女優になる決意! 「彼女、AV向きの体してるわよ」 とまで言われるも、体を触られただけでカメラマンを足蹴りに。そしてついに、ぼたんは由岐雄を香世に譲る。 「わからないよ、そんな理屈」by由岐雄 この理屈をわかってるのは、中島丈博先生だけでしょうね。ぼたんと香世の姉妹の結びつきの強さを宇宙的なものだと形容する由岐雄。 「香世を抱くときも、私の体を思い出してね」byぼたん って、一体どういうこと?! ぼたんが一足先に妾になることを決めていたことに激怒する香世もほとんど意味不明。 「出し抜かれたんだわ。ぼたんに出し抜かれたんだわ」by香世 ぼたんを抱いた後、いきなり香世にプロポーズする由岐雄もとうとう壊れたか。帰り際には由岐雄はぼたんに最後のキスって。株券を手にするも、自らの寝床のことを気にする象造だったが、由岐雄と香世の結婚まではぼたんはおあずけの刑に。 そして6月。いよいよ由岐雄と香世の結婚式。結婚式が終わるまではぼたんが自分のものにならないと嘆く象造の嘆き節に笑いあうぼたんたちが怖すぎる。牡丹と薔薇の絵の下で、象造夜ごとぼたんを抱く宣言の直後、ぼたんは妊娠を自覚。由岐雄の子だ。歴史は繰り返すということか。由岐雄は香世を抱きながら、ぼたんの隅々を思い出す。香世の新婚生活特製肉じゃがは、ジャガイモの原形をとどめず。ふと、『真珠夫人』のたわしコロッケを思い出したりして。 ぼたんは由岐雄との間に子供を妊娠したことを美晴に告白。 「おばあちゃんも言っちゃダメよ」byぼたん って、この人にだけは言っちゃダメでしょ。何て思ってたら、いきなりに時代は9年後の平成15年2月。どうやらここからが第4部らしい。逆算すると、鏡子(川上麻衣子)が一番手時代が第1部、ぼたんと香世が子供時代が第2部、大人になったからが第3部になるかな。ただ、これまで以上の過激さを押し出していこうとするあまり、あまりにもドラマの流れがおざなりになってしまっているのがちょっと残念なところ。 8歳になったぼたんの娘・麗香(小池彩夢)は、その色黒具合から由岐雄のDNAをゆずりうけていることを革新させる。でも、性格は香世ゆずりのヒステリー。和人は一人前のお医者さんになりました。 友重、新潟の温泉場で急死!何てことだ。最後にもう一回、あの勇姿を見たかった。香世はみはるを手伝い、ぼたんはあの洋装店のオーナーに。そこに象造の本宅が訪れ、麗香が象造に似ていないと指摘する。 「怖い。あの人怖い」by麗香 見てる方としても怖すぎるあの人は誰? 夫婦ケンカの末に由岐雄に殴られた香世は 「誰にも殴られたことないのよ」by香世 と言うも、ぼたんには結構殴られてたでしょ。49日に友重の遺影が登場。これで本当にさようなら。(麻生結一) 第8週(2/23〜2/27放送) ☆☆☆ ジェットコースター度でいけば、過去最高の週。そして、ついにあの人が戻ってきてくれました!香世(小沢真珠)は千葉にまで薔薇のネックレスを買いに行かせといて、賢太郎(井田國彦)にあっさりと絶交宣言。 「あたしね。本質的にあなたのことが嫌いなの」by香世 一夜をともにしたあの日から、何日経っているのだろうか?突然の仕打ちに検討もつかない賢太郎は、由岐雄(西村和彦)に仲介役を頼むも、 「今、イノシシ野郎とすれちがったけど、何かあるの?」by香世 とまで言われちゃ、取り付く島もない。 「似合いのカップルですって。私とあのイノシシ野郎が」by香世 との香世の言葉に、由岐雄も賢太郎は御しやすいってまで言うことはないでしょ。哀れ、賢太郎。 中学生のころから由岐雄が大好きだった香世からまたまた仰天発言。 「妹が穢れたら、姉だって穢れなきゃいけなきゃ釣り合いが取れないの」by香世 台本には、おそらく「けがれる」は「穢れる」と書かれていたはず?! そんな話を聞かされた日には、店の周りのお客もさぞやビックリするだろうに。 婚約の場では、由岐雄がぼたん(大河内奈々子)に贈った指輪を香世がはめっぱなしってどういうことよ。『牡丹と薔薇』の粘唱が妙に怖い。そんな「極端なところがある香世」を称して、 「香世ちゃんの心理は僕には何が何だかさっぱりだ!!!」by由岐雄 何人の視聴者がここでうなずいたことだろう。 「私にはよくわかるの。香世の言うことがビンビン胸に響くわ」byぼたん と、天性の慈悲の心を発揮するぼたんは、薔薇には鋭い棘があるってことを忘れてしまっていたようで。 そしてついに、友重(吉満涼太)が奇跡の大復活。和人(萬雅之)を家で迎え入れるなり、何という目つきの悪さか。 「何だよ。鳩が豆鉄砲食らったような顔しやがって」by友重 と言い放った様に、こりゃ、相当の悪になって戻ってきたかと思わせといて、実はアパートの鍵がまだ使えたことに感動しちゃうノスタルジー丸出しのいい人キャラに様変わりしてるじゃないの(もともと、根っからの悪人でもなかったけれど)。 ぼたんは夜道、香世が雇った奴らに強姦されてしまう。このあたりのハードな演出にも驚いたが(2時間サスペンスがこの種の描写を控えるようになった今、この枠の専売特許となりつつあるけれども)、和人からの電話をぼたんを襲わせた連中からだと勘違いする香世の映像が猛烈に手ぶれしてる様には大いにうなる。 強姦されたことを告白するも、前よりも好きだとぼたんを受け止める由岐雄。思惑から外れて、結婚の日取りが決まったことに香世は思わず目を見開く。 「幸せなんかこうしてやる!」by香世 と言いながらクローゼットの服をめちゃくちゃにするあたりは、香世の真骨頂といった感じ。 富貴子(北原佐和子)はぼたんがひどい目にあったことを美晴(新藤恵美)に相談するも、 「このことは野島家の秘密として、絶対ほじくりかえすようなことしちゃだめよ」by美晴 と固く口止めされる。これまでの経験値から言ったら、美晴こそが口が軽そうなんだけど。 ぼたんと友重が久々に再会。野島家に入る時の目つきが尋常じゃないぞ。ぼたんに身に起こったすべての事情を知る友重は、ぼたんを襲った連中を「流しの狼」と例える。 「この家の妹娘が首謀者だって言うんだから、開いた口がふさがらねぇよ」by友重 久々に友重v.s.豊樹が実現後、ついに香世が自白。男たちを一人10万で雇っていたことが判明する。 「どうせぼたんはあんたたちの期待通りの娘で、私は不良なんでしょ」by香世 「そうやってまた点数稼ごうって言うんでしょ。いい加減にしなさいよ」by香世 こんな暴言を吐かれちゃ、育ての親としては黙っていられない。友重はさらしにひそませた包丁1本を振りかざし、逃げる香世に襲い掛かる。寸でのところで香世をかばうぼたんの背中に包丁がグサリ。 「何てことするんだお父さん。頭がどうかしてるんじゃないか」by和人 いいや、刺されてなお謝るぼたんこそがどうかしてます。追い討ちをかけるように、 「よくもこんなにハレンチでおぞましいことを」by豊樹 泣いて許しをこう香世の 「私、どんな罪でもうけるわ。裸にされて、血が出るほど鞭で叩かれてもいいわ」 なる台詞に裸で鞭打たれて死んでいった雅也(白川裕二郎)を思う。 「いいのよ、あなたは今のままでいいのよ」byぼたん って、いいはずないでしょ。 「牡丹と薔薇はどちらがキレイ♪」 って、のんきに歌ってる場合じゃないよ。 結婚式を延ばす口実に、肋骨を折って全治2ヶ月と嘘をつくも、だったら前日にあんな元気でいられるはずもなく。 「やっぱり姉妹なんだよ。傷つけあっても、すぐまたなぐさめあって」by豊樹 姉妹の本質はそうだけれども、ここまでになるとね。 「でもそんなことを繰り返してるうちに、そのうち致命的な事件がおこりそうな気がして」by富貴子 先読みの甘い富貴子にしては、真っ当なご意見。 あぁ、友重。あなたは越後湯沢に行ってしまうのか。 「ついついバカなことをしてしまってよ」by友重 と自らをこぶしで頭を殴る様もキュートなら、ぼたんに裸銭を握らされて号泣する様も愛くるしすぎます。 アルマ建設ニューヨーク支部閉鎖にあたり、豊樹と富貴子は渡米することに。で、何で因縁のネクタイピンはめてるの。鏡子(川上麻衣子)が飲み込んだ際の胃液ののろいとしか言いようがない、 「このとき運命は無慈悲にも、豊樹と富貴子を暗黒の世界へと導いていた」 とのナレーション。豊樹享年52歳、富貴子49歳。合掌。 由岐雄をめぐって、ぼたんと薔薇が譲り合いの精神を発揮するに、いい加減、由岐雄もうんざりとしてくる。第三者が介入できないその雰囲気に対して吐き捨てるように、 「大変な姉妹だよ。あの姉妹は」by由岐雄 由岐雄の野島姉妹評には、いちいち感心させられる。税理事務所の「おしろい塗りたくった女」にスープをひっかけ怒らせといて、 「あの女の無様な顔、見られたもんじゃなかったわね」 とはぼたんまで常軌を逸しはじめたか?! 姉妹による反乱がどこに向かおうとしているのか、もはや予測不可能です。(麻生結一) 第7週(2/16〜2/20放送) ☆☆★ 連打される浮き沈みの数々にただただ唖然。雅也(白川裕二郎)はわざわざ取り寄せたというオートクチュールのドレスをぼたん(大河内奈々子)に贈る。しかしこのドレスは、手垢にまみれた薄汚れた愛のコーディネーター、香世(小沢真珠)がフランスで買ってきたものだった。香世のクローゼットの中身は隅々まで把握しているぼたんはすべてが香世の入れ知恵だと見破り、体目当ての雅也を拒絶。 「あの子は一癖も二癖もある子だけど、根はいい子だから」by美晴(新藤恵美) このご意見には賛同しかねますね。香世は雅也にこれでもかというほどに酒を飲ませると、ベロンベロンになった雅也を自らの部屋に連れて行き、そこで他の女を抱かせて、その様をぼたんに見せる始末。さらなる酒盛り中に絶望して全裸になった雅也を、香世は悪魔祓いの儀式と称してベルトで鞭打ちする。その姿のまま店を飛び出した雅也は、交通事故であえなく死亡。こりゃ、根も悪いだろうに。 ぼたんと富貴子(北原佐和子)が子供時代のアルバムを見るシーンにひと時の平穏を感じたのもつかの間(ここの回想シーンで鏡子=川上麻衣子が再登場してくれたのがうれしい)、ついに香世にぼたんが本当の姉であることをカミングアウトすると、 「どうしてもっと早く」by香世 と震えながらに懺悔する香世。これまでの態度がたまらなくなったと思い込んでいる豊樹(神保悟志)と富貴子だったが、理由はそんな甘っちょろいものであるはずがない。 遺恨話は雅也の死をほっぽり出して、絶交状まで書くとぼたんが言い放った中学時代にまでさかのぼり、あのときの誤解が解けてぼたんと香世はあっけなく和解。 「どんな権力者だって、私たちの間を引き裂くことなんかできやしないわ」byぼたん 権力者の例えがまったくの???で、血を分けた正真正銘の姉妹の前途が大いに心配になる。 「牡丹と薔薇は愛を求めて ひたすら咲いて ひたすら香る♪」 何回聞いても怖い歌です。ところで、ぼたんが豊樹と富貴子を呼ぶ際、豊樹は「パパ」なのに、どうして富貴子は「お母さん」? 新しい時代の到来。あれから1年後とは、鏡子の一周忌になるわけか。墓前で線香に火がつかないぼたんの前に、豊樹の名代としてライター持参の由岐雄(西村和彦)が登場。鏡子の周辺をかぎまわっていた張本人がついにぼたんと初対面を果たす。野島家で鏡子の一周忌が催される自体、何とも奇妙な話なんだけど、そこに無理に会おうとしなくてもまた会える気がするというぼたんの予言通りに現われる由岐雄が、友人で医師の賢太郎(井田國彦)を連れてくるところもあらゆる意味で常識を超えている。いつの間にか由岐雄と知り合っているぼたんに食って掛かる香世の語気の強さに悪い予感が。 由岐雄からテニスに誘われて、いつの間にかテニス用具一式買い揃えちゃってるぼたんの浮かれぶりに、またまた香世の顔が曇っていくよ。怒りの矛先は、賢太郎と見に行った映画『少年の瞳を持った男』(表紙にはイルカの絵)のパンフレットに。ちぎるは破るは投げ捨てるはで、もはや原型をとどめず。 「絶対に大丈夫だわ。ぼたんだって香世だって、恋する目つきになってるんだもの」by富貴子 相変わらず富貴子は見る目が甘いですね。香世の目つきは、憎しみに満ち満ちてるじゃないの。 「僕がぼたんに魅せられてるから、このペンダントが僕を呼び寄せてくれたのかもしれない」by由岐雄 とクサい台詞を真顔で吐きつつ、ぼたんにぼたんのネックレスをプレゼントする由岐雄。対抗するように、香世は賢太郎を千葉まで行かせて薔薇のネックレスをプレゼントさせる。そんな恐ろしすぎる偽りの偶然に、 「私たちの結びつきは誰よりも硬いは。もしかして、恋人なんかより私たち姉妹の方が」by香世 と目をうるませながら言う香世がいっそうに怖い。 豊樹、富貴子は京都、奈良、飛鳥へのフルムーン旅行に出発。両親の不在を狙って青春の思い出にとそれぞれの処女をそれぞれの彼氏に捧げようとするのに指きりげんまんとはなんと高圧的な。 「愛してれば当然の帰結なのよ」by香世 と胸をはる香世だったが、あれほどの淫らな生活を送っていたにもかかわらず、処女だったとはかなり意外。 「今11時半だから、12時には敢行よ」by香世 姉妹の絆をいっそう強くするためとはいえ、時間指定までやるとは。同時ベッドインをぼたんに約束させた意外にも身持ちが固かった香世は、時計を見ながらに賢太郎に抱かれるも、ぼたんは由岐雄との絶滅した生物と地球の破滅についての論議に花を咲かせていたため、ベットインまでにはいたらず。そんなぼたんに香世は罵声を連打する。 「裏切り者!」 「許せない。こういう裏切りは絶対許せない」 「由岐雄さんをあなたにゆずって、あんなイノシシみたいな男に身をまかしたのに」 イノシシ男(=賢太郎)のぬくもりが残るベッドなんか許せないとばかりに、ベットのシーツをひっぺがす香世。 「私、このままじゃ済ませんからね。私が傷ついたのと同じくらい、あなたにも傷ついてもらうってこと」 「いい。覚悟してなさいよ。これからあなたに死ぬほどの苦しみを与えてやるわ」 常識的に考えればまったく意味不明の物騒発言も、このドラマの中では輝いて見えるから不思議です。(麻生結一) 第6週(2/9〜2/13放送) ☆☆☆ 痛みが激しくてモルヒネ漬けの鏡子(川上麻衣子)に 「もう遅いか早いかだ」by和人(萬雅之) だなんて週はじめからそんな悲しいことを言わないで!奇跡の復活を祈っていたのだが……。 香世(小沢真珠)はぼたん(大河内奈々子)が勤める洋装店を訪ね、まだ助手扱いの雅也(白川裕二郎)を指名してドレスの仕立てを依頼。店の外に呼び出し、ぼたんを「あんな貧乏臭い人」「鈍感女」とののしって、自分と付き合うべきだと誘惑するも失敗。帰宅した香世はぼたんに、誘惑すれば簡単に乗ってくるような雅也とは別れた方がいいと話すが、そんなたわ言にぼたんが乗るはずもなく。そんなぼたんを雅也の前でお針子呼ばわりするも、逆に雅也からはあんな高慢ちきな女呼ばわりされてしまい激情。出来上がったばかりのドレスを切り刻む香世を見て、この人こそ鏡子の生んだ子供ではないかと思えてくる。 その後の香世の短時間三変化を堪能あれ。 「明日からあなたは要らないわ。(中略) つまりあなたには何の用もないってこと」 と、ぼたんに召使の首を言い渡した約1分後、 「薄汚れていくのよ。自己嫌悪でグチャグチャになって、耐えられないのよ」 と突然弱気に。さらに約30秒後、 「助けて。助けてちょうだい」 とぼたんに抱きつく。即5秒後、 「行って。顔も見たくないから」 激しい。激しすぎる。最終的には、 「好きならあっさりドッキングしちゃえばいいのに」 とぼたんと雅也のコーディネーターをかってでると、そのご機嫌はまったく予測不可能。もちろん、ぼたんが香世のために作っている制作中のドレスに針を突き刺しならが、 「こらしめてやるからね」 と目を輝かせる場面を見るまでもなく、それが悪魔的なコーディネートとなることは期待通りなのだけれど。 豊樹(神保悟志)は入院中の鏡子(川上麻衣子)を見舞い、ぼたんは真世か否か、白か黒かと問い詰めるも、唐突な不敵な笑いで返される。 「天罰じゃない?あなたも自分のしたことを少しは考えたらいいのよ」by鏡子 直後、ぼたんをわたさないと言いながら布団を撫で回す様は、モルヒネのせいで意識が混濁したのかと思いきや、これはお得意の猿芝居。しかしすぐさま、 「このままじゃいけない」by鏡子 と、真逆の真実の人になるあたりが鏡子の鏡子たるところ。まだまだ香世なぞ足元にも及ばない。そんな大爆発の予感を裏切ることなく、鏡子は野島家に乗り込んでいく。そしてついに、ぼたんが真世、つまりは鏡子が病院から盗み出した豊樹と富貴子(北原佐和子)の子供であることを告げる。ここでの目力のすごさたるや。れっきとした証拠は牡丹の刺繍が入った帽子と産着。すべてを吐き出した鏡子は、野島家の玄関で劇的に倒れる。その激しさはやはり香世以上。 しかし、富貴子は財産目当ての鏡子が周到に用意したシナリオだと信じようとしない。ここでの豊樹と富貴子の言い争いがすごい。途中、富貴子役の北原佐和子は台詞を言い間違えるが、それをOKとした気持ちもわかるほどの演技の白熱ぶりに圧倒される。 いきなり自分が盗まれた子供だったことを聞かされたぼいんだったが、意外にも冷静沈着。野島のおじ様=豊樹とどうして別れたのかとぼたんに問われた鏡子は答える。 「お母さんは別れたくなくて、泣いたりわめいたり、妊娠したってみせかけたり、遺書を書いて自殺しようとしたり」by鏡子 懐かしんで語るにはあまりにも生々しい出来事ばかり。 「自分の子だったら、こんなにいい子には生まれなかったと思ったわ」by鏡子 確かにそんな気がする。逆に、香世は鏡子の化身だけれど。 「お母さんありがとう。貧乏なのに、何不自由なく育ててくれて」byぼたん 微妙に矛盾のある感謝の台詞が心に響く。ここに鏡子、永眠す。予想よりも1週間ほど長生きしてくれたけれど、欲を言えばもう1週間生きていてほしかった。遺影の鏡子はドラマ中では考えられないほどの笑顔! 血のつながりがないことを知り、野島家の長女になったぼたんと決別するもはや医学部生の和人は、ぼたんの呼び方を「おねえちゃん」から「おねえさん」に改める。そこにどれほどの違いが?! 実の姉の出現という青天の霹靂に香世は耐えられないと判断した富貴子は、ぼたんのカミングアウトを阻止。ぼたんが鏡子のお葬式後になかなか帰ってこないためにグズっていた香世だったが、ぎりぎりセーフでひな祭りを一緒にお祝いできたことに歓喜し、ぼたんに着物を着るように勧める。豪華なひな飾りの前で実の妹に着物を着せてもらうぼたんの瞳から大粒の涙が。ドラマはまだ折り返し地点でそんな感動的な場面は許すまじと、次の瞬間には内裏雛の首を引っこ抜いて、 「首にする」by香世 と言い放つ香世。この落としっぷりこそが、『牡丹と薔薇』の真骨頂でしょうよ。その不条理性だけでいけば、香世はすでに鏡子を超えた感あり。 氏より育ちと手癖が悪いイメージを払拭しきれない富貴子だったが、お手伝いさんからお金を盗んだのはぼたんではなく香世だったことを聞かされて、急激に態度は軟化する。ぼたんにりんごをむいてあげようとして手が滑って包丁で親指を切ってしまった富貴子に、 「ちょっとおおげさだけど」byぼたん と言って、親指を切っただけなのに手を包帯でぐるぐる巻きにするぼたん。いきなりの仲良しぶりにあっけにとられてしまう豊樹だったが、見ている方としてはその包帯にこそあっけにとられる。まぁ、包丁を握った瞬間から手つきが危ないとは思ったけれど。途中、友重(吉満涼太)の消息がここに明らかに。神楽坂の料亭を7年前にやめていたらしい。鏡子亡き後、やはり友重の復活に期待せずにはいられない。(麻生結一) 第5週(2/2〜2/6放送) ☆☆★ 豊樹(神保悟志)から香世(小沢真珠)の世話係を頼まれ、野島家に引っ越してきたぼたん(大河内奈々子)にいきなりの受難。わざわざ持ち込んだ愛用の机やミシンは、香世の差し金でことごとくチェーンソーで切り刻まれてしまう。 「汚い荷物ばっかり」by香世 との罵声と嫌がらせの裏には、7年前に裏切られたあのときの傷ついた心、怨念がこもっている。牡丹の絵に赤マジックで「絶交」の文字! あれほどまでの大騒音をどういうわけか富貴子(北原佐和子)は聞き逃し、夜にはぼたんの歓迎会がほのぼのと催される。 「牡丹と薔薇はどちらがきれい♪」 で踊りあかすぼたんと香世。仲がよかったあのころに戻ったのかと思ったのもつかの間、 「センチメンタルねぇ、あなた」by香世 と軽蔑的に言い放ち、ひざまずかせてぼたんにストッキングを脱がせる。 「あなたは私の召使なんだから」by香世 洗濯物を足で蹴り渡す香世のいじめキャラぶりは、さらにエスカレート。 「私がタバコを口にくわえたら、火をつけるのよ!」by香世 対応が遅れたぼたんの額に灰皿は投げつけられ、流血の惨事に。富貴子の前ではやさしい香世に戻ったかと思いきや、自分でケガさせた額をやさしく自ら治療し終わると、 「憎らしいほど、すべすべした肌ね」by香世 と思いっきりほっぺをつねって、またまた小悪魔の顔をのぞかせる。 「薔薇の棘が刺したのよ」by香世 とは、意地悪な台詞までもなかなか洒落てます。 香世に言われるまでもなく、見るからにもっさりしているぼたんだったが、食うや食わずの最低生活だなぞとののしられたのでは黙ってられないとばかりに、ブランド物のスーツをプレゼントされておいてのいきなりの逆襲。 「こんな素敵な服を着てあなたと一緒に歩いたら、あなたの方が見劣りするんじゃないかしら」byぼたん さらには、 「あなたのことを香世様だなんて、口が曲がってもいえないわ」byぼたん 逆襲に出たぼたんは、すぐさま再逆襲をうける。香世は着ていく服のコーディネートをぼたんに頼むが、クローク内を把握していないぼたんはまったくその要求にこたえられず。 「ぼたんじゃなくてブタ!」by香世 とは、何て直裁的なんでしょう。 うれしかったのは、鏡子(川上麻衣子)がガンにおかされつつも健在ぶりを発揮してくれていたこと。 「三人で食事できる日も、そうそうないんだろうね」by鏡子 そんな悲しいこと言わないで。登場のたびに秘密をしゃべりそうになっちゃったりする軽はずみな行動で、もっともっと楽しませてください。 「香世さんなんて問題じゃないの。今に野島家の人たちがぼたんを頼りにする日がくる」by鏡子 なんて予言じみた微妙な発言を聞くにつけ、このドラマの最強キャラが最終回まで生きながられてくれることを切に願うばかりに。 鏡子の予言はいきなりに的中し、せっかくの帰省も香世&フレンズによるらんちきパーティに呼び出されて数々の無理難題を課せられ、終いには香世による濃厚な口移しで焼酎を飲まされてしまう。そのキスの味が忘れられないとばかりに恍惚となる香世。ここまでもまた、あれだけのどんちゃん騒ぎをやってるのに、野島家の人は誰も気がつかず。香世の部屋って、防音壁仕様?! ぼたんの友重評が凄い。 「いい人でしたけど、(中略) 酒癖が悪くて、賭け事に夢中になったりして、単純ですぐに暴力をふるうし」 って、それいい人なの?! 『警視庁鑑識班2004』では連ドラ初主演を果たす西村和彦が、証券会社を辞めて有力なブレーンとして招かれているにもかかわらず、鏡子の身辺調査というスパイじみた仕事を豊樹から命じられる親戚の清原由岐雄役で登場。そんな清原に先んじて、鏡子の戸籍をちゃっかり入手してる美晴(新藤恵美)は、やっぱり悪い人だ。美晴に聞かされて、ついにぼたんが鏡子の娘であることを知った富貴子。そういや電話も話してたっけ、というおとぼけぶり。 「豊樹さんもやることがあざといから」by美晴 って、あなたが一番あざといんでしょ。富貴子の顔をひねってズームにする演出もあざとくて素敵。ぼたんを追い出せと豊樹に迫る富貴子も、そのころ香世が夢の恐怖におびえてぼたんの寝床にもぐりこんでいるとはつゆ知らず。ところが、起きてみると何も覚えていないと言い張る香世は、ぼたんの朝食であるベーコンエッグにコショウをコショウを散々にふりかける。ぼたんのくしゃみが止まらなくなるオチがいかにもらしい。その他にも、ぼたんを訪ねてきた弟・和人の背中に氷を入れちゃったりと、香世の意地悪はつねに小学生レヴェルを維持し続ける。 ついに富貴子と鏡子が直接恨み節合戦に。狂言自殺の回想シーンがインサートされるに、序盤戦の激しすぎた日々を思い出したりして。ぼたんが真世である秘密を告げようとした瞬間にまたまた発作が。 クロークの衣裳を完全把握したぼたんも、香世の恨みの理由には思い当たるところがない、ってまさか。あれだけのことをしておいてそれはないでしょ。ぼたんの同僚である柏木(白川裕二郎)までもが割烹みはるの常連か。そこで美晴にけちょんけちょんにけなされるぼたん。すかさず香世までが乱入。 「この店、どうなっちゃってるの?」by香世 ドラマはじまって以来の正しい発言をする香世は、店を出てキスする柏木を目撃してしまう。 連打される運命の偶然のすべてを吹き飛ばすかのごとく、鏡子がまたまた秘密を言おうとして発作。3度目の正直とばかりに今度は救急車で運ばれてしまい、ガンは腎臓にまで転移していて、余命1ヶ月と宣告される。一方、ぼたんは、香世が富貴子の財布から6万円盗んだ時に口止め料としてもらった3万円を富貴子に発見され(紙幣に混じっていたサービス券が決定的な証拠に)ピンチに。高らかに笑う香世にぼたんの張り手が炸裂。物語への興味が低まっていくのとは反比例するかのように、演技の火花はいっそうに高まっていく。(麻生結一) 第4週(1/26〜1/30放送) ☆☆ ひょっとせずとも本当の姉妹であるぼたん(田島穂奈美)と香世(安谷屋なぎさ)が、ついにぼたん(大河内奈々子)と香世(小沢真珠)に交代した週。富貴子(北原佐和子)は、豊樹(神保悟志)が鏡子(川上麻衣子)からダイヤのネクタイピンを返してもらっていたことに気がつき逆上。ネクタイピンで豊樹の手をブスブスと刺すわすわ。週の冒頭からいきなりに痛そう。きっとどこかで生きている姉にいつか会えるという言葉を香世に告げて、冬子(一柳みる)は息を引き取る。すべてのいきさつを知った鏡子はぼたんに香世と会うことを禁じるも、香世がお通夜に着ていく服だってボタンがコーディネートするほどの仲の2人を引き裂くことは出来ず。と思ったら、豊樹が香世の父親だと知り、ぼたんは思わずその場を飛び出してしまって。 「お母さんね、あのおじさんと絶交したからね。(中略)だからあんたも絶交すんのよ」by鏡子 男と別れるのに“絶交”なる言葉を使うとは、やはり鏡子の一言一言には含蓄があります。 ぼたんネタで豊喜をゆするべく、友重(吉満涼太)が早々に再登場。その中途半端なゆすり方を目のあたりにするにつけ、やはりこのキャラはこのドラマに必要だと思った次第。豊樹のことを言い出せるはずもなく、ぼたんは香世に悪口雑言をあびせることで絶交に踏み切る。ショックを受けた香世が微熱で寝込むのはいいとして、ぼたんにいたっては立てなくなっちゃったよ。 「あんたも病気なの?」by鏡子 って、子供が立てなくなってるのに、むしろ呆れる鏡子の突き放しっぷりがすごい。豊樹と会社経営をめぐって対立を続けていた泰造(佐藤仁哉)は、言い合いのままに倒れて帰らぬ人に。 鏡子が下腹部に激痛を覚え、ショック状態になったままに話は飛んで、7年後の平成4年12月。医者ならぬ看護婦の不養生というにはあまりにも哀れ、更年期障害による体調不良だと軽く考えていた鏡子に子宮ガンが判明する。告知するしないでもめてたはずが、いつの間にか平気で病名を口走っている鏡子はやはりただものじゃない。ここからぼたんは大河内奈々子に。さすがに川上麻衣子の娘役だけあって、大河内奈々子の薄幸ぶりも並じゃない。弟の医学部受験について語るくだりの力強さたるや。 「あんたのためなら、どんなに犠牲を払ったってかまわない。今の日本で21歳の女が体当たりでがんばれば、明治時代どころじゃないわよ」 その挙句が、デートクラブ「青い果実」もしくは「愛人の宿」に所属とはまた極端な。それにもまさる驚きは、初めてとった客が何と豊樹だったという事実。喫茶店で会うなり大声で、 「ホテル、行きましょうよ」byぼたん って、やはりこの娘は鏡子の子供です。お母さんとも寝て、私とも寝るのは気が引けるのかと問われて、 「それにしても、何たる奇遇だろう」 と答える豊樹も余裕綽々すぎるぞ。 ここで事実関係を整理してみましょう。ぼたんの家は鏡子が働けなくなったことでさらに貧乏になり、洋装店に勤めることでぼたんが家計を支えるも、それでは弟を大学に通わせることが出来ない。デートクラブを通してぼたんと再会した豊樹は、乱れ放題の生活を送る香世(小沢真珠のキャスティングはあまりにもピッタリ)の世話役に適任とぼたんを野島家の住み込みとして招き入れる。貧乏と金持ちと構図の中で、主人公がデザイナーを目指すもそこには様々な障害があり、といったプロットが韓国のドラマ(とりわけ『星に願いを』)に酷似しているような。数奇な運命に翻弄、過酷な人生なるといった定番を踏襲するこのドラマのことだから、ぼたんと香世はきっと同じ男を愛してしまうことになるでしょうよ?!(麻生結一) 第3週(1/19〜1/23放送) ☆☆★ 冬子(一柳みる)がとても気に入っているとても親切な看護婦さんとはもちろん、鏡子(川上麻衣子)その人だった!冬子のお見舞いに来た富貴子(北原佐和子)と豊樹(神保悟志)の夫婦と鏡子のニアミスにハラハラ。この運命的過ぎる再会を機会に、鏡子(川上麻衣子)はぼたん(田島穂奈美)のことを告白したくてたまらなくなる。普通に考えれば隠したくなるだろうに、まったく鏡子って人は侮れません。人の子供を盗んでおいて、 「あの人は許してくれそうな気がするの」 って、そんなまさか。 「もう随分と年月も経ってることだし」 って、そういう問題じゃないでしょ。長年の重荷から開放されたいとの告白に、 「冗談じゃねえよ。自分でしでかしたことだろ」by友重(吉満涼太) この男の方がむしろ正しいのではと思えてくる。 意気投合したぼたんと香世(安谷屋なぎさ)はテレパシーで通じ合っているかのごとく、お互いがお互いのために絵を描いてきたり。ちなみにぼたん一家は王子に住んでいることが判明。 旧態依然とした土建屋からの脱却を目指す豊樹は、 「今は景気が上向きだが、必ずしっぺ返しが来る」by泰造(佐藤仁哉) とのずばり的中する預言者のごとき言葉にも耳を貸さず、異業種に乗り出そうとする。そんな時、ついに鏡子とご対面。 「あなたにお返ししたいものがあるんです」by鏡子 とのあまりにも怖い物言いに、思わずつばを飲む豊樹ってなんてベタなんだ。かの飲み込まれたダイヤモンドを返却されて、 「欲がないんだな。気持ちだけの人なんだな」by豊樹 って、何と認識の甘い。これほど欲深い女はいないぞ。 「きみは根っから善人なんだね」by豊樹 どちらかといえば、悪人でしょうよ。 「言わなければならないことが、のど元までせきあげてきていたのに」by鏡子 根っからの悪人というよりも、結果的悪人というべきか。 野島家にお呼ばれしたぼたんの素性を根掘り葉掘り聞こうとする富貴子に、 「ママったら、何だか身の上調査みたいだわ」by香世 って、こちらも負けじとベタ。スタイル画を描くぼたんはファッションデザイナー志望って、それじゃまるで韓国のドラマじゃないか。富貴子がぼたんに見せたいものとは、牡丹と薔薇が描かれた富貴長春の絵だった。 「だったら私も薔薇って名前にすればよかったんだわ」by香世 まったくだ。「牡丹と薔薇はどちらがきれい♪」は昭和のはじめの曲らしいけれど、どう聴いてもフォーク調なんですけど?! 秀逸だったのは、本当の姉妹が密になっていくにつれて、鏡子と豊樹の関係も深まっていく見せ方。そして二人は、あっさりと肉体関係を復活させてしまう。少なくとも豊樹は、病院で会ったときから、鏡子が肉体を求めてるのがわかっていたらしい。石鹸の匂いをぷんぷんさせて家に帰るなり、鏡子は友重から身体検査されちゃいました。やけぼっくいに火がついたって、また鏡子はあっさり謝っちゃうのね。 「俺よりもいい男と寝やがってよ」by友重 豊樹との浮気に大興奮の友重は鏡子を殴り、家を出て行く。このキャラは、ワンポイントで使うにはあまりにももったいない。再登場希望。 香世とのクリスマスパーティの約束もすっぽかし、豊樹と鏡子はまたまた体をあわせる。香世は父からのプレゼントがない初めてのクリスマスに激昂。弟のことばかりかまうぼたんにも絶縁を突きつける。本能的に姉を求める香世は、ぼたんを独占できなかったことで精神のバランスを崩したらしいです。まったく大げさなんだから。 そして昭和61年。けんか別れしたままのぼたんと香世の中を取り持つべく、何と富貴子が電話してしちゃって、出たのは鏡子。 「何かどっかで聞いたような声」by鏡子 「どこかで聞いたことのあるような声だった?」by富貴子 そりゃそうでしょうよ。ぼたんと香世が遊ぶ羽子板の羽だってスローモーション。 因果応報の仕上げとして、鏡子は豊喜とぼたんを対面させる。 「こういう言い方をしたらなんだけど、トンビがタカを生んだみたい」by豊樹 という随分な言い様に加えて、 「いい子だ。ほんとにいい子だ」by豊樹 などと、一目見ただけなのに根拠のない発言を繰り返す豊樹。 ニアミスは続く。今度はぼたんが香世を王子のアパートに招待する。ここで香世が鏡子に浮気しないでと直談判すると、 「一本とられたわね」by鏡子 と敗北宣言。あきらめの早さにかけては他をよせつけない鏡子は、香世が渋谷松涛町の野島さん家の娘さんであることを知り、からくりのすべてを悟る。不幸を演じさせたとの川上麻衣子のリアリティはすごいですね。人生にはいいことなんかひとつもないって感じに打ちのめされるのみ。(麻生結一) 第2週(1/12〜1/16放送) ☆☆★ あのダイヤのネクタイピン、 「鏡子(川上麻衣子)の体の中から」by豊樹(神保悟志) 出てきちゃいました。せっかく豊樹が婉曲の言い回しを選んだのに、 「嫌だ嫌だ、ウンチと一緒に出てきたダイヤなんて」 と美晴(新藤恵美)はまたダイレクトな表現をなさることで。 「それにしてもこのダイヤ、何だかきれいね。人の体をくぐりつけてきたからかしら。何だか怪しくて、変になまめいた光だわ」by美晴 って、台詞の濃度はすでに『真珠夫人』を超えてますね。 よりによって、野島家の家の前で自殺未遂をしでかす鏡子。その遺書から、時が昭和46年2月であることが判明いたしました 「あんな女、死ねばよかったのよ」by富貴子(北原佐和子) 富貴子はお嬢様の設定だったはずじゃ?! 形相は鬼そのもの。鏡子の遺書を隠し持っていた豊樹(神保悟志)のいいわけがいいわけになってないぞ!会社で同僚と遺書のおふざけって、そんなおふざけあるわけないでしょ。 豊樹と富貴子のスピード結婚は昭和46年6月。 「子供は産めなかったけど、ダイヤは産み落としたって思ったんです。だからこれは豊樹さんのネクタイにつけてほしいんです」by鏡子 病んでるというよりも、ほとんどホラー的発言。そしてその年の10月、真世が生まれる。当然、牡丹と名づけるものだと思っていたのに、そこまで夢想的ではなかったか。 なんてのんきに構えていたら、鏡子が看護婦に変装して、生まれたての真世を誘拐。泣き止まない理由がわからずにうろたえる鏡子は、ミルクは買ってくるも、哺乳瓶にミルクを注ぐ手も危うくこぼしまくる。ミルクをこぼすシーンは、すでにこのドラマの定番?! 豊樹から鏡子のアパートの鍵を強奪し、赤ちゃんの奪回に乗り出す富貴子も、まさか鏡子が真世を浴槽に隠すなどというひどいことをしているとは思いもしなかったか。 そんなドサクサに、驚愕の新事実が発覚!美晴(新藤恵美)こそが富貴子(北原佐和子)の本当の母だった。これは何たる因縁か。赤ちゃんのときに母親と引き離され、今度は自分の赤ちゃんと生き別れに。見つからない真世にうろたえる富貴子に対して、 「新派悲劇はもういい」by泰造(佐藤仁哉) って、そんな殺生な。 どうしたことか警察の捜索も手ぬるく、まんまと真世をものにしてしまった鏡子も、驚きはそこでとどまらず。何と、真世の産着の牡丹の刺繍を見て、いきなり“ぼたん”と命名しちゃったよ。それじゃ、足がついちゃうでしょ。 一年後、鏡子と牡丹は北区の公団アパートで幸せな暮らしぶり!そして富貴子には新たなる娘、香世が誕生。仮に鏡子に再誘拐されちゃったら、今度は産着の刺繍を見て、「ばら」と名づけるのだろうか? 「牡丹と薔薇は、どちらがきれい?」 のプレーズが流れてきて、何だかコントじみても思えてくるけれど。 それから飛んで13年後、空前のバルブ景気って展開の早いこと。氏より育ちを地でいくぼたん(田島穂奈美)はいい子に育つも、香世(安谷屋なぎさ)は家庭教師の皿にかまりきを投げ込む悪童に成長。またよりによって、ぼたんと香世の祖母・冬子(一柳みる)は、鏡子(川上麻衣子)が勤める病院に入院しちゃってるよ。そして運命的な出会いを果たすぼたんと香世。1ヶ月かかっても描き切れそうにない分量を、たった1週間で面白おかしく見せてくれるのですから、まったく大したものです。(麻生結一) 第1週(1/5〜1/9放送) ☆☆★ 『真珠夫人』の中島丈博(この言い方も失礼な気がするけど)による、愛憎の花が咲き乱れまくる予感ムンムンのメロドラマ。33歳の看護師・上村鏡子(川上麻衣子)は、同棲して8年になる建築家の是沢豊樹(神保悟志)の内縁の妻。豊樹はパーティーで、建築業界の大物であるアルマ建設社長、野島泰造(佐藤仁哉)の娘・富貴子(北原佐和子)と知り合い、見初められる。 「美しい二つの花の意味が込められた名前、牡丹と薔薇。二つの花の運命を背負った運命を背負った娘たちが数奇な双曲線を描いて生きていくことになろうとは…」 数奇な双曲線がいかなる線かは、韓国ドラマも真っ青の設定から大方の予想はつくも、早くも随所に予想越えしてくれて、上々の滑り出しのように思えた。忘れ物を取りに来た部下に朝飲み忘れた豆乳を渡す鏡子から、世界観の歪みっぷりにどっぷりひたる。それを苦々しく呑んでる豊樹も相当なものだけど。 基礎体温の折れ線グラフに苦渋の表情を浮かべる鏡子は、想像妊娠の事実にひるむことなく、水枕でお腹を膨らませ、牛乳ダラダラこぼしながら飲んでるって、怖すぎるよ。 「学生時代から豊樹に貢いできて、8年間も一緒に暮らしてきて、男がようやく芽が出てきたというところでとんびに油揚げみたいにほかの女にさらわれて、結婚するって言うんだもの。許せない気持ちはわかるんだけど」by泰造の愛人にして、小料理屋の女将・美晴(新藤恵美) だからって、ダイヤのネクタイピン、呑み込んじゃダメでしょ。 「おいしい!」by鏡子 って、第1週から飛ばしてるなぁ。そしてお腹からは破水ならぬ、水枕の水漏れ。何たる不謹慎なドラマよ。明らかに、『真珠夫人』以上を狙ってる面白エピソードの数々。人力車で登場したいなどと、結婚式の仰天プランをぶち上げる社長令嬢・富貴子を演じる北原佐和子が妙に老けて見えたりするあたりも、このドラマの長い長い先行きを予感させて、ある種の期待感が大いに膨らむところ。(麻生結一) |
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