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末っ子長男姉三人 (TBS系日曜21:00〜21:54)
製作著作/TBS
制作/TBS ENTERTAINMENT
プロデューサー/八木康夫、濱田明子
脚本/吉田紀子
演出/清弘誠(1、2、5、8、10)、金子文紀(3、4、6、9)、高成麻畝子(7)
主題歌/『愛が呼ぶほうへ』ポルノグラフィティ
出演/柏倉(高梨)春子…深津絵里、柏倉一郎…岡田准一、米山節子…賀来千香子、柏倉和子…原田知世、柏倉幸子…小雪、木下ミキ…鈴木砂羽、北村祐二…葛山信吾、米山秀一…光石研、山田大介…伊藤淳史、高木勝…田中哲司、米山健一…勝地涼、エミ…坂本真綾、宮本…斉藤暁、広子…板谷由夏、アナウンサー…木村郁美、ギタリスト…石川鷹彦、さだまさし(特別出演)、冨士眞奈美、柏倉里子…岸惠子
ほか

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第10回(12/21放送)
☆☆
 春子(深津絵里)は会社を辞めて、いったんは札幌に転勤する一郎(岡田准一)についていくことを決意するが、春子が会社に辞表を出すまでのどぎまぎぶりには、深津絵里ならではのうまさが満載だ。
 末っ子長男ばかりではなく、姉三人もそれぞれの理由で家を出て行くことに。和子(原田知世)は汐留にマンションを購入。

「ありがちだけどね」by幸子(小雪)

とは、ドラマの台詞を使ってのTBSによる汐留に移転し、視聴率でズルをしたテレビ局への批判?!。幸子の結婚は予想通りだったけど、まさか節子(賀来千香子)が40歳出産に挑戦することになるとは。3姉妹の中では、節子が最も脚本家に愛されていたキャラクターであることをあらためて痛感する。
 柏倉家総出でまっさんのトークライブを聞きに行くエピソードは、このドラマの最終回にふさわしい。『精霊流し』に『関白宣言』のゴールデンメドレーつきで、ドラマよりもまっさんのトークの方が面白かったりして。
 結局、春子は東京に残ることになり、ラジオ局でADからの再出発を果たす。そんな簡単に会社を出入りできるんだったら、世の中平和なんですけどね。(麻生結一)


第9回(12/14放送)
☆☆★
 節子(賀来千賀子)と秀一(光石研)の離婚問題は、春子(深津絵里)と一郎(岡田准一)のケンカにも便乗する代理戦争の様相に。『デブラ・ウィンガーを探して』のパンフレットの中から、カリスマ主婦を目指す節子はデブラ・ウィンガーの「家事はストレスのたまる仕事」という言葉に共感し、“女優志望”の幸子(小雪)はホリー・ハンターの「演ずることへの愛は私にとって永遠」という言葉に自分の気持ちを確認(すでにハリウッド進出を果たしてたりする小雪だけれど)、さらに和子(原田知世)はアルフレ・ウッダードの「働く女は働かなきゃダメ」との言葉に自らの姿を重ね合わせる。そんなかしましい只中から一人離れて、春子(深津絵里)はジェーン・フォンダの言葉、「失って後悔するものは?」の問いに思い悩む。
 見物は、里子(岸恵子)に仲裁役を頼まれたミキ(鈴木砂羽)の司会進行による2つの議題による家族会議。節子(賀来千賀子)と秀一(光石研)の離婚問題はそっちのけに、春子を差し置いて一郎(岡田准一)の北海道行きについていこうとする里子の母親ぶりがおかしい。北村(葛山信吾)がすでに所帯持ちで、というオチはあまりにも見え透いていたけど、まさか和子が号泣するキャラだったとはね。(麻生結一)


第8回(12/7放送)
☆☆★
 一郎(岡田准一)と春子(深津絵里)の夫婦水入らずを演出するべく、節子(賀来千香子)、和子(原田知世)、幸子(小雪)の姉3人と母・里子(岸惠子)は休日を温泉センターで過ごすことに。6000円の1日券の元をとろうと必死の節子は息子の声にオレオレ詐欺だと勘違いする?! 別居前に応募していた家族円満のための健康レシピが雑誌に取り上げられることに。
 カリスマ主婦を目指す節子曰く、

「作っては流され作っては流される砂の器みたいな主婦の仕事」

って、早々に次クールの『砂の器』のあまりにもミクロ的な番宣かい。結婚話に舞い上がる和子は言わずもがな。アルバイトをしている酒屋の勝(田中哲司)の息子、悟(河口瑛将)をいじめた子供たちをいじめかして、「おとこ女」と言い放たれる幸子も、それぞれにキャラ立ちしてきた感じ。
 途中の節子とその夫・秀一(光石研)との大喧嘩に、ラストの春子と一郎の初めての声を荒げた言い争いと、相変わらず激しいディスカッションにこのドラマの旨みあり。それまでに目一杯伏線を張り巡らせたにしろ、相談もなしに札幌転勤を決めてしまうことはありえないだろうけれど。(麻生結一)


第7回(11/30放送)
☆☆☆
 春子(深津絵里)と一郎(岡田准一)の元カノ・エミ(坂本真綾)が鉢合わせで、

「この泥棒猫!」

の捨て台詞に春子はエミにひっぱたかれる。確かにこの台詞は最近聞きませんよね。今流行なのは、

「この泥棒蛇!」by船越(船越英一郎)『マンハッタンラブストーリー』より

の方だし。
 春子ちゃんとエミちゃんは顔のパーツは似てないも、髪形がそっくりなので(黒髪だし)、里子(岸恵子)が思わずいい間違えてしまうのも納得。年齢詐称の春子と母親との同居が大前提の一郎とでは、結婚の利害関係がピタッとはまっただけに、あのスピード結婚となったわけで。
 一郎、10年に一度の怒鳴り。それだけに、一郎はいつも正しい。少なくとも姉三人よりはとの里子の指摘に深くうなずく。
 春子自身は公開録音のために仙台に行っているのに、一郎プラス姉三人がラジオ局に訪ねていくエピソードがケッサク。幸子(小雪)が不法侵入の要注意人物とのメモ書きには爆笑してしまう。年のわりに天真爛漫と春子のいいところも発見できて(?!)、無事初夫婦喧嘩もおさまるのでした。どう差し引いてみても、春子の境遇は幸せなり。(麻生結一)


第6回(11/23放送)
☆☆☆
 節子(賀来千賀子)は節度のある子になるように、和子(原田知世)は和を尊ぶ子になるように、幸子(小雪)は幸せな子に、って、全部裏目に出ちゃってるよ。そうして、子づくりの環境作りのために家を出ることを画策する春子(深津絵里)のたくらみはまたしても失敗する。

「遠慮しなくていいから、そのときはちゃんといってね」by節子

って言えるはずないでしょ。ちなみに、節子によると子作りにはネバネバがいいらしい。食卓、ネバネバだらけ。名づけて“子作り応援メニュー”。
 幸子は一郎(岡田准一)とEMIちゃん(坂本真綾)との密会を目撃し、思わず立ちションする酒屋の息子を強奪?! コックピットで南十字星を見せられて、3マタかけられた経験を誇る和子は、男にだまされっぱなしでお人よしの春子に、「結婚は2番目に好きな人とするとかいうけど、そういうこと気にしちゃだめ」という逆効果の助言をする。
 その夜、春子と一郎はホテルに泊まるも、家に帰ってみると春子に髪型がそっくりのEMIが待ってて。ドラマは修羅場前こそが面白いと言うけれど。(麻生結一)


第5回(11/16放送)
☆☆★
 夫の母からあのことと言われれば、あのこと(=子作り)に決まってるでしょ。“まっさん”ことさだまさしのラジオの特番に招待され、はしゃぎ喜ぶ里子(岸恵子)がかわいい。確かに岸惠子さんのスタイルだったら、娘(それも小雪!)のドレスだってサイズぴったりかも。遺言状を書き始めた影響は、『北の国から〜遺言〜』の影響と他局の番宣。和子(原田知世)はケアつきの高級老人ホームに入りたい願望は、まるで『エ・アロール』なお話で。姉妹3人でK-1を見るあたりは、自局の大晦日の番宣を兼ねてるわけか。
 「縁切り寺」とのメッセージを残してプチ家出した里子のために、3人姉妹がまっさんのラジオ番組に『コスモス』をリクエストするちょっといい話のおかげで、ドラマの後味は最高に。ガス欠で収録に間に合わないという理由は、随分手抜きをしたものだと思ったけれど。(麻生結一)


第4回(11/2放送)
☆☆★
 会社の後輩たちに新婚生活の見栄をはる春子(深津絵里)がおかしいやら、悲しいやら。春子の口から語られるやさしいお姑さん(単数形)が、節子(賀来千香子)、和子(原田知世)、幸子(小雪)、そして里子(岸惠子)のミックス形になってる!間違ってはいないんだけど、明らかに異なっているそれぞれの都合のいい解釈ぶりに、この手のドラマのつぼが満載だ。お姉さま方に個別攻撃を試みるも、逆に家賃を入れられて切り替えされたり、その攻防の激しさは『白い巨塔』も真っ青?! 和子も実家に10万入れるんだったら、マンションでも借りればいいのに、なんて現実に立ち戻ると変な気もしてくるんだけど。
 そして後輩を呼んでホームパーティのはずが、いつの間にか家族が集まる日に?! このあたりまでは楽しく見ていられたのだが、見進めていくうちに自分の思いのままにならないことにいらだつ春子が、段々といやな女に見えてくる。よく考えてみると、結婚してない娘たちが実家に住んで何が悪いとも思えるし。逆に、幸子を励ます一郎(岡田准一)はこれまでの無関心から一転、ポイントを稼ぐ。(麻生結一)


第3回(10/26放送)
☆☆☆
 『ビギナー』を見ていると、日本人のディスカッションべたに愕然とさせられるのだが、このドラマの節子(賀来千香子)、和子(原田知世)、幸子(小雪)の姉三人v.s.春子(深津絵里)の言葉の応酬を見ていると、日本人もやるじゃないかという思いになる?! 矢継ぎ早の台詞の応酬が見物、いや大いに聞き物だ。
 姉三人をいっぺんに相手にするのは、消火器持たずに火事場に突っ込んでいくようなもの、という一郎(岡田准一)の指摘には至極納得。そ知らぬ顔で姉たちをかわす一郎は、伊達に姉たちと25年間一緒に暮らしてない。
 冨士眞奈美の「ズバリ直球お悩み相談」に、春子の境遇とあまりにも似通ったリアルな質問が。

「小姑鬼千匹」

とすると、春子の敵は三千匹!お姉さまたち対策用にセッティングされた、ミキ(鈴木砂羽)の元カレでかためられた合コン程度では、むしろ焼け石に水か。そして物語は、次第に和子メインになっていく。第1話のメインが節子だったことを考えると、次回は幸子がメインになるのかな。ただ、合コンの場面でテンション全開だったのは、えり好み激しいわりにはもてない和子でも、合コン出席に1万円の袖の下を要求する幸子でもなく、40歳に見えないと賞賛されてすっかり有頂天になったダークホース、節子その人。ちなみに、女性の平均結婚年齢は27.4歳だそうです。
 30歳で藤圭子やピンクレディがリアルタイムという設定には、やや引っかかった。「ペッパー警部」なんか1976年だから、春子と幸子は3歳でしょ。どう考えても記憶にないと思うんだけど。36歳の和子が9歳だから、このあたりからでしょう。確かに、当時の幼稚園児の定番ソングではあったけれど。(麻生結一)


第2回(10/19放送)
☆☆☆
 末っ子の長男・一郎(岡田准一)と結婚した春子(深津絵里)と、節子(賀来千香子)、和子(原田知世)、幸子(小雪)の義姉3人との共同生活が本格的にはじまり、ドラマは俄然盛り上がってきた。同居がはじまって1週間というテロップに、時間にこだわって見せるやり方が不動のものであることを確認。
 朝っぱらから子供に言っている癖なのか、節子に早くしなさいと怒られるは、優雅に風呂に入る和子から新聞を取りに行かされるはと、春子にはそうそう大いなる受難の数々が。春子の担当するラジオ番組で、富士真奈美の人生相談に家事をしながら耳を傾ける節子がケッサク。トイレにも風呂にもラジオがあるって、やっぱり奥さんがラジオ局勤めだから?!
 春子はみんなから“はるちゃん”と呼ばれることに不満タラタラ。確かに“はるちゃん”だと温泉旅館の仲居風、って他局のドラマじゃないの。何とか節子に出て行ってもらうために、節子の息子・健一(勝地涼)にお母さんを向かえにくるように促すも、

「おいくつですか?もっと若い人かなと思ってたから」by健一

とのきつい一言には、春子もただフリーズするしかなし!
 節子(賀来千香子)の柏倉家での仕切りっぷりはいっそうにエスカレートし、包丁を選ぶのにもドキドキもの。普通、お湯を沸かす場合は、汲み置きに備長炭を入れておくものとは、まさに主婦の鑑。

「血液がさらさらになるって、みのさんも言ってたから」by節子

って、それも他局の番組だったりする。そんな節子の弱点は、手をかけて作るわりには料理の味にパンチがかけること?! ありがち!
 億単位のお金が動かせる経済の専門家・和子も、身近な経済観念に関しては崩壊の模様。劇団女優の幸子が3万5千円の家賃も払えんとは、何とも生々しいお話ですこと。
 激しい兄弟喧嘩の末、書置きしていったんは出て行った節子に同情し、家へ連れ戻してしまったのが春子にとっては運のつき。散らかった部屋を節子に掃除され、パスポートで年齢が30歳だったことがバレてしまうオチには大笑いしてしまった。“まっさん”=さだまさしの「関白宣言」がドラマ中のエピソードにかかっていくあたりも絶妙。(麻生結一)


第1回(10/12放送)
☆☆★
 数多くある同タイプのドラマと比較すると、非常にこなれた感じを受ける。5歳年をサバ呼んで合コンに参加していた春子(深津絵里)と一郎(岡田准一)が結ばれるまでの時間の飛ばし方なんて、脚本と演出のうまさを問われるところだけれども、実にスムーズで上手い。もちろんすべては、深津絵里あっての面白さなわけだけれど。30歳瀬戸際オンナ役は、もはや彼女の十八番ですね。
 一郎の姉である長女の節子(賀来千香子)と三女の幸子(小雪)と、そのツインタワーにはさまれる春子(深津絵里)のスリーショットはなかなかに壮観!家族の勢ぞろいぶりにはやや強引さを感じるも、多士済々なメンバーを見ているだけでも楽しげな気持ちになった。春子の親友役で登場する鈴木砂羽は、今クール3本目。(麻生結一)




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