TV DRAMA REVIEW HOME

R.P.G. (NHK総合2003.11.22)
平成15年度文化庁芸術祭参加
制作・著作/NHK
共同制作/NHKエンタープライズ21、共同テレビジョン
制作統括/阿部康彦、木田幸紀
プロデューサー/鈴木伸太郎
原作/宮部みゆき
脚本/福田靖
演出/星田良子
音楽/窪田ミナ
出演/所田一美…後藤真希、石津ちか子…風吹ジュン、加原律子…榎本加奈子、北条稔…中村七之助、三田佳恵…高田聖子、徳永松男…飯田基祐、淵上美紀恵…春木みさよ、石黒達也…斎藤工、鳥居浩二…吉満涼太、秋津信吾…鈴木修平、石津孝…榎本佑、今井直子…大沢舞子、木下祥子…本橋里紗、所田良介…伊武雅刀、立川房夫…鶴田忍、葛西規義…嶋田久作、所田春恵…増田恵子、武上悦郎…伊東四朗
ほか



☆☆★
 宮部みゆき原作、福田靖脚本の芸術祭参加作品。一美(後藤真希)の父・良介(伊武雅刀)が何者かに殺される。数日前に起こった女子大生殺しとの関連は?捜査が進むにしたがって、良介がインターネット上に疑似家族を持っていたことが発覚。虚構の家族と親しげに会話をしていた父親の秘密を知らされた一美は、愕然とするのだが……。
 面通しで犯人を見定めるはずの一美が、いつしかリトマス試験紙にかけられているというドラマの構造の面白さに尽きる作品。タイムリーなトピックだけに、10年後に見て面白いかと言われれば疑問がある。
 大いにがっかりさせられたのが、大人とか子供とか、どうしても総称化してしまおうとする結末。事件は個でしかありえないし、そこからしか何もあぶりだされないはずなのだが。肝心なところでの弱腰は残念だが、NHKでしかありえない企画だとは思わせるドラマだった。
 ネット家族の全員が偽者だった、という種明かしはまさにRPGということか。趣向は面白いんだけど、そのハングマン風はドラマ自体を軽くしてしまった印象を持つ。良介が関係を持っている女子大生を一美が殺したことを、どのようにして良介が知ったのかといういきさつもいまいち不鮮明。
 捜査にあたる武上役を演じた伊東四郎と石津役を演じた風吹ジュンの『転がしお銀』コンビは、緊迫した演技でドラマを盛り上げる。当然、こちらの方がはるかにいい。(麻生結一)




Copyright© 2003 TV DRAMA REVIEW. All Rights Reserved.