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共犯者 (日本テレビ系水曜22:00〜22:54)
製作著作/日本テレビ
チーフプロデューサー/梅原幹
プロデューサー/伊藤響、北島和久、大塚泰之
脚本/秦建日子
演出/大谷太郎
音楽/吉川慶、AUDIO HIGHS
オープニングテーマ/『HIGH CRIME』川口大輔
エンディングテーマ/『琥珀の月』Skoop On Somebody
出演/冬川美咲…浅野温子、三上博史、高杉亮…池内博之、坂下舞…奥菜恵、有坂来瞳、小野真弓、松尾れい子、加賀美早紀、川端竜太、はしのえみ、さとう珠緒、乙葉、佐藤二朗、松重豊、黒部進、宇梶剛士、栗田よう子、小林浩介…吹越満、中山忍、中尾文彦…佐野史郎、木場圭一郎…石橋蓮司
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第10回(12/17放送)
☆☆
 思わせぶりを極めたこのドラマも、最終回にいきなりねたバレさせてはじめるとはまた邪道な手を。宅配の梱包で冷凍保存されたいずみ(はしのえみ)の死体を見て、木場(石橋蓮司)がその箱の中に思わずサングラスを落としてしまうショック・シーンや、高杉(池内博之)の壮絶極まりない死に様のディテールへのこだわりに見惚れるしかない。このあたりまではいかにもこのドラマらしい見せ方のうまさが炸裂するも、妄想だかドッペルゲンガーだかわからないが、ウエヤマサト(三上博史)が存在していなかったという結末には、がっかりというか、想定通り過ぎて拍子抜けしてしまった。
 いまさらにつじつまあわせをするならば、奇妙な箇所も随所に見つかりそうだけれど、

「私は矛盾している」by美咲(浅野温子)

ともともと自己告白していたことだし。ドラマを通してお話そのものに興味を持っていたわけではないけれど、見せ方の巧みさと出演者の怪演ぶりはこの最終回においてもで後退するものは何もなかった。浅野温子と三上博史はこういう役でこそ生かされるというもの。GSカードの怪しい面々、池内博之、奥菜恵、有坂来瞳、松尾れい子、佐野史郎も個々に凄みがあった。とりわけ出色だったのが、木場役の石橋蓮司。こんなに怖い石橋さんには随分久しぶりにお目にかかった気がする。(麻生結一)


第9回(12/10放送)
☆☆☆
 殺された中尾(佐野史郎)の家の床下から、アタッシュケースが見つかった。その中に事件解決の決定的な証拠が入っていると木場(石橋蓮司)は確信するのだが、直後爆発し、あたりは炎に包まれる。
 謎解きは謎解きとして、見せ方の思わせぶりはここにピークをむかえた感じ。あらゆることにネタ晴らしをせず、ここまで面白さをひっぱる力を維持するドラマもなかなか珍しいのでは。ここまできたら、こじんまりと終わってしまわず、大爆発してほしいところだけれど。まとめに終始してしまうぐらいなら、このドラマを見るのをここで止めたい気分。(麻生結一)


第8回(12/3放送)
☆☆☆
 ついに、美咲(浅野温子)とウエヤマサト(三上博史)が対決するときが。毎度のことながら、寸止めで次週に先送りにするやり方はうまいんだけど、下手すると最終回まで先送りにされそうで、それがちょっと心配。舞(奥菜恵)と船田(宇梶剛士)が暗闇の中尾(佐野史郎)の家で床下に行き着くあたりは、どうしても『あなたの隣に誰かいる』と比べたくなるところだが、こちらの方が数段意味深な作りになっている。
 それにしてもこのドラマ、常に顔と顔が近い!美咲とウエヤマサトもそうだし、舞と船田もうそう。そういった尋常じゃない見せ方に各キャラクターもぴったりマッチしていて、大いに楽しませてくれる。これまた顔の近い2人、木場(石橋蓮司)と中尾殺しの犯人として取調べされている小林(吹越満)とのかけ引きも見物。(麻生結一)


第7回(11/26放送)
☆☆☆
 怪しげな出演者がこぞって怪しげに振る舞う様は『あなたの隣に誰かいる』と似たようなものなのだが、ドラマのインパクトは雲泥の差。もちろん、こちらの方が雲ということになる。ここに登場する主要人物を演じてる俳優ならば誰でも、『トリック』のトリッキーなメインキャラになれそう?!

「時々私は、自分が幸せなのではないかとすら思う」by美咲

とのモノローグに一瞬の微笑。確かにマサトスペシャル三色弁当がおいしそうだったし。
 圧巻は、目のクローズ・アップの重ね技。しつこいほどに、これでもかというほどに目のクローズアップが連打されて、見ながらに酔ってしまいそうになるほど。このドラマは、回によっては芸術祭の参加作品になってるみたい。さすがに放送前に全話分を撮り終えてるだけのことはある力作に仕上がっている。
 ウエヤマサト(三上博史)は塔山紗江(中山忍)のアナグラムだったか。それにしても、写真たての割れた破片は都合よく並んだものよ。そういう趣向も面白いけど、何といってもこのドラマの面白みは見せ方にあり。(麻生結一)


第6回(11/19放送)
☆☆☆
 15年前の殺人と現在の殺人に大人数が入り乱れる様が実に壮観。美咲(浅野温子)にマサト(三上博史)、高杉(池内博之)にOL3人組(奥菜恵、有坂来瞳、松尾れい子)、そして中尾(佐野史郎)といった見るからに怪しげな人々の出し入れが抜群なため、ごちゃついた感じをまったくうけないのは立派としか言いようがない。三咲をマンマークする刑事の木場(石橋蓮司)が、いっそう鋭さを増してきてる。(麻生結一)


第5回(11/12放送)
☆☆☆
 共犯者(三上博史)、中尾(佐野史郎)とも共犯者を臭わせて、まるで共犯者の二股状態?! それとも今流行のあれだったりする?!

「まさにそこだよ」by共犯者(三上博史)

「どこよ」by美咲(浅野温子)

登場人物も迷うほどの暗中模索。車もろごと崖からダイブしてしまうエンディングまで、その濃密な時間の流れにただただ身をゆだねるしかない。(麻生結一)


第4回(11/5放送)
☆☆☆
 共犯者、もしくはウエヤマサト(三上博史)の小林(吹越満)に対する噛み付きプレイがあまりにも強烈で、見終わった後にも後を引くような怖さが第4回にはあった。

「私は矛盾している」by美咲(浅野温子)

と連呼される主人公自身の問いかけがドラマ全体にかかっていって、物語をピリッとさせている。怪しい雰囲気もますます高まっているだけに、ドラマ自身が矛盾していないことを祈るのみ(同枠だった『最後の弁護人』のグズグズぶりを思い起こすに、秦建日子脚本への心配もまたスリリングだったりして)。
 執拗に事件にこだわる刑事の木場役の石橋蓮司が抜群にいい。やはり石橋さんは怖い役に限ります。(麻生結一)


第3回(10/29放送)
☆☆☆
 続けざまに起こる殺人事件の絡め具合もなかなかだが、それ以上に見せ方の面白さに引き込まれる。ワンシーンたりとも手抜きのないぎゅうぎゅう詰め加減が、浅野温子と三上博史のツイン濃厚演技に劣らないほどの尋常ならざるハイテンションを生んでいる。
 喫茶店で注文された2つのコーヒーを懸念がるウェイトレス。もしかして共犯者(三上博史)は存在していない?そういうおざなりなオチだとがっかりなんだけど。キャッシュディスペンサーの防犯ビデオって、カード会社の一社員が持ち出せるものなの?(麻生結一)


第2回(10/22放送)
☆☆★
 ワンシーンワンシーンが入念に作ってあるので、見る側もサラッと見通せすというわけにはいかない。謎の男性(三上博史)がここまで活舌がよかった例もかつて知らない。ここまで緊迫の連続だと、窮地に追い込まれる美咲を演じる浅野温子の目力も有効。(麻生結一)


第1回(10/15放送)
☆☆★
 浅野温子と三上博史のツーショットが懐かしいなんてのんきなことを言ってられないほどに、お2人の対決がひたすら濃厚でおなかいっぱいな本格サスペンス風。画面が暗くて、何をやっているのかよくわからないシーンもあったが、

「今はただ、ただの脅迫者!」by自称脅迫者(三上博史)

との妙にハキハキとした自己紹介は鮮明に聞き取ることができる。クレジットに1枚で出てくるキャストがいないのも、テレビドラマとしては珍しいかも。『ゆうれい貸します』でも一人、気をはいていた乙葉が、カード会社の課長・美咲(浅野温子)の部下であるわがままOLを演じて、今回もなかなかの性格演技を見せているなと感心してたら、いきなり殺されちゃった。(麻生結一)




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